NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2013年02月28日 (木) | 編集 |

第125話

いくら愛が「ホテルで働いてほしい」と説得しても、純の気持ちは変わらない。やがて「お母ちゃんと宮古に戻る」と決意。2人は別々の道を歩むことを決める。

(2012年2月22日 NHKネットステラ)


「助けて、しゃちょう!」

士郎の叫びが皆の背中を押しました。

「あたしも沖縄に帰りたくない」

羽純が口を開きました。

「 … また皆と一緒に働きたい!」

「自分もです … 純さんやいとしさんと働いてて、生まれて初めて、ああ、この仕事やっててよかったなって思えたから … 」

「それなら、あたしだって … やっと自分のいきがいみたいなの、見つけたと思ったのに!」

セニョール、セクシーもそれぞれに自分の思いを吐き出しました。

… … … … …

「ねえ、何とかならないかな? 純ちゃん … “里や”は、無理でもさ、また他に皆で働けるホテル、探そうよ!」

羽純がそう言い、皆がすがるような目で純を見つめました。

「答えてください … 純さん」

うつむいて何も言わない純に愛が促しました。

純は、一呼吸すると …

「あたしはさ、皆が思っているような、大した人間じゃないの … ごめんなさい」

それだけ言うと、逃げるように走って行ってしまいました。

… … … … …

アパートに戻って、鍵を開けようとする純を愛が呼び止めました。

「これ返そうと思って」

愛は、『里や再生計画』と書かれたノートを取り出しました。

「さっき、ゴソゴソ探してたもの、それだったの?」

「これには、何かやる気が出るヒントがあるようで … そちらが」

ページをめくりながら、愛は言いました。

「あのまま“里や”を続けてたら、やりたかったサービスがここには、いっぱい書いてあるじゃないですか?

… 何でこんなにホテルが好きな人が、他の仕事なんてやろうとしてるんですか?」


… … … … …

「士郎君や羽純ちゃんたちのためにも … 他のホテルに行ったら、そのホテルが駄目になるなんて、もうグダグダ言うのは … 」

愛の言葉を、純は、声を上げて遮りました。

「あたしだって、そうしたいわよ!

… いとしくんが言ってるのが全て正しいのも、自分がそうすべきだってこともわかってるわよ … 羽純ちゃんや士郎君にも申し訳ないって思うわよ …

もうわかんなくなっちゃたの、自分が何でホテルを好きで、何でホテルで働きたいのか … 」


… … … … …

「それは … 純さんがお客さんを笑顔にしたいから」

純が常日頃口にしてきた言葉を、愛は言いました。

「そういうのも何か、ウソっぽい気がしてきて … “里や”で働き始めた時、言われたでしょ? … 人の為と書いて、“偽り”と読むって … 何かあたしのやってることって、全部そんな気がして … 

だから、やることなすこと上手くいかないし、皆にも迷惑かけるんだって … だから、ホテル界の人の為にも、あたし止めた方がいいの」


それが、純からの答えでした。

「 … わかりました。もう二度とホテルで働いてくれなんて … 言いません」

… … … … …

あたしは、いったいなにやってるんだろう? … お父ちゃん

港近くの波止場で、海を見つめていると … たまらなくなって涙があふれてきました。

「何か … 宮古に帰りたい … 」

どこからか、三線の音が … 島唄が聞こえてきます。

「あら、何やってるのよ? しゃちょう」

声を掛けてきたのは、師匠でした。

… … … … …

「故郷が懐かしくなったら、ちょくちょくここで踊るのよ … あたしみたいな人間はさ、二度と沖縄には帰れないからさ … 」

純は、師匠の話を黙って聞いていました。

「晴海、最近どう? … 具合は」

あまりよくないことを伝えると、師匠は寂しそうに答えました。

「そう … 昔好きだった人が、幸せじゃないっていうのも、辛いわよね … 」

… … … … …

待田家では、晴海が多恵子にある頼みごとをしていました。

「実は … 遺言書きたいんですけど、手伝ってもらえないかなと思いまして … 」

晴海に、いきなりそんなことを切り出されて、多恵子は、少し驚きました。

「今は、割とちゃんとしてますから … 記憶が無くならないうちに、子供たちに伝えたいことを、残しておきたいんです」

多恵子は、晴海の気持ちを理解しました。

「 … 同じ女だから、私は、純にライバル心みたいなものがあったと思うんです … あの子がどこか、疎ましくて … 純の言うことに耳を塞いでたような気がするんです … 子供の中で、純だけが、私をはっきり責めるから … 」

… … … … …

「本当は、それが、あの子のウソのない愛情や優しさなのに … 

昔から、本当に不器用で、誰に対しても、正直に生きようとするから、つい余計なこと言って、相手を傷つけたり … 情けがあるから、困った人見ると、本人以上に悩んだり、おせっかいしたりして … 

昔から損ばかりしてるんです」


多恵子にも思い当たることばかりでした。

「母親としては、あの子、もっと普通の子だったらよかったにと思うんです … 

もっと、自分のことだけ考えて、適当に周りの人にも無関心で、人付き合いも上手くやって、どんなことにも真剣になり過ぎないで、全力で立ち向かうのも止めて … 

もっと楽に生きられるような人間だったらって」


苦しみながら、傷つきながらも、それが純でした … 母親にしてみれば、そこから娘を解き放してあげたいと思っていたのです。

「だったら … 直接言ってあげたらどうですか? 娘さんに … 」

そう言われて … 晴海は、多恵子の顔を見つめました。

… … … … …

二人のやり取りを扉の外で聞いていた、愛 … そこに帰宅した誠が、純の訪問を知らせました。

愛は、自分の部屋に純を通しました。

… … … … …

「何ですか? … 話って」

どことなくよそよそしく愛が尋ねました。

「あたしね … 宮古に帰ろうと思うの、お母ちゃんと一緒に」

愛には、想定外の選択でした。

「今まで、親孝行もしてなかったし … できるだけ、お母ちゃんのそばにいてあげたいなって思って … たったひとりの娘なんだし … お母ちゃんのためにもそうした方がいいなって」

昼間、師匠と話したことも、宮古に帰ろうと思った理由の一つでした … 帰りたくても、帰れない人もいる …

「それ言われちゃったら、もう何も言えないですよ … 」

晴海のことを持ち出されたら、口を出すことはできません … 反則だよ、愛は思いました。

「じゃあ … 一緒に来てくれる?」

愛の顔色をうかがいながら、純は聞きました。

… … … … …

今の愛は、純の言葉を素直に受け取ることができなくなっていました。

「結局、純さんは … こっちの気持ちなんてどうでもいいから、僕に支えてもらいたいだけなんじゃないですか?」

純の淡い期待は、消えました。

「じゃあ、聞くけどさ … いとし君にとって、“支える”って何なの? … 相手が、自分の思うように動いてる時は、良い顔をして … 相手が、自分の気に入らないことをやろうとしたら、知らんぷりするのが、本当に支えるって?」

純の疑問も、もっともなことでした … 何が何でも、純を支えることを選らんだのは、愛自身のはずです。

「ただ僕は、出会った時のそのままの純さんでいてほしいわけで … 」

… … … … …

そのままのあたしって何なのよ?!

自分でもわかんなくなっちゃったの … おじいもお父ちゃんも、いとし君もそういう風に言ってくれたけど … そのまんまのあたしって、一体何なの?」


純は、頭をかきむしりました。

「それは … … … 」

愛にも上手く説明できませんでした。

「もしかしたら … 僕たちは、“と”で結ばれる人間では、なかったのかも知れませんね」

考えたこともなかったことが、今、愛の口から …

「 … … … かもね」

うつろな目で、そう言い返すのが … 精一杯の純でした。

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2013年02月27日 (水) | 編集 |

第124話

離婚届を前に思案する愛。一方、ブランドショップで働き始めた純も気をもむ。そんな純のもとへ、里やの客だった秋代(朝加真由美)がやってくる。

(2012年2月22日 NHKネットステラ)


売り言葉に買い言葉 …

お父ちゃん … いとし君と次元の低いケンカをしてしまいました …

引っ込みがつかなくなってしまった純、署名した離婚届を愛に渡すと、晴海を迎えにリビングに戻りました。

「お母ちゃん、帰ろう … やっぱり、泊まるなんて迷惑だからさ」

しかし、晴海は、純のことが誰だかわからないまま …

「何言ってるね? … あなた、誰ね?」

「あたしよ、純でしょ!」


… … … … …

晴海は、リビングに戻ってきた愛に助けを求めました。

「いとしさん、この人、純のふりして … 無理やり連れて行こうとするよ … 純は、何処に行ったの?」

答えに詰まる、愛。

「お母ちゃん、あたしは、ここにいるよ … あたし、純でしょ? … 何でわかってくれないの?」

純は、必死 … というより、ムキになって、晴海に訴えますが … 母は、怯えてさえいます。

晴海が自分のことを誰かわからなくなっている … 善行と同じ恐怖を、今、純も味わっていました。

「取りあえず … 今日は、帰ったら? … 愛も、それでいいわね?」

多恵子が鶴の一声で事態を収拾させました … 今日の所は。

… … … … …

はあ … 何でこんなになっちゃったんだろう?

純は、ひとり布団の中、ため息をつきました … 悪いのは、全部自分ということは、自覚してはいるのですが …

でも、自分でもわからないのよ … どうやったら、もう一度、ホテルで働く気になるのか …

… … … … …

愛は、灯りを落としたリビングで、純が置いていった、離婚届を、ただじっと見つめていました。

突然、明かりが点けられて … 愛が驚いて、振り向くと … ワインの瓶とグラスを持った多恵子が立っていました。

「ワインでも飲まない?」

愛は、手にしていた離婚届を、慌ててポケットに隠しながら、立ち上がりました。

「離婚届、出すんでしょ? … 私としては、待ち望んだ日が来たわけだから、乾杯したい気分なんだけど」

はっきりしない愛です。

多恵子は、また愛の口調をマネて言いました。

「ああ、何でこんなことになっちゃったんだろう? … 純さんがホテルやるって言ってくれさえすれば、こっちは、すぐ帰るつもりなのに!」

本性を覗かれた愛は、椅子の背もたれに突っ伏してしまいました。

「何かもう … いろいろと聞くの、やめてください」

… … … … …

「だったら、そんなところでウジウジしてないで … 彼女がその気になる方法、考えたら?」

そう叱責して、リビングを出て行こうとする多恵子に愛は、尋ねました。

「お母さん … 今まで聞きたかったこと、今聞いてもいいですか?」

多恵子は、立ち止まり … 愛の話に耳を傾けました。

「お母さんは、何故、弁護士になったんですか? … 一人娘だから、おじいちゃんの法律事務所継がないといけないからですか?」

… … … … …

「それとも、何かほかの理由があるからですか? … 困っている人や弱い立場の人を助けたいとか … 」

多恵子は、吐き捨てるように答えました。

「何だったかしらね、もう忘れたわ」

愛は、遠慮がちに尋ねました。

「じゃあ … お父さんと何んで結婚したんですか? … お父さんのどういうところを好きになったんですか?」

多恵子の答えを待たずに、愛は、質問し続けました。

「あと … 僕と純が生まれた時、どういう気持ちでした? … 何で、何で僕に愛と書いて“いとし”と読む名前を付けてくれたんですか?」

多恵子は、振り返り … 質問には、答えず、大あくびをしました。

「勘弁してくれる? … 眠くて仕方がない」

… … … … …

もう離婚届出したのかな?

純は、愛のことが気になって、仕事中でも上の空でした。

「ねえ、何であんたこんな所にいるの?」

純に声を掛けたのは … 「里や」の客だった久世秋代でした。

「あ、先日からここで、働かせてもらうことになりまして … 」

… … … … …

「じゃあ、“里や”は営業再開しないって聞いたけど、本当なのね?」

純は、申し訳なくうなずきました。

「それに、あたしはまだちゃんと笑わせてもらってないんだけど … それも無理ってこと?」

考えを巡らせる純。

「素敵な服を見つけて、お客さんが笑顔になるような、そんなお手伝いができたらいいと思いまして … どんな服がお好きですか?」

… … … … …

「 … ここには、一つもないわ、そんなもの」

純が持て余していると、店長が、秋代の元に駆け寄って来ました。

「あの、もしかして、秋代先生じゃ? … ご無沙汰しております」

店長は頭を下げました … 知り合いのようです。

どういうこと?

… はてなの純。

「久々に見せてもらったけど … どれもこれも、ロクなもんじゃないわねえ」

苦笑いの店長。

「ああ、それから … この人、向いてないから、今すぐクビにして」

そういうと、純の手を引いて … 有無を言わさず、表に連れ出してしまいました。

… … … … …

そして、二人は何故か、正のマンションにいます。

「勘弁してくださいよぉ … 何で、自らクビにならなきゃいけないんですかぁ?」

嘆く純 … お構いなしにお茶をすすりながら、秋代が言いました。

「人間は、うれしいのにうれしくないフリはできるけど … その逆は、すぐにバレるのよ」

施術室の戸が開いて、正が声を掛けました。

「久世先生、お待たせしました … お着替えの方、お願いします」

秋代は、席を立ち、部屋に入って行きました。

… … … … …

正の話では、秋代はすでに何度かここに来ているとのことでした。

「もしかして、あの人の正体知ってる?」

「この前聞いたんだけど … J&Aの元デザイナーの久世秋代だよ」


J&A … 純の務めていたショップのブランドでした。

顔を見合わせる、純と正。

「なんで、そんな凄い人が“里や”にずっといたわけ?」

… … … … …

「 … 何もかも失った … とか、言ってたな」

正が聞いたところによると … もともと、J&Aというのは、Aは、秋代のAで、Jは、パートナーの男性の名前で、ふたりでゼロから頑張って、ブランドを大きくしたらしいのだが … 有名になった途端に意見が合わなくなって … 彼にデザインがマンネリだって責められて …

「 … とうとう、言ってはいけないこと、言っちゃったみたいなんだよ」

言ってはいけないこと … 純は、とても気になりました。

「な、何て言ったの?」

… … … … …

「あんたなんかいなくても、あたしひとりでやっていけるわよ … って」

施術室の戸を開けて、秋代が言いました。

「失礼ですけど … そのあと、相手の方とは?」

「もちろん、終わりよ … 」


秋代の話が、自分と愛のこととオーバーラップする純でした。

… … … … …

マッサージを受ける体制になった秋代に純は、尋ねました。

「あの、秋代さん … そのパートナーの方と別れて、後悔しているんじゃないですか? …

秋代さんの“と”の人だったんですよね?」


秋代から答えは返ってきませんでした。

… … … … …

重い気分でアパートに帰ってくると、誰もいないはずの部屋の中から物音が聞こえました。

ノブを握ると … 開いている … そっと中を覗くと … 奥の部屋に人影が見えました。

「ちょっと! 誰よ、あんた … 何やってんのよ、ウチで?!」

その声に驚いたのか … 何処かにぶつかる音がして …

「痛っ … 」

頭を抱えて出てきたのは … 愛でした。

「何なんスカ? 僕ですよ、僕 … 」

よく見ると、玄関に愛のクツがありました。

「ああ … なあんだ、帰ってくるなら、言ってくれたらいいのに」

うれしさを隠しきれない純でした … しかし、愛の方は、愛想なく言いました。

「別にそんなんじゃないです … ちょっと、忘れ物取りに来ただけです」

… … … … …

「 … そんなこと言わないでさ、いい加減、機嫌直してよ」

純の言うことが、いちいち気に障るのか … 口をとがらせて言いました。

「俺の機嫌が、どうのこうのとか、そんな問題じゃないでしょ?」

また、思惑と離れた方向に話が進んでいきます。

でも、愛の態度を見ていたら、純も言い返さずにはいられなくなってきました。

「怒んないでよ … 何よ、全部あたしが悪いわけ?」

… … … … …

このタイミングで、純の携帯に着信です。

「ごめんね、純ちゃん … そっちに士郎、行ってないよね?」

士郎の姿が見えなくなったと、勤め先の美容院からセクシーでした。

… … … … …

ケンカなど吹っ飛んで、士郎を捜しにアパートを飛び出る純と愛

「羽純ちゃん、士郎君がいなくなったみたいなんだけど … 」

純は、羽純にも連絡を入れました。

「士郎君なら、一緒にいるけど … 」

えっ … 呆気なく、無事で居所がわかりました。

… … … … …

純と愛は、羽純と士郎がいる「里や」の焼け跡の前に駆けつけました。

羽純が士郎といた経緯を話しました。

「あたし、沖縄に帰りたくないけど、行くところもないし … 何か、フラフラしてたら、いつの間にかここに来ていて … そしたら、泣いてる士郎君、見つけて … 」

純が、どうしていなくなったのか尋ねても、士郎は何も答えません。

そうしているうちに、セクシーと、皆と同じように連絡を受けて士郎を探していたセニョールが息を切らしながら走ってきました。

「士郎、いったいどういうつもり? … ママに心配かけて」

羽純の後ろに隠れていた士郎は、セクシーが咎めると、丸めた紙を投げてよこしました。

『ママなんかきらいだ』

… … … … …

「いいかげんにしなさい! … いつまでもこんなことして」

セクシーは、士郎の手をつかむと、無理やり引っ張って、連れて帰ろうとしました。

抵抗する士郎 … 

やだ、ここがいい!

純は、士郎の声をはじめて聞いた気がしました。

「 … 皆と離れたくない!」

誰もが言葉を失くし … 士郎のことを見つめました。

「何言ってるの? 行くの!」

それでも、手を引くセクシー。

士郎は、純の方を振り向き … 叫びました。

助けて、しゃちょう!

士郎の一途なまなざしに、心を射抜かれたような気がした … 純でした。


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2013年02月26日 (火) | 編集 |

第123話

ある日、誠(岡本玲)は、愛に会いたいときかない晴海(森下愛子)を待田家へ招く。母を連れ戻すため待田家を訪れた純は、愛と鉢合わせ。売り言葉に買い言葉で離婚届にサインしてしまう。

(2012年2月22日 NHKネットステラ)


お父ちゃん … いろいろあって、今日は、久しぶりにお母ちゃんと二人で朝ご飯を食べてます。

晴海は、おかずのダシ巻タマゴを見て、思い出話を始めました。

「お父さん、好きだったよお … ダシ巻タマゴ」

今日は、善行は、もういないことがわかっているみたいです。

「夫婦喧嘩とかして、腹が立ったらさあ、しばらく作らないわけさ … そしたらさ、お父さん、我慢できなくなって … 頼むから、ダシ巻タマゴ作ってくれって、言うんだよ … それで、仲直り、喧嘩は終わり」

両親の微笑ましいエピソードでした。

「 … でも、今日のダシ巻タマゴ、美味しくないねえ」

それは、愛ではなく、純が作ったからでした。

「いとしさんは、何処に行ったの?」

純は、まだ晴海には、愛が実家に戻ったことを伝えていませんでした。

「えっ、ああ、いとし君、今ね、お義母さんが体調崩しちゃったみたいで … 里帰りしてるの」

… 苦しいウソでした。

「そう、心配だねえ … で、純は … 純は、何処に行ったの?」

… … … … …

「何言ってるの? お母ちゃん … あたしは、ここにいるじゃない」

晴海は、首をかしげて言いました。

「あなたは、純じゃないさあ」

あの日 … 心を入れ替えて、病気の晴海と共に生きようと決心した善行のことが誰だかわからなかった … あの日と同じように … 今の今まで会話をしていた、目の前の娘が誰だかわからなくなってしまった??

純は、慌てました … こういう時は、否定してはいけないと知りながら …

「あたしが純でしょ? … わからないの?」

… … … … …

丁度その時、ドアのチャイムが鳴りました。

「もしかして、いとし君、帰って来たかも」

晴海の表情が明るくなって、うなずきました。

助けを求めるように、純が期待して、ドアを開けると … 愛ではなく、誠が立っていました。

誠は、純のことをクンクン嗅ぐと顔をしかめて、マスクを鼻の上まで引きあげました。

… … … … …

純は、晴海のことを奥の部屋で休ませると、誠の前に座りなおしました。

「 … 何か、純さんのこと、わからんかったみたいやけど」

誠にも、晴海の異常を感じ取られてしまいました。

「今日は、ちょっと体調が悪いみたい … 」

適当に誤魔化しました。

「 … そっちこそ、どうしたの?」

答えのわかりきった質問をする純に、誠はあきれたように言いました。

「愛ちゃんのことに決まってるやろ」

… … … … …

「やっぱり … いとし君、実家帰ってるんだ?」

ネットカフェを転々としていた頃と違って、多恵子とのわだかまりも消えた今は、実家に帰ることも問題はないのでしょう … 理由は、別として。

「昨日、ママと三人で、愛ちゃんの作ってくれた夕飯食べたけど、美味しかったなあ … これから、毎日あんなの食べれるかと思うと、ママも喜んでたで」

ひきつった顔で、相槌を打つ純に、誠は、喝を入れました。

「聞いたで、もうホテル、就職せえへん気なんやて?!」

… … … … …

「その方がいいのよ … あたし、ホテルクラッシャーだからさ」

誠は、他の人たちのように、惜しんで止めることもしませんでした。

「あ、そう … わかった … これっ」

カバンの中から何か紙切れを取り出して、テーブルの上に置きました。

それを何気なく見た純 … 目を見開いて、慌てて手に取りました。

それは、待田・狩野両家では、お馴染みの … 離婚届でした。

「なに、これ??」

… … … … …

「愛ちゃんに頼まれたん … 純さんの気が変わらへんのやったら、渡してくれって」

愛の署名捺印は、済んでいました。

「ねえ、早くウチに来て、帰ってきてくれって、頼んだら?」

純にしたら、思ってもみなかった展開でした。

「何でそんなことしなければいけないの? あたしが … だって、勝手に出て行ったのは、あっちでしょ?」

おじいのホテルの時のようにすべてにやる気をなくしたわけでもなく、仕事だってすぐ決めて来たのに … どうして、自分が責められなければいけないのよ … という気持ちでした。

「つまらん意地張らんと、早く仲直りすれば?!」

… … … … …

「あたしはね、新しい就職先決まったの … 誠ちゃん、ちょっとここで待っててくれる? 剛、呼んでくるから」

忙しそうに、仕事に出かけようとする純を誠は呼び止めました。

「これは、どうするの?!」

離婚届を目の前に付きつけました。

少し考えた後 …

「ああ、やっとく、やっとく … 」

笑顔でうなずき、誠の手から奪うと、出かけて行ってしまいました。

… … … … …

「お似合いですよ」

純が心にもないお愛想を言うと、試着をした女性客が、鏡を見ながら尋ねました。

「そう、本当に?」

言葉に詰まって、とまどっていると、答えが表情に出ていました。

憤慨した女性は、何も買わずに出て行ってしまいました。

次から、似合わないと思ったら、何て言えばいいか、聞いとかないと …

… … … … …

休憩時間。

ずっと立ってたから、足がパンパンだ …

離婚届を広げて、ためいきをつく純。

ああ、どうしよう …

この仕事に、自分は向いていない … そうは、思うのですが … かといって、愛の望むようにホテルで働く気はもう …

取りあえず、メールでも … 携帯を手にしたのですが、何て打てばいいのやら …

… … … … …

実家に戻った愛は、ムキになって家の掃除をしていました … 滅多にやらない、机の裏とかも、念入りにこすっています。

携帯にメールの着信 … 純からでした。

期待半分で開くと …

『離婚なんてバカなこと言ってないで、帰ってきたら?

