NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年03月30日 (日) | 編集 |
ごちそうさん 卯野め以子

連続テレビ小説・ごちそうさん

2013年9月30日(月)~2014年3月29日(土)全150回

番組公式サイト

NHK 総合
月~土
前8:00~8:15
後0:45~1:00(再)

NHK BSプレミアム
月~土
前7:30~7:45
後11:00~11:15(再)
[1週間分まとめて再放送]
土・前9:30~11:00

< スタッフ >

作/森下佳子
演出/木村隆文、小林大児
音楽/菅野よう子
主題歌/ゆず(雨のち晴レルヤ)
制作統括/岡本幸江

< キャスト >

卯野家
卯野(西門)め以子/ 、(幼少期/豊嶋花)
卯野大五/原田泰造
卯野イク/財前直見
卯野照生/井之脇海
卯野トラ/吉行和子

西門家
西門悠太郎/東出昌大
西門正蔵(酉井捨蔵)/近藤正臣
西門静/宮崎美子
西門ふ久/松浦雅
西門泰介/菅田将暉
西門活男/西畑大吾
西門(山下)和枝/キムラ緑子
西門(川久保)希子/高畑充希
川久保啓司/茂山逸平

女学校
堀之端(室井)桜子/前田亜季
野川民子/宮嶋麻衣
宮本先生/奥貫薫

その他
泉源太/和田正人
村井亜貴子/加藤あい
竹元勇蔵/ムロツヨシ
室井幸斎/山中崇
高木馬介/中村靖日
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2014年03月29日 (土) | 編集 |
最終回

「奥、カレーを作れ!」

振り向くと、見知らぬ男を連れた竹元が立っていたのです。

め以子は取りあえずふたりを蔵座敷へと招き入れました。

席に着いた竹元は連れの男の横顔にうっとりと見惚れています。

「どないなおふたりなん?」

お静に聞かれましたが、泰介に分かるはずもなく首を振りました。

大昔のことになりますが、うま介で竹元に声をかけて来た美青年がいました。

整った顔立ちにどことなくその面影があります。

もしかしたら、年齢を重ねた姿なのかも知れません。

とにかく竹元は、美しいものが大好きなのです … 老若男女問わずに。

… … … … …

ひとしきり見惚れた後、竹元はおもむろにめ以子の方に向き直りました。

「さあ、じゃあ頼んだぞ! 奥、カレーを作れ」

相変わらず傍若無人な物言いでした。

持参してきたカレー粉の入った瓶が座卓の上に置いてあります。

「いや、今からはお時間が … 」

もう夜も大分更けているので、め以子は困った顔をしました。

すると、連れの男が初めて口を開いたのです。

「ここはカレーの女神の神殿とお伺いしました」

「そうだ、つべこべ言わず作れ!

作ったら、あいつも匂いにつられて戻って来るんじゃないのか?」

「いや、犬やないんですから … 」


… … … … …

甲子園の開会式の日がついにやって来ました。

『本日休業』の紙が貼られたうま介には、西門家、諸岡家、商店街の面々が集まっていました。

これから皆で甲子園に乗り込むのです。

「め以子は甲子園行けないか … 復員列車着く日じゃね」

残念そうな桜子、泰介がめ以子からの伝言を伝えました。

「お父さん戻ったら、一緒に駆けつけるて」

うま介の住人にもひとり、不参加を余儀なくされた人がいました。

最終回を迎える『阿呆の佛』の原稿が仕上がっていない室井です。

「僕もやっぱり行く、せっかくの甲子園だもの!!」

「お父さんは明日の最終回書かなあかんやろ!」


逃げ出せないように文女たちに椅子に縛り付けられてしまいました。

「 … で、め以子ちゃん、家で待ってるん?」

「あ、いや、駅前で …

ぎょうさん作った方がカレー美味なるから、どうせなら売るて」


竹元の説にも一理あると思っため以子は、悠太郎の大好物のカレーを仕込んで駅前の広場で店を広げていたのです。

… … … … …

復員列車が着くと、大勢の復員兵が次々と駅舎から出てきました。

あちらこちらで再会のドラマが繰り広げられていますが、悠太郎の姿は一向に見つかりません。

「どないや?」

そこへ源太がやって来ました。

「ええの? 甲子園」

「ああ、ええ、ええ … 」


と言いながら、『一杯50円』と書かれた貼り紙を見て目を丸くしました。

「何やお前、たっかいな ~ 」 

「悠太郎さん戻って来たら、パ~ッとタダにするんや」


すると、復員兵の妻らしき女性が声をかけてきました。

「あの、これ、もうちょっと安うしてもらえませんか?