… … … … …

『そっちが反省して、あやまるンなら。帰ってやっても』

愛から、即戻ってきた返信です。

『誰がそんなことするか。あたしは、日本一のカリスマ店員になったるんじゃ』

『そんなモンなれるわけないだろ、バーカ』


… … … … …

ああ、お父ちゃん、何やってるんだろう … あたし

そう思いながらも、メールを打つ指が止まらない純でした。

『ずっとお家でママに甘えてろ、ガキ!』

このメールは、効きました。

「なにおお!」

何て返してやろうか … ふと、視線を感じて、顔を上げると … 多恵子があきれたような顔で見下ろしていました。

「何、カッカしてるの?」

… … … … …

「あ、いや … 別に」

お茶を濁した、愛。

「 … 早く帰れば?」

以前の多恵子なら、絶対に口にしなかった言葉でした。

多恵子は、愛の顔を見つめると … 愛の口調をマネて話しはじめました。

「 … “もう、どうしよう? … まさか本当に離婚届出していないよね … 少しは、こっちのメンツも考えて、そっちから謝れよぉ” … って、子供みたいにオタオタしてるくせに」

頭を振る愛 … 今まで自分が人に散々してきたことを、母にしてやられました。

「やっぱり … 見えてるんですね?」

「ああ、臭いし、耳鳴りもひどいわ … あたながしゃべると」


… … … … …

「純さん、お母さんとツヨキチなら、ウチにおるから … お母さんがどうしても愛ちゃんに会いたいって聞かんから連れてきた」

純は、誠からの電話で、晴海のことを迎えに待田家を訪問しました。

晴海と剛は、待田家の三人と共に食卓を囲んでいました。

互いに目をそらす、純と愛

「お義母さん、すみません、食事中に … 」

… … … … …

「お母ちゃん、帰ろう … ご迷惑だからさ」

純は、晴海を連れて帰ろうと、声を掛けました。

「あら、あなた、どちらさんですか?」

不安そうな顔で体を引いた晴海です … まだ純のことがわからないままでした。

「お母ちゃん、何言ってるの? … 純だよ、わたし」

… … … … …

「いとしさん、純は、何処に行ったの?」

そう聞かれても … 愛も返事に困ってしまいました。

「ちょっと、そんなこと言わないで、ここに … 」

多恵子が、純の言葉を遮って、助け船を出しました。

「いいじゃない、今日は泊まってもらえば … 部屋なら余っているんだし」

… … … … …

「 … でも、それでなくても、ご迷惑かけているんで … “里や”の借金肩代わりしていただいたのに、返す当てもないし … 」

… 確かに、約束をたがえた時は、純が全額返すことになっていました …

「それなら、女将さんがとっくに返しに来たわよ … 火災保険が下りたし、土地も売れたとか言って」

純にとって初耳でした。

「それより、あなたの今の顔 … みっともない … 本性丸出しで見てられないから、向こう行ってちょうだい! … もう一人、おんなじようなのがいるから、そいつも連れてって!」

… … … … …

愛の部屋。

多恵子は、純と愛に話し合うチャンスを与えたのでした。

愛は背を向けて椅子に座ったままで、純を見ようとはしません。

純は、正座をして、愛の背中に話しかけました。

「あの、いとし君 … お願いだから、帰ってきてくれないかな?」

振り向きもせず、愛は答えました。

「じゃあ、ホテルで働く気になったんですか?」

… … … … …

「それは … それは、無理だよ」

愛は、椅子を回して、純を見下ろす形で言いました。

「じゃあ、僕も帰りません!」

純は、懇願しました。

「もう、そんなこと言わないでよ … あたし、いとし君いないと、困るんだよ」

… … … … …

「そりゃ、困りますよね? … 何が困りますかね … あ、ご飯食べられないからですか? … それとも、掃除 … あ、アイロンもかけられないですもんね … 僕がいなけりゃ、何もできないですよね、そりゃ」

愛は、指を折りながら、ひとつひとつあげつらって … 憎まれ口をたたきました。

そこまで言われると、純もムカッときました。

「何でそういう言い方するのよ? … じゃあ、あたしも言わせてもらうけどさ … 本当は人のことバカにしてるのにさ、善人面して良い子ぶるのとか止めてもらえないかな?」

短気な愛が切れて、椅子から立ち上がりました。

「善人面? … すいませんね、僕ね、もともとこういう顔なんですよ」

… … … … …

「僕も言わせてもらいますけどね … 自分が正しいみたいな感じにしてて、急に上手くいかなくなったときに、何かアピールみたいに落ち込むの止めてもらえますか?」

純も切れて、立ち上がりました。

「アピールなんか、一回もした覚えないからね!」

心外でした … 愛にはそんな風に見えていたのかと思ったら、我慢できなくなりました。

「大体さあ、文句があるなら、自分が働けばいいじゃない! … 人の本性とか見えなくなったんでしょ、最近?」

「言われなくても、そうしますよ! … それだけじゃない、あなたより素敵な夢を持った女性、支えに行きますよ」


もう、わけのわからない屁理屈 … 本心とは裏腹に、お互いが傷つくような言葉を選んで … それが、次から次へと口から出て行ってしまうのです。

「勝手にすれば?! … こっちはね、普通の男見つけて、普通の結婚して、普通の生活してね … あ、そうだ、子供作ろう!」

愛の顔色が変わりました。

「普通って言いましたね? … 完全に地雷、踏みましたね …

じゃあ、僕なんか、サッサと別れたらどうですか?」


… … … … …

にらみ合う、純と愛

「ああ、そうするわよ! … そっちだってね、あたしよりもっと可愛い、“愛”と“なんとか”って子、見つけて … 早く、トットと幸せになれば?」

純は、背負ったカバンから、離婚届を取り出しました。

「これ、書かせてもらいます!」

愛の机に座って … ペンを取り … 署名 … 

お父ちゃん … 何やってるんだろう? あたし … こんなことしに来たんじゃないのに …

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2013年02月25日 (月) | 編集 |

第122話

里やが火事に見舞われたことがショックで、純(夏菜)はホテルで働くことをやめようと決意。そんな純を見て、愛(いとし・風間俊介)は、「魔法の国を作る気がないなら、あなたを支える気は一切ない」と家を出て行く。

(2012年2月22日 NHKネットステラ)


「本当にもうホテルじゃ、働かないんですか?」

就活に出かける純に弁当を渡しながら、愛は尋ねました。

純は、ホテル以外の仕事を探そうとしているのでした。

「言ったでしょ、あたしが関わったホテルは、全部だめになっちゃうって」

否定しようとする愛の言葉を遮るように続けました。

「きっとね、あたしはね、ホテルと相性が悪いの … 神様に言われている気がする … “お前は、ホテルで働くのは、もうやめた方がいい”って」

食い下がる愛の言うことをまともに聞こうともせず、純は、アパートを飛び出して行ってしまいました。

純を追って、ドアの外に出ましたが … もう姿は見えず、遠ざかる足音が聞こえるだけでした。

手を仰いだ愛、ドアにもたれ … 頭をかきむしりました。

「 … 頭、痛てぇ … 」 …

… … … … … 

隣の部屋から晴海がヘルパーに連れられて出てきました。

「 … おはようございます」

「おはよう、いとしさん … あれ、純は?」


純は、就活に出かけたことを伝えました。

「そう、じゃあ、元気になったんだねえ … 今度は、どんなホテルで働くのかねえ、楽しみだねえ」

うれしそうに話す晴海に、愛想笑いするしかない愛でした。

… … … … …

「 … 何処からいこうかな?」

喫茶店で、就職情報誌を眺めながら、仕事を物色する純でした。

思いは、いろいろめぐらせるのですが、これだというものが浮かんできません。

「ああ、こんなことなら、資格とか取っておけばよかったなあ … 」

ふとテーブルの上に描かれた意味不明の矢印に純は、気づきました。

「なんじゃ、これは?」

矢印の指す方を探してみると、『幸せを探している人はこちらへ』と書かれていて、その先にまた矢印が続いていました。

矢印をどんどん辿って行くと … 『もう少しです』 … 人気のない廊下を抜けると … 『残念でした』と書かれた壁に突き当たりました。

数名の若者が、そこに壁画のようなものを描いています。

その中に … 剛がいました。

… … … … …

「剛、何やってるの? … こんな落書きみたいなことしてさあ」

「おお、お姉 … 落書きじゃねえよ、これ、アートだろ、アート」


無邪気に答える弟を、こいつは、また何をやりはじめたんだ … と見つめる純です。

「今まで色々と回り道してきたけどさ … これが俺らしい生き方だって、やっとわかったんだ」

そう言われて、改めて剛たちの“アート”を見直してみると … 素人の純にも、それなりの出来に見えました。

一心不乱に筆を走らせる剛。

なんでこんなにキラキラしてるんだ? … こいつは

… … … … …

「あ、そう言えば … お兄がなんか張り切ってたよ、新しい仕事始めるって」

思い出したように、剛が言いました。

… … … … …

「ここでお店開くことにしたんだ?」

正は、自宅のマンションでマッサージ店を開業することを決めました。

「“里や”でのゴッドハンドマッサージが評判になって、開店前から予約がいっぱいでさ」

純が尋ねた時は、マリヤと共に開業の準備をしているところでした。

「なあ、純 … お前ももう少し元気出せよ … “里や”がなくなって、つらいのはわかるけどさ」

「早く、勇気の笑顔に負けないくらいの“まほうのくに”作ってね」


ふたりに励まされても、あいまいにうなずくことしかできない純でした。

… … … … …

純の足は、自然と「里や」に向いていました。

バリケードが張られて立ち入り禁止のようになっていました。

金網越しから、中を覗いていると …

「あら、どうしたの? しゃちょう」

サトでした。

「あ、近くまで来たんで … たまたま」

… 誤魔化しました。

… … … … …

「 … ここどうなるんですか?」

純は、恐る恐るサトに聞きました。

「現場検証終わったんで、もうすぐ取り壊すけど、あ~あ … 」

ため息交じりに答えました。

「じゃあ、やっぱり … もう一度、建直すのは … ?」

万が一でも、わずかな期待を持っていた純でした。

「まあね … この土地も借金の担保になってるから、もうあたしのものじゃないし … 」

… … … … …

お父ちゃん … なんか … 故郷が無くなるような気分だよ …

「どうしたの? … あんたたちまで」

いつの間にか … セニョール、セクシーと士郎、羽純 … 「里や」の仲間も集まってきていました。

「紹介していただいた美容院にお世話になることにしたので … ご報告に」

セクシーがサトに言いました。

「そう … セニョールは、ちゃんと行った? … 紹介した店」

サトにそう聞かれても、ハッキリしないセニョールでした。

「そうだ、しゃちょうは?」

… … … … …

「 … わたしは、もうホテルで働くのは、やめようと思って … 」

純の言葉に、サトだけでなく、皆が驚きました。

サトが理由を尋ねましたが、ここでその理由を答えることは … 何となく、気が引けました。

「女将さんこそ、何か旅に出るっておっしゃってましたけど?」

… 無理やりに話題を変えました。

「今、役所とかに後処理で回らなければいけないので … それが終わったらね」

誰もが、何か言いたい … でも、何から言ったらいいのか … しばし、沈黙の時が流れました

… … … … …

「やばっ … あたし、不動産屋と約束しているから」

耐え切れなくなったのか … サトは、わざと陽気に振る舞って、走っていってしまいました。

… … … … …

サトの後ろ姿を見送ったまま … 動けない、一同。

「ねえ、本当にこれでお別れなの?」

羽純が口を切りました。

「羽純ちゃんは、これからどうするの?」

純が尋ねると …

「伯母さんに取りあえず沖縄に帰れって言われてるけど … 」

帰りたくない … その言葉を飲みました。

「仕事見つけようと思っても、いろんな曲を歌えるだけで、皆みたいに手に職とかないし … 」

… … … … …

「セニョールさんは、いいんですか? … 女将さんについていかなくて」

サトが去って行った方向を一度振り向いてから答えました。

「でも … ついてくるなって、言われてるし … 」

… … … … …

人のことばかり聞いている純に業を煮やしたかのようにセクシーが尋ねました。

「純ちゃんは?」

「そうだよ、ねえ、ホテルの仕事あきらめるって、本気なの?」


羽純もそのことを一番聞きたかったのでした。

ためらうことなく、うなずいた純ですが、その目は、どこかうつろでした。

「そんなこと、言わないでくださいよ … 」

今度は、ハッキリとセニョールは、言いました。

「そうよ … あんたからホテル取ったら、何が残るの?」

叱りつけるような口調のセクシー … 傍らにいた士郎が、純のそばに歩み寄り … 丸めた紙を渡しました。

『かんがえなおせ』

士郎は、じっと、純のことを見つめています … セクシーも、羽純も、セニョールも …

純には、皆の視線が自分のことを非難しているように感じられました。

「あの、あたし … 面接あるんで、これから … 」

居ても立ってもいられなくなって、その場から逃げ出しました。

… … … … …

「ただいま」

アパートに戻った純。

愛は、台所で夕餉の支度をしたまま、振り向きもせずに言いました。

「おかえりなさい … どうでした? 就活は」

純は、ブランドショップの契約社員に決まったことを伝えました。

… … … … …

愛は、台所の手を休めて、純の方に向き直り … 改まって尋ねました。

「純さん … 本当にそれでいいんですか?」

純は、とぼけたような顔をしました。

「純さんが辛いのは、わかります … もう一度、ゼロから頑張ってみませんか? … 僕、今まで以上に支えますから」

… … … … …

「今までみたいに、自分がやってきたことが、全部無くなっちゃうかもしれないって思ったら … 何もできないの … 」

それでも、愛は、食い下がります。

「今までやってきたことは、無駄になんかなっていません … 純さんの中で、ひとつひとつ … 」

しかし、純は、それ以上、聞こうともせずに … 

「お願いだから、わかってよ … あたしの気持ちも」

… … … … …

何かが取り憑いたように … 愛の声のトーンが変わりました。

「 … じゃあ、本当に … もう、ホテルで働く気持ちはないんですね?」

冷静を装って答える、純。

「 … そうよ」

念を押すように尋ねる、愛。

「おじいの“まほうくに”も、あきらめるってことですね?」

その質問には … 答えに詰まった純でしたが、思いを断ち切るように言いました。

「そうよ」

… … … … …

「わかりました … 」

愛は、エプロンを脱いで、畳み始めました … 純には、訳が分かりません。

「なんで、畳んでるの? … ねえ?」

純の質問には、答えずに … 奥の部屋から、カバンと「ねむり姫」の絵本を持って来ました。

「これは、もらっていきます … もともと僕のなんで」

… … … … …

「え? … あの … 一体、何処行くつもり … ですか?」

ますます、理解不能な純に向かって、愛は、言いました。

「実家に帰らせていただきます!」

そう言うや否や … さっさと、アパートを出て行ってしまいました。

ひとり残された純 … 一体、何が起こったのか? … 呆然と座り込んだままです。

あまりの出来事に … 体が反応しない

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2013年02月24日 (日) | 編集 |
さて、次週の「純と愛」は…


第22週「そのままのじぶん」

里や炎上を目の当たりにした純は、「自分が関わったホテルはすべて壊れる」と自分を責め、別の仕事に就くことを決意。

そんな純に業を煮やした愛が、なんと別れを切り出して!?


(2012年2月22日 NHKネットステラ)


実家に帰らせていただきます!

… 以下、ネタバレ …
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2013年02月23日 (土) | 編集 |

第121話

翌日、純たちの目の前に広がったのは──。

(2012年2月15日 NHKネットステラ)


お父ちゃん、「里や」が … 「まほうのくに」になりかけていた「里や」が … 消えてしまいました … あたしは、まだ信じられなくて … 涙も出てきません …

サトは、改めて変わり果てた、旦那の忘れ形見である「里や」を見上げて、嘆きの声をあげました。

「わあ、見事に燃えちゃったよ … 」

純たちも恐る恐る焼け跡の中に足を踏み入れました。

余りの変わりように、誰もが言葉を失くして、立ちすくんでしまいました。

ふいに純が、焼け残った瓦礫をどかしはじめました。

「 … 何か残っているかもしれないから」

愛もうなずいて同じように別の瓦礫の山をどかしはじめました。

… … … … … …

愛が何かを見つけました … 表紙の焼け焦げた「ねむり姫」の絵本でした。

「なんでこれだけ … 」

… … … … … …

「あんた、これからどうするの?」

師匠の声で、サトは我に返りました。

「もう一度、ゼロからやり直すの無理なのよ … 借金もあるし … 」

再建しようという気力そのものが消えてしまっているようでした。

従業員たちには、以前、「里や」を畳もうと考えた時に、それぞれに紹介しておいた店に連絡を入れておいたからと、詫びました。

そして、本人は …

「いい機会だから、旅に出ようと思うの … 旦那が死んでから、ずうっとここにいて、よそに行ったことないからさ … けっこうさ、今さばさばしてるのよね … 肩の荷が下りたみたいで」

口では、そう言っていますが … 心配を掛けないようにと、強がりでした。

… … … … … …

「純ちゃんは、どうするの? これから … 」

羽純が純のことを気にして尋ねました。

そう聞かれて、純は、思い知らされました。どれだけ「里や」が自分の中で大きな存在であったか …

「 … ごめん … なんか、今は … 何も考えられないや … 昨日まで、皆でここでスッゴイ楽しく働いていたのに … 今日から、それができないなんて、思ってもなかったからさ … 

これからもここで、ずっとずっと皆で力を合わせて、お客さんを笑顔にしようって、思ってたから … 」


サトから引き継いだ、小部屋の宝の山も生かす前に灰になってしまいました。

そんなことを考え出したら、一気に疲れやら不安やらが襲ってきて … めまいで一瞬倒れそうになりました。

「 … ごめん … なさい … ちょっと、体調悪いんで … 帰ります」

… … … … … …

純は、式の前に皆で写した記念写真をアパートのコルクボードに並べて貼りました。

… 誰もかれも、楽しそうに笑っています … 数時間後に「里や」が無くなるなんて思ってもみなかった … 

ふと、オオサキとおじいのホテルのプレートに目をやりました。

… … … … … …

… 純は急に可笑しくてしょうがなくなりました … 笑いが止まらない … 座り込んで腹を抱えて笑っています。

変になってしまったのか … 愛は、心配して純の名前を何回も呼びました。

「ああ、ごめん … 何か冗談みたいだからさあ … あたしが関わったホテル、全部無くなっちゃうんだもん … おじいのホテルでしょ、オオサキでしょ … “里や”まで燃えちゃうなんてさ」

そう自嘲する純、聞いている愛も辛くなりました。

純は、笑うのをやめて、背中を向けたままで尋ねました。

「ねえ、この世に神様なんているのかな? … いるんだったら、なんでこんなことするんだろう? … あ、もしかしたら … あたしにもうホテルで働くのをやめろって言ってくれてるのかもしれない」

… … … … … …

「そんなことないですよ」

愛は、純の両肩に手を置いて語りかけました。

「お義父さんと約束したんです … どんなことがあっても、あなたを守るって」

純は、愛の方へ向き直って … 目を見つめて … 改めて尋ねました。

「どうすればいいの? あたしは … 」

… … … … … …

「純さんは … 今まで通り、純さんのままで … 」

愛の言葉も、今の純には、ありきたりな慰めのようにしか聞こえませんでした。

「そんなことしたって、皆が不幸になるだけじゃない … 」

サトが「里や」を畳もうとした時に、自分が何もしなければ … 寛治と美矢の仲を取り持とうなんて考えなければ … 皆にこんな悲しみを与えるようなことは起きなかったかもしれない …

「あたしは、結局ね … 人のことを幸せにするとか、笑顔にするとか … そういうことはできないの」

おじいのホテルを失った時のように、どんどんマイナス思考に落ち込んでいく純でした。

… … … … … …

沈黙の後、思いを吐き出すように愛が言いました。

「 … 何言っちゃってるんですか?

俺は … 俺は、あなたと出会えたおかげでメチャメチャ幸せになったんですけど、そう思ってちゃだめってことですか?」


純は、うつむいてしまいました。

「俺だけじゃない … あなたと出会ったことで、いろんな人が笑顔になりました … 希望を持ちました … 結びつくことができました … 

どんなことがあっても、その事実だけは、決して消えないんですけど … 違いますかね?」


… … … … … …

「じゃあ、なんで行く先、行く先、こんなひどい目に合わなきゃいけないの?」

愛の叱咤にも素直に応えることができません。

「それは … あなたが、どんな辛い試練でも耐えられる … 」

そこまで言いかけた時、愛の中で何かが破裂しました。

髪をかきむしり、立ち上がり、叫び声をあげながら、手に取ったクッションを壁に投げつけました。

怒鳴りつけるように純に向かって言いました。

「俺だって、わからないですよ、そんなの! … 俺だって、メチャメチャ腹立ちますよ! … 神様いるのかって、思いますよ!

でもね、人生は、そんな説明できることばっかりじゃないんですよ! … こんな理不尽なことばっかり起きているんですよ! … 

それでも、それでも俺たちはあきらめずに生きていくしかないんですよ」


もともと愛は、どちらかというと気が短くて、切れることも少なくはありませんでした … しばらくは鳴りを潜めていたのですが … 得体のしれないものへの怒りや悲しみで、爆発してしまったようです。

… … … … … …

少し興奮が冷めた愛はふたたび純の前に座りなおして言いました。

「 … 愛するためですよ … 自分の大切な仕事や、自分の大切な人を愛して、愛して、愛していけば … 笑顔を取り戻せるんですよ、希望を取り戻せるんですよ、奇跡を起こせるんですよ

… そう思うことに決めました … 今、僕は」


愛は、押さえていた感情をあらわにしたことを少し恥じているように見えました。

そんな愛のことを微笑ましく感じた純です。

「なによ、そっちばっかり勝手に決めちゃってさ」

… … … … … …

「 … 泣いてください … あなたは、誰よりも悲しんでいるんだから … 泣いてください」

そういえば、純は、一度も泣いていないことに気づきました … 泣けないのではなく、泣くことさえ忘れていた …

その時、ドアが開いて、愛の大声を聞いて心配して晴海と剛が入ってきました。

「お母ちゃん … 」

晴海は、優しく微笑みながら、純の横に座りました。

そして、純の顔を覗き込みながら … あの言葉を言いました。

「純、可愛そうだね … 元気出しなさいよ」

ハッとして、晴海の顔を見つめる純。

「よく頑張ったね … 我慢しないで、泣けばいいさ」

純の目から自然と涙が滲んできました。

「あんたは、悪くないさ、何にも悪くない … 」

純の顔を見て、もう一度にっこりと笑いました。

とめどなくあふれてくる涙、純は声を上げて泣き出しました。

「お母ちゃん」

晴海は、純を抱き寄せると、慈しむように頭をなでました。

幼子のようにただ泣きじゃくる純 …

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2013年02月22日 (金) | 編集 |

第120話

どうにか外へ逃げ出した純たちは、燃え広がる火をただ呆然(ぼうぜん)と見ることしかできない。

(2012年2月15日 NHKネットステラ)


… 異変を知らせるブザーの音で、純は飛び起きました。

場所を確認すると、二階 … 美矢の部屋です。

その時、けたたましく火災報知機が鳴り響きました。

二階へ駆け上がる純 … 美矢の部屋から煙が漏れています … 扉を開けると …

火、燃えあがる炎  … 美矢の手から落ちたタバコの火が引火してしまったのです。

しかし、当の本人は、こんな状況であるのに、ぐっすりと眠ったままです。

「火野さん、火野さん、起きてください!」

揺すっても、叩いても起きない美矢を背負って廊下に出た純は、叫びました。

「誰か手伝ってください!」

… … … … … …

リビングに下りると、サトが宿泊を外に誘導していました。

セクシーが士郎を抱えて階段を駆け下りてきます。

純は、サトに美矢を預けると、消火器を手に再び二階へと駆け上がって行きました。

「気をつけるんだよ!!」

… … … … … …

美矢の部屋の火はもう手のつけようもないくらいに燃え広がっていました。

純は、消火器を噴射しましたが … まさしく焼け石に水 … 一向に弱まる気配はありません。

煙も立ち込めてきたホテル内、三階から宿泊客を誘導してきた羽純が純を見つけて叫びました。

「純ちゃん、久世さんが残っているの!」

… … … … … …

秋代は、この騒ぎにも気づかずに、熟睡中でした … 一升瓶が転がっているのを見ると、寝酒をしていたのでしょう。

純が声を掛けても、煩がってなかなか起きようとしませんでしたが、火事だと知ると、酔いもさめたのか、純に従って避難しました。

… … … … … …

純が久世を外に連れ出した時、やじ馬をかき分けて、愛とセニョールが駆けつけてきました。

「純さん、純さん大丈夫ですか?!」

「あたしは大丈夫だから! … 女将さん、消防車は?」


しかし、「里のや」の付近の道は狭くて、消防車が立ち往生しているらしいのです。

「とにかく、とにかく下がってください!」

愛が純たちを「里や」から少しでも遠ざけようとしたとき … 一階の梁が轟音と共に燃え落ちるのが見えました。

… … … … … …

咄嗟的に飛び込んだ純は、ソファーの上にあった毛布を手に取り、炎めがけて何回も何回も叩きつけました。

追いかけてきた愛が純に抱きついて必死に引き離そうとしても、純は止めようとしません。

「離して! “里や”が燃えちゃう!」

無常にも炎は、益々大きく燃え盛っていきました。

「しゃちょう、もういいよお!」

サトが泣け叫びました。

もうこれ以上、ホテルの中にいるのは、危険です。

何人かがかりで無理やり純を外に引きずり出しました。

… … … … … …

ようやく消防員が数名駆けつけてきました。

「今、車を停めたところから、ホースを伸ばしていますから!」

紅蓮の炎につつまれた「里や」を見上げる一同 …

… … … … … …

「 … 女将さん、三線は?」

セニョールは、サトが大切な三線を手にしていないことに気づきました … サトが持っていたものは、テレビのリモコンでした。

「あ … 忘れた … 」

しかたなく、あきらめようとするサトのことをセニョールは叱りました。

「ダメですよ、旦那さんに絶対手放すなって言われたんだから! … 女将さんの部屋ですね」

セニョールは、ゆっくりと歩み出て … 思いっきり深呼吸をすると … 皆が止めるのも聞かずに … 火の海の中へ駆け込んでいきました。

「セニョールさーん!!!」

… … … … … …

セニョールは、転げるように飛び出してきました … その手には、しっかりとサトの三線が …

サトは、セニョールを抱きかかえながら言いました。

「どうしてだよ … 自分の包丁セット、取ってくればいいのに … 買ったばかりだろ?」

そんなことは、すっかり忘れていたセニョールです。

「ばかだねえ、ばかだねえ … 」

涙を流してそういいながら、真っ黒に汚れたセニョールの顔のススを拭いました。

… … … … … …

突然、二階のガラスが割れ … 無数の火の粉が、純たちのところまで降り注ぎました。

いてもたってもいられなくなった純は、入り口まで駆け寄ると、せめて「里や」の看板だけでもと … 外そうとしましたが … 

お父ちゃん、「里や」が … 皆の力で、たくさんのお客さんを笑顔にし … 「まほうのくに」になりかけていた「里や」が … 消えようとしているのに … あたしは、何もすることができない

燃え崩れていく「里や」、呆然と立ち尽くす … 純と愛、サト、セニョール、セクシーと士郎、羽純 …

… … … … … …

病院に担ぎ込まれた美矢の病室を訪れたサトと純。

ふたりに気づくと美矢は体を起こしました。

「 … 申し訳ありませんでした」

自分が火事を起こした張本人だと言うことは承知しているようです。

「でもよかったよ、大したことなくて … 」

そうサトが慰めました … 本人は、まったくの無傷でした。

「あの、ホテルは?」

「うん … まあ、幸いけが人もなかったし … 」


サトが語らなかったことで、ホテルがどんなことになってしまったかを悟った美矢。

「あたしのせいです … あたしなんかいなきゃ … あたしなんか死んだ方がよかったんだ!」

… … … … … …

泣きじゃくる、美矢。

サトもこれ以上は慰めることはできませんでした … かといって責めることも …

しかし … 純には、こみ上げてくる怒りを止めることができませんでした。

「冗談じゃないわよ … 」

純の口から出た思いもよらない言葉 … 美矢だけでなく、サトも純に目をやりました。

「 … 本当に申し訳ないと思っているのなら … 辛くても生きなさいよ! … 歯を食いしばって、病気だって、ちゃんと治しなさいよ! … ひとりぼっちで寂しいなら、自分をちゃんとさらけ出して …

あんたの大切な“と”の人、ちゃんと見つければいいでしょ?」


サトも黙って、純の言いたいように言わせていました。

「じゃなきゃ … じゃなきゃ、こっちだってやってられないわよ …

あんたがこれからまた同じようなことして、幸せになれなかったら … ぶっとばすからね、あたしが!」


純がどんな気持ちで話したのか … それが、美矢に伝わったのか … 

「迷惑だから、行こうか?」

サトに促されて、病室を出て行く純。

「 … あんたも早く元気になってね」

そう言い残して、サトは純のあとについて行きました。

… … … … … …

ふたりが「里や」に戻ると、従業員に加えて、惨事を聞いて、正とマリヤ、剛と誠もかけつけていました。

現場検証が行われている中 … 誰一人、言葉を発する者はいませんでした。

純は、朝の陽の中、改めて、「里や」 … だった場所を目にしました。

それは、ただの瓦礫の山にしか見えませんでした。

「何で? … 何でこんなことになっちゃったの?」

師匠の言葉が、皆の気持ちを表していました。

突然泣き出したマリヤ。

純は、自分で自分の頬を思い切りつねりました … 何度も何度も … 片手だけでなく、両手で …

「 … 夢なら覚めてほしいから」

愛がその手を取り、自分の手で優しく包みました。

「お願い … ウソって言って … 」

愛の目を見つめて、純は言いましたが … 愛は辛そうに目を伏せました。

「なんで … なんでこんな目に合わなきゃいけないの? あたしたち … 」

誰も答えることはできません。

「ウソだろ? … ウソだ!