匂いたまらんで … この人食べたいみたいで」


傍らに立っていた夫がペコリと頭を下げました。

「ああ」

め以子は一瞬考えましたが … 皿に飯を盛ってカレーをよそいました。

「どうぞ」

妻から料金を尋ねられ、め以子は「復員のお祝い」だと微笑みました。

「おおきに、いただきます!」

うれしそうにカレーにがっついた夫、妻は「おおきに、おおきに」と何回も繰り返しました。

… … … … …

『お富士のその炊き出しは、復員兵をわんさと呼び寄せた』

め以子はいつの間にか商売抜きで駅から出てくる復員兵たちにカレーを配り始めていました。

源太も忙しくなった店を手伝いに入っています。

ごちそうさん

「はい」


皆、本当に久しぶりに口にするカレーに舌鼓を打ち、美味しそうに、幸せそうに、貪るように食べています。

ごちそうさん

「はい」

「おおきに」


め以子の店の周りは笑顔で一杯になりました。

『お富士は、「ごちそうさん」の声を山ほど聞いた。

だが、肝心の夫を呼び寄せることは何故かできないのだった』

… … … … …

しばらくすると、復員兵たちの姿も絶え、駅前も静かになってきました。

め以子と源太は残ったカレーを食べました。

「美味いな、これ ~ 通天閣、好きなん分かるわ」

しかし、め以子の表情は冴えません。

『あなたのカレーがある限り、僕はここに戻ってきてしまうんです』

そう言っていたのに、やはり今日も待ちぼうけでした。

「ああ、美味かった ~ ごちそうさん

源太がカレーを平らげた時、め以子がひとつため息をつきました。

「何や?」

「もう、聞かれへんかも知れんな、思て … 悠太郎さんの『ごちそうさん』」


始めて弱音を口にしました。

「戦争終わって、まだ2年も経ってへんやろが」

「うん … せやけどな、戻ってきたら、話そ思て、ええこと話のネタ書いとってんけど」


め以子は懐から悠太郎の手紙を取り出しました。

「 … 書くとこのうなったんや」

隙間なく書きこんである便箋を見せました。

… … … … …

「ほな、お前 … わしと一緒になる?

お互いひとりやし、わしと所帯でも持つか?」


ホ~ホケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ …

ウグイスの鳴き声が聞こえるのどかな春の日差しの中、源太の言葉をボ~っと聞いていため以子でしたが …

少しの間を置いてから気づいたらしく、突然狼狽え始めしました。

「はあ? はっ、いや … だっ、だ ~ !!」

「何やねん、その反応?」

「だだだだ、だって、だって … あり得へんでしょ、そんなん!

私と源ちゃんがて??

せやけど、私太ってへんやん!

子供たちかて … 

大体、大体2年も経ってへんし ~ 」

「おう、せやからそう言うたやろが」


ハッとするめ以子。

「あっ … ひ、引っかけた?」

「紙のうなったぐらいで凹むなや、あかんたれが!

お前はしゃあないの、惚れた弱みやねんから、ず~っと、ず~っと待つしかないの!」


悔しいけど、その通りでした。

「 … けどまあ、わしもひとりやから、お前もひとりで気張れや」

何度、こんな風に源太に元気づけられたことでしょう …

め以子は素直にうなずいたのです。

… … … … …

< そうだね ~ 覚悟しなきゃ、いけないのかも知れないね … 長期戦になること >

店じまいしため以子は、道具を乗せた大八車を引いて我が家へと戻って来ました。

< ひょっとしたら、とんでもなく長い … >

そんなことを考えていたら、気が遠くなってきて、思わずその場にしゃがみ込んでしまいました。

< とんでもなく長い … とん … >

その時、め以子は信じられない光景を目にしました。

< 飛んだ?! >

目の前を子豚が飛び跳ねて横切って行ったのです。

… … … … …

訳が分からず、逃げていく子豚を目で追うめ以子。

「捕まえてください!」

その声に振り向くと、家の中からひとりの復員兵が飛び出してきて、子豚を追いかけて角を曲がっていきました。

呆然と見送っため以子。

そして、またその角を逃げてくる子豚を追いかけて復員兵は戻って来ました。

その顔は … 

子豚はまた反対側へと走り去り、復員兵も目の前を通り過ぎました。

… … … … …

「こ、これ、ホンマなんかな … 」

夢の中にいるように目まぐるしい出来事、子豚と復員兵が走り去った角を見つめながら、め以子はつぶやきました。

すると、ほどなくして、捕まえた子豚を抱えた復員兵が、傾きかけた陽を背にして、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる姿が見えました。

その顔は … 紛れもなく、悠太郎でした。

見間違いではなかったのです。

「ただいま帰りました … 奥さん」

ニコリと笑った悠太郎。

「 … おかえりなさい」

夫を目の前にしても、め以子はまだ狐につままれたような心地です。

… … … … …

「あの、あの … 復員列車に乗ってはりました?」

「ああ、事情があって、3日前に博多の方に引き揚げて来たんですよ」

「 … そう … なん … ですか」


今日の列車で着いたのなら、カレーの匂いに誘われて姿を見せない筈がないと思ったのです。

「向こうで養豚場を経営されてる方と知り合いになって、もらう約束をしてたんで、先にそちらに寄って豚もろてきたんです」

平然と話す悠太郎を見ていたら、沸々と怒りがこみ上げてきました。

「何やって … 何やってるんですか?!

できるだけ早う戻るて言うたやないですか?!」


悔しくて、悔しくて、涙も出てきました。

「 … 私がどれだけ心配したて」

「あなた、僕の手料理食べたい言うたやないですか?」


『 … 食べたいもん、もうひとつあった ~ 悠太郎さんの手料理』

悠太郎が満洲に立つ日に確かにめ以子はそう言いました。

「 … 言いはったでしょ?」

「それって?」


うなずいた、め以子は悠太郎の腕に抱かれている子豚に目をやりました。

「一度だけ、満洲で子豚の丸焼きを食べる機会があって … これがもう、ごっつう美味しゅうて、美味しゅうて …

どうしても、あなたに食べさせたくて。

作り方も習うてきました」


… … … … …

見れば、悠太郎の目にも光るものがあります。

悔しい涙は喜びの涙に変わって … 顔を両手で覆って泣きじゃくる、め以子。

そして、悠太郎の胸に飛び込みました。

「最高です、悠太郎さん!