消え入るような声で、もう一度言いました。

「 … うそだ」

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第119話

里やで開かれる初の結婚式に、やる気十分の純たち。だが式の最中に、美矢が隠していた秘密が明るみに。結婚は取りやめになってしまう。その夜、美矢の泊まる部屋から火の手が……。

(2012年2月15日 NHKネットステラ)


「私 … やっぱり、結婚できません!」

突然のことに驚く純に 、美矢は、傍らのベンチに腰を下ろしながら言いました。

「どうしても言えないことがあるんです … 彼に」

そう言いながらも、バッグからタバコを取り出す美矢。

「言えないことってなんですか?」

「 … それは … ほら、タバコ吸うことも、まだ言ってないし」


純には、それが、結婚を取りやめるほどの理由とは思えません。

「そんなの … ちゃんと話せば、わかってくれますよ、彼も」

「それだけじゃないんです … 」


やはり …

「あたしに協力できることだったら、何でもしますから、言ってください」

美矢が何か口に出そうとしたとき … 近づいてきた人影が … 寛治でした。

「おはようございます。今日は、よろしくお願いします」

どうやら、話の内容は聞かれていないようです … でも、ただならぬ雰囲気を感じたのか …

「どうかした? … 何か深刻そうな顔しているけど」

心配そうに美矢の顔を見つめました。

「 … 何でもないの、なんか式でうれしくて、泣いちゃいそうだから … 化粧が落ちないように頼んでいただけ」

美矢は、笑顔で取り繕いました。

寛治は、取りあえずは、ホッとした顔をして、「里や」へ入って行きました。

「忘れてください、マリッジブルーみたいなものだったもので … 」

美矢は、そう言うと、寛治の後を追って行きました。

しかし、何か腑に落ちない … 純でした。

… … … … … …

「おめでとうございます … それでは、どうぞ」

純の合図で、ウェディングマーチが流れました。

「里や」の前にまで敷かれた赤じゅうたんを、廻りに並んだ商店街の人や宿泊客たち、「里や」のスタッフから祝福の拍手を受けながら … 新郎新婦が一歩一歩進んでいきました。

お父ちゃん、何か嫌な予感がして、仕方がないんだけど …

純の不安のように、晴れていたはずの空に雨雲がひろがり … 雷が鳴ったと思ったら、にわか雨が降り出しました。

慌てて、ホテル内に駆け込む一同。

… … … … … …

リビングに入って、もう一度、仕切り直しです。

「 … 雨降って地固まるって言うしね」

サトがベタなフォローをしました。

誓いの言葉、指輪の交換が終わり … グラスが配られて、乾杯の段となりました。

「… 私は、飲めないので」

そう断った美矢でしたが、乾杯だけでもという、寛治の勧めで、思い直して受け取りました。

… 悲劇の幕開けでした。

… … … … … …

「本日は、おめでとうございます … いやあ、あたしもまさかウチの店で結婚式ができるとは、思いませんでした」

乾杯の音頭を任されたサトが感慨深そうに話しました。

「 … だって、高校の修学旅行で沖縄に行った時に、死んだ旦那にナンパされて、親の反対を押し切って、大阪に駆け落ちしちゃったもんで … ああ、いいなあ、あたしもウエディングドレス着たかったなあ~ 」

サトの話は、いつまでたっても終わりそうもないので … 純が、イエローカードを出しました。

「ごめんなさい、つい自分の人生、フラッシュバックしてしまいました … とにもかくにも、おふたりの幸せ祈って … かんぱーい!」

… … … … … …

皆が、グラスのふちを鳴らしあう中 …

酒が飲めないと言っていた美矢 … しばし、寛治の目を気にしているようでしたが、思い切ってシャンパンの入ったグラスを … 一気に飲み干しました。

そんな飲み方をして、大丈夫なのかと、目を丸くしていた純です。

… … … … … …

ケーキ入刀のあと、愛とセニョールが腕を振るった料理がふるまわれました。

「末永くお幸せにね」

事情を知らない師匠が、新郎新婦にグラスを渡しました。

美矢は、先ほどのように喉を鳴らして飲み干しました。

「あらあ、あんたいける口じゃないの、ちょっともう … 悪いけど、旦那借りるわね」

同業者の輪に寛治を連れて行ってしまいました。

… … … … … …

「飲めないって言っていたのに … 大丈夫なんですかね?」

純から話を聞いていた愛が心配しています。

ひとりになった美矢は、今度は自分でグラスに酒を注いで … 飲み始めました … もう躊躇はありませんでした。

「あの … 大丈夫ですか? そんなに飲んで … お酒弱いんじゃ?」

さすがに純がたしなめました。

「大丈夫ですよ … 何だか、今日はうれしいから、飲めるみたい」

満面の笑顔で、飲みながら歩いて行ってしまいました。

狐につままれたような、純と愛

… … … … … …

宴もたけなわ、「里や」恒例のサトの三線に合わせて、琉球踊りが始まりました。

あれから、美矢は … 踊るでもなく、人と話すでもなく、ひとり黙々とグラスを傾けていました。

寛治は、誘われて踊りの輪に加わってはいるのですが、美矢のことが気になっているようです。

そのうちにテーブルにあった瓶をすっかり開けてしまった、美矢 … カウンターに置いてある酒瓶にまで手を伸ばしました。

… … … … … …

「そのへんにしといたら、取り返しのつかないことになってもいいの?」

その手をつかんで止めたのは、秋代でした。

「だいじょうぶですよっ」

美矢は、秋代の手を振り払うと、忠告を聞かずに、酒をグラスに注いであおりました。

そして、一度グラスを置くと … 奇声を上げて、踊りの輪に飛び込んでいきました。

「わたしも踊る!」

しかし、もう相当酔いがまわっている美矢は、まともに踊れる状態ではありませんでした … 足が絡まって、転倒してしまいました。

… … … … … …

「大丈夫ですか?」

慌てて飛んでくる純 … さっきから、美矢のことが気になっていて、遠巻きに様子を窺がってはいたのですが …

「だいじょうぶ、だいじょうぶ … 」

そう言いながら、立ち上がることもできない美矢です。

「今日はもう酔っぱらっているみたいだし … 二階の方で寝ましょう?」

… … … … … …

「まったくもう大丈夫だって言ってんだろう!」

自分をかばっている純を押しのけて、フラフラと立ち上がりました。

「せっかく楽しくやってんのに … うるせえんだよ、ほっとけよ!」

いつもの美矢は、もういません …

「ねえ、そのへんにしといた方が … 」

見かねた寛治がたしなめると … 美矢は、調子よく手で肩を叩いて … ヘラヘラと笑いながら、とんでもないことを口走りました。

「いいじゃない、今日くらい … こっちはね、明日から、あんたの父親、介護したり … 貧乏な豆腐屋で働かなければいけないんだからっ!」

寛治の顔色が、一瞬に変わりました。

… … … … … …

一歩も動くことができず … ただ茫然と見つめるだけの純でした … いや、純だけでなく、リビング全体が凍りついてしまったようです。

「あ、タバコ!」

そんな雰囲気もお構いなしに、美矢は、誰かのタバコを勝手に吸い始めました。

そして、またグラスに手を出そうとして … そばにあったものを盛大にひっくり返してしまいました。

「はいはい、終わり、終わり … 少し休みましょうね」

そばにいたサトと謙次がなだめようとしたのですが … もう手が付けられません。

「皆も飲めばあ? … 人間なんて、酔っているときが一番幸せで、一番気持ちいいのお!」

今度は、泣き上戸? … と思った瞬間、ぶっ倒れて … そのまま眠り込んでしまいました。

… … … … … …

「 … だから言ったじゃない、どうせ上手くいかないって … あたしと同じ病気だから、あの子 … 」

… アルコール依存症

二階に運ばれていく美矢を冷めた目で眺めながら、秋代が純にそう言いました。

… … … … … …

しばらくして … 目を覚ました美矢 … 純が心配そうな顔で覗き込んでいます。

頭が痛い … 何があったのか、よく覚えていない … 記憶をたどる美矢 …

「ねえ、彼は?」

純は、なるべく普通を装って、寛治から預かった封筒を美矢に渡しました。

恐る恐る手紙を開く美矢 …

『申し訳ないけど、結婚は白紙に戻させてください 水田寛治』

… … … … … …

美矢は、泥酔している間に、何か取り返しのつかないことをしでかしたことを理解しました。

「どうしよう … ねえ … 」

純にも大体どんなことが書かれているのかはわかっていました。

「明日、彼のところに行って、話しましょう … わたしも一緒に行きますから」

うろたえる美矢を落ち着かせるように、純は目を見つめて … 言い聞かせるように話しました。

「本当ね、ねえ、本当よ?」

すがりついてくる美矢に純は、問いただしました。

「でも、何で言ってくれなかったんですか? … もし言ってくれていたら、お酒飲むの、わたしも止めたのに … 」

それでは、根本的な解決にはなりません … その場をやり過ごしても、遅かれ早かれ …

… … … … … …

「 … 怖かったの、嫌われるのが … このチャンス逃したら、もう二度とない気がして … 」

枕元に置いてあった、ふたり並んだ記念写真に手をやりました。

「でも、彼と出会って、今度こそ本当に止めようって思ったの … 家族もいないから、ひとりぼっちなの …

彼を失いたくないの! … お願い、お願い … 」


虫のいいお願いを繰り返す美矢、情にほだされて、つきはなすこともできない純は言いました。

「わかりました、明日それ伝えましょう … 水田さんに」

… … … … … …

純がリビングに下りると、愛がひとり待っていました。

「 … 何とか落ち着いた」

愛は、自分が無理してでも本性を見ておいたらと後悔していました。

気配を感じて、サトが小部屋から出てきました。

「しゃちょう、疲れただろう? … もう帰ったら」

そうねぎらった本人も相当参っているようです。

「今日は、彼女のこと心配なんで … 泊まって行きます」

ひとりアパートに帰る愛は、静まり返った街から「里や」を一度、振り返りました。

美矢のいる部屋から灯りがこぼれているのが見えました …

… … … … … …

美矢は、寛治からの手紙を何回も読み返していました。

やっと手に入れかけた幸せ … 失うのは一瞬です … その大きさ … いくら後悔しても足りません。

純は、ああ言ってくれましたが、考えれば考えるほど、不安は募ってきます。

この不安な気持ちを消すためには …

… … … … … …

寝静まったリビングに足音を忍ばせて下りてくる美矢がいました。

ソファーに寝ている純を起こさないように … 厨房の方に向かいました。

そして、棚にある酒瓶をつかみました。

… … … … … …

後悔したそばから、また誘惑に負けた美矢。

布団の上で酒をあおり … タバコにまで手を出しました … 

… … … … … …

そんなこととは知らずに今日の疲れから、深い眠りに落ちている純です。

… … … … … …

酒のせいか美矢にもまた睡魔が … その指からタバコが … ふたりの写真の上に落ちました …

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2013年02月20日 (水) | 編集 |

第118話

寝たきりの父親をもつ寛治は、「自分には結婚する資格がない」と言う。そんな彼に美矢は「あなたが愛してくれるなら、一生そばにいる」と告白する。めでたく、里やで2人の結婚式を開くことに決まる。

(2012年2月15日 NHKネットステラ)


「待ってください、水田さん … どうしてですか? … 火野さんのこと、好きなんじゃないですか?」

美矢の告白に応えることなく、去って行こうとする寛治を純は、呼び止めました。

「いえ、そういうことじゃなくて … 」

そう言ったまま、口ごもる寛治。

「もしかして、自分には結婚できない理由があるとか、言ってましたけど … それが気になっているんですか?」

… … … … … …

寛治は、純と美矢を、とある介護施設に連れて行きました。

純たちが共有スペースで待っていると、老人を乗せた車いすを押しながら寛治が現れました。

車いすの老人を施設のスタッフに預けると、ふたりのそばに来て、説明し始めました。

「脳溢血で、三年前に倒れてから … ずっと、介護が必要なんです、父は … 」

車いすの老人は、寛治の父親でした … 寛治が幼い頃に母親は亡くなり、それ以来、家業の豆腐屋を守りながら、男手ひとつで寛治を育ててくれた恩に報いるためにも、父から離れるわけにはいかない … 寛治は、言いました。

「もし、あなたとつきあったら、ずっと一緒にいたくなります … でも、父の介護や、ウチの家業を手伝ってくれなんて、とても言えません … だから … 」

寛治は、頭を下げると、父の元へ戻って行きました。

… … … … … …

さすがに純も口をはさむことはできません。

「私は、構いません」

突然、美矢が大きな声で言いました … 寛治は、こちらを振り向きました。

「 … あなたが愛してくれるなら … そばにいます」

寛治の顔が驚きから笑顔に変わっていきました。

お父ちゃん … それから、とんとん拍子で物事は進み … おふたりは、結婚式を挙げることになりました。

… … … … … …

結婚式場は、もちろん「里や」です。

ブライダル部での経験を活かして、プランをとりしきる純です。

商店街の協力も得て、「里や」の前まで赤じゅうたんを敷き、ヴァージンロードにして、祭壇を作ります。

誓いの言葉は、神父の代わりを、愛の父・謙次が努めることになりました。

当日の役割分担を指示する純 … 皆、それぞれやる気まんまんです。

「さあ、記念すべき“里や”のはじめての結婚式なので、一致団結して、がんばりましょう!」

純の音頭で鬨の声をあげる一同。

その声を聞きつけてか、サトが小部屋から出てきました。

「あのさあ、あたしは、何をすればいいわけ?」

サトのことを忘れていた純 …

「やりたいことがあるんだけどお」

サトのやりたいこと … それは、披露宴で流すビデオ(再現ドラマ?)の監督でした。 … ふたりのためというより、自分の趣味 …

… … … … … …

純は、新郎新婦と打ち合わせ中です。

「 … うれしいです、予算もないのに、僕たちのために、いろいろ頑張ってくださって」

「待田さんがいなかったら、私たちここまで来れてないと思うし … 」


ふたりにそう言われて、謙遜しながらも有頂天の純です。

「それで、明日の式の前にひとつだけ確認させていただきたいんですけれど … 」

それは、経歴紹介の時のために、「大学卒業後、派遣社員」としか触れていない、美矢のエピソードをもう少し出してもらえないかという要望でした。

にわかに美矢の表情が曇りました。

「 … 僕も、もうちょっと知りたいなって、思ってました」

式の前日なのに、新郎がそれでいいのですか?

「あたしは、別に … 人様にお聞かせできるような人生送ってないんで … 」

やんわりと拒否されました。

… … … … … …

打ち合わせが終わり、帰るふたりを見送った純 … 笑わせてほしい客 … 秋代が、リビングに下りてきていました。

「あのふたり、結婚するんだ … 」

純は、よかったら一緒に祝福してくれるよう声を掛けました。

「ねえ、男と女が上手くいく鉄則って知ってる?」

そう、秋代に聞かれても、純にはわかりませんでした。

「 … 過去を語らないし、尋ねないこと」

… … … … … …

アパートに帰った純は、先ほどの火野のことが心に引っ掛かっていました。

「 … 何か隠しているような気がするんだよね」

愛が本性を覗こうか … 一生懸命見たら、何か見えてくるかもしれない … と言いました。

「ありがとう … でも、もうそういうのに頼って、いとし君に甘えるのもよくないなって … それに、いとし君がまた人の顔見れなくなったら、嫌だし」

… 何か、いい雰囲気になってきました … 近づくふたりの唇 …

「ねえ、お姉 … 助けてよお」

… … … … … …

隣の剛が、いきなり入ってきました … 慌てて離れる純と愛

「あんた、入る時はね、ノックしないといけないの、知ってる?」

… そういうことするときは、鍵くらいしとけって

「 … お母ちゃんがさ、またお腹空いたって言ってるんだよ … さっき、食べたばっかなのに」

剛のあとを追って、晴海もやってきました。

「何言ってるの? … 私は何も食べていないよ」

愛が晴海を部屋に上げ、果物の用意を始めました。

「こういう時は、否定しないで、何か軽いものでも食べさせたらいいの … 」

純が剛に耳打ちして教えました。

… … … … … …

「お母ちゃん、明日ね、“里や”ではじめて結婚式があるんだけど … お母ちゃんも遊び来て」

たまには、楽しいイベントに参加するのもいいと思って、誘ったのですが …

「純、可愛そうねえ … 元気出しなさいよ … よく頑張ったね … 我慢しないで、泣けばいいさあ」

以前にもあったように、親身になって語りかけてくるのでした。

お父ちゃん、まただよ … 何でこんなこと言うのかなあ? … お母ちゃん

… … … … … …

次の日がやってきました … 結婚式の当日です。

「里や」の入り口には、花とウエルカムボードが飾り付けられました。

厨房では、セニョールが震える手でウエディングケーキにクリームを盛り付けています。

神父役の謙次は、カンペを見ながら、誓いの言葉の練習中です。

… 大の男ふたりが大緊張していました。

皆、慌ただしくも、楽しそうに式の準備を進めています。

純と愛に連れてきてもらった晴海は、師匠や羽純と一緒に楽しそうに祝いの踊りの稽古をしています。

… … … … … …

マリヤの指示でテーブルクロスをかける剛と誠。

「そうだ、まこっちゃん … 俺のさ、“と”の人になんない? … 剛と誠 … いや、誠と剛かな?」

一人で悦に入っている剛に誠は冷たく答えました。

「ごめん、あたし、他にまだ、誰かおる気がするんねん … 誠“と”誰かって」

… … … … … …

帳場の掲げられてある「と」と一文字書かれた額を見ながら、マリヤが言いました。

「でも、“と”って言葉、ここにピッタリね … いろいろな人“と”人を結びつける場所って感じだし」

「たしかにね … 俺もこうして、皆と働くなんて … 夢にも思ってなかったし」

感慨深そうに話す正の腕の中では、勇気がご機嫌で笑っていました。

「私も、“里や”に来て、皆さんに出会えて、本当に良かったと思っているんです … 自分はひとりぼっちじゃないって、わかったから」

羽純が少しはにかみながら皆に向かって言いました。

「私も … 自分と士郎の居場所なんて、何処にもないと思っていたからさ」

セクシーも同じ気持ちでした。

厨房からセニョールが飛び出てきました。

「自分も、ここ何度も辞めようと思ったけど … 残って本当に良かったです」

小部屋の扉が開いて、鼻歌交じりのサトが顔を出しました。

「 … あれ、どうしたの? 皆、しみじみしちゃって」

… … … … … …

「皆、女将さんに感謝しているんです … “里や”で働けてよかったって」

愛が、皆の気持ちを代弁しました。

「それだったら、あんたのカミさんに言ったら? … あの子がいなかったら、とっくに潰れてたんだからさ、ここ」

「あの賑やかなお姉ちゃんのおかげかもね … こうして皆がいい顔してるのは」


サトと師匠の言葉を聞いて、晴海は、うれしく、そして我が子を誇らしく思いました。

「ここに来た時から、面白い子だったもんね、あの子」

サトの言葉に、皆、顔を見合わせて思いだし笑いをしました。

そこへ、当の本人が荷物を背負って帰ってきました。

「記念撮影用のカメラ、借りて来たんです … せっかくなんで、いいカメラで撮りたいなって … おふたりの晴れ姿」

剛の提案で、スタッフ一同が入口に並んで、試し撮りと称する記念撮影をすることになりました。

「笑って、笑って … はい、“里や”!」

「里や」も、純も、幸せの絶頂でした …

… … … … … …

通りの向こうから、美矢が来るのを見つけた純は駆け寄りました。

「本日は、おめでとうございます」

さっそく花嫁のスタンバイに取り掛かろうとすると …

「 … それなんですけど」

純は、美矢の言葉に耳を傾けました。

「 … 私 … やっぱり、結婚できません!」

えっ?

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2013年02月19日 (火) | 編集 |

第117話

純の頑張りのかいあって、2人は意気投合した模様。それを見て純は、忍(田中要次)にもサト(余貴美子)へ思いを伝えるべきだと告げる。そんな中、寛治が突然チェックアウトすると言いだして!?

(2012年2月15日 NHKネットステラ)


「その本、ウチの旦那が小さい頃、お母さんに読んでもらっていた本なんです」

リビングのソファーに並んで腰かけた寛治と美矢、「ねむり姫」の絵本を仲良く読んでいます。

お父ちゃん、いろいろ大変だったけど、ふたりはすっかり意気投合しているみたいです。

その様子を厨房の中から、羨ましそうに見ていたのは … セニョールでした。

純の次のおせっかいのターゲットに決定!

「 … もしかして、羨ましいんじゃないんですか? … 思い切って女将さんに告白したらどうですか?」

それを聞いて、愛も寄ってきて、同じように煽りました。

「えっ、いやいやいや … 無理ですよ、自分なんか」

冷や汗をかいています。

「じゃあ、セニョールさんの“と”の人って誰なんですか? … 女将さんじゃないんですかあ?」

セニョールの視線がサトを追いました。

「この間、新しい包丁セット買って、女将さんにご馳走してあげるんだって、張り切っていたじゃないですか?」

愛が暴露すると、純が囃し立てました。

「 … あたしたちも応援しますから!」

… … … … … …

「セニョール! … 今からシナリオの続き書くから、おにぎりみたいのでいいから、持ってきてくれる?」

グッド(バッド?)タイミングで、サトからセニョールにお声がかかりました。

「チャンスですよ! … 愛のおにぎりを持っていくんですよ」

「恋のおにぎり、大作戦!」


純と愛が煽ること、煽ること …

呼吸が荒くなるセニョール、キャベツを刻む手も何故か、スピードアップ …

… … … … … …

おにぎりを載せたお盆を持って、サトの小部屋の前に緊張して立つセニョール。

「 … やっぱ、無理です … 何話していいか、全然わからないし」

怖気づいているセニョールに愛のアドバイスです。

「じゃあ、会話の最後を必ず質問で終わってください … そうすれば、会話は終わらないんで」

… … … … … …

「サンキュー、そのへん置いといて」

執筆に夢中のサトは、お盆を運んできたセニョールのことを振り向きもせずに礼を言いました。

純と愛に背中を押されて、小部屋の中まで入ったセニョール … 掌に箇条書きで書いてある、質問の内容を確認しました。

「 … どんな、話を書いているんですか?」

「ひみつ … 」


返事は、一言で終わりです … 次の質問に行けと、入り口のカーテンの陰から、愛が指示します。

「 … 好きな花は、何ですか?」

「あんたは?」


真剣に考えるセニョール。

「バラですかね … 」

「へえ、そうなんだ」


全く興味がないといった感じのサトの反応です。

「 … 好きな季節は何ですか?」

バカ正直に、純と愛に言われた通りに質問を続けるセニョール。

「ねえ、一体何なの? … その英語和訳みたいな質問の連続は? … あたし、忙しいんだけど」

少しイラついたような言い方のサト … めげてしまった、セニョール …

「すみません … ただ、随分長く一緒にいさせてもらっていますけど … 女将さんのこと、よく知らないなと思って … でも、自分に話しても、しょうがないですよね」

あきらめて、部屋を出て行こうとすると …

「待ちな … 一つだけ、質問に答えてあげるから、言ってみな」

… … … … … …

「 … 自分のことを、何でここに置いてくれてるんですか? … 大して料理もうまくないのに」

サトは、原稿を書く手を休めて、傍らにある三線に手を伸ばしながら言いました。

「しょうがないだろ、ウチの旦那に言われたんだから … 俺が死んでも、三線とあんただけは、手放すなって … 忍は、どんなことがあっても、裏切る人間じゃないから … 

そばに置いとけば、必ずお前を守ってくれるからって」


セニョールは、感激していました … カーテンから覗いている純と愛も同じです。

「 … そうだったんですか」

そう言ったきり、あとは何も言葉が出てきませんでした。

「結構、ドラマチックだろう?」

振り向きながらそう言った、サト … セニョールの後ろのふたりを見つけて、怪訝な顔をしました。

結局、告白もできなかったし、サトの気持ちもわかりませんでしたが … そのあと、キャベツを刻む、セニョールの顔は、なんとなく晴れやかに見えました。

… … … … … …

「火野さん、お酒は飲まないんですか?」

寛治が美矢にたずねました。

「あたしは、全然 … 水田さんは?」

寛治は、酒は弱くて、あまり飲めないし、タバコも止めたので、今は吸っていないと言いました。

「 … 私も嫌いですから」

妙な間が一瞬あったような気がしましたが …

なんだ、なんだ、いい感じじゃないの

ふたりの様子を見守って … ひとりご満悦の純でした。

… … … … … …

「ちょっと、お酒まだ?」

ひとり、カウンターにいた、例の笑わせてほしい女性客でした … すでに、しこたま飲んでいるようです。

純が気遣って、遠慮がちにたしなめましたが …

「あんたこそ、あたしをまだ、ちゃんと笑わせてないんだけど」

注文はまだ継続中のようでした。

「すいません … でも、あのふたり見ていたら、何か微笑ましい気分になりません?」

寛治と美矢のことを指しました。

「 … あんなの上手くいくわけないじゃない … どっちも、一人でいるのが嫌なだけなんだから」

… … … … … …

帰宅後のアパート。

純は、いい気分に水を差されたようで、女性客の先ほどの言葉が、おもしろくありませんでした。

「 … こうなったら、水田さんたちに絶対幸せになってもらわないと!」

ムキになっていました。

「純さん、気持ちはわかりますけど … あまり深入りしない方が … 」

愛は、これ以上関わることには、あまり乗り気ではないようです。

「もしかして、本性でも見えた? ふたりの … 」

しかし、最近はほとんど見えないので … あえて言えば、「直観」でしょうか。

「きっかけは、もう作ったんだから … あとは、ふたりに任せた方が … 」

愛の「直観」や「予感」は、結構当たるんですよね、特に良くない方が …

… … … … … …

「純、お父さんは?」

唐突に晴海がそう尋ねました。

「お父さんは … どこに行ったんだった?」

何と答えればよいのか … 純は、台所の愛を見ました。

愛は、無言で頭を振っています。

気持ちを他に持って行った方がいいんだよね、たしか …

「そうだ、お母ちゃん … 明日にでも、また“里や”に行かない? … あたしね、あなたの“と”の人、見つけませんか? って、サービスはじめてね … 今、上手くいきそうなカップル、一組いるのよ」

晴海は、かすかに微笑むと、慈しむように言いました。

「純、可愛そうねえ … 元気出しなさいよ … よく頑張ったね … 泣けばいいさあ」

真剣なまなざし … 純は、言葉を失くしてしまいました。

… … … … … …

「里や」に行けば、相変わらずの忙しさ、元気にふるまう純です。

… 美矢が、何か言いたげに、純の手が空くのを待っているようでした。

勢いよく扉が開いて、多恵子が風を切りながら入ってきました。

ソファーにひっくり返ると、深いため息 …

「なんか、ホッとするわね … 座った瞬間」

ゴッドハンドのマッサージ、ご用命です。

… … … … … …

「これ、女将さんから預かっています」

純は、懐から取り出した茶封筒を多恵子に渡しました。

「毎月、少しずつでも、ちゃんと返すからって … 」

多恵子に借りた借金の返済でした … 無造作に受け取る多恵子。

「期待してるわ」

… … … … … …

「 … で、お母さんの具合どう?」

… 結局、晴海は、今日、「里や」にはついてきませんでした。

純は、周りを少しうかがってから、しゃがんで多恵子に少し近づいて、小さい声で話しました。

「何か … 最近、表情がなくなっているような気がするっていうか … 」

純が言葉を選んでいると、多恵子が続けて言いました。

「何とか、お母さんを笑顔にして … 言葉や思い出を失うのを、少しでも遅くしたいけど … どうしたらいいのか、わからない … 」

多恵子に本性を読まれた …

「それぐらい、誰だってわかるわよ」

… 本性を見るまでもないと、多恵子。

「ちなみに … 今、わたし … どう見えています?」

純にそう聞かれて、多恵子は、軽く上から下まで眺めると言いました。

「 … 別に、いいんじゃない? … そのままで」

ホッとする純。

多恵子は、二階に上がりしなに、厨房を覗きました … 愛がセニョールに料理の手ほどきをしていました。

「あの子もはりきっているみたいね … あんな姿見たの、いついらいかしら … 」

… … … … … …

純が「里や」の外を掃き掃除をはじめると、待ち構えていたように、美矢が話しかけてきました。

「 … 水田さんが、今日チェックアウトするって、言ってるんですけど … 連絡先、教えてくれなくて」

そう言いながら、手にしたポーチの中から、タバコを出して … 火を点け、深く吸い込むと … ふーっと煙を吐き出しました。(嫌いなんじゃなかったのかい?)

「 … どうしたらいいでしょう?」

そう言って、また一服 … 不安そうな顔はしているけれど … それが、人に何か相談する態度?

「火野さんは、本当に彼のことが好きなんですね?」

純が尋ねると、首を縦に振りました。

「わかりました … 」

… … … … … …

「お待たせしました」

セクシーの手で華麗に変身ヘアメイクした美矢。

「ああ、すごく似合っていますよ … 自信持ってください」

鏡に映る自分を見て、美矢は … うなずきました。

… … … … … …

「 … お世話になりました」

今まさにチェックアウトを終えた、寛治が「里や」を出て行こうとしているところでした。

寛治の前に立った美矢は … 思い切って、言いました。

「水田さん … あたしと … お付き合いしてもらえませんか? … お願いします」

一世一代の告白のはずでした … が、しかし …

「ごめんなさい」

躊躇なく、即答でした。

そして … 寛治は、そのまま振り返ることもなく、出て行ってしまいました。

お父ちゃん、何でえ?!

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2013年02月18日 (月) | 編集 |

第116話

男性客・寛治(水橋研二)と女性客・美矢(菜葉菜)が互いに意識し合っていると気づいた純(夏菜)は、2人が話すきっかけを作ろうとあれこれ策を練る。

(2012年2月15日 NHKネットステラ)


「五感を満たすというサービスで話題になっているホテル“里や”さんにやってまいりました!」

あれ以来、来る日も来る日も千客万来が続いている「里や」、今日はテレビの取材です。

「 … あたしよりこっちに聞いてください。ここが繁盛しているの、この子のおかげなんで」

サトは、レポーターに向けられたマイクを純に振りました。

「は、はじめまして … 24時間コンシェルジュをやっています、待田純と言います」

… … … … … …

「わたしが初めて“里や”に来た時に、女将さんに … 一番ひらがなの中で好きな文字は、たちつてとの“と”だって言われたんです … それ聞いたら、なんか、あたしがホテルを好きな理由がわかった気がして … 

それは、人“と”人を結びつける場所なんじゃないかなって思って … だから、ここをそんな“と”の場所にしたいなって、思ったんです … あっ!


純は、自分でそう話しながら、また何かひらめきました。

… … … … … …

「 … で、今度は、何を思いついたのかな? 一体」

インタビューをテレビで見直しながら、サトが興味深そうに尋ねました。

「こい … 恋です … LOVE … あのふたり、見てください」

リビングで、羽純の人間ジュークボックスを聞いている客たちの中 … 向かい合った席に座っている男女のことを、そっと指さしました。

「あのふたり見てください … 明らかに意識していません? お互いを … 」

そう言われると、気づかれないように、お互いのことをチラチラと見ているようです。

「ああいう人たちが気軽に話せるようなチャンスを作ってあげて … カップルになるお手伝いをしてあげるっていうのはどうでしょう?

キャッチフレーズは … “里や”に来れば、あなたの“と”の人にであえるかもしれません!」


サービスというより、おせっかい … 今始まったことではありませんが …

… … … … … …

その男女が今、リビングで食事をとっています … お互いそれぞれ別の席に座っていますが …

「あのふたり絶対お似合いだと思うけどなあ … 食事のとき、同じもの頼んでるし … 相手が読んでた童話をそのあと読んでるし」

純は愛にも“と”のサービスのことを話しました。

「一応、確認しておいた方がいいんじゃないですか? … ご結婚されてるか … とか」

… … … … … …

コップに水を注ぎながら、純はそれとなく、男性の方から話を聞き出します。

「ちなみに … お、奥さまはいらっしゃいますか?」

話の流れも構わない、純の唐突な質問に男性は答えてくれました。

「僕みたいな男と結婚してくれる人なんかいませんよ」

純が訳を聞いても、それには答えずに部屋へ戻って行ってしまいました。

男性のことを目で追っていた女性、純の視線に気づくと、目を伏せて食事を続けました。

… … … … … …

「もしかしたら、さっきの彼のこと、気になってたりします?」

女性は否定しましたが、慌てて水の入ったコップを倒してしまいました。

「図星ですね?」

… … … … … …

「あの、何をするんですか?」

ハンカチを手に階段の下から二階を窺がう純に女性 … 火野美矢が尋ねました。

「彼が来たら、このハンカチをわざと落として、それを拾ってもらうんです … 話をするきっかけを作れるでしょ?」

… そんな、今時コントでもやらないようなことを …

「名づけて、“恋のハンカチ落とし”」

二階から降りてきた男性 … 水田寛治の目の前にハンカチを落としたまではよかったのですが、一足先に師匠に拾われてしまって … 失敗

… … … … … …

風呂のない「里や」、宿泊客は近所の銭湯を利用します。

ちょうど降り出した雨をチャンスに相合傘をして、お近づきになる … 恋の相合傘作戦!

しかし、話が通っていなかったサトが傘をたくさん出してきてしまったため … 失敗

… そういえば、多恵子が何日か滞在していた時も銭湯を利用していたんでしょうか?

… … … … … …

「こうなったら … 恋の相席大作戦!」

リビングで無理やり相席させる … というだけの作戦。

他の席には、師匠の踊りの弟子やその業界の人を動員して、寛治の隣の席しか空いていない状況を作りました。

「 … これでやっと上手くいくか?」

しかし、せっかく並んで座っているのに、美矢は、話しかけることができません … 寛治からもその様子はなく … 気まずい雰囲気です。

「なんなら、あたしが行ってこようか? … さっさと付き合っちゃえって」

じれったくなったサトが先走ろうとしたとき、寛治が立ち上がりました。

「 … ご馳走様でした」

そそくさと二階へ行ってしまいました。

… … … … … …

寛治は、正のマッサージを受けていました。

『彼女のこと、どう思うか?』

ドアの隙間から、純は、紙に書いた指示を正に与えます。

「ちなみに、彼女のことは、どう思いますか?」

全くちなみではないので、寛治には何のことかわかりません。

「 … さっきの相席のお客さんです」

「彼女は、僕なんかと … ウチは、おやじの代からやってる豆腐屋で、朝は早いし、仕事は辛いし、生活も楽じゃないし … 」


そう、自嘲気味に答えました。

『女はそんなの気にしない!!!』

「はあ、そうなの?」


正は、思わず口走ってしまいました。

慌てて、誤魔化して … 肩を揉みながら言いました。

「妹が言ってたんですけど … そんなの気にしないそうですよ、女性は … 確かにお金がなきゃ、嫌だって人はいますが … 愛し合っていれば、そんなの問題ないって」

… でかした兄貴 … うなずく純でした。

「それだけじゃないんですよ … 僕は」

寂しそうにつぶやいた寛治 … 純は、思わず我を忘れて、声を上げて、部屋に飛び込んでしまいました。

「どういうことですか?」

… … … … … …

厨房の隅に集まって井戸端会議中の「里や」女性陣。

「あの人、教えてくれたんですか? … 結婚できない理由」

横から愛が調理をしながら、純に尋ねました。

「それが、全然教えてくれなくて … 」

… ごく当然の反応でしょう。

「何で言いたくないんだろうね? … 酒癖悪いとか … それとも、ヘンタイ? … もしかしたら、CIAのスパイとか … あ、わかった! … 実は、女なんだよ」

勝手に想像を掻きめぐらせるサトです。

「女将さん、こういう話になると、果てしなくイマジネーションひろがりますよねえ」

感心するセクシー、答えるサト。

「脚本家志望だからね」

… まじめに考えているようにも思えないけど

「どうするの? … このままだと、あのふたりくっつけるのなんて、絶対無理だよ」

羽純の言うとおりです。

… … … … … …

その時、美矢が部屋のキーを持って、帳場に向かうのが見えました。

「火野さん、どうしたんですか?」

純が尋ねると、美矢から返ってきた言葉は …

「チェックアウトします、私」

… … … … … …

「このままでいいんですか?」

諦めきれない純、美矢は、彼には自分よりふさわしい人がいると思うと答えました。

「そんなこと言わないでください … もしかしたら、彼が、あなたの“と”の人なのかもしれないですよ」

そんな純の言葉に声を荒げてしまう美矢です。

「あなたは、幸せだから … そんな前向きなことが言えるんです」

… … … … … …

「お言葉ですが、わたしもここまで来るまでは、決して平坦な道のりではなかったですよ … でも、いとし君っていう、わたしの“と”に巡り合って、前のホテルやここでも素敵な人たちに出会って、思ったんです。

世の中には不完全な男と女しかいない … 私の愛があなたを作り、あなたの愛が私を作る … 女が諦めたら、世界は終わっちゃうんですよ」


… 全部、人の受け売りですが … これが初めて聞く人には結構効く …

そう言って、美矢の肩に手を置いて目を見つめました。

… … … … … …

二階から誰か下りてくる足音が … 荷物を持った寛治でした。

「あのう、どうなさったんですか?」

サトが尋ねました。

「いや、チェックアウトしようと思って … 」

予定では、明日のはずだったのですが … そりゃ、これだけ自分の周りで不穏な動きをされたら …

純は、心の中で、美矢の背中を押しました。

それを感じた美矢は、うなずき … 寛治に向かって言いました。

「行かないでください」

その声に、驚いたように寛治は振り向きました。

「あなたとお話ししたいんです」

やっと言えました … すると、寛治からも …

「 … 僕もです … あなたと、お話が … したいです」

サトがうれしそうに、一度返された部屋のキーを改めて渡しました。

ホッとする「里や」一同。

美矢は、笑顔で純を振り返りました。

お父ちゃん、あたしは今、毎日が楽しくてたまりません … もうすぐ「里や」を「まほうのくに」にできそうで …

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2013年02月17日 (日) | 編集 |
さて、次週の「純と愛」は…


第21週「えんむすび」

五感を癒やすホテルとして、一気に人気を集めた里や。
あと一歩で魔法の国が実現するかも!
波に乗った純は、新たなサービスを考案する。


愛(いとし・風間俊介)の奇跡のグルメメニュー、正(速水もこみち)のゴッドハンドマッサージ、蘭(映美くらら)のヘアメーク、羽純(朝倉あき)の人間ジュークボックス、マリヤ(高橋メアリージュン)が手がけた居心地抜群のリビングルームなどみんなの“得意技”を、五感を癒すサービスとして売りにしたことが功を奏し、里やは一躍話題のホテルに。

絶好調の純(夏菜)は、さらに人を結びつけるサービスを考案する。

(2012年2月15日 NHKネットステラ)


あなたの“と”の人、見つけませんか?

… 以下、ネタバレ …
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2013年02月16日 (土) | 編集 |

第115話

「今すぐ借金を返さなければ、ホテルを明け渡せ」とすごむ取り立て屋。絶体絶命の純たちを救ったのは……?

(2012年2月8日 NHKネットステラ)


「返済待ってくれって、頼んだけど … ダメだったあ!!」

サトについて来た男たちは、借金の取り立て屋でした。

「約束の期日は、とっくに過ぎてますねん … お貸ししたものを返していただけない以上、この建物を明け渡していただくしかないんですよ」

男は、借用書をチラつかせながら、即刻退去を強いてきました。

「お願いです、一ヵ月でいいんで、待ってもらえませんか? … いろいろお客さんに喜んでもらえるアイデア、たくさん考えたんです … 一ヶ月経ったら、ここを予約でいっぱいにできるようなホテルにしてみせる自信があるっていうか … 

そうしてみせるって、今決めました!」


純は、リーダー格の男に頭を下げて頼みました。

「この子もこう言っていますから、何とかなりませんかねえ」

「お願いします」


サトが、愛が、羽純が … 皆が、男に頭を下げました。

… … … … … …

しかし、そんなことで取り立て屋が折れるはずがありません。

「頭下げられても無駄ですわ … こっちは、今日からここを新しい事務所として使うつもりなんで」

男は、ソファーを占領すると、ふんぞり返って、テーブルに足を乗せました。

男の手下どもに隅に追いやられ、なすすべが見つからない純たちです … 一人を除いて。

… … … … … …

カウンターに腰かけていた多恵子が伸びをして立ち上がりました。

肩をコキコキ鳴らすと、男に歩み寄り … その手から、借用書を奪い取りました。

慌てる男をものともせず、パラパラとめくって確認しながら、言いました。

「そもそも、あなたたち、抵当権者でもないじゃない … だったら、ルールに法って、訴訟を起こし、判決勝ち取ってからじゃないと、明け渡し求めることなんてできないはずよ!」

借用書を投げ返して、自分の名刺を男の目の前につきつけました。

「ついでに言っておくけど … あんたたちが昔、悪徳なやり方で、強制退去や不法占拠したのを、散々とっちめたことがあるんだけど … 覚えてるかしら?」

名刺を見て、男の顔色が変わりました。

「今日のところは、お引き取り願えます?」

それでも、まだあきらめないで席を立とうとしない男たちに、警察を呼ぶかと問うと、慌てて引き揚げていきました。

… … … … … …

「かっこいい!」

母の復活を喜ぶ、誠 … やんややんやの大喝采の「里や」です。

「お義母さん、ありがとうございます」

感謝して礼を言う純に多恵子は尋ねました。

「さっき言ったこと、本当でしょうね? … 一ヵ月でここを予約でいっぱいにしてみせるって?」

純は、即答しました。

「はい、もちろん!」

純の顔を見つめた後、今度はサトに向かって言いました。

「だったら、ここの借金 … 肩代わりさせてもらえますか? あたしに、女将さん」

思いもよらない申し出でした。

「 … ここが無くなったら、困るんですよ、あたし」

サトは飛び上がって喜んだあと、土下座しました。

「ありがとうございます!!」

… … … … … …

純も改めて礼を言って、頭を下げました。

「その代り、約束破ったら、即刻、全額あなたが返済すること … さもないと、ブタ箱にブチ込んでやる!」

その気迫に押されて … 純は緊張して答えました。

「 … わかりました」

… … … … … …

数日ぶりに我が家へ帰る多恵子と誠を、純と愛は外まで見送りに出ました。

「ねえママ、せっかくやから、ここの顧問弁護士になったら?」

誠が勧め、純たちもそう願いました。

「あたしは、客で来たいの、ここには!」

しかし、こだわりがある多恵子は、断りました。

「お母さん、今日は本当にありがとうございました」

多恵子は、愛にも、聞いておきたいことがひとつありました。

「ねえ、さっき言ってたこと、本当?」

愛には、何のことかわかりません。

「 … 殆ど見えなくなったとかって、言ってたでしょ?」

愛は、純のことを少し振り返り … そして答えました。

「はい、純さんに出会って … いろいろな人とふれあって … それで、“里や”に来たら、人の幸せそうな顔を見るのが、楽しくなってきました」

多恵子は、純と愛の顔を見つめました。

「 … じゃあ、あたしも良くなるかしらね … いつか」

独り言のように言いました。

… … … … … …

純と愛、誠の三人は、顔を見合わせました。

「 … もしかして、ママも、何か見えてた?」

誠が恐る恐る尋ねました。

「そんなもんじゃないわよ! … あなたたちの父親みたいに、耳鳴りはするし … 誠みたいに、どいつもこいつも臭くてたまらなかったわ」

それでも、そんなものに負けてどうするのかと、ずっと平気なフリをしていたのです。

母は、自分たちの何倍も苦しんでいた … 誰にも打ち明けることなく … ひとりで闘っていたんだ … 愛は、胸が痛みました。

「あ、でも … あたしも、少し楽になった気がするわ … ここに来て」

多恵子は、「里や」を見上げました。

「あんたも、相も変わらず … 元気そうだし」

純にそう声を掛けた後、颯爽と歩き出しました。

「 … なんだかんだ言って、ママ … 純さんらのことが心配で、ここに来たんよ … お父さん、亡くなって、元気なくしてるんやないかって」

口止めされていたことを … 誠が暴露しました。

多恵子の心遣いを知って、純は、感激していました。

「何やってるの? 誠」

通りの角まで行ってしまった多恵子が呼んでいます … 誠は、いたずらっぽく笑うと、急いで後を追いかけて行きました。

… … … … … …

「いらっしゃいませ、“里や”へようこそ!」

愛が作った「里や」のホームページ … 剛が撮影した、純が館内を案内しながら、サービスの数々を紹介する動画を見ることができます。

まずは、マリヤプロデュース、ロビーを兼ねた居心地抜群のリビングルーム。

そして、客室 … 狭さを逆手にとって、キャンプ感覚、修学旅行感覚を楽しめるドミトリータイプも始めました。

実は国家資格を持っていた、イケメン正のゴッドハンドマッサージ … セクシーさんの華麗に変身ヘアメイク … 待田愛の奇跡のメニュー … チュルチュルちゃんの人間ジュークボックス。

そして、待田誠のにおい占い … 待田謙次の法律相談 … 

「従業員一同、心よりお待ちしていま~す!」

… … … … … …

お父ちゃん、これをネットに流したら、すごい反響で … 一ヶ月経ったら、こんなにお客さんが来るようになりました。

人で賑わう、リビングルーム … サトの弾く、三線に合わせて踊る人、おしゃべりする人、お茶を飲む人、食事をする人 … 皆、それぞれに楽しんでいます。

ねえ、お父ちゃん … もしかして、あたしたちは、元々“まほうつかい”だったのかもしれないね … だって、赤ん坊の時、自分を見ているだけで、皆笑ってくれていたんだし … だから、あたしは信じたい … 

自分の中にはまだたくさんの人を幸せにできる“まほう”の力があることを …


… … … … … …

「あらあら、寝ちゃったよ、しゃちょう」

心の中の父に話しかけているうちに、純は眠ってしまっていました。

「そのまま寝かせておいてくれませんか? … ここ一ヵ月、純さん、全然寝てないんです」

仕事が終わった後も、得意客にメッセージカードを書いて … 一軒一軒回って届けていたのだと、愛が話しました。

リビングルームにいた客の殆どが、純の手書きのメッセージカードを手にしていました。

疲れているとはいえ … 満足そうな、幸せな寝顔でした。

サトが、その寝顔をじっと見つめています。

… … … … … …

純が目を覚ました時、目の前にはサトがいました。

はっとして、リビングルームを見渡しましたが、もう誰もいません。

「もう、とっくに寝ちゃったよ」

体を起こしている純のことをサトが手招きしました。

「しゃちょう、ちょっと来て … 見せたいものがあるから」

サトは、帳場の奥の小部屋の扉を開けて、また手招きしました。

「いいんですか?」

… … … … … …

秘密の小部屋 … 入口は、屈まないと入れないほどですが、中に入ると …

部屋自体はそれほど広くはありませんが、壁一面、見上げるような高さの本棚が、純のことを出迎えました。

まさか、あの狭い入口の奥にこんな部屋が隠されていたとは …

「わあ、何ですか? これ … 」

純は、サトに尋ねました。

「ホテルに関する資料や、知り合った人たちの連絡先とか … ウチの旦那が生きている間に集めたの」

改めて見ると、ものすごい量の本や資料です。

「 … 見てもいいですか?」

サトはうなずきました。

純の目は、宝の山を前にした子供みたいに輝いています。

どれから見たらいいのか … 手に取った「顧客帳」と書かれたノートには、ページごとに名刺が貼られていて、その下に客の特徴やプロフィール、好みなどがこと細かく記されていました。

「何か … コンシェルジュのパソコンの中みたいです」

純は、興奮しています。

「ここがあったから … どんな困ったときも、やってこれたんだ、今まで」

しみじみと、サトは言いました。

「亡くなった旦那さんの、“里や”や女将さんへの … ボスへの愛がいっぱい詰まっているんですね」

… … … … … …

「ここを、あんたに譲りたいんだけど … 」

唐突にサトにそう言われて、純は振り向きました。

「 … 何だか、あんたに譲るために、旦那もここを残してくれたような、気がしてきたからさ」

思いもよらないこと … うれしい … でも、恐れ多いという気持ちが大きくて …

戸惑うような顔でサトを見つめると … サトはうなずき、思いっきりの笑顔を見せました。 … あんたには、その資格があるんだよ …

純は、心の底から、うれしさがこみ上げてくるのがわかりました。

「ありがとうございます」

余りにも、うれしすぎて、何をしていいのか … 

お父ちゃん、おじい … もうすぐ、本当に“まほうのくに”ができる気がしてきたよ、あたし

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2013年02月15日 (金) | 編集 |

第114話

純たちの思いが通じて、サトがホテル存続を決意。純と愛たちは、いよいよ本格的に里や再生に乗り出す。だがそんなみんなのもとへ、借金の取り立て屋がやってくる。

(2012年2月8日 NHKネットステラ)


お父ちゃん、女将さ … ボスが、やっと「里や」を続けていく決心をしてくれました。

『里や リニューアルオープン 準備中』と書かれた紙を扉に貼る純。

「おう! 皆、行ってくるよ」

「里や」再開の準備をする従業員たちに、威勢よく声を掛けてサトが出かけていきました。

いくらあたしたちがやる気になっても、借金を返すメドが立たなきゃどうにもならないので … ボスは、今日も街中に金策に走ってくれています。

… … … … … …

… その間にあたしたちも、借金返せるような再建案を考えないとね。

… 「愛の奇跡のメニュー」、「セクシーの華麗に変身ヘアメイク」、「正のゴッドハンド・マッサージ」と三つ「里や」の売りができたのですが … 純はまだ何か足らない … もっともっといろんなことを考えた方がいいような気がするのでした。

「はあい! 皆、盛り上がってる?」

純は、陣中見舞いにやってきた、マリヤにも何かいいアイデアがないか尋ねました。

「 … 全然ワカンナイ … でも、ここが全然ダメ!」

… … … … … …

マリヤの指示で食堂の大改造が始まりました。

床にじゅうたんを敷いて、定食屋のような品書きを外し、カーテンも変え、テーブルクロス、ソファーにはクッションを置き、照明も変えました … ほとんど、剛の勤務先からの調達です。

見違えるようになった食堂、歓声が上がりました。

「一応、コンセプトは、ロビーでもあり、レストランでもありながら、マイホーム・リビングみたいに落ち着けるスペースってことにしてみました!」

マリヤの才能に拍手拍手 …

… … … … … …

仕事をする気が起きないと、今だに「里や」に滞在中の多恵子が誠を従えて食堂に下りてきました。

「ああ … なんか、落ち着くわね、今までと違って … 」

ソファーに体を横たえながら言いました。

「ほんまや、何 … この心地よさ」

誠もリラックスしています。

早速、効果が出たこと … それも、多恵子からお墨付きをもらったようなものなので … 純は、マリヤと手を取り合って喜びました。

… … … … … …

「 … お腹すいたわ … ビーフストロガノフがいいわ、サイドメニューは、ニース風サラダ」

愛は、多恵子の注文を復唱すると、セニョールと共に「喜んで」と、厨房に向かいました。

… リニューアルに向けて、すべてが順調に運んでいるように見えますが、純はまだ何か足りない気がして仕方がないのでした。

食堂を見渡すと … お茶を飲みくつろぐ多恵子、セクシーに髪型のアドバイスを受ける誠、正のマッサージに気持ちよさそうな師匠、勇気をあやすマリヤと剛 …

「そうか … ホテルとして、考えるからいけないんだ … ここにフラッと遊びに来たくなるような、そんなお店にしたらいいんだ」

… … … … … …

「 … 食べたくなったら食べて、飲みたくなったら飲んで、ヘアメイクとかマッサージが必要な人はやってもらって … お客さんが、泊まっちゃおうかなって気分になったら、二階に部屋ありますけど … みたいなノリにしたら …

キャッチフレーズは … ここにいる人は、皆、家族だ!」


純の考えたキャッチフレーズが気に入った剛がチラシを作ると、張り切りだしました … いつまでも「里や」にいるけど、勤務中じゃないの?