ええ豚です … ええ豚です」

「腹いっぱい食べましょね」

「はい」


悠太郎もめ以子の背に腕を回して、家の外だということも忘れてふたりは抱擁していました。

… … … … …

しばらくして、ふいにめ以子が身体を離しました。

「 … 悠太郎さん、豚?」

ハッとする悠太郎。

「豚?」

子豚を抱いていたはずの手は、め以子の腰にあります。

ふたりは辺りを見回しましたが、子豚の姿がある筈もなく、すでにどこかへ逃亡した後のことでした。

… … … … …

一方、応援を終えた甲子園組は、再びうま介に集合していました。

焼き氷にカスタード巻、ハモニカに吉田汁 … 看板メニューがテーブルには並んでいます。

「下関商業の河村、ええ球投げてましたよ」

泰介と啓司、諸岡が観戦してきた試合の話で盛り上がっています。

「ええな ~ 行けて」

横で浮かないしている希子、実況担当にはなれなかったため、局内の仕事で甲子園には行くことはできなかったのです。

同じく留守番組だった室井は、未だ原稿が書き終わらずに悩んでいる最中でした。

「まだできてへんの?」

「最後が ~ 阿呆の最後が ~ 」


あきれる文女、そう言われてもどうにもこうにも結末がうまくまとまらないのです。

源太の姿が見当たりませんが、いつになっても姿を見せないめ以子を呼びに行ったと聞いて、お静が表情を曇らせました。

「今日もあかんかったか … 」

… … … … …

そうこうしていると、源太がひとりきりで戻って来ました。

「め以子は?」

「 … 多分、今日は来んのちゃうかな?」


桜子に尋ねられて、何となく思わせぶりに答える源太。

「何かあったん?」

心配そうに身を乗り出したお静。

「皆も帰らんほうがええんちゃうかな?」

西門家の面々に向かって意味ありげに言うと、勘のいい泰介が立ち上がりました。

「 … もしかして?!」

「戻って来たん、悠太郎さん?!」


お静が大声で尋ねました。

源太は否定はしませんでした。

顔を見合わせた啓司と希子、涙ぐむ馬介と桜子。

「お祖父ちゃん増えるね ~ 」

ふ久が諸岡の膝の上にいる大吉に言いました。

「よかった ~ 」

店中の人たちが悠太郎の帰還を祝って喜びの声を上げています。

… … … … …

すると、血相を変えた室井が源太に駆け寄ってきました。

「どんな感じ?

ねえ、それどんな感じだった?!

再会した時って、ふたりどんな感じだったの ~ 」

「そらもう … 甘 ~ い、感じや」


どっと沸く一同。

「 … それって、どんな感じ??」

「知らんがな ~ 」


しつこく食い下がる室井を源太は振り払いました。

… … … … …

悠太郎とめ以子は何年かぶりで夫婦水入らずの時間を過ごしていました。

悠太郎は自分の手紙の裏にびっしりと書き込まれた、め以子の日記を読んでいます。

め以子は戸棚の上にしまっておいたチョコレートの封印を解きました。

「美味しそうですね」

あっという間に半分平らげてしまったのを見て悠太郎は笑いながら言いました。

幸せそうにうなずいため以子。

「これもあげます」

め以子が悠太郎の分だと言って半分寄こしたチョコレートを差し出しました。

「 … ほ、ほんまですか?

チョコレートですよ、チョコレート … 」

「はい、どうぞ」


悠太郎は、それをめ以子の手に握らせました。

「 … ごちそうさんです」

ふたりは顔を見合わせて笑いました。

涙の河も 海へと帰る

誰の心も 雨のち晴レルヤ 雨のち晴レルヤ …


おわり ♪


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2014年03月28日 (金) | 編集 |
第149回