マリヤの発案で、お香も焚いてみることにしました。

皆がそれぞれの趣味や特技を生かしたり、アイデアを出したり、だんだん盛り上がってきました。

… … … … … …

そんな雰囲気の中 … そっと羽純が外に出ていくのを、純は見逃しませんでした。

後をつけてみると、コインランドリーのイスに腰掛けて、浮かない表情で、いつものようにジュースをチュルチュルしていました。

純が声を掛けると、羽純は、寂しそうに笑って言いました。

「何かあたしだけ、できることがないなと思って … 純ちゃんは、すごいよ … 夢中になっていろんなこと考えて … ぐいぐい皆のこと引っ張ってるよ」

「羽純ちゃんだって、自分で気づいていないだけで、羽純ちゃんにしかできないこと、きっとあるよ」


決して、なぐさめでなく、純は本当にそう思っていました。

「そうだ、一緒に考えてよ … ウチのホテル、何かが足りないと思うのよ」

… … … … … …

純は、帳場の横に開いたスペースを指して言いました。

「ここら辺なんだよな、やっぱり … ここら辺に何かが足りないの」

羽純は、何が足りないのか、一生懸命に考えました。

「何かが … 足りない? … 何かが … 」

食堂内を、少しずつ見渡してみました。

愛に手ほどきを受けてセニョールが作った料理を師匠が褒めています … マリヤが用意したお香を嗅いでいるセクシー … 誠の写真を撮っている剛 … 正のマッサージを受けている愛 … 

羽純は、ひらめき、思わず声をあげました。

「聴覚!」

皆の視線が自分に集まったので、少し戸惑いながらも羽純は言いました。

「五感のうち、聴覚の売りがない、まだ」

… … … … … …

「音楽とか、聴けないの? ここ … 」

カウンターでお茶を飲んでいた多恵子がそう言いました。 … それが物足りないと思っていたようです。

純の頭の中の知恵の輪が外れました。

「わーーーっ!」

羽純どころではない大きい … 叫び声です。これはもう …

「ジュークボックス! … 何で気づかなかったんだろう?!

ここにジュークボックスを置けばいいんだ!」


帳場の横のスペースは、ちょうどそのくらいの広さでした。

… おじいのホテルにあったような、ジュークボックス … 

「ここにジュークボックスあったら、完璧だと思わない?!」

これで、問題解決 … と思いきや … そういうわけにはいきませんでした。

すかさず、愛がネットで価格を調べてみると … 40万!!

「 … とても無理ですね」 … 撃沈 …

… … … … … …

「絶対いいアイデアだと思ったのになあ … 」

頭をかきむしる純 … こういう時に起こる症状 … さっきから、頭の中で「ひなまつり」がずっと流れていました。

「あれ? 二番何だっけ …

♪ お内裏様とお雛様 … ふたり並んで、すまし顔 … ♪

「そのあと、何だっけ? … もやもやする、もやもやする」


… … … … … …

♪ お嫁にいらした、姉様に、よく似た官女の、白い顔 … ♪

純がわからなかった続きを、羽純が歌い切りました。

「ねえねえねえ、あんたさ … ヘドバとダビデの“ナオミの夢”って歌える?」

師匠が、羽純の世代では、まず知らないような歌手の歌をリクエストしました。

♪ 一人見る夢は、素晴らしい君の … ナオミ・カンバック・トゥ・ミー ♪

見事、難なく歌ってみせました … 大喜びの師匠。

「何で歌えるの?!」

興味津々、純が羽純に尋ねました。

「いや、友達いなかったし … いつも、ひとりカラオケだったから … ある曲、片っ端から歌っていたの」

本人は、そう思っているようですが … 歌が好き、歌う才能があったことが … 一番の理由でしょう。

… … … … … …

「ねえ、じゃあ、あんたさ … “おぼろ月夜”って、知ってる?」

多恵子のふいのリクエストに、羽純はうなずくと、歌い始めました。

♪ 菜の花畠に、入日薄れ、見わたす山の端、霞ふかし … 春風そよふく、空を見れば、夕月かかりて、にほひ淡し ♪

… 「おぼろ月夜」を歌い始めた途端に愛と誠の様子がおかしくなったと感じた純は、どうしたのか尋ねました。

「ああ、純が … 弟の純が、中学生の時、合唱コンクールで歌うはずの曲だったんです」

兄が、妹が、辛そうに答えました。

「ママ、喜ばせようと思って、すごい練習したんやけど … 結局、具合悪くなって、出られへんかったんや、純ちゃん … 」

♪ 里わの火影も、森の色も、田中の小路をたどる人も … 蛙のなくねも、かねの音も … ♪

母は … 今は亡き我が子が、自分のために歌ってくれるはずだった歌を、耳にして … 誰はばかることなく、涙を流していました。

♪ … さながら霞めるおぼろ月夜 … ♪ 

「ありがとう … 」

純は、こんなに素直に誰かに礼を言う多恵子をはじめて見たような気がしました。

… … … … … …

羽純の唄に皆から拍手が起きました。

「 … 羽純ちゃんにしかできないこと、あったよ」

羽純には、純の言っていることの意味がよく分かりませんでした。

「あなたの思い出の曲を歌います … どんなリクエストでも、歌えますって …

キャッチフレーズは … 人間ジュークボックス!」


羽純は、自分にしかできないことを、自分自身の手で見つけたのです。

「人間ジュークボックス … 」

そうつぶやいてみました。

… … … … … …

これで、「里や」の売りが五感全部そろいました。

「ねえ、こうなったら、第六感も満たしちゃう?」

そう純が振ると誠が答えました。

「愛ちゃんの本性占いで?!」

以前なら、シャレにならない冗談でしたが …

「勘弁してくださいよ … 最近、余程のことがない限り … 本当に殆ど見えないんです」

その言葉は、カウンターの多恵子にも届きました。

「それは … やっぱり、幸せだから?」

「たぶん … 」


愛は、純にそう答えました。

その時の多恵子の顔は、ほっとした … 肩の荷が下りたような、おだやかな表情に見えました。

… … … … … …

「あらあ、どうしたの? 盛り上がっちゃって … 」

金策に走り回っていたサトのお帰りです。

純は、待ちかねていたように、今日の出来事を話そうと、サトに駆け寄りました。

「こんばんわ」

サトの後に続いて、人相の悪い男たちが、「里や」に入ってきたのです。

「いっらしゃいませ!」

… … … … … …

客と思って、あいさつしたのですが … サトの表情がこわばっているのに純は気づきました。

「あの、この方たちは … お客さんですか?」

頭を振るサト。

「あたしにお金を貸してくれた方々 … 」

へ?

「ごめん!」

いきなり、皆に向かって頭を下げるサト。

「返済待ってくれって、頼んだけど … ダメだったあ!!」

うそ …


※ヘドバとダビデ「ナオミの夢」収録

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2013年02月14日 (木) | 編集 |

第113話

純たちの頑張りを横目に、ホテル内の不要なものを次々と処分するサト。そんな中、純は愛の料理の腕前を生かすなど、里やの看板サービスを次々と考案していく。

(2012年2月8日 NHKネットステラ)


お父ちゃん、女将さんが「里や」を畳むと決めて、いろんなものを処分してしまったので … こんなことになってしまいました。

イスやテーブル等が運び出されて、もぬけの殻のようにガラーンとした食堂に佇む純たちでした。

「女将さん、お願いだから出てきてください … 皆、“里や”のことが大好きで、ここに残りたいって思ってるんですよ」

小部屋の扉をノックしながら、そう訴える純。

「忘れたの? … 私にもう二度としゃべるなって言ったの … ついでに、お義母さんたちに出ていくように言っといてくれる、もうすぐここ明け渡さないといけないんだから!」

サトは、それだけ言うと、また小部屋の中へ戻って行きました。

「 … 今度こそ、もう無理よ … 女将さんがあれじゃ」

セクシーが再び荷物を手にしました。

「もういいよ、あんな伯母さん、見損なった」

羽純も出て行こうとしています。

「 … 女将さんの命令なんで」

申し訳なさそうに、そう言ったセニョールも荷物をまとめました。

お父ちゃん、嫌だよ … これで、皆とお別れなんて

… … … … … …

「里や」を出ていく三人 … やっぱり、あきらめきれない純は、あとを追って、前に回って立ちはだかりました。

「いい加減、あなたもあきらめたら?」

士郎との生活を守りたいセクシー、それだけ切り替えるのも早いのでしょうか。

その時、純の背後で男のすすり泣く声が … 師匠でした。

大好きだった男に手作りチョコを渡したのですが、気持ち悪いって、めちゃめちゃにされて返されたと泣いているのでした。

そうか、今日は、バレンタインだった …

座り込んでしまった師匠を、皆でなぐさめていると、そこに … ビジネスホテルで働いているはずの正が走ってきました。

「 … 会社、クビになった」

早すぎっ … 正の話によると、肩がこっているという女性客にサービスのつもりでマッサージしてあげたら … 気持ちがいいから、部屋でやってくれと頼まれて … 言うとおりにしていたら、誤解した女性の旦那に、散々どつかれて … 

「しかも、その相手がウチのホテルの社長だったんだよ」

何やってるんでしょう、この兄貴 …

「お母さんには、内緒にしておけよ … 心配するから」

そう口止めをした直後、正が固まりました。

愛に連れられた晴海がこちらに向かって歩いて来るのです。

… … … … … …

「今日、バレンタインデーなんで、皆さんに食べてもらおうと思って、お義母さんと一緒にケーキ焼いてきたんです」

にっこりと、愛と晴海。

「ここで立ち話するのも何だし … 中でケーキ食べながら、話しません?」

純の提案で、一同、「里や」に逆戻りです。

… … … … … …

「あらあら … これ、どうしたの?」

何もなくなっている食堂を見て、晴海が驚いています。

純が言葉に詰まっていると、「里や」の中をフラフラしていた多恵子が冷めた口調で晴海に説明しました。

「もうすぐ、このホテルに見えないホテル無くなるんで、いらないものは、全部処分しちゃったみたいですよ」

… 晴海は、多恵子のことが誰だか、わからないようでした … メイクのせいか、病気のせいか …

「いとし君のお母さんだよ、ちょっとイメージチェンジしたから、わからなくなっちゃったかな?」

理解できたのかどうか … 晴海は、少し戸惑っているような、愛想笑いです。

それより、愛の方が、母の変わりように驚いていました。

「この人にやってもらったんですよ、お母さんもいかがですか?」

多恵子が、晴海の前にセクシーを連れてきました。

「 … じゃあ、お願いしようかねえ」

はにかみながらも乗り気の晴海、純も喜んで勧めました … しかし、もうここには、座るイスひとつありません。

「あ、だったら、剛に電話したら?」

リサイクルショップに就職した剛が、粗大ゴミ同然の家具が山ほどあると言っていたことを思い出したのです。

… … … … … …

早速、純が電話をして、余っているテーブルやイスを持ってきてくれるように頼んだのですが … 面倒くさがって、なかなか言うことを聞きません。

誠が純の電話を奪い取りました。

「別にええで、ツヨキチ … あたしのチョコはいらへんのやな」

… … … … … …

特急便で、イスやテーブル、応接セットetc … 見事にそろえて運んできました。

「里や」に元あったものより立派なくらいです。

一仕事済んで、誠に向かって手を出して催促する剛ですが、元々何も用意しているはずはなく … 適当にはぐらかされてしまいました。

… … … … … …

無料とはいえ、経営者に無断でそろえたイスやテーブル … 愛の持ってきたケーキや料理がふるまわれて、「里や」は一気に賑やかになりました。

「あれ、お義母さん、肩こっているんですか?」

肩をさすりながら、つらそうな顔をしている多恵子が目に入った純、マッサージしようと、その肩に触れようと …

「触らないでって、言ってるでしょ!」

いつものように拒絶された純 … しかし、またまたひらめきました。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん … 揉んであげて! … お義母さん、よかったら、ウチの兄が肩揉みます … すごい上手なんです!」

… … … … … …

多恵子の肩に手をやる正。

「あ、かなりこっていますね」

正にマッサージされるがまま、黙ったままの多恵子。

純が恐る恐る、塩梅を尋ねました。

ガクッとうなだれたかと思ったら … 唸り声 …

「あ”~っ」

何事が起きたかとあせる純。

「 … きもちいい、こんなのはじめて」

ため息、恍惚の表情 … こんな多恵子はじめて

… … … … … …

純は、確信しました。

「お兄ちゃん、もしかしたら … これ、天職かもよ?」

多恵子のマッサージを続けながら、正は純の顔を見ました。

「この際さ、思い切って、“里や”のマッサージ師にならない? … 仕事、クビになったんだし」

純は、口が滑りました。

「バカ、お前!」

セクシーにヘアメイクしてもらっている最中の晴海の耳にも届いてしまいました。

「正、ほんとう?」

慌てて繕おうとする正でしたが、純はもう構っていません。

「でもさ、お義姉ちゃんもお兄ちゃんにマッサージしてもらっているとき、本当に幸せそうな顔しているし … ずっと泣いてる勇気が笑ったのも、お兄ちゃんがなでたからでしょ?

… お兄ちゃんの手は、“ゴッドハンド”なんだよ!」


そう言われると、本人も何となく思い当たる節がありました。

「そうだ! … いとし君の料理に、セクシーさんのヘアメイク、お兄ちゃんのマッサージまでつけたら … こりゃあもう、パラダイスだよ、絶対!」

… … … … … …

「できました」

晴海のヘアメイクが終わりました。

「あら、晴海 … 高校のころに戻ったみたいよ!」

師匠が声を上げしました … 実際、今までより数段、若々しく、可愛らしく、表情まで明るく見えます。 … ああ、メロちゃんが生きていたら …

鏡を手にした晴海も満足しているようです。

廃業するなんて嘘のように、楽しい宴は続いています。 … サザンアイランドが閉鎖する前の日もそうでしたが …

… … … … … …

「あ~っ! … もう絶対、お客さん来ると思うんだけどなあ … もっとこう、お客さんが喜ぶようなアイディアないかなあ?」

せっかく、看板になるサービスが揃ってきたのに、このまま止めるなんて悔しすぎます … 純は、頭をかきむしりました。

その様子に気がついた羽純 … 突然立ち上がって、サトがこもっている部屋の扉を叩きました。

「伯母さん、出てきてよ! … あたし、本当にここで働きたい … 頑張ってどんなことでもするから … お願い、伯母さん …

止めるなんて思わないで、出てきてよ!」


… … … … … …

「あ~もう、うるさいね、あんたは!」

扉が勢いよく開いて、サトが飛び出てきました。

何処かへ行きそうなサトの行く手を純が遮りました。

♪ ちょっとちょっと待ってよ、女将さん … いったい何処へ行くのです? ♪

しゃべるなと言われたから、歌っていると説明する純を押しのけて進むサト。

「行かせません!」

セニョールが両手を広げて阻みました。

「私は … 好きなんです … サト … “里や”があ! … いとしさんに教わって、お客さんが残さない料理作れるように頑張りますから!」

「お願いします」と、サトの前に土下座しました … こんなに強く自分の意志を主張したセニョールは初めてです。

… … … … … …

セクシーも歩み出てきました。

「女将さん、あたしも初めてここに来たとき、何て汚い店だと思ったけど … 今では、“里や”が好きなんです! … ここでもう一度、ヘアメイク、頑張ってみたいんです!」

困ったような、サト。

「ここは、孤独な人間のオアシスなのよ … ここに来たら、ああ自分はひとりじゃないんだって、そう思えるのよ … そんなお店、あんた、簡単になくしていいわけ?」

師匠の言うとおりでした。

「頼むから、考え直して、伯母さん」「頼みます、女将さん」「頑張りますから」 …

ひとりひとりが、次々に、サトに頭を下げて頼みました。

愛も、正も … そして、晴海も

「女将さん、私もここ来ると、ホッとできますよ」

… … … … … …

皆の意見をまとめるように、純が言いました。

「女将さん、お願いします … あたし、お父ちゃん亡くしたから思うんです … ここに来た人、皆が家族になれるような、そんな場所にしたいって … 」

食堂にいる皆が、「お願いします」とサトに向かって頭を下げました。

「 … ドラマチックだねえ

… って言うか、馬鹿だね、あんたたち! … こんなところにいてもロクなことないのに … 他のところに行った方が、もっと幸せになれるのにぃ … 何言ってるのよ、みんなあ」


泣き出してしまいました … サト陥落の瞬間でした。

「わかったよ! … もうひと踏ん張りして、お金貸してくれそうな人、探しに行くから!」

… … … … … …

「本当ですか?!」

その代り、ひとつ条件があると、サト。

どんなことを言い出すのか、息をのむ一同 …

「これからは … 女将さんじゃなく、ボスって呼んでくれる? … じゃなきゃ、やる気起きないんだよね」

無邪気な条件を微笑ましく感じた純。

「わかりました、ボス!」

今度は、皆が次々にサトのことを「ボス」と呼びました。

満足そうに笑ったサト … 思い出したように、トイレに駆け込んでいきました。

「もう限界だからあ!」

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2013年02月13日 (水) | 編集 |

第112話

里や再建案をあれこれ思案する純と愛と里や従業員。そこに羽純(朝倉あき)の両親が、娘を連れ戻しに現れて!?

(2012年2月8日 NHKネットステラ)


「ごめんね、悪いけど、あたし … 脚本家になるって決めたの … じゃあ、シナリオコンクールで書いているやつ、続き書かなきゃいけないから」

… 秘密の小部屋に消えてしまった、サト。

「結局、あきらめるしかないみたいね」

サトに紹介された美容室に連絡を取ろうとするセクシーを純が引き留めようとした時、夫婦らしい旅行客が「里や」に入ってきました。

そのふたりを見て驚くチュルチュル。

「羽純、サトさんから電話もらったよ、一緒に那覇に帰ろう」

チュルチュル … 羽純を迎えに来た両親でした。

「拒否!」

ふたりを押しのけて、「里や」を飛び出して行くチュルチュル、そのあとを追う両親。

「 … それじゃあ、来週からお世話になりますから、よろしくお願いします」

この間に、セクシーは、美容院と話をつけてしまったようです。

「待ってください、セクシーさん、もうちょっと考え直してください」

純は、愛に助けを乞おうとしたのですが …

「ああ、純さんすみません! ヘルパーさんとの交代時間、間違えてました」

ヘルパーからのメールを見て、愛は急いで帰ってしまいました。

セニョールも、サトにいいつけられた火の始末に行ってしまって … 残された従業員は純だけです。

「 … お終いみたいね、このホテルに見えないホテル」

食堂の隅の席で様子を見ていた多恵子は、そう言うと、誠に連れられて、ふらつく足取りで客室に戻って行きました。

お父ちゃん、返す言葉が、ナッシング …

… … … … … …

疲れた足取りで、アパートに戻ってきた純。

ドアを開けて驚きます。

愛と晴海と一緒にチュルチュルが座っていたのです。

「 … どうしても、かくまってくれって、お願いされて」

… … … … … …

「 一体何があったの? … 協力してあげたいけど、しゃべってくれないと、何にもできないよ」

黙って下を向いたままのチュルチュルに、純が諭すように言いました。

「私は … 」

… でも、そのあとの言葉がどうしても出てきません。

そんなチュルチュルの手を取り、顔をのぞきこみながら、晴海がやさしく尋ねました。

「あなた、名前は何?」

… … … … … …

「 … 羽純」

長い間があって、チュルチュルは答えました。晴海は、年齢を訪ねました。

「十九です」

「 … あなた、宮古の海みたいよ … 透き通って、本当にきれいさぁ」


晴海の言葉に、チュルチュル … 羽純は、頑なな心が解かれたかのように、しゃべり始めました。

「私は … 昔から、私が話すと、良いことなんてひとつもありませんでした」

… … … … … …

「 … 小学校で友達ができるたんびに、うれしくて、好きな本とか、音楽とかいっぱい教えようとしたら … 結局いつも、あんたうるさいよって言われるし … 中学のクラス会や部活で、仲良くしようとか、頑張ろうって言うと、きれいごと言うなって … 仲間外れにされて … 」

羽純は、辛かった思い出話をしゃべり続け、晴海と純と愛は、黙って耳を傾けていました。

「 … でも、大学の時にやっと私のことわかってくれる人が現れて … 彼のこと、本当に好きだったし … 私、彼と一生一緒にいたかったから … 駆け落ちしようと、那覇空港で待ち合わせしたけど … 何時間経っても彼は現れなくて … 結局、一通メールが来て … “君は、重い”って書かれていて」

しゃべるうちに思いがこみ上げてきて、羽純の目から涙がポロポロこぼれてきました。

「 … そしたら、何でか“里や”の伯母さんのこと思い出して … 気がついたら、“里や”の前にいて …

その時、決めたんです … また私がしゃべって、人が離れていくのがいやだから … 死ぬまで、必要最低限のことしか、言わんどこうって」


… … … … … …

一気にしゃべりきった羽純。

この子は、あたしの鏡だ … 純は、そう思いました。

「何だ、あたしたち似てるよ … 」

そう言われて、羽純は、純の顔を見ました。

「あたしもね、自分が正しいって思ったことは、素直に言っちゃうタイプなんだけどさ … でも、そうすることで、結局周りの人を怒らせたり、迷惑かけたりしてるもん … 自分がね、もう何もしゃべんない方がいいんじゃないかって、思ったことも一度や二度じゃないし … 」

… 視聴者なら誰でも知っていることでした。

「でもね、どんなに辛くても、自分の思っていることを正直に伝えることを、怖がっちゃいけないと思うの … おじいが言ってたの … “言葉は、まほうの源で、人を癒したり、救ったりする力があるんだよ”って」

… … … … … …

「だからさ、羽純ちゃんも、これからは、あたしたちにならいくらでも話していいから」

羽純の表情から、険しさが消えました。

「よくしゃべったねぇ、良い子だねぇ」

そう言って、晴海が抱くと、母の胸の幼子のように羽純は声を上げて泣きました。

… … … … … …

「おはようございまぁす」

純と羽純が出勤すると、ちょうど、荷物をまとめたセクシーが士郎を連れて「里や」を出て行こうとしているところでした。

必死に引き留めているセニョール、純も慌てて止めます。

「向こうの美容院も早く来てくれって言ってるし … あんたもいい加減、あきらめたら?」

… … … … … …

「ちょっと待って … 」

二階から、よろよろと下りてきた多恵子でした。

「ねえ、あなた、本当に美容師なの?」

どんな思惑があるのか知りませんが、多恵子は、セクシーに自分の髪をカットするよう依頼(命令?)しました。

多恵子に恩があるセクシーは、ひとまず出ていくのを止めて、多恵子の言うことに従いました。

… … … … … …

す、すごい、何だ? … この鮮やかな手つきは?!

まるで、まほうを見ているように … 純は、セクシーの鋏さばきに見とれていました。

「メイクも少し変えた方がいいと思うんですけど?」

セクシーの提案に多恵子は「任せるわ」と一言、ニッコリとうなずいたセクシー。

… どちらかと言えば、覇気なく働いていたセクシーとは別人、水を得た魚のようです。

… … … … … …

メイクも終わり、セクシーは多恵子の座っているイスをくるっと回転させて皆の方に向かせました。

目を丸くする純 …

手渡された鏡で、我が身を見た多恵子も、驚きのあまり言葉を失っています。

「ええやん、ママ … ものすごい若く見えるし、ものすごい優しくて、ええ人に見える」

誠が絶賛しました。

「すっごいきれいです、お義母さん … 何て言うか、ずっとそのままでいてくれないかなって、感じです」

いつもなら、純が何か口を出すと、怒鳴り散らす多恵子でしたが、今日は聞き流しました。

一言も発しない多恵子に不安を感じたセクシーが言いました。

「あの、何かご不満でしたら、直します」

ちょっと考えたあと多恵子が答えました。

「いいわ、これで … いくら?」

… 言葉にはしないけど、結構気に入っているようです。

「結構です … いつか助けていただいたお礼ですから」


セクシーのヘアメイクの腕も、きっと「里や」の売りになると思った純は、辞めないでくれと懇願しました。

しかし、セクシーが気になるのは、サトのことでした …

「それは、あたしが説得しますから … 」

… … … … … …

純が小部屋の扉をしつこくノックすると、あきれたような顔をしてサトが出てきました。

「あらぁ、あんたたちまだいたの?」

「女将さん、ウチのお義母さん、セクシーさんのヘアメイクで、こんなに素敵になったんです!」

純が大げさに紹介すると、誠がカウンターに座っている多恵子をサトの方に向かせました … 今日の多恵子は、されるがまま、文句を言いませんでした。

「うわー、本当だ、すごいですね」

セリフ棒読みのセニョール。

「いえいえ、そんなことは」

同じく、セクシー。

何事が始まったのかと … 困惑するサト。

「いとし君の料理に、セクシーさんのヘアメイク、これをふたつセットにしたら … 女性のお客さんがたくさん増えると思いませんか?」

決めセリフの純です。

「 … 名づけて、あなたも華麗に変身コース!」

… … … … … …

「私も頑張りまーす!」

そう言ったセクシーが、次のセリフの番の羽純に合図しました。

しかし、羽純は上手くセリフが出てこなくて …

「あんたたちは一体何をしているのかな? … さっきから」

我慢の限界 … サトが半分怒ったように聞きました。

熱血ドラマ風にしたら、ドラマが好きなサトが考え直してくれるのでは、という浅知恵でした。

「悪いけど、下手な芝居見るのが、一番ムカムカするのよね、あ・た・し」

… … … … … …

そこへ、数名の男が「里や」に入ってきました … サトが依頼した廃品回収業者の作業員たちです。

「この辺のイスとかテーブル、全部持って行ってくれます?」

男たちは、片っ端からどんどん運び出しはじめました。

「女将さん、あの、どういうことです?」

「もう必要ないから処分しているだけだけど … 」


… … … … … …

「女将さん、本当にこれでいいんですか? … “里や”って名前は、亡くなった旦那さんが、女将さんの名前から、取ってつけたんですよね?

… 旦那さんの愛がいっぱい詰まっているんじゃないですか? ここには」


サトもそんなことは、純に言われるまでもなく、百も承知の上でのことでしょう … 突然、止めると言い出したのも、限界まで、人知れず、ひとりで何とかしようと頑張っていたから … とは、思えないでしょうか?

「傷ついた … あんたの言い方は、人を傷つけるのよね …

もうしゃべらないでくれる? あたしに」


今までにも、いろいろな人に同じようなことを言われてきた、純でした。

… … … … … …

それは、羽純が小学生のころから言われ続けてきた言葉でもありました … でも、辛くても、自分の思っていることを正直に伝えることを怖がってはいけない …

「お、伯母さん … 私も、ここ無くなるの嫌だ … 一生懸命、働くからさ … 考え直してくれないかな?」

しかし、今のサトは、おじいのホテルを売り払った時の善行のようでした。

「あんたは、親と一緒に沖縄に帰んな!」

まとめておいた荷物を羽純に押しつけました。

「あんたも早く、紹介した店に連絡したら? … これは、命令だから」

そう言われたセニョールは、頭を振りましたが … 彼にとって、サトの命令は絶対でした。 … 今までは …

「皆も早く出て行ってくれない? … じゃあ、あたしシナリオの続き書かなきゃいけないから」

取りつく島もなく、小部屋に戻ってしまうサト。

ホテルを手放す代わりに、再び営業畑で活躍することを夢見た善行のそれが、サトにとってはシナリオライターなのでしょうか? … 敵うことない、はかない夢 … ???

… お父ちゃん、こういうの四字熟語で何て言うんだっけ? … 呆然自失?

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2013年02月12日 (火) | 編集 |

第111話

そんな中、多恵子(若村麻由美)が里やへ。仕事が絶不調の多恵子を休ませようと、誠(岡本玲)が連れてきたのだ。そんな母の希望で、愛はペスカトーレを作る。

(2012年2月8日 NHKネットステラ)


グッドタイミングで登場した多恵子 … ですが、何か様子がおかしい … まるで、半病人のようです。

「 お義母さん … 今日はどうして?」

純が尋ねると、機嫌が悪そうに答えました。

「誠が久しぶりに、一緒に出かけようって言うからついてきたら、こんなところに来ただけよ」

帰ろうとする多恵子を純は慌てて引き止めました。

「触らないでよ! 見ているだけで不愉快なんだから、あなた!」

純の手を振り払った多恵子。

「すみません … でも、ここにいる皆のために聞いていただきたいことがあるんです」

… … … … … …

サトがこもっている小部屋の扉をノックする純。

しつこく続けていると、いきなり開いて、サトが顔を出しました。 … こちらのおばさんも不機嫌そう …

「あの、借用書と帳簿ってよかったら、見せていただけませんか? … ここが無くなる前に参考までにみておきたいなあ、なんて思って」

不審な顔をしていましたが、割とあっさりと渡してくれました。

「何考えているか知らないけど、あたしの気は変わらないよ」

… … … … … …

しかめっ面で借用書と帳簿に目を通す多恵子。

「こんなもの … 」

と言って、書類の束を放りました。

「何か、わかりました?」

期待を込めて、純は聞きました。

「 … 全然わからない … ああ、疲れたわ … 寝かせてくれる?」

フラフラと立ち上がると、危なっかしくよろけました。

… … … … … …

客室に床を用意すると、爆睡する多恵子。

部屋の外から覗いて、多恵子の様子を心配する純と愛と誠。

「最近、ずっとあんな感じやねん … 仕事はやる気ないし、裁判も連戦連敗で … この前なんか、ウチの法律事務所畳もうとか言いだして … 」

誠の話を聞きながら、愛もこんな多恵子を今まで見たことがないと思いました。

「 … ここに連れて来たら、ちょっとは元気になってもらえるかなって … 前にここに来たとき、久しぶりにぐっすり眠れたって、言ってたし、ママ」

多恵子に頼るのは無理のようです …

… … … … … …

頼みの綱の多恵子を当てにできないことがわかって、「里や」一同は途方に暮れかかっていました。

「ねえねえ、あれからどうなった?」

師匠が気にして顔を出しました。

「それが、莫大な借金があるってことは、わかったんですけど … 」

サトは、あれから小部屋にこもったままです … 中で何をやっているのやら?

… … … … … …

「ねえ、もうあきらめるしかないんじゃないの?」

セクシーの後ろ向きな発言に、純は皆を鼓舞しますが … 具体的な借金の返済案は出てきません。

「あ~~~っ!」

いきなり、叫び声をあげる純、驚いて師匠が何事かと尋ねました。

「いや、ホテル経営って大変なんだなって … 」

… あの頃の善行の辛さやいら立ちが、今になってわかるような気がする純です。

「今更、何言うてんねん」

誠に突っ込みを入れられました。

… … … … … …

何気なく階段の方を見た愛 … 壁を伝いながら、おぼつかない足取りで下りてくる多恵子が目に入りました。

最後の一段でひっくり返ってしまいます。

「お義母さん!」

助け起こそうとする純を、ものすごい剣幕で、またまた振り払いました。

「だから、触らないで!」

立ち上がり、よろけながらも、テーブルに向かって這っていく … 貞子のように。

「 … おなか、お腹すいたんだけど、何か食べるものないの?」

… … … … … …

「あ、沖縄そばでいいですか?」

そう言ったセニョールに、多恵子がNGを出しました。

「だめ、沖縄料理じゃないの作ってくれる? … ペスカトーレでいいわ」

やっとのこと席に着いた多恵子、セニョールには無理な注文をしました。

「何言ってるの? あなた、プロでしょ?! … そんなこと言ってるから潰れるんじゃないの、こんなホテルには見えないようなホテル」

セニョールはもとより、誰も多恵子に反論することができません。

「わかりました、ペスカトーレですね … 喜んで」

一歩前に出たのは、愛でした。

… … … … … …

厨房に入り、手際よく調理をはじめる、愛。

その見事な手さばきを魅入られたように見つめるセニョール。

多恵子のテーブルに皿に盛られたペスカトーレが運ばれました。

「美味しそう~」

誠が歓声を上げます。

フォークにとって一口入れた多恵子の動きが止まりました。

「どうですか? … いとし君の料理、何でも美味しいんですけど … 」

一同が固唾をのんで見守る中、純が尋ねました。

「そういや、初めてやろ? ママ、愛ちゃんが作ったもの食べるの … 」

… … … … … …

「 … まあ、食べられるんじゃない」

決して、素直に褒めることができない多恵子、ニッコリ笑って、礼を言う愛。

「とか言って、めっちゃ食べてるやん、ママ」

誠がちゃちゃを入れても、気にすることなく黙々と食べ続けています … それが答えでした。

その様子を見ていた純の腹の虫が鳴りました。

それをきっかけに愛が声を掛けます。

「皆さんも食べませんか? … 腹が減っては、何とやらって言いますし」

… … … … … …

待ってましたとばかりに、めいめいそれぞれ好きなメニューを愛にリクエストしました。

師匠はゴーヤチャンプル、誠は麻婆豆腐、士郎はハンバーグ、セクシーはグラタン、チュルチュルはオムライス、純はやっぱりクリームシチューです。

「ニース風サラダを、一度食べてみたかったんで … 」

セニョールが普段、料理の手引きに使っているレシピ本を広げて見せました。

「喜んで!」

… … … … … …

厨房の冷蔵庫には、どのリクエストにも応えることができそうな豊富な食材がありました。

… こういうところも経営を圧迫した原因のひとつでしょうか?

「じゃあ、作りましょうか? … セニョールさんも手伝ってください」

セニョールは、うれしそうにうなずきました。 … 本当に良い人です。

… … … … … …

厨房で、テキパキと料理をする愛、セニョールへの指示も的確で、呼吸もぴったりです。

愛の違った一面を見たような気がして … また頼もしく感じている純でした。 

生き生きとしているセニョールを見るのも初めてでした。

… … … … … …

「ボナペティ」

テーブルに並べられたご馳走を前に愛が言いました。

「いただきまーす!」

お望みの料理を口にした、皆から称賛の声が上がりました。

「美味しい、セニョールさん」

美味しそうに、幸せそうに料理を頬張る笑顔を、うれしそうに見つめるセニョール。

「あの … 師匠」

セニョールは、師匠~志道ではなく、愛のことをそう呼びました。

「えっ、僕?」

愛は戸惑っています。

「これからもいろいろ教えてもらえませんか? … 自分が作った料理、こんな顔して食べてもらったこと、一度もなくて … お願いします!」

… … … … … …

「そうだよ、いとし君! これから、セニョールさんと一緒に美味しい料理、作って行けばいいじゃない!」

純が手を叩きました。

「でも、ここが無くなったら、そんなことしても、意味ないとちゃうん?」

盛り上がりかかった火に水を差して現実に戻す誠。

… … … … … …

「女将さん?!」

美味しそうな匂いに誘われたサトが、小部屋から這い出てきました。

「あらぁ、良い匂いがすると思ったら、美味しそうだねえ」

すかさず、愛が尋ねます。

「女将さんは、何が食べたいですか?」

… … … … … …

「じゃあ、ヴィナーシュニッツェル!」

純には聞いたことがない言葉(料理)でした。

「オーストリアのカツレツですよね?」

愛は何でも知っている …

「死んだ旦那とウィーンに行った時、食べたの … あの味が忘れられなくて … 」

懐かしそうにそう話す、サト。

「わかりました、作ります … 喜んで!」

… … … … … …

愛の作ったヴィナーシュニッツェルを口にするサト、心配そうな純に言いました。

「天才だね、あんたの旦那! … 何か、ウィーンでの思い出がよみがえって、泣けてきちゃったなあ … 」

そんなサトを微笑ましく見ていた純、突然ひらめきました。

「 … 女将さん、あたし考えたんですけど … これから、いとし君に料理を作ってもらって、“里や”の売りにするってのはどうでしょう?

沖縄料理だけじゃなくて、世界中のどんな料理もできる奇跡のメニューって宣伝すれば、きっとお客さんいっぱい来ると思うんです」


サトの表情が曇りました。

「 … 借金を返すのは、簡単なことじゃないってことはわかっています … でも、ここにいる皆でもう一度頑張ってみませんか?

あたし、このまま何もしないで、あきらめるの嫌です」


黙ってカツレツを食べ続けるサト。

「女将さん、僕からもお願いします」

愛も頭を下げました。

「自分も頑張りますんで … 」

続いて、セニョール、他の従業員も一斉に頭を下げました。

「お願いします」

… … … … … …

何も言わず、料理を平らげたサトは、「ご馳走様でした」と手を合わせると、立ち上がりました。

「 … 女将さん?」

「ごめんね、悪いけど、あたし … 脚本家になるって決めたの … 日本のドラマ界の未来のために」

また本気か冗談かわからないようなことを言う、サトですが … 今度のはあまりにも想定外 …

開いた口がふさがらない状態の一同 …

「じゃあ、シナリオコンクールで書いているやつ、続き書かなきゃいけないから」

そそくさと、元の小部屋に戻ってしまいました。

… 女将さん、マジすかあ?

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2013年02月11日 (月) | 編集 |

第110話

晴海(森下愛子)と剛(渡部秀)は、純(夏菜)と愛(いとし・風間俊介)のアパートの隣へ引っ越し。正(速水もこみち)はビジネスホテルで働き始め、狩野家はそれぞれ新たな道を進み始める。そんなある日、突然サト(余貴美子)が里やを畳むと言いだす。

(2012年2月8日 NHKネットステラ)


お父ちゃん、お葬式の後、お兄ちゃんにこんなことを言われました …

「これから、ウチの長男は … 純、お前だ、これからお前が一家の長として、家族の問題を全部決めるんだ」


… だから、お母ちゃんには、隣の山田さんが引っ越した隣の部屋に剛と住んでもらうことに決めました。

そうすれば、何かあってもすぐ、いとし君が来られるし、足りないところは、ヘルパーさんに助けてもらおうと思って … ちなみに剛は、心を入れ替えるとか言って、生まれて初めてネクタイを締めて就活しています。

お兄ちゃんも、女将さんが紹介してくれたビジネスホテルで働くことになりました … お母ちゃんが嫌がるし、お姉ちゃんの嫉妬も凄かったからさ。

こんな感じで家族皆が、前向きでがんばろうとしていたら …


… … … … … …

何と突然、女将さんがとんでもないことを …

そんなある朝、サトは、「里や」のスタッフ全員を食堂に集めました。 … 何か話があるようです。

「大したことじゃないのよ … ここを畳むことにしたから」

そう、あっけらかんと話すサト … 純は、我が耳を疑って、聞き直しました。

「だから、急に悪いんだけどさ、今週いっぱいで止めることにしたから、ウチのホテル」

聞き間違いではありませんでした。

… … … … … …

「ど、どうしちゃったの、皆? … 固まっちゃって」

あまりのショックに思考停止の一同。

「 … いきなり辞めるとか言われても … 納得できないですよ、あたしたち」

純がホテルを止める理由を問いただすと、余りドラマチックじゃないからと言いながらも、サトは、しかたなく話しはじめました。

「要するに、借金で首が回らなくなっちゃったの … まあ、採算度外視しでやってきたから、しょうがないんだけどさ、あはっ」

サトは、笑いながら、他人事みたいに話します。

「旦那があたしの名前なんか付けるし、思ったより保険金残してくれたから、今まで何とかやってこれたけどさ … 」

借金できそうなところからは、全部借りつくしたし、建物も担保になっているので …

「出なきゃいけないの、来週までに」

… … … … … …

「そんな辛気臭い顔しないでよお、就職先ちゃんと紹介するからって」

そう言うと、純には別のホテル、セクシーには美容院、セニョールにはレストランとそれぞれに連絡先のメモを有無を言わせずに渡しました。

「それから、チュルチュルは … もう沖縄に帰んな、親も心配しているからさ」

そう言われたチュルチュルは、サトをにらみつけると一言 …

「拒否」

… … … … … …

「いつまでそんなこと言ってるつもり? … いろいろあったのはわかるけどさ、甘えるのもいい加減にしな!」

サトに叱りつけられたチュルチュル、立ち上がって思わず …

「私は … 」

はじめて主語を言った … チュルチュルちゃんが!


しかし、そのあとの言葉が出てこず … 里とにらみ合うチュルチュル。

… 目をそらすと、「里や」を飛び出して行ってしまいました。

… … … … … …

『今週で営業を終了させて頂きます』

手際よく貼られた廃業の告知を見た師匠が声をあげました。

「ちょっと、どういうことよ? … 本当にここなくなっちゃうの?!」

途方に暮れる一同を尻目に、サトが長期滞在の客たちを引き連れて、他のホテルに案内して行きました。

… … … … … …

純がセクシーはどうするのかと尋ねました。

「できれば、やめたくない … ここだと、働きながら、士郎のそばにもいられるし」

セニョールは、サトに従うだけと、手渡された再就職先の書かれたメモを手に哀しそうな顔をしています。

「ちょっと、あんたこのお店に行ったら、もう会えないのよ、あのおばさんと! … 好きなんでしょ?」

師匠に忍ぶ恋を暴露されて、おどおどするセニョール … 驚きと興味津々の女性陣。

「意外」

いつの間に後ろに立っていたチュルチュル。

… チュルチュルにも尋ねました。

「さっき、女将さんが言ってたけど … よかったらさ、話してみてくれない?」

何かを考えて逡巡しているようなチュルチュル。 … 蚊の鳴くような声 …

「 … わたしは」

うん、なに? なに? …


… 結局、後の言葉は出てこずに逃げちゃいました。

… … … … … …

帰宅後もネットで「里や」再建に有効な情報やアイディアを探してみましたが … これだというものが見つかりません … とにかく、悠長なことを言っている時間はないのです。

「どうしよう? … いとし君」

困ったときの、愛頼み

「取りあえず、銀行に返済を待ってもらうか、出資してくれるお金持ちを探すしかないと思うんですけど … どちらにしても、「里や」が必ず儲かるっていう再建案をださなければいけないと思うんです … 」

… … … … … …

翌日、「里や」の厨房に集まった従業員一同を前にして、愛が言いました。

「何とかこの“里や”を残すために、昨日、純さんと必死で考えたんですけど … 皆さんに協力してもらおうと思いまして … 」

うなずき合う一同。

「じゃあ、問題点を整理しましょう … まずはじめに … 」

愛は、その後を自分では話さずに、純に振りました。

… 言いにくそうに、純が続けます。

「 … 料理がいまいち … あ、ごめんなさい、ごめんなさい(汗)」

納得してしまう一同、肩を落とすセニョール … 相変わらず、お客が完食せずに少しだけ残すセニョールの料理でした。

純は、その他の問題点もあげていきました。

「ホテル自体が地味で部屋が狭い … ホームページもないし、女将さんも宣伝する気がないので、食堂を利用する地元の人以外、来る可能性がない … 来たとしても、お客さんが喜ぶようなホテルの売りみたいなものが全くない … です」

だんだん落ち込んでいく雰囲気 …

「 … 何か、話聞いていくうちに絶望的な気分になっていくけど … 」

… … … … … …

「だから言っただろう、もうあきらめな」

いつの間にか、厨房を覗いていたサトでした。

そう言うと、自分の指定席の帳場の方に歩き出しました。

「ちょっと待ってくださいよ、女将さん」

その後追う、純たち。

「あたし、ここに来て、本当に救われたんですから … 」

おじいのホテルを失くして、自暴自棄になっていた時、ここで食べたサトの沖縄ソバで生き返ったこと … 皆にも助けてもらって … 改めて沖縄の温かさとか、優しさを感じて … 宮古で育ったことを誇りに思えたこと …

「きっと、ここに来たお客さんも、あたしと同じように勇気とか安らぎをいっぱいもらったと思うんです … だから、“里や”を止めるなんて、言わないでください

… あたしたち皆で力を合わせて、少しでも借金返せるように頑張りますから」


… … … … … …

「あ~あ、ごめんね … ドラマだったら、涙流して、“ありがとう”とか言うところだけど … 始まったものは、いつか終わるのものよ … あら、あたし今良いこと言ったわ … メモしておこう」

どこまでが本気でどこからが冗談なのかわかりにくいサトの話 …

それでも、純が食い下がろうとすると、今度はきつい口調に変わりました。

「あんたたちも新しい就職先決めたら? … 土曜日までには、出て行ってもらわなければいけないんだら!」

そう言い捨てると、帳場の奥にある小部屋に入ってしまいました。

… … … … … …

「やっぱり、あきらめるしかないんじゃない」

セクシーの言葉に、うなだれる一同。

「終了 … 」

純は、愛にすがりました。

「ひとつ気になっていることがあるんです」

全員、期待して愛を見ました。

「 … あの中は、どうなっているんでしょう?」

今さっき、サトが消えた扉を見つめて言いました。

… ああ、たしかに

今はそんなこと気にしている場合じゃない … 肩透かしを食らったような一同。

… … … … … …

「ねえ、お宅のお母さんなら何とかしてくれるんじゃないの? … あたしと士郎のことを助けてくれたみたいに」

セクシーの言葉に反応した純。

「そっか … お義母さんなら、借用書とか帳簿とか見せたら、起死回生の一手、何か見つかるかも?!」

「 … いや、来てくれるかどうか … それに … 」


しかし、今回の愛は、多恵子に頼むことを、何か乗り気ではないような雰囲気です。

「あたしが電話する!」

その時、「里や」の扉を開けて入ってきたのは …

… … … … … …

誠と当の多恵子でした。

「 … お義母さん」

何という都合のいい脚本 … いや、タイミングに驚く一同。

期待感に顔がほころぶ、純 … うらはらに、扉にもたれた多恵子が … 半病人のように見えるのが … 少し、不安。

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2013年02月10日 (日) | 編集 |
さて、次週の「純と愛」は…


第20週「まほうのことば」

一難去って、また一難。
突然サトが、「里やを畳む」と言いだして!?


突然サト(余貴美子)が里やを閉めると言いだす。借金が膨らんでいたのだ。純(夏菜)が説得してみるもサトの心は変わらない。もはや打つ手は無いとあきらめかけたその時…



サト、爆弾発言
サトは、「ここ、畳むことにしたから」と事も無げに閉店宣言する。

多恵子、再び里やへ!?
癒やしを求め、里やを訪れた多恵子。
これまで見せなかった表情をのぞかせる。

チュルチュル、2文字以上しゃべる!?
今週明かされる、羽純の心の内とは……。

(2012年2月8日 NHKネットステラ)

… 以下、ネタバレ …
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2013年02月09日 (土) | 編集 |

第109話

かたや晴海は、善行が大変な事態であることを知らされずにいて──。

(2012年2月1日 NHKネットステラ)


「元気出しなさいよ、あんたらしくない」

仕事をしていても、心ここにあらずの純にセクシーがそう声を掛けました。

「つらいのはわかるけど、子供が親の死に立ち会うのは当たり前のことなんだし … 生き残った者は、死んだ者の遺志を伝える義務があるんだよ」

サトも励まします。 … あまりにも決まっているセリフだと思ったら、さっき見たドラマからの流用でした。

純の目の前にジュースを置いたのは、チュルチュルでした … そして、一言。

「進呈」

セニョールも純に何か言いかけたのですが、モジモジしている間に他の皆に先をこされて …

お父ちゃん、皆があたしのことを心配してくれています。

… … … … … …

仕事を終えた純が、晴海の病室を訪ねると … 先客に正と剛がいて、晴海と楽しそうに話していました。

「お医者さんが、明日退院してもいいって」

晴海がうれしそうに報告しました。

… … … … … …

病室を後にした狩野家三兄弟。

「お兄ちゃん、どうするの?」

晴海には、まだ善行が亡くなったことは知らせていないままです。

しかし、退院するとなれば、もう誤魔化すことはできません。

「ああ、わかってるよ … 明日までに俺が決めるよ、長男なんだから」

優柔不断 … かつて、そう言われたこともある正、どんな決断を下すのでしょうか?