「オオキニ」

め以子から分けてもらった糠床を手に、覚えたての日本語で礼を言ったモリスは、満足げに帰って行きました。

… … … … …

しかし、数日後、希子から伝えられたモリスの言葉にめ以子たちは憤慨したのでした。

「 … なんでそんなことになるん?」

「せやかて、勝利は自分たちでつかみ取った方が美味しいやろって言わはって … 」


希子自身も困惑していました。

「ヤミー、何とかしてくれるんちゃうかったん?!」

「そう、これハイスクールの学内新聞やねんけど」


モリスから渡されたという新聞を差し出しました。

「カーチスさん、学生野球でかなりのスター選手やったらしいんです」

新聞の見出しには『LITTELE BIG TOM AGAIN!!』の文字、そしてハイスクール時代のトムの写真が載っていました。

「けど、体が小さかったせいで、結局プロにはなれんで …

でも、彼は当然大リーガーになるつもりやったから、その後、別の人生を歩むにあたって、相当苦労されたみたいで」

「プロ野球の選手になられへんかったら、学生野球なんて意味ないやろって話かいな?」


お静が半ばあきれたように言いました。

ことの原因は、当初耳にしていたこととは違う、もっと根深いところにあるようです。

「なんか、哀しいな … 」

泰介がため息交じりにつぶやきました。

「結果はどうでも、熱中することに意味ある思うんやけどな ~ 」

… … … … …

「ほなら、そう思てもろたらええんちゃうの?」

確かにめ以子の言う通りなのですが …

「それが、どうやったら分かってもらえるかですよね … 」

啓司が難しい顔をして首をひねりました。

「あっ、それから … カーチスさんは、アイスクリームに目がないから、是非参考にするようにて」

直接手を貸さない代わりにモリスはいくつかのアドバイスを与えてくれたのでした。

「アイスクリーム?!」

『アイスクリン … アイスクリン、作ろな』

め以子は、活男と出征の時に交わした約束を思い出していました。

「なあ、こういうのどやろ?」

それがきっかけになって、何か妙案がひらめいたようです。

… … … … …

め以子は早速、アイスクリームを作る材料道具一式を担いで、うま介に駆け込みました。

「あ、め以子ちゃん?!」

店が米軍御用達になって以来、心ならずも疎遠になっていた、め以子が顔を出したので、馬介は驚いています。

「 … 一緒にアイスクリン作ってくれる? 私と」

もちろん、ふたつ返事でうれしそうにうなずいた馬介でした。

… … … … …

め以子にしてもアイスクリームは、思い出いっぱいの食べ物でした。

子供たちがまだ小さい頃、一緒に作ったこともありました。

ボールの中のクリームをかき混ぜていると、幼い活男の手をとって、同じようにした記憶がよみがえってきます。

… … … … …

泰介と諸岡、啓司たちは、め以子が馬介たちと共にこしらえたアイスクリームを携えて、再び『民間情報教育局』のカーチスの元を訪れました。

「今日は、お土産を持ってきました」

前回の折衝の際に言葉の壁を痛感した泰介は、今回は自らの言葉で伝えるために英語を猛特訓、通訳は入れませんでした。

それを受けて、付き添いで来ていた希子がカーチスの前に2種類の器を置きました。

「こちらは卵の黄身で作ったアイスクリーム、こちらは白身で作ったアイスクリームです。

どうぞ、両方とも召し上がってください


大好物を勧められて、カーチスはまず黄身で作ったアイスクリームを食べました。

「 … 美味い」

続けて、もう片方の白身のアイスクリームも口に入れると、意外というような顔をしました。

「こちらもいい!」

すかさず泰介は話し始めました。

「野球もそのようなものだと思うんです。

学生野球もプロ野球も、どちらも素晴らしい!」


カーチスは、泰介の顔をちらっと見ましたが、そのままアイスクリームを食べ続けました。

「野球は戦時中に敵性スポーツだと抑圧されました。

それでも僕らは、敗れた球に紙を詰め直して野球を続けました。

野球が好きだったからです!

… 僕たちは全員、プロの選手にはなれませんでした。

でも、だからといって、あの時間の価値が損なわれるわけではありません!」


… … … … …

その頃、すべてを泰介たちに託しため以子は、うま介の前で活男が遺した手帳を広げて … 活男らしいメモを読んでは、面影を思い浮かべていました。

そして、今度こそうまくいくようにと祈るのでした。

… … … … …

「 … 仲間と共に過ごしたあの日々は、抑圧の中で最後まで白球を追いかけた日々は、僕たちの自信となっています。

その自身は、これからの人生の折々に、きっと僕たちを支えてくれることと思います」


無言でアイスクリームを食べ続けるカーチス。

すると啓司が、ハイスクールの新聞に載っているカーチスの記事を本人に向けて掲げました。

「トム・カーチスは、その小さな体で特大のホームランを放った。

9回裏、絶体絶命のピンチで見せた彼のアーチに、僕たちは勇気をもらった。

ありがとう、小さくて大きなトム」


見事、英語で暗誦してみせたのです。

「あなたもそうだったのではないですか?」

泰介がそう語りかけた時、ちょうど2種類のアイスクリームを平らげたカーチス。

その口元が柔らかな笑みを浮かべるのを一同は目にしました。

… … … … …

その夜、うま介は歓喜の声であふれていました。

泰介たちは、吉報を持ち帰ることができたのです。

カーチスは甲子園大会の中止を撤回することを約束をしてくれました。

「よくやった、ようやった!」

労をねぎらうめ以子。

「やったな!」

「ホンマ、皆さんのおかげです!」


源太をはじめ応援してくれた人たちに頭を下げた泰介。

「大吉、お前、甲子園行けるで!」

抱き上げた息子に夢を託して、感極まった諸岡は泣いています。

「活男、おおきに! おおきに!」

め以子は手帳を両手で掲げて、大声を張り上げました。

活男が泰介たちを見守ってくれていたような気がしたのです。

「活男、おおきに ~ !!」

泰介が同じように声を上げると、皆が我も我もと叫びました。

活男に届くようにと …

… … … … …

そんな賑わいの輪から外れて、そっと店の外へ出て行く、ふ久の姿がありました。

ふらふらっと闇市を歩いていると、一陣の風が頬をなでながら通り過ぎていきました。

『ひょう ~ ひょう ~ っと、入ってくるの、これが風や。

この力は、目には見えへんねんで … 』

『 … 見えへん力?』

遠い昔のこと、正蔵と交わした会話をふと思い出した、ふ久でした。

「 … お祖父ちゃん」

空を見上げると、春の風がほころび始めた桃の花を揺らしているのが見えました。

… … … … …

ひと回りしてきた、ふ久が戻って来ると、店の前では、め以子が大吉を相手にボール遊びをしていました。

「お母ちゃん」

「ああ、どこ行ってたん? 皆、中でお祝いしてるで」

「 … あんな、うちも大吉にな、何かええもん残してやりたい」


唐突なふ久の話にめ以子は首をかしげました。

「うち、電気作りたいんや」

「 … 電気?」

「風や地下熱や波や太陽や … この世の中には見えへん力があふれとる。

それを電気に作り変える仕組みを残したい。

行けるんやったら、大学行きたい」


諸岡や泰介たちの行動に刺激されたのか … ふ久は忘れかけていた志を取り戻したのです。

「お祖母ちゃんも、ひい祖母ちゃんもおる … 諸岡のお家かて、暖かい人ばっかりや。

どこでも行き、日本でも外国でも …

たぶん、あんたはそのために生まれたんやろ」


すべてを理解してくれた母の笑顔を見て、ふ久はあふれる涙を止めることができませんでした。

… … … … …

『甲子園が戻って来ました。

ふ久が戻って来ました。

心の中に活っちゃんも戻って来ました』

「 … 悠太郎さんは、いつ戻ってきますか?」

手紙の裏、残り僅かな隙間を今日の日記で埋めため以子でした。

… … … … …

その日、め以子が炊き出しから戻って来ると、お静が血相を変えて飛んできました。

「今 … 今、蔵にな … 」

お静は目で蔵座敷の中を覗いて見るように促しました。

「はっ?!」

息を飲むめ以子。

倉田と差し向かいに座っていたのは、和枝でした。

「何で、何で、何で??」

慌てて台所に逃げ込んだめ以子。

「知らんがな ~ 倉田さんがいきなり、友達連れてきたでぇって、それ持って」

め以子がザルにかかっていた手拭いを外すと、中身はこともあろうに鰯の山盛りでした。

「鰯か … 」

… … … … …

それでも何とか料理に仕上げて、蔵座敷に運んで行きました。

「 … 鰯のエスカベッシュでございます」

「まあ、世界一の洋食でっか?」


仏頂面の和枝。

「はい」

め以子は自信ありげに応えたのでした。

「ほな、ま … いただきます」

和枝は箸を手にしました。

「美味いわ、うん」

先に箸をつけていた倉田は満足そうにうなずいています。

… … … … …

表情ひとつ変えずに食べる和枝。

め以子は、頃合を見計らって切り出しました。

「 … あの、ありがとうございます」

膝を正し、両手をそろえてつくと頭を下げたのです。

「あの時、お義姉さんから突き放されたことで … 私、自然と心の準備ができてた気がします。

何やかんや言うても、図太く生きていけそうやとか、そういう妙な自信みたいなもんももろて」


和枝は、め以子の話に一切受け答えせずに、ただ黙々と料理を食べています。

「 … あれは、わざとそうしてくれはったんですよね?」

笑顔で和枝の顔を覗き込みました。

「ただのいけずだす」

和枝のことですから、そんな答えが返ってくることをめ以子は知っていました。

もし仮にそうだったとしても、和枝によってめ以子が救われたということは紛れもない事実なのです。

「お味どうですか?」

「 … 普通」


これもまた予想通りの返事。

め以子は何故かうれしそうにハリキリはじめました。

「そうですよね?

これは、わざと普通に作ったんです。

次はびっくりしますよ ~ お持ちします」


め以子が蔵座敷を出ていくのを見送ったあと、和枝はとてもいい顔をして微笑んだのでした。

… … … … …

食事を終えて外に出た和枝は思い出したかのように見送りのめ以子に言いました。

「 … ほな、悠太郎さんが戻ってきたら、連絡ちょうだいな」

「えっ?」

「この話せなあきませんさかい」


懐から取り出したのは、疎開を受け入れてもらった際に泰介が一筆記した覚書でした。

「忘れてはりましたやろ ~ この家はわてのもんでっせ!」

唖然としため以子の情けない顔を見ると愉快そうに笑いました。

「ほな、また来るわ」

そして、楽しげに覚書をひらひらさせながら、さっさと帰って行きました。

「 … もう、来んでええですよ ~ 」

め以子が、憎らしい背中を見送った時、背後で声がしました。

「奥、カレーを作れ!」

振り向くと、見知らぬ男を連れた竹元が立っていたのです。

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2014年03月27日 (木) | 編集 |
第148回

『自分を蔵座敷に招いて、最高の日本料理を出すこと』

それが、モリス大尉から出された条件でした。

しかも、『最高でなければ協力しない』とまで言われたのです。

果たして、め以子はその話、受けて立つことにしました。

泰介たちの夢を叶えるために …

… … … … …

「最高の日本料理なんて無理やろ?

いうても、め以ちゃん、料理人でも何でもないんやからな」


この話をめ以子から相談された銀次をはじめとする市場の仲間たちはそう懸念しました。

「いや、そもそも日本料理って、いったい何なんですかね?