… … … … … …

次の日の朝。

善行の位牌に手を合わせた後、正は皆に向かって話しはじめました。

「俺、考えたんだけど … 純、お前が決めろ」

な、何をこの期に及んで …

「ちょ、ちょっと待って、長男のくせに逃げないでよ、また」

しかし、いつもの正とは少し様子が違います。真剣そのものでした。

「その件だが、俺はもう長男ではない … これから、ウチの長男は … 純、お前だ」

正の言っていることが、よく理解できない純と剛。

「男とか女とか、先に生まれたとか、後に生まれたとかそんなことは関係ない … これからお前が一家の長として、家族の問題を全部決めるんだ」

思いもしなかった答えでした。

「 … 俺は決して逃げているわけじゃないぞ、それがウチの家族にとって一番いいって、心から思ったんだ … いとし君みたいに、お前の決断に従って、それを支えていくのがさ」

ようやく兄の言いたいことが理解できました。

「ごめんな純、お前がウチのホテルを継ぎたいって言った時、賛成してやればよかった … おじいのホテルを継がせてやれば … お母さんもお父さんも、こんなことにならなかったかもしれないのにな」

プライドや見栄を捨てた正の決断、マリヤもうなずいています。

兄の真意がわかると涙があふれてきました。

… … … … … …

晴海が迎えの純と共に、マンションに帰ってきました。

「ただいま」

出迎える家族、何日ぶりかの我が家に晴海もホッと一息です。

「お母ちゃん、座って」

落ち着く間もなく、純は、晴海を座らせると、ゆっくりと話しはじめました。

「お母ちゃん、あのね … お父ちゃんは

… 先日、亡くなりました」

「え?」


… … … … … …

愛が静かに奥の部屋の襖を開けました。

振り向く晴海 … 位牌、遺骨が置かれて … 遺影の善行が笑っています。

晴海は目を見開いて、その前に座り込みました。

「 … ごめんね、お母ちゃんの体のことが心配で、今まで言えなかったの」

… 思いもよらないこと、信じられない晴海です。

「何で、何で、お父さんが?」

晴海は、覚えていませんでした。

「お母ちゃんが、海で溺れそうになってて … それを、お父ちゃんが、助けてくれたの」

… 記憶の糸を辿ろうとしましたが …

「 … どうしよう? 純」

… … … … … …

「 … 泣けない」

戸惑いを超えて、ショックでした。

夫が自分を助けるために命を落としたことを知っても、悲しい気持ちがわいてこない … 涙ひとつこぼれないなんて。

「 … 逆に、ほっとしてるわ、肩の荷が下りたような気がして」

もう二度と善行には会えない … 悲しみではなく安堵を感じている自分が怖い。

「 … 私、やっぱりおかしくなってるね … 自分の中の大切なものが … どんどん、抜け落ちてるような気がして … どうしたらいいのか … わからないよ」

そんな母を見て、純も頭の中が真っ白になっていました。

お父ちゃん、どうしたらいいの? こんな時、何て言えばいいのか …

… … … … … …

家族に重苦しい空気が漂いかけた時、剛が突然 …

「お母ちゃん、俺 … 」

皆の目が、剛に集まりました。

「 … 腹減ったよお、ねえねえ、お母ちゃん、何か作ってよ」

子供のように晴海に甘えました。

「そうだ、お父ちゃんの好きなダシ巻玉子作ってよ!」

剛 …

剛のおかげで晴海も純も救われ、場の雰囲気が一気になごみました。

「そうしようね」

晴海は、善行の遺影に向かって微笑み、うなずきました。

… あんたが、弟でよかった

… … … … … …

大皿に山ほど盛られたダシ巻玉子がテーブルに置かれ、男性陣から歓声が上がりました。

真っ先に箸を伸ばした剛。

「味どう? 変?」

自分の味付けが心配な晴海が剛の顔を心配そうに伺いました。

「そんなことないよ、すっごくうまいよ!」

その言葉を合図に、我も我もと …

「うん、お母ちゃん、美味しいよ!」「最高だよ、お母ちゃん」

うれしそうな、晴海。

「剛、ありがとうね」

純が剛の耳元で、さっきの礼を言いましたが、本人はとぼけています。

… 待田家に久しぶりに笑顔が戻りました。

「お父ちゃん、昔、三列ぐらい一気に食べてたよね」「そうそう、俺たちの食う分無くなっちゃって」「早う作ってくれ、早う作ってくれってさ」 …

食卓は、善行の昔話で花が咲きました。

次第にみんな泣き笑い … いつしか、晴海の頬にも … 一筋の涙が …

本当は、ちょっとしょっぱかったけど、でも今のあたしたちには、このタマゴ焼きが最高だよ、お父ちゃん

… しょっぱいのはなみだのせいや

… … … … … …

「夢がひとつかなったんです」

アパートの壁に貼った家族写真を見つめていた純に、愛がふいに話しかけました。

「覚えてませんか? … いつか僕がお義父さんに言ったこと … 僕にはふたつの夢があるって … ひとつは、純さんが“まほうのくに”を作ること

… もうひとつは、いつかお義父さんに認めてもらうことだって」


純も覚えていました。

「お義父さん、僕に言ったんです … これからも、純を頼む、ずっと支えてやってくれ

… 純は、お前と結婚して良かったって … 」


愛も最後に善行から言ってほしかった言葉をもらっていたのでした。

… … … … … …

「そっか … ああ、何か … 今、お父ちゃんに逢いたいね … いろんなこと話したかったなあ … 何で死んじゃったんだろう?」

善行のことを思い出すと、後悔ばかりの純でした。

「 … お義父さんは生きてますよ … 純さんの中で

純さんの中でいつだって生きています、おじいといっしょに … 違いますか?」


純は、かぶりを振りました。

… そして、愛の肩に頬を寄せて、ストーブの灯を見つめました。

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2013年02月08日 (金) | 編集 |

第108話

病院のベッドで、善行は静かに目を覚ます。そばにいた愛に、善行は思いを告げようとするが言葉にならない。

(2012年2月1日 NHKネットステラ)


「 … お義父さん」

その声に反応したのか … 善行の瞼がゆっくりと、開いて …

うつろな目、意識はもうろうとしているのでしょう。

「お義父さん … 」

善行は、視線をうつしました … 愛がいることが分かったようです。

何か声を発しました。

「わかりますか? ここ、病院です」

… 何故自分が病院にいるのか … 理解した善行は、訴えるような目で愛を見ました。

「 … 大丈夫です、お義母さん、元気です」

晴海の無事を知ると、安堵の表情を浮かべました。

 … よかった、よかった

言葉にならない声でしたが、愛には、善行の心の声が聞こえました。

「今、お医者さん呼んできますね」

枕元から離れようとする愛の腕を善行がつかみました。

「お義父さん、ダメです。無理しちゃダメです!」

哀しそうな呻き声 … 必死に何かを伝えようとしています … 嗚咽する善行

「お義父さん、わかります … 僕にお義父さんの言っていることわかります」

愛は、善行の顔を見てうなずきました。

「 … 今、皆連れてきますから」

しかし、善行は、つかんだ手を離そうとしません。 … 一生懸命に何か言っています。

「ダメです、お義父さん … 直接、純さんに言ってあげてください」

絞り出すような声で、愛に訴える善行です。

「 … 夢をですか? … 純さん、純さん聞いたら喜びます」

言いたかったことが、愛に伝わって、少し安心したようです。

「ありがとう」

確かにそう聞こえました。

苦悶の顔で何かを繰り返し懇願する善行を、必死に押し止める愛です。

「約束します、約束します … だから、無理しないでください」

そのうちに愛をつかんでいた手が離れて…善行の体から次第に力が抜けていく …

「 … お義父さんダメです、お義父さん! 誰かいませんか?! 早く!」

… … … … … …

愛の叫び声を聞いて、純が、正が、剛が、マリヤが病室に駆け込んできました。

「お父ちゃん!」

善行が自ら酸素マスクを外しました。

… そして、愛に向かってかすかに手をあげました。

… 俺の言葉を、子供たちに …

愛は、もう話すことができなくなった善行の心の声をひとりひとりに伝えました。

「正、お母ちゃんを頼む … 剛、お母ちゃんを守ってくれ」

ふたりの息子は、父の最後の願いに必死にうなずきました。

「 … マリヤさん、あんた良い嫁や、感謝している、ありがとう … 勇気、母ちゃんと遊んでやってくれな … 」

… … … … … …

「 … じゅん」

善行の手を握って、懸命に耳を傾ける純。

何か聞き取れない言葉 … しかし、それも途切れて … 善行の手が純の掌をすり抜けて落ちました。

「お父ちゃん?!」

… 父は、善行は、旅立ちました。最後まで、病気の妻、晴海のことを気にしながら …

死亡時刻は、3時15分 … 父は、58年と、何日生きていたことになるのだろう? … あたしと一緒にいたのは、そのうち23年と … いや、もっと少ない … 失ってみて、はじめてわかる … あたしたちが親と過ごせる時間は、何て短いんだろう …

… … … … … …

「どうしたの? 皆そろって」

皆がそろって顔を見せたので、晴海は驚いています。

純が善行のことを伝えようとした時、晴海が楽しそうに話しはじめました。

「退院したら、皆で久しぶりに、ピクニック行かないね? … この前、お父さん、皆で何処か行こうって、話してたの、明日きっと晴れるからって」

… 少し記憶が混乱しているのかもしれません。

善行のことを尋ねられて、純が困惑しているのを見て晴海は言いました。

「あんた、何か隠しているでしょ? … わかってるよ、またお父さん、家出して雲隠れしてるんでしょ?」

言葉に詰まる純に代わって、正が答えました。

「そう、そうなんだよ」

タイミングを逸した狩野家の兄弟、正の提案で善行のことは、しばらく晴海には知らせないことになりました。

… 晴海との約束を破ることになる純は、複雑な気持ちでした。

… … … … … …

数日後、滞りなく終わった善行の葬儀。

喪主の正をはじめとした狩野家の一同が、「里や」に集まった皆を前に礼を述べました。

「堅苦しいのはいいから、皆で飲もうよ」

サトが音頭を取り、宴会が始まりました … 善行を偲んで

… … … … … …

しばらくすると、剛が誠を連れて外に出てきました。

「俺なんもできないから … 家族の役に立ちたいのに … 本当、どうしようもないよ」

いつになく神妙な顔つきの剛は、誠にまたビンタしてくれるよう頼みました。

「あたしはそうは思わへん、あんたにできることはナンボでもある! … いや、あんたにしかできんことが必ずある … メソメソしないで、取りあえず笑っとき! 

… あんたの取柄は、そのアホみたいな笑顔しかないんだから」


そう言って、両手で剛の両肩を励ますように叩きました。

泣き笑いの剛 … しっかりしろ!

… … … … … …

「里や」の中では、宴は続いています。

サトが奏でる三線の音、島唄が聞こえていました。

善徳法忍信士 … 陰膳の前に置かれた遺影の中で、満面の笑みを浮かべる善行 … 亡き父に何か語りかけているのか、ひとり見つめている正。

サトの島唄が皆の心に沁みていく …

… … … … … …

ふと、愛は、純がいないことに気づきました。

純は、ひとり宴を抜け出して、表の椅子に腰かけて、空を見上げていました。

「 … 大丈夫、ですか?」

心配して、愛が尋ねると、わざとあっけらかんと答えました。

「何か参っちゃうよね、自分の親がこんなに早く死ぬって思ってなかったしさ … お父ちゃんと、ちゃんと仲直りできなかったな … 」

空を見つめたまま、そう言いました。

… … … … … …

「 … 実は、お義父さんから、純さんに伝えてほしいって、伝言預かっているんです」

純の顔色が変わって、愛のことを見ました。

「もし生まれ変わったら、今の純みたいな生き方がしたいって … 周りに何を言われても、あきらめないで、まっすぐ自分の目標に向かって進んでいく … そんな純みたいな生き方がしてみたいって」

純の目から涙があふれてきました … もう、枯れるほど泣いたはずなのに。

「 … だから、純は … お前はそのままでいいって … お前は、ずっと、お前のままでいろって」

愛は純の隣に腰かけました。

「お義父さん、謝っていました … 純が太陽みたいにまぶしいから … まぶしくて、まぶしくて、まっすぐ見つめることができなかったって … 純が女だからって理由だけで、生き方を受け入れてやることができなかったって

… それをしてあげることが、一番、純を愛することだったのにって」


… … … … … …

あたしは、やっと … お父ちゃんに言ってほしいことを、言ってもらえた

… おとうちゃん、ありがとう

「何だよ、それ … 言うなら、あたしに直接言ってよ」

… どあほ、そんなこと、面と向かって言えるか?!

純は、もう一度、空を見上げました。

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2013年02月07日 (木) | 編集 |

第107話

海に転落した晴海を助けようと、善行は自らも海に飛び込む。病院にかつぎこまれた善行に、純は「死ぬな」と泣き叫ぶ。

(2012年2月1日 NHKネットステラ)


「晴海さぁん!!」

刹那 … 晴海の姿が堤防から消えて、水しぶきが上がる音があたりに響きました。

晴海が海に落ちたのです。

善行は堤防まで駆け寄ると、迷うことなく、海に飛び込みました。 … 泳げもしないのに。

… … … … … …

… 晴海さんは、美しい人です。

外見だけではありません。心が本当に美しい人です。


必死にもがいている晴海を目指して、善行は無我夢中に水をかきました。

あなたが一緒にいてくれたら、僕はもう何もいりません、晴海さんが今のまま、宮古の海のような美しい心で、僕を愛してくれさえすれば。

何度も水を飲みながら、何度も沈みそうになりながら、やっとのことで晴海にたどりつきました。

しかし、カナヅチの善行が、泳いで晴海を陸地まで連れて行くのは無理なことでした。

晴海を支えながら、何かつかまることができそうなものを探しました。

前方の波間に浮き球が見えます。 … あれにつかまれば …

… 晴海が浮き球をつかんだことを確認した善行は、安堵の表情をして … 力尽きて … 沈んでいきました …

晴海さん、僕を愛してくれませんか …

… … … … … …

静まり返った、病院の待合席、無言の純と愛

知らせを聞いた正夫婦と剛が駆けつけてきました。

「おい、どうなんだ? お父さんとお母さん」

晴海は、幸いにも大したことはなかったのですが … 善行は、溺れている間、酸素が行きわたらなかったために多臓器不全になってしまって意識不明のままでした。

医者からは、多分もう意識は戻らないから、覚悟するようにと言われていたのでした。

言葉を失う、正たち。

… ベッドで眠る善行を見つめる待田家の三兄弟。

「とにかく今は、奇跡を信じよう … 泳げないのに、お母ちゃんを助けようとした、お父ちゃんの為にも」

純がそう気丈に言いました。

… … … … … … 

「お母ちゃん、大丈夫?」

しばらくすると、純とマリヤが見守る中、晴海の意識が戻りました。

何故、自分が病院のベッドの上にいるのかわからない … 何が起こったのか覚えていませんでした。

「ちょっとした事故にあったの、でも大したことないから、安心して」

… … … … … …

純が病室の外に出ると、愛と一緒に隣の山田が待っていました。

山田は、純に深く頭を下げると懺悔を始めました。

「私にも、おふたりに負けないくらい愛し合った人がいたんです … でも、婚約した途端、彼が交通事故にあって … 歩けない体になってしまって … 」

毎日の介護の辛さと、いらだつ彼になじられて … 心が折れてしまった山田。

仲の良い純と愛をみて、メチャメチャにしたくなった … 永遠の愛なんかありえないと …

「 … でも、そんなの間違っていました」

それを教えてくれたのは … 自分の命を顧みず、妻を救った男でした。

… … … … … …

純は、晴海に本当のことを言った方がいいのか迷っていました。

医者は、余計なストレスを与えない方がいい、自分を助けたために夫の命が危ないと知ったらショックだから、と進言するのですが …

「でもさ、あたし、お母ちゃんと約束したんだよね … これからは何があっても、正直に言うって」

… … … … … …

晴海は、ベッドで体を起こして、何かメモに書き留めていました。

ノックの音がして、純が入ってきました。

「 … 純、お父さんは?」

自分が入院したのに、善行が全然姿を見せないことを不審に思ったのか、それとも僅かでも記憶が戻ったのか …

「あ、今ね、お父ちゃん寝てるの … お母ちゃんの看病、徹夜でやっていたから、疲れちゃったみたい」

晴海は心配そうにうなずきました。 … 純のぎこちない態度に何かを感じたのか、決して納得したわけではないようです。

く、苦しいウソだ …

… … … … … …

「そうだ! ねえ、お母ちゃん、聞いたよ … お父ちゃんと結婚する前、お父ちゃんのこと“メロちゃん”って呼んでたんだって?

… 何で“メロちゃん”なわけ?」


わざといたずらっぽく楽しそうな話題に変えました。

晴海は、恥ずかしそうに語り始めました。

「お父さんさ、太宰治が大好きでさ、会う時はその話しかしないわけ … “走れメロス”の話になったら、止まらなくてね … その顔が、一生懸命であんまり可愛いから … メロちゃん」

そう語った、晴海は少女のように見えました。

… 若かりし頃の両親の微笑ましいロマンスでした。

… … … … … …

… 人間不信になっていた王様は、真の友情や永遠の愛があるなんて信じられませんでした。 … しかし、約束を守ったメロス見て、自分が間違っていたことを悟るのでした

「 … 嬉しそうに話すお父さん見てさ、私、結婚しようって、決心したのかなあ … 不器用で無愛想だけど、この人なら信じてもいいかなって、思ってね」

… 善行の枕元には、晴海への手紙、謙次から借りた現金等と一緒に海水に濡れてくしゃくしゃになってしまった『走れメロス』の文庫本が置かれていました。

『人間失格』は捨ててしまっても、この本だけは、肌身離さず懐に忍ばせていたのです …

… … … … … …

意識が戻るあてのない善行とふたりきりの病室。 … 純は、父に話しかけました。

「ちょっと、お父ちゃん、お願いだから目を覚ましてよ … このまま死なれたらさ、お父ちゃんが何考えてたのか、全然わからないじゃん … 最後まで喧嘩して、仲直りできないなんて、嫌だよ、あたし」

家族の前では見せなかった涙がこぼれてきました。

「お父ちゃんのことさ、もっと知りたいよ、あたし … 好きな本の話とかさ、お母ちゃんとつきあってた頃の話とかさ、もっとあたしに聞かせてよ、お父ちゃん ほら」

ふと、自分の足元に目をやった純は、今履いているクツが大学の入学祝に善行が買ってくれたものだと思い出しました。

当時は、気に入らず履いていなかったのですが、「里や」で働きだしてから、思いのほか動きやすくて毎日履いているのでした。

「 … 何かこれ履いているとね、お父ちゃんの優しさを感じるというか … 」

もう涙は止まりません。

「やっぱり何だか、お父ちゃんに愛されてたのかなって、思うんだよね、今更 … 遅いよね」

純は、布団の中に手を入れて、動かない善行の手を握りました。

「 … ごめん、お父ちゃん、今までひどいこととか言って … もう、あたし謝るからさあ … 心入れ替えて、親孝行とかも、ちゃんとするからさ、優しくするからさ … 」

… … … … … …

「目を覚ませよ! あほ親父 … ねえ、お父ちゃん起きてよ、起きてよ」

駄々っ子が親にねだるように、純は泣きながら、善行の体を何回も何回も揺すりました。 … だんだん声が大きくなります。

「生きてよ! 死ぬなんて許さないからね、あたし … お父ちゃん!」

騒ぎを聞きつけた愛が飛び込んできて、純を止めました。

何事かと、ナースも駆けつけ、善行の状態を確認しています。

それでも、喚いて暴れようとする純をなだめながら必死に抑える愛。

「お父ちゃん、起きてってば! あたし、奇跡を信じているからね … 」 

… … … … … …

落ち着きを取り戻した純は、今は晴海に付き添って隣のベッドで休んでいました。

正たちも、待合席で仮眠中です。

ひとり愛は善行の枕元の椅子に座って様子を見守っていました。

… 穏やかな表情で眠ったままです。

そっと、左手の掌を布団の上から心臓のあたりに乗せてみました。

… 善行の頭がかすかに振れたように見えました。

目を見張る、愛。

… 確かに善行の頭が動きました … 

「 … お義父さん」

その声に反応したのか … 善行の瞼がゆっくりと …


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2013年02月06日 (水) | 編集 |

第106話

晴海との離婚届を手に純たちのアパートを訪れた善行は、かつて晴海へ送ったラブレターを愛から手渡される。そんなとき、晴海がまた姿を消す。必死で行方を追う善行は、堤防で妻を見つけるが……。

(2012年2月1日 NHKネットステラ)


「二度と現れないで! … あたしたちの前に」

昨晩、善行に投げつけてしまった言葉 …

「やっぱり、離婚届渡さない方が良かったかなあ … どうしよう、本当に出しちゃってたら」

純は、腹立ちまぎれにとってしまった行動を思い出して、後悔の念に苛まれていました。

「大丈夫ですよ」

朝食のお代わりをよそいながら、愛が慰めても、純の不安は消えません。

しかし、晴海が起きて来たので、話題を変えてごまかしました。

… … … … … …

「ねえ、純、お父さんから連絡あった?」

音信不通になっている善行のことを心配する晴海に純は、ウソをつきました。

「ちょっと、思い出したんだけど … 私、お父さんに何かひどいことを言ったような気がする」

探るような目で自分の顔を見る晴海に純は、ふたつめのウソをつきました。

「本当? だったらいいけど … これから何があっても隠し事しないって、約束してよ … 私は、何言われても大丈夫だから」

意識がしっかりして落ち着いているときに、きちんと伝えておかなければいけないことがある … 晴海からそんな気持ちが感じられました。

純は、うなずきました。

… … … … … …

「ねえ、お母ちゃん、今日いっしょに“里や”に行こう」

たまには息抜きになると純が誘うと晴海は喜んでついてきました。

純と晴海が楽しそうに出かけていくのをドアの外で見送る愛。

「お義父さん、出てきてください。 … そこにいるんですよね?」

ふたりの姿が見えなくなると、愛はそう声を掛けました。

アパートの陰から、あたりを窺がいながら善行が出てきました。愛にはさっきから善行がそこに隠れていたことがわかっていたのです。

… … … … … …

「どうして出てきてくれなかったんですか? … お義母さんと話があったんじゃなかったんですか?」

愛の質問には答えないで、善行は自分も署名した離婚届を懐から取り出しました。

「これをな、あいつに渡しといてくれ … それでな、好きにせいと、そう伝えてくれ」

それだけ言って、立ち去ろうとする善行。

愛は、離婚届を受け取るや否やビリビリに破り捨ててしまいました。

「こら、こら、こら! 何すんねん、お前は?!」

「 … 好きにしていいとおっしゃったんで」


善行は、頭を抱えてしまいました。

「でも、お義父さんも本当は、こんなもの出したくないのでは?」

強がる善行は、愛に説教を始めました。

「おい、お前なあ、何でも上から物を言うな! … 俺だって、年の功や、人間の本性くらい見抜けるわい」

… … … … … …

その時、隣の部屋のドアが開いて、山田が出てきました。

「あのぅ、私も認知症にいい料理を作ったんで、お母さんに食べてもらおうと思って」

料理の入った器を差し出しました。

礼を言って受け取った愛は、善行に向かって尋ねました。

「お義父さん、じゃあ、この人の本性、わかりますか?」

美人で、晴海のための料理を作ってくれた山田に、善行は好感を抱いていました。

「そりゃまあ、こちらの方は見たまんまや。清楚で清純な方や」

話の流れがよく分からずに愛想笑いをする山田の顔をじっと見つめて、愛が言いました。

「 … この人は、本当は哀しい人です … 永遠の愛なんて、この世にはないって思っているんです … だから、純さんと僕の間を壊したくて … 僕を誘惑したりしているんです」

愛に本性を見透かされ、いたたまれなくなった山田は部屋に逃げ込んでしまいました。

唖然とする善行。

… 初対面の時には、見えなかったはずの山田の本性。何か変化があったのでしょうか? … それとも、本性が見えるとかこつけて、山田を拒否したとか?

… … … … … …

部屋に通された善行が手に取って見つめていたのは、純と愛の結婚式の写真です。

愛に出された茶をすすりながら言いました。

「お前、何でそんな、女みたいなマネができるねん?」

「お義父さん、生まれ変わるとしたら、男の人がいいですか? 女の人がいいですか?」


善行は、即答しました。

「決まってるやないか、男や」

… … … … … …

「僕も純さんと出会うまでそうでした … でも、今は女です」

理由を尋ねる善行。

「 … 男って、つまらないプライドや、見栄があるからダメな気がするんです … 所詮、女の人がいなければ、何もできないんだから」

愛の言葉を遮るように善行が話しはじめました。

「俺はなあ、もうお前みたいな考え方はできへん … 俺は俺のまんまや … 何100キロも何1000キロも歩いてきたんや … ここから引き返すことは … できへん」

それだけ言って、出て行こうと立ち上がった善行を愛がしばし止めました。

… … … … … …

引き出しから、一通の封書を取り出すと、善行に渡しました。

それを手にした善行は、目を見張りました。

宛名は、旧姓の晴海、差出人は … 自分でした。

「お義母さんが、“昔、お父さんにもらったのよ”って嬉しそうな顔で何度も何度も僕に読んでくれるんです。

… その頃の気持ち、今も全然変わってないんじゃないですか?」


… … … … … …

純と愛の部屋をあとにした善行。

手紙を手にしたまま、よろよろと歩きだしましたが、その場に座りこんでしまいました。

封筒の中から便箋を取り出し読み始めます。

『 … 晴海さんは、美しい人です。

あなたが一緒にいてくれたら、僕はもう何もいりません、晴海さんが今のまま、宮古の海のような美しい心で、僕を愛してくれさえすれば。

晴海さん、僕を愛してくれませんか … 』


若かった頃の善行が、好きで好きでたまらない晴海に思いの丈を打ち明けていました。

愛に言われた通り、あの頃と少しも変わらない、自分の気持ちに気づいた善行は、手紙を握りしめて、むせび泣いていました。

… … … … … …

「 … 必ずお返ししますから、何卒お願いいたします」

善行が土下座して借金を頼んでいる相手は、愛の父・謙次でした。

謙次は、善行の体を起こすと、何に使う金かを尋ねました。

「宮古島に帰って、女房の介護やろうと思います … 私の残りの人生、女房の為だけに使おうと思います」

善行の気持ちを理解した謙次。

「あなたは、強いですね … 立派です。死ぬまで奥さんとの愛を貫くなんて … 僕は諦めた、いや、逃げ出した男だから」

謙次から融通してもらった金を手に善行は、「里や」へと晴海を迎えに走りました。 … もう迷いはみじんもありません。

… … … … … …

善行が「里や」の扉を開けた途端、純が飛び出してきて、二人は鉢合わせしてしまいました。

ちょっと目を離したすきに、晴海が書置きを残して、何処かへいなくなってしまったのです。

『メロちゃんに会ってきます』

書置きには、そう書かれていました。

息をのむ善行。

「お父ちゃん、メロちゃんって誰か知らない?」

「 … 俺や、俺や! … お母ちゃんな、恋人やったとき、俺のことそう呼んどったんや」


メロちゃんの正体は、善行でした。 … 何故にメロちゃん?