何をもって日本料理て … 」
 

め以子の疑問を聞いて、銀次は大笑いです。

「また、アホなくせに、難しいこと考えようとしてからに ~ 」 

しかし、そこを踏み違えると間違えそうな気がするのでした。

「踏まえたところで、お前、料亭みたいなもんでけんやろ?」

それは、源太の言う通りなのですが、だからこそこうして相談しているのです。

皆、いまいち真剣みが感じられません。

め以子は両手で座卓を叩きました。

「甲子園 … 甲子園がかかってるんですよ。

この席には甲子園がかかってるんですよ!」


… … … … …

「ねえ、フランス料理と日本料理の一番違うとこってどこかな?」

切羽詰まっため以子は、職業斡旋所の電話を借りて、東京の大五に尋ねてみました。

「そりゃお前、ソースだろ、ソース。

フランス料理は料理ごとに合わせて作るソースが肝だけどよ ~ 日本料理はソースがほとんど発達しなかったんだよ」

「なんで?」

「そりゃお前、醤油が優れもんだからだよ。

あんだけ何にでも合うソースって考えてみろ ~ 他にねえだろが?!」

「お醤油か … 」


め以子は何か手がかりをつかみかけたような気がしました。

「じゃあな、ちょっと照んとこのガキがきてるからよ!」

もう少し話を聞きたかったのですが、大五に慌ただしく電話を切られてしまいました。

… … … … …

「おばはん … 」

入口のところに香月がいたので、め以子は電話を借りた礼を言いました。

「かまへん、かまへん ~ ついでにうまいもん横町、寄ってったらどうや?」

め以子の考案した料理は今でも大人気なのだそうです。

… … … … …

< そうこうしているうちに、件のお方がやってくる日となりました >

「師匠、活っちゃん、宮本先生 … どうか見守っていてください」
め以子は天窓越しに空を見上げ、手を合わせて祈りました。

… … … … …

「ええお肉 ~ こんなのよう手に入ったね」

源太が飛び切りの牛肉を持ってきてくれたのです。

「ちょうど食べ頃のいっちゃんええやつや、日本人は肉がわかってないとは言われとうないしな」

ここぞという時に、やはり頼りになるのは源太でした。

タネも「とろけそうに甘いネギ」と菊菜を用意してくれました。

… … … … …

おぜん立てが整ったところへ、モリスが到着しました。

台所から、お静が蔵座敷に案内するのが見えます。

め以子が外へと出ると、何やら大きな包みを抱えた希子が困った顔をして立っていました。

「どないしたん?」

「それが … 」


包みを開くと、大きなブロック肉が現れました。

「こ、こ、これ?」

以前、希子に食材は持ち込みだと言われたことを覚えていたのか … この肉を使って何か作れということのようです。

… … … … …

「脂少ないし、すき焼きに向く肉やないな」

せっかく上等な肉を用意してきた源太は少し残念そうです。

「せやけど、きれいなお肉やね … 」

そのブロック肉を見つめているうちにめ以子の顔がほころんできました。

「これ、絶対美味しい!」

… … … … …

座敷に上がったモリスには、料理が出来上がるまで少し時間がかかることを伝えて、取りあえずビールと糠漬けが出されました。

< アイ・アム・ジャパニーズ・ピクルス … でございます >

台所では、源太やタネ、ふ久まで手伝って、料理に取り掛かっていました。

源太がタコ糸で縛ったブロック肉を、め以子がフライパンで表面を焼きます。

庭に泰介と諸岡、銀次が急ごしらえで造った釜に火をつけて … 一斗缶に入れた肉をその上に置きました。

… … … … …

こんがりと焼きあがったブロック肉が運ばれてくると、モリスは怪訝な顔をしました。

「ローストビーフでございます」

め以子が肉を切るために包丁を手にすると、モリスは強い口調で言いました。

「これは日本料理じゃないって」

希子がその言葉を訳しました。

「日本料理は、素材の力を最大限生かすものなんです」

そう言いながら、平然と肉に包丁を入れていくめ以子。

「このお肉は、これが一番美味しいと判断しました」

め以子の言葉を希子から伝えられたモリス、取りあえずは理解したようです。

切り分けたローストビーフを茶碗によそった熱々の白米の上に乗せていくめ以子。

モリスはその手元をじっと見つめています。

「醤油という日本のソースと日本のハーブです」

醤油ダレをかけて、その上にきざんだネギとわさびを置きました。

「どうぞ召し上がってください」

… … … … …

すると、モリスは目を閉じて合掌しながら、何かをつぶやきました。

< あれが、いただきますかね? >

お祈りを終えたモリスは、箸ではなくフォークを使って、白米の上に乗ったローストビーフをひとくち食べました。

瞬間、希子の方を向いて微笑んだように見えました。

そして、続けてふたくち、みくち … それは、間違いなく満足している、美味しい顔でした。

ほっとしため以子は、黙々と食べ続けるモリスに悠太郎や活男の姿が重なって、思わず目頭が熱くなるのを覚えました。

< 美味しい時の顔って、ホントに皆似てるね >

… … … … …

ふと気がつくと、モリスは茶碗を置いて、め以子のことを見つめていました。

「あ、ああ、お替りしましょうか?」

モリスは語り始めました。希子がそれを訳して伝えます。

「料理好きの息子さんを無理やり軍人にしたそうです」

モリスは胸のポケットからロケットを取り出して息子の写真を開き、見つめながら話を続けました。

希子の顔に一瞬驚きが走りました。

「 … それで、真珠湾で亡くなられたそうです」

ハッとしため以子も懐から活男の手帳を取り出しました。

「私にも … 料理好きの息子がいました。

ご飯作るために兵隊になって、船に乗って戦死しました」


希子が訳す言葉にモリスは静かな表情で耳を傾けていました。

「 … 私は … アメリカを許すことができません」

「だから、あなたに会いたかった」


… … … … …

「憎まずにいるのは苦しい … 憎んでもやはり苦しい。

憎まずにいたいが、それもできない。

でも、息子なら、あなたのおむすびを食べてみるんじゃないかと思って、試してみたら美味しかった」


モリスはそう、め以子に語りかけたのです。

… … … … …

「 … ココカラ、好キニナレル」

め以子の頬を涙がひと筋流れました。

その時、頭上がぱあっと明るくなって … 一同が見上げると、天窓からまばゆいばかりの光が差し込んでいました。

「美味しい顔って同じなんですよね … 日本人もアメリカ人も。

食べなければ、生きていかれへんから、きっと同じなんですよね」


肉親を愛おしむ心だって、そして亡くした時の悲しみだって、きっと同じなのです。

お互いが話す言葉は分からない筈なのに、その瞬間、ふたりの心は通じ合っていました。

「 … 忘れんようにせんとあきませんね。

命をかけて争うほどの違いはなんもないんやて」


… … … … …

「 … お替りしましょか?」

「Yes,please」


再び、め以子が尋ねると、モリスは穏やかに笑って茶碗を差し出しました。

「美味しかったですか?」

泣き笑いのめ以子、緊張気味だった蔵座敷の雰囲気が一気に和やかに変わっていました。

… … … … …

一部始終を扉の外から窺っていた泰介は、奇跡の様な瞬間を目の当たりにして、感動していました。

その時、突然扉が開いて、希子が顔を見せました。

「お相伴しませんか ~ って」

諸岡やふ久、源太たち、蔵の前でヤキモキしながら、結果を待っていた全員、モリスの好意で蔵座敷の中に呼ばれたのです。

「もちろんです」

満面の笑顔で応えた泰介でした。

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2014年03月26日 (水) | 編集 |
第147回