「 … どうでもいい、そんなこと! お母ちゃん捜しに行こ!」

走り出した善行、純も後に続きました。

… … … … … …

純から連絡を受けて部屋を飛び出した愛、こちらも丁度訪ねてきた山田と鉢合わせです。

「 … 僕は、このへん捜してみますから」

電話の会話から、晴海がいなくなったのではと察した山田が自分も一緒に捜すと言ってくれました。

「 … じゃあ、ウチにいてもらえませんか? もしかしたら、お義母さん、帰ってくるかもしれないので」

… … … … … …

純と善行は、晴海が好きな、海が見える公園を捜していました。

「ほんまにお母ちゃん、こんなところにいてんのんか?」

走り通しの善行はフラフラです。

「お母ちゃんね、ここで海を見るのが好きなの … お父ちゃん、あきらめないで捜して」

純と二手に分かれた善行、晴海の名前を呼び続けました。

… … … … … …

晴海は … 堤防の突端に腰かけて、海を見つめていました。

「 … メロちゃん、メロちゃん」

そう呟いています。

息を切らした善行、晴海の姿を見つけました。

「メロちゃーん!」

海に向かって叫ぶ、晴海。

… メロちゃんは、ここにいるよ

「晴海さぁん!!」

善行もあの頃の呼び方で叫んでいました。

その声に振り向いた晴海。

善行の姿を見つけると、本当にうれしそうに笑いました。

お互いを恋人時代のように呼び合うふたり …

その時、善行の目に晴海の姿が少し傾くのが見えて … 視界から消えました …

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2013年02月05日 (火) | 編集 |

第105話

あることをきっかけに、仲良くなった愛(風間俊介)と晴海。そんな中、隣の部屋に住む山田(中西美帆)が、純に「愛さんのことが好き」と告げる。ある日、里やに善行が現れる。「晴海と会うのが怖い」と言う父に、純は励ましの言葉をかけ続ける。

(2012年2月1日 NHKネットステラ)


震える手で包丁を握った晴海 … その刃先を左手首に …

しかし、その先には進めずに、包丁を手から離して、うなだれてしまった晴海でした。

寝床に戻ろうと、振り向くと … 居間の隅から毛布にくるまった愛が見ていました。

… … … … … …

その時、寝室から純の携帯の鳴る音がしました。

「 … はい、わかりました。今、行きます」

「里や」から24時間コンシェルジュの呼び出しでした。

… … … … … …

出かけるために純が起きてきました。

「あれ? お母ちゃん」

寝起きの上、慌てている純は、晴海が、何故居間にいたかということに気がまわらなかったようです。

「出かけてくる。 … 心配しないで、すぐ帰ってくるから」

そう言って、急いで出かけて行きました。

… … … … … …

「 … 風邪ひいたらいけないんで、お義母さんもう休んでください」

寝室に戻ろうとする晴海が、ふと振り返って尋ねました。

「もしかして、本性を見て分かったの? … 私が死ねないって」

申し訳なさそうにうなずいた、愛でした。

… … … … … …

最近、「里や」に部屋の物の配置について異常にこだわる神経質な客が泊まっています。

掃除のあとに元の位置からずれていたと、しつこくクレームをつけてくるので、純は手を焼いていました。

「あんたね、ウチは一流ホテルじゃないんだから、そんなことでいちいち文句言われても困るのよね … 嫌なら出ていく?」

見かねたサトの鶴の一声で、大人しくなりました。 … 何回仲裁しても、懲りずに喧嘩をはじめる客たちにも一喝するサトでした。(客放任主義のサトにしては珍しい行動です。)

「しゃちょうもまともに相手しなくてもいいから、お母さんのことで大変なんだし」

礼を言いながらも、純にはサトがどことなくご機嫌ななめにみえました。

「 … 楽しみにしていた連ドラの最終回が回想のシーンばっかりで、あんまりつまんなかったからさ」

そう、うそぶいたサトですが …

… … … … … …

「お母さん、今あんたの家にいるんだって? … 旦那とふたりで大丈夫なの?」

晴海と愛が、そりが合わない … 晴海が愛の能力のことを疎んでいるような話を聞いたことがあったサトが気にして、純に聞きました。

「そうなんですよ、それあたし、心配だったんですけど …」

いざ一緒に生活してみると、思いのほか相性が良くて … 晴海の考えていることがわかり、料理もできる愛は、近くにヘルパーがいるような感じで、安心して任せていました。

「つくづく、いい旦那もらったねえ、あんた」

サトの言葉に、しみじみとうなずいた純でした。

… … … … … …

… 相変わらず、善行とは音信不通でした。

電話しても、留守電につながるだけです。 … ためいき

… … … … … …

その日、純がアパートに帰ると、晴海と愛に交じって、隣の山田が食卓を囲んでいました。

何故、隣の山田さんが一緒にご飯を??

純の疑問を察するように山田が言いました。

「お母さんが、夕飯を一緒にって誘ってくださって」

愛想笑いの純です。

… … … … … …

「純さんと、いとしさんって、本当仲良いんですね」

ふいに山田に言われて、照れて謙遜するふたりです。

「きっと、おふたりは、生まれ変わってもまた結ばれて、どんなつらいことも乗り越えていくんでしょうね」

うなずきあうふたりに真顔で山田は尋ねました。

「永遠の愛なんて、本当にあると思います? … 結婚する時は皆誓うけど、死ぬ時に愛を貫き通したって、胸を張れる夫婦がどれだけいると思います?」

どう答えていいのか、一体何を言いたいのか? … 困惑する、純。

何? 急にいどみかかるような、その口調は …

… … … … … …

「純、メロちゃんは? … メロちゃん、何処行ったの?」

唐突に晴海が尋ねました。初めて聞く名前です。

「お母ちゃん、メロちゃんって誰?」

「メロちゃんに会いたいんだけど」


無邪気な表情で晴海は言いました。

「 … 純も知ってるさ」

昔の友達でも、映画スターでも、アニメのキャラクターでもないようです。

「違うよ、なんでわからないの? … あの人、名前なんだった? … ああ、思い出せない」

一生懸命考え込んでいる晴海に愛が話しかけました。

「お義母さん、今日は疲れたでしょうから、もうお休みになったらいかがですか?」

愛がやさしく促すと、晴海は素直に寝室に入って行きました。

… … … … … …

「すみません、変なところをお見せしちゃって … 」

純は、自分の部屋に帰る山田をドアの外まで見送りました。

「こちらこそ、ご馳走になって … おやすみなさい」

部屋の中に戻ろうとする純を、山田が呼び止めます。

「あの … 私、いとしさんのことが好きみたいです。 … 本気ですから、私」

それだけ言うと、さっさと自分の部屋に入ってしまいました。

な、何をおっしゃってるの? あなたは …

… … … … … …

純が寝室を覗くと、愛が枕元で見守る中、晴海は大人しく眠っていました。

… 一段落すると、必ず誰かの携帯が鳴るのが、このドラマです。

純の携帯にセクシーからの着信です。

「24時間コンシェルジュに用があるってお客さんが来てるけど、どうする?」

… … … … … …

もちろん、「里や」にかけつける純。

セクシーが、食堂の席に座っている男のことを差しました。

「お父ちゃん?!」

… 客というのは、善行でした。

純を見ると、面目なさそうにペコリと頭を下げました。

「何やってるの? こんなところで」

驚いて、駆け寄る純。

「どや、お母ちゃん、何か変わったことないか?」

純は、善行の腕を引っ張って、席を立たせようとしながら、言いました。

「何を呑気なこと言ってるのよ、ウチにいるから早く帰ろう!」

しかし、善行は腰を上げようとはしません。

「怖いんや … またな、お母ちゃんに会ってな、しらっとした顔してな … あなた誰ですか、言われたら … 俺もう … 怖いんや … 」

… … … … … …

「お父ちゃん、情けないこと言わないでさ … この前、お父ちゃん、決心したでしょ? …お母ちゃんと一緒に生きていくって」

純は、言い聞かせるようにやさしく言いました。

「 … あれが、精いっぱいや、あれ以上のことは、俺には言えん」

うなだれたままの善行。

「言ったでしょ? お父ちゃんには愛がたくさん詰まっているって!」

善行が広げて見せた両掌には、純が書いた『あい』の文字は、もうほとんど消えてしまっていました。

「俺が悪いんや、お母ちゃんも俺みたいなやつと結婚せえへんかったら、あんな病気になることもなかったんや」

自分を卑下し、運の悪さを嘆く善行を純は精一杯励まし続けました。

「 … お父ちゃんにも未来があるんだから、これから頑張ればいいじゃない」

… … … … … …

しかし、その声はもう善行の心を動かすことはできなかったようです。

「 … 人間は、一人で生まれてきて、一人で死んでいくんや」

善行は、一枚の紙きれを懐から取出し、純に差し出しました。

「これな、お前から、お母ちゃんに渡しといてくれ … 」

自分の署名をした離婚届でした。

… … … … … …

善行は、純の表情を伺い、すぐ顔をそらしました。

おじい、何かくやしいよ … 情けないよ

純は、父の顔を見ましたが、善行は、もう目を合わせようとはしませんでした。

… … … … … …

純の中で何かが切れました。

「 … 好きにすれば」

そう呟くように言って立ち上がり、純が取り出したのは、剛から預かっていた、晴海の署名のある離婚届でした。

それを、善行が差し出した離婚届の上に重ねて置きました。

それを手に取り、驚いた表情になる善行。

「お母ちゃんのサイン書いてあるから、お父ちゃんがそこにサインしたら、それで役所に持って行けば … お望み通り、離婚できるから」

あたしは … こんなこと言いたくないのに …

「その代り、二度と現れないで! … あたしたちの前に」


純は、善行を残して出ていってしまいました。

晴海の署名入りの離婚届を手に、追い詰められた表情の善行でした。

「里や」を見つめる純、振り向き歩き出しました …

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2013年02月04日 (月) | 編集 |

第104話

純(夏菜)たち兄弟は、晴海(森下愛子)のため世界最強の兄弟になろうと決意。かたや善行(武田鉄矢)は、自分が妻に忘れられた衝撃から立ち直れずにいた。

(2012年2月1日 NHKネットステラ)


おじい、あたしたち三人が世界最強の兄弟になろうと誓ってから、はじめての家族会議です。

「今日、純と病院に行ったら、お母さんの病気のことで、これから大変なことがいっぱいあるみたいなんだ」

正が神妙な面持ちで話をはじめました。

「マリヤといとし君には、これからいろいろと協力してもらうことになると思うけど、いいかな?」

ふたりとも快くうなずきました。

何だか、お兄ちゃんは、長男らしくなっています。

母親っ子の剛は、晴海の身に起こる“大変なこと”というのが気になって仕方がありません。

「夜中に突然、お化けがいるって騒いだり、人が変わったように俺たちのことを責めたりするらしいんだ」

オロオロと剛、今にも泣きだしそうです。

こいつは、相変わらずだけど …

… … … … … …

愛が純と考えた対策を説明しました。

晴海が物がなくなったと困らないように、引出しにはラベルを貼り、何をしたらいいかわかるように、ホワイトボードに一日の予定を書き、全員の携帯番号と大切な連絡先を書いたメモを肌身離さずに持たせる、等々 …

… … … … … …

ふと、純は、あれから音信不通になっている善行のことを考えていました。

一体、何処へ行ってしまったのか …

愛に名前を呼ばれて、我に返った純は、一同に向かって言いました。

「皆、これからどんなことがあっても、希望を失わず、家族皆でがんばって行かない? … 奇跡を信じて」

… … … … … …

「純の言うとおりだ … それで … 」

正の言おうとすることを忖度して、純が続けました。

「 … 役割分担ね、これからの」

マリヤには、自分たちがいない間、晴海の面倒を看てもらえるよう頭を下げました。

「任せて! 私、頑張るね」

そして、剛に言いつけられた役割は、正が仕事でいなくなる夜、晴海のそばにいて朝まで見張ることでした。

「そんなところかな … 」

正が話を締めようとするのを純が止めました。

「 … お父ちゃんのことはどうするの?」

… … … … … …

「お父さんのことはもういいよ」

もう諦めている … 見放してしまったかのように、正は言いました。

「お母ちゃん、説得してサインもらったから … お父ちゃんに、お姉から渡しておいて」

剛が差し出したのは、離婚届でした。

「ねえ、ちょっと待ってよ! そんなこと言われても … 」

 … 奥の部屋で休んでいるはずの晴海がリビングに入ってきたので、純は離婚届を取りあえず懐にしまいました。

… … … … … …

「あら、皆いたの? じゃあ、ご飯にしようね」

うれしそうにキッチンに向かいました。

「そうだ、お父さんは? … 何でいないの?」

不思議そうに尋ねる晴海。何と答えればいいのか、困惑する一同 …

やっぱり、この前のこと、覚えていないんだ …

機転を利かせた純が、善行は仕事を探しに行っていると誤魔化しました。

「ああ、そうね? じゃあ、お父さんの好きなダシ巻玉子作ろうね」

マリアに手を借りながら、キッチンで料理する晴海の楽しそうな声が聞こえてきました。

… … … … … …

善行はと言えば …

人目を気にしながら、「里や」を中の様子を窺がおうとして … サトに見つかっていました。

「ちょっと、娘に会いたいなと思って … いや、いてへんかったら、結構ですから」

「あら、しゃちょうならいるじゃない、ここに!」


気がつくと、善行は、純に代わって(変わって?)、こき使われていました。

「何で、俺がこんなことせなあかんねん」

食堂の客に酒を注ぎ損ねて、どやされ … 

「下品」「無礼」「勝手」「迷惑」 …

「里や」にいた全ての人が、声をそろえて、口々にののしります。

「アンタみたいな人のこと、四文字熟語で何ていうか知ってる?」

善行に迫ってくる人々の中から師匠が一歩前に出て言いました。

「人間失格」

… … … … … …

「うわあああ … 」

… 夢でした。

幹線道路のガード下、吹き溜まりのような場所で、飲んだくれてうたた寝をしていたのです。

「何で、俺がこんな夢見なきゃあかんねん」

ふと、傍らに置いてある文庫本に目が行きます。

『人間失格 太宰治』

「このボケのせいや!」

壁に叩きつけました。

… もう一冊、残っていた本を手に取りました。

タイトルを見ると、善行の表情が緩みました。

… … … … … …

掌に視線を移すと、純が書いてくれた『あい』の文字が黒く滲んでしまっていました。

お父ちゃんの中には、これがたくさん詰まっているんだからね …

… … … … … …

さっき、夢で見たのと同じように、善行は「里や」の前で中の様子を窺がおうと …

「何やってるんですか? お父さん」

サトに見つかってしまいました。

デジャブ??

「ちょっと、娘に会いたいなと思って … いや、いてへんかったら、構いませんから」

純が、慌ただしく二階から食堂に下りてくるのが見えました。

「何だか、今日は忙しくてね … 」

… クレームをつけられて部屋の掃除をやりなおしたり、怯える客に一晩中付き添ったり、客同士のいざこざの仲裁、今は、酔っぱらいの相手をしていました。

扉の外で見ている善行たちに気づく余裕はないみたいです。

… … … … … …

「 … あたしは、いつかおじいみたいな“まほうのくに”を作れたらいいなって思っているんです」

酔った客にそう話すと、いきなり、自分が飲んでいたコップ酒の残りを純に浴びせました。

「何が、“まほうのくに”やあ、俺はなあ … 」

男は、泣き出したかと思うと、今度は自ら酒を頭から浴びました。

「 … そんなものな、できるわけないわい! アホお」

「父にも同じこと言われました。 … でも、あたしは諦めるつもりはありませんから」


… … … … … …

サトが入ってきて、善行が尋ねてきていることを純に伝えました。

しかし、外には善行の姿は見当たりません。

その代り … 晴海が急ぎ足で向かってくるのが見えました。

「お母ちゃん、どうしたの?」

晴海は申し訳なさそうに言いました。

「私、あんたの家に置いてくれないね?」

その様子を、「里や」の向かいのコインランドリーからうかがっている善行でした。

… … … … … …

「わかった、しばらくこっちで預かるからさ、お兄ちゃんたちにも心配しないように伝えて」

電話でのマリヤの話によると … マリヤがうたた寝している間に、晴海が勇気に与えたミルクが冷ますのを忘れていたらしく、ヤケドを負わせてしまって … 幸い、賞状は軽かったのですが … 

「これ以上、勇気に近づいたら、自分がもっと何かしてしまうんじゃないかって、怯えているみたい、お母ちゃん」

泊めることは構わないのですが、純と愛のアパートは狭いという問題がありました。

「人生は、難しい選択の繰り返しなのかもしれませんね … 」

… … … … … …

純の隣、愛の布団で寝ていた晴海、スタンドの灯りの下で日記をつけていました。

『これ以上、家族に迷惑をかけたくない』

晴海は、寝息を立てている純を起こさないように寝床をそっと抜け出しました。

居間には、毛布にくるまって愛が寝ています。

忍び足の晴海は、台所で足を止めました。

その視線の先には … 

… … … … … …

震える手で包丁を握った晴海 … 純と愛は眠りの中にいました …

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2013年02月03日 (日) | 編集 |
さて、次週の「純と愛」は…


第19週「おもいよとどけ」

晴海に会うのが怖い。
認知症の妻から逃げる善行。
そんな彼に再び妻と向き合う決意をさせたものとは?!

(2012年2月1日 NHKネットステラ)


「どんなにつらくても、あしたは晴れると信じへんか」

心を入れ替えた善行(武田鉄矢)が、やっと晴海(森下愛子)を病ごと全て受け入れると告げたその瞬間、晴海は答えた。

「あなたは、誰ですか?」

目の前の男が誰なのかさえ分からなくなるほど認知症の症状が進行したのだ。思いも寄らなかった事態に大きな衝撃を受ける善行。

… 以下、ネタバレ …
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2013年02月02日 (土) | 編集 |

第103話

純の言葉に後押しされ、善行はようやく晴海のもとへ。そして、晴海と出会ったころのように、素直な思いを語るのだが……。

(2012年1月25日 NHKネットステラ)


おじい、お父ちゃんがやっとお母ちゃんの病気と向き合う決心をしてくれました。

晴海は、薄暗い部屋の中で寝床の上に座って何かをしています。

善行が少し離れて腰かけると、気配を感じて振り向きました。

「帰ったで」

優しく声をかけると、ニッコリ笑って、“お帰りなさい”と言う、晴海。

「何をしとったんや?」

布団の上を覗くと、瓶の薬をあけて何か文字を作っていたようです。

『宮古』

「ちょっと、遊んでました」

… … … … … …

何をどう話せばいいのか … 善行は、助けを求めるように、外で純が待っている扉の方を振り向こうとしました。

しかし、思い直し、両掌を広げて、純が書いた『あい』の文字を見つめると、胸の前でこぶしを握りました。

頑張れ、お父ちゃん

信じていれば、きっと伝わる … 

… … … … … …

「結婚してから、お前の話まともに聞こうともせんかった … すまんかったの」

善行は、晴海に心から素直に詫びました。

「だったら、せっかくだから聞きますけれど … 」

両親のことが、心配な純は、扉の外で様子をうかがっていました。

… … … … … …

「 … 正は大丈夫でしょうか? いつまでも頼りないけど」

晴海の口から出たのは、子供たちのことについてでした。

「正はな、だんだん父親らしくなってきた … それにな、あいつには、マリヤさんがついている」

… … … … … …

「剛はどうですか? いつまでも子供で困りますけど」

「剛はな、何処行ってもな、誰とでもな、すぐ仲良うなんねん … あれはな、人よりも何倍も逞しい」


嬉しそうに善行の話に耳を傾ける晴海です。

… … … … … …

「 … じゃあ、純は?」

扉の外で聞いている純、息をのみました。

「あの子は、あんな性格で、本当に幸せになれるでしょうか?」

本当に心配そうに話した晴海に笑いながら答える善行です。

「純が一番大丈夫や … そのことを一番わかっているのは、お前やないか?」

お互いの顔を見て、しみじみとうなずき笑いあう夫婦。

… 善行は、心の奥では、我が子らのことをきちんと理解していたのでした。

… … … … … …

「 … 私は、良い母親でしょうか? … 良い妻でしょうか?」

「当たり前や … 良い母親や、ええ女房や、この世界に二人といてへんええ女房や

眉目秀麗、蓬髪河岸 … 見目麗しく、情けありや」


晴海は、とまどったような顔をしています。

… … … … … …

「すまんかったな、すまんかったな、晴海」

善行が突然頭を下げました。

「でもな、今からは違う … 今からは、ずっとそばにおって、お前の面倒看させてもらいます。

… 家事かてやる、お前の作ってくれた宮古の料理、おいしいおいしいって食べる … 散々迷惑かけて、どこまで返せるかわからへんけど、命かけて頑張るから

明日は晴れると、信じてくれ … 頼む」


善行の顔は涙でくしゃくしゃです。

… … … … … …

晴海は、姿勢を正して、深く頭を下げました。

「ありがとうございます」

自分の『あい』が、晴海に通じた。 … 泣き笑いの善行。

「もうひとつ、聞いてもいいですか?」

善行は、晴海が何を言うのか耳を傾けました。

… … … … … …

「あなたは … だれですか?」

… … … … … …

… 積み上げたものが一気に崩れていく音が聞こえました。

善行の顔から血の気が引いていきます。

「どうして、ここにいるんですか?」

真顔で、そうたずねる晴海。

「何を言うてんねん、俺や、俺やんか?!」

思わず、大声を上げてしまった善行に怯えた晴海が悲鳴をあげました。

… … … … … …

「お前の亭主の善行や!」

晴海は、部屋の中を逃げ惑いながら言いました。

「ウチのお父さんは、そんな優しい人じゃありません」

慌てて部屋に飛び込んできた純の後ろに隠れました。

「自分のこと、お父さんとか言ってるよ、怖い!あー!!」

パニック状態に陥っています。

「ウチのお父さん、こんな優しい人じゃない、こんな良い人じゃないよ」

怯えて泣きじゃくる晴海を見て、なすすべなく立ちすくむ善行。

「お父ちゃん、あきらめないでよ」

しかし、善行の受けた衝撃は、生半可なものではありませんでした。

「純、もう俺のことは … 放っておいてくれ」

ふらふらと部屋を出ていく善行。

純は止めようにも、晴海が抱きついて離れなかったためにあとを追うこともできませんでした。

… … … … … …

自業自得とはいえ、気の毒過ぎる結末でした。 ああ、因果応報 …

… … … … … …

正と剛が戻った頃には、晴海は落ち着きを取り戻して眠りについていました。

「いい加減にしろよ、また余計なことしたんだって? お父さんまで巻き込んでさ」

「何で、お母ちゃんの苦しむようなことばっかするんだよ?」


批判する口だけは達者な兄弟は、いつものように一方的に純を責めました。

掌の『大人』を握りしめた純。

「 … あたしたち兄弟が今、ケンカしている場合かな?」

… … … … … …

「小さい頃から、あたしたちは、お母ちゃんに助けられてきたんだよ … 家族皆、お母ちゃんの笑顔に救われてきたんだよ … せめて、皆で力を合わせて、お母ちゃんが笑顔になるために、皆でがんばろうよ … 一本の矢だと折れちゃうけど、三本だと折れないとか、誰か昔の武将が言ってたでしょ?

これからは、お母ちゃんのために世界最強の兄弟になろうよ」


拙い言葉で一途に訴える純を見て、感じるものがあったのか、正も剛もそれ以上何も言えませんでした。

… … … … … …

「本当によくがんばりましたね」

アパートに帰ると愛が褒めてくれました。

「もうこれがなくても大丈夫だから」

そう言うと、愛は、掌の『大人』の文字を洗い落とすのを手伝ってくれました。

「本当は怖いんだ … 自分が本当に正しいことをやってるか、全然自信ない … 大人って文字が消えちゃったら、もう大人になれないかもしれない」

涙が出そうです。

「 … また、あたしのせいで何か起きるんじゃないかなと思うと、不安でさ」

純の手を取り、最後の石鹸の泡を洗い流すと、愛は言いました。

「大丈夫です。純さんががんばったのは、絶対に無駄になんかなりませんから」

… … … … … …

愛にとっても、今回の結果は、ショックでした。

でも、自分が、純を励まさなければ … 自分自身にも言い聞かせるように … 

「純さんがまいた種は、今は芽吹かなくても、絶対大きな花を咲かせます。 … だから、これくらいのハードル、簡単に飛び越えちゃいましょうよ

女が諦めたら、世界が終わっちゃうんでしょ?」


純の大きな目から、涙があふれてきました。

「 でも … 今日は、泣くぅ」

愛に頬を寄せました …

… … … … … …

次の日。

純は、食堂で「笑わせてほしい」女性客を待ちました。

「 … あたし、やっぱり諦めないことにしました、お客さんを笑わせるのを」

怪訝そうにみつめる女性客。

「あたしはいつか“まほうのくに”を作りたいと思っています … そこに来たお客さんが、みんな笑顔になって帰るホテルなんで」

… … … … … …

「じゃあ、どうするの?」

席に着きながら、女性客は尋ねました。

「取りあえずなんですけど、今日は卑怯な手で勘弁してもらえますか?」

そこに、勇気を抱いたマリヤが「里や」に入ってきました。

「わたしの姪です」

勇気が来たことがわかると、「里や」の女性陣が集まってきて、勇気のことをあやしました。

食堂の雰囲気が一変して、優しい空気に満ち溢れます。

笑い声をあげる勇気。

その笑顔が伝染したように、女性客の口元がほころびました。

… … … … … …

してやられたというように、女性客が言いました。

「確かに卑怯な手ね」

… 純には、その顔は満足しているようにも見えました。

でもいつか必ず … この子に負けないような、ホテルを作ってみせます。

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2013年02月01日 (金) | 編集 |

第102話

落ち込む純を、「変わらなきゃいけない時期なのでは」と励ます愛。その言葉を胸に、純は「晴海と向き合ってほしい」と善行を説得する。

(2012年1月25日 NHKネットステラ)


おじい、結局、お母ちゃんは、家に戻ることになりました …

帰り支度を整えた晴海が純に連れられて、迎えに来た正夫婦と剛たちが待つ一階の食堂に下りてきました。

「女将さん、いろいろご迷惑をかけて、すみませんでした」

そう言って、申し訳なさそうにサトに頭を下げた晴海は、落ち着きを取り戻した、いつもの晴海でした。

… … … … … …

正は、一足先にマリヤと晴海を外に出すと、純に向かって言いました。

「 … お前はもうしばらく家に来るな」

純には、正の言っていることの意味が理解できませんでした。

「また余計なことされたら、いい迷惑だから … お前のやってることは、結局、お母さんを苦しめてないか?」

正の言うことに一理あるとして、あまりに理不尽な言いぐさに、返す言葉もなくした純でした。

「これは、長男としての命令だ。お母さんの面倒は、俺たちが看るから」

最近やけに“長男”を主張する正。

「本当に大丈夫なの? 二人で?」

「また、そうやって、自分だけ