復員兵を乗せた列車が駅に着く度、め以子は降りてくる人々の中に悠太郎の姿を探しました。

再会を喜び合う家族の姿があちらこちらで見られる中、め以子は今日も無駄足でした。

落胆して家に戻って来ると、お静が声をかけてきました。

「悪いけど、うちは8年待ったで」

屈託なく笑ったお静の顔を見て、少しだけ元気が出たような気がします。

「負けませんよ ~ 」

… … … … …

部屋に入ると、泰介の他に啓司と諸岡が来ていました。

「お義姉さん、この春の中等学校野球大会は甲子園でやるってのは聞いてはりましたか?」

め以子も新聞で読んで知っていました。

「去年の夏は西宮やったけど、今年の春は甲子園なったんやな」

お静の言葉に啓司はうなずきました。

「そうです。

接収してた甲子園を部分解除して、球児たちに使わせるて … 僕はこの件でアメリカの野球に対する愛に感動してたんです。

さすが、ベースボールの国やて」


だんだんとまくし立てるような口調になってきました。

「 … 怒ってるんかな?」

お静とめ以子は顔を見合わせました。

「そ、そ、それがですよ … それが、こっこっこっ」

憤りのあまり言葉に詰まった啓司に代わって諸岡が続けました。

「この期に及んで、GHQが、GHQが、GHQ!」

「その決定を自らひっくり返して … 」


3人の中では比較的落ち着いている泰介が後を引き受け、最後は結局、啓司が叫びました。

「甲子園は使わせへん、大会は中止するて言うてきよったんですわ!」

怒りに震える啓司の横でうなずいている諸岡と泰介。

「また、甲子園のうなるいうこと?

… そんなん、絶対あかんやんか!!」


… … … … …

「せやけど、なんで1回大丈夫やったもんがあかんようになったん?」

「その辺の事情を希子に … おっそいなあ」


啓司には珍しく、イライラして落ち着きがありません。

お静とめ以子は台所で夕餉の支度をしています。

「啓司さん、怒るとあんな感じなんやな ~ 」

「なんや、始めて見ますね」


啓司の意外な一面を見た気がしました。

… … … … …

「ごめん、遅くなって」

「遅いよ、ホントに …

それで、どやった ~ 何か分かった?」


帰宅が遅くなった希子が家に上がるのも待ちきれないかのように啓司はせっかちに尋ねました。

「主催の人らは甲子園での開催を実現すべく、米軍の神戸軍政部と折衝を重ねてるらしいのよ。

取りあえず、そこの許可は下りたみたいなんやけど …

そこにね、GHQの『民間情報教育局』とかいうところから突然、開催を中止するよう言うてきたらしいの」


本来的に学生野球は『民間情報教育局』の管轄で、要するに親方に話をせずに決めてしまったということなのです。

「話通してへんかったから、それでそのヘソ曲げてしもうたと?」

「まあ、簡単に言うとそういうことですね」


お静に尋ねられて希子はうなずきました。

… … … … …

「それだけのことで?

それだけのことで中止て … 」


め以子には信じられませんでした。

「なんちゅうケツの穴の小さき話なんですか ~

夏の大会の時、GHQは、『野球が再び日本の若者の血潮を沸かせるだろう、おめでとう』とまで、言うてたんですよ。

それが … 」


余りにも次元の低い理由を知って、啓司の怒りはなおさら増したのです。

「僕らに何かできることないかな?

目標がある日突然奪われるような、あんな思いは … 僕は、後輩にはさせとうない」

「その通りや」


甲子園出場まであと一歩のところまで行きながら、戦争のためにその機会を奪われてしまった、泰介と諸岡の無念を目の当たりにしているめ以子も黙ってはいられません。

「何でもするから言うて!

アメリカの差し入れに腹下し仕込もか?!」


… … … … …

< その日から、怒涛の署名集めが始まりました >

「お買い物の皆様 ~

若者たちの夢を守るために、署名をお願いします!」


うまいもん横丁に源太の声が響きました。

その傍らで、お静と大吉を連れたふ久が署名を受け付けています。

礼を言いながら、うまいもんを配るめ以子。

< こんな方たちも … >

牛楽商店のマツオやトミ、銀次やタネも署名集めに協力してくれました。

< 当然、こんな方たちも … >

うま介には、泰介と諸岡の声掛けで野球部OBが集結していました。

「生き残った僕らに出来ることは … この手で、甲子園を取り戻すことだけや!」

ふたりの熱弁に仲間たちが鬨の声を上げ署名用紙を手に街へと繰り出して行きました。

… … … … …

< ラジオ組は … >

「 … なるほど、煮沸をすることで寄生虫を予防されてるということですね?

ところで、虫と言えば、野球ですが … 野球はお好きですか?」


< かなり強引なインタビューを展開し、街の声を集めました >

希子のインタビューに戸惑う人もいましたが、そんな時は啓司がマイクを奪って、自分が知っているかつての好試合、名場面を延々と語っては、甲子園大会の重要性を訴え続けたのです。

… … … … …

< こうして、いよいよGHQに直接、市民の声を届ける日が訪れました >

集めた署名用紙と街の声を録音したテープを携えた啓司、諸岡、泰介と共に野球のユニフォームに身を包んだOBが西門家の前に勢ぞろいしました。

< 折衝の場で手渡すことが許されたのです >

「では、思いのたけをぶつけに行って参ります」

啓司は希子から、諸岡はふ久からと、それぞれの伴侶から激励を受けました。

そして、泰介は …

「ほな、お母さん」

「しっかりやるんやで!」


め以子から気合を入れられると力強くうなずきました。

まるで出陣するかのような雰囲気の中、お静が突然合図して『露営の歌』を歌い出したのです。

♪ 勝ってくるぞと勇ましく ~ 

すると女性たちが声を合わせて大合唱で送り出したのでした。

… … … … …

「ほな、私、仕事終わったら、もう1回来ますね」

希子が台所に顔を出すと、め以子は食事の支度をしていました。

「今日は、皆に何作るんですか?」

「お米のコロッケ。

米、米(ベイ)にカツ! アメリカに勝つて」


そう笑っため以子の横顔を見ていたら、思わず口に出していました。

「 … 最近、顔出さんでごめんな」

「ええ、ええ ~ 忙しい分かってるし …

来えへんいうことが、思いやりやてこと分かってるから、大丈夫」


その言葉を聞いた時、希子の胸の中に一気に熱いものがこみあげてきました。

「だけど、私、ちい姉ちゃんのこと好きなんよ。

ちい姉ちゃんは、私のお姉ちゃんでお母さんで、一番大事な友達で …

何でそんな人のこと、傷つけるような仕事してんのやろなって」


め以子は、そんな希子が愛おしくて抱きしめました。

「分かってるから ~ 大丈夫」

… … … … …

放送局に着いた希子を待っていたのは、モリスからの呼び出しでした。

「何故アンナコトヲ、ヤッテルノカ白状シロト、オッシャッテマス」

例の強引なインタビューについて厳しく尋問されたのです。

… … … … …

その夜。

黙々と、め以子の作ったライスコロッケを食べる啓司、諸岡、泰介の姿がありました。

3人とも折衝から戻って来てからひと言も口を利かないのです。

「 … あかんかったん?」

「どんな感じやった?」


恐る恐る、ふ久とめ以子が尋ねると、啓司は引きつった笑い顔で諸岡の顔を見ました。

「ご説明しますとですね … 」

一体どんなことが起こったのか、諸岡は話し始めました。

… … … … …

自分たちは何ひとつ聞いていなかった …

啓司たち一同を前にして、『民間情報教育局』の局長カーチスは開口一番そう言いました。

「それは反省してるて、散々言うてるやないですか?」

通訳が啓司の言葉を伝えると、カーチスから返ってきたのは、「学生の本分は勉強であり、そもそも年2回も大会があるのはどうかしている」という返答でした。

「春モ夏モ野球シテタラ、あほニナル … ト、言ウテハリマス」

「それなら大丈夫です。

日本には『文武両道』という言葉がございまして … 身体と頭脳を同時に鍛えることができます」

それを聞いたカーチスは紙に何かを書きはじめました。

手応えを感じた啓司は、振り返ると泰介たちに目で合図しました。

安堵する一同でしたが、そんなに甘いものではなかったのです …

「面白イ、ゼヒ見シテクレト、言ウテハリマス」

カーチスから差し出された紙を笑顔で受け取った啓司でしたが、にわかに表情が曇りました。

そこに書かれていたものは数学の方程式でした。

腕立て伏せをしながら、それを解いてみろというのです。

「身体と頭脳を同時に鍛える … 」

… … … … …

「 … 無念であります」

一部始終、話し終わって、諸岡はがっくりと肩を落としました。

結果、署名は受け取ってもらえたものの、大会中止は翻すことは出来なかったのでした。

「数学やなかったらな … 」

文系出身の啓司は負け惜しみです。

「あっ、あんた?!」

数学といえば、ふ久ですが … 運動の方がダメなことを思い出して、あきらめため以子でした。

「言葉の壁も大きいんや思うんだ。

やっぱり、相手の言葉で話さんと … 伝わらん」


今日そのことを、つくづくそう実感した泰介でした。

… … … … …

ちょうど、そこへ希子が戻って来ました。

「あ、あかんかったんやね … 」

3人の顔を見れば、誰からでも結果は明白でした。

「聞かんうちから分からんといてよ」

啓司は口を尖らせました。

「 … 実は私もばれて、ヤミーに呼ばれて」

一同に驚きが走りました。

「えっ、それで大丈夫やったん?」

「いや、まあ、事情を説明したら、助けてやってもええて」

「えっ?!」


… … … … …

「どうもね、『民間情報教育局』の局長のカーチスさんとヤミー、同じハイスクールやったらしいんよ。

それで、面識あるみたいで」


降って湧いたような話に啓司は身を乗り出しました。

「それで、助けてくれるて?」

「けど … それにはひとつ条件があるて」


そう言った後、希子はめ以子の方を見ました。

「ヤミーをここに招いて、最高の日本料理を出すこと。

… 最高でなければ、協力しないと


さあ、どうする、め以子??

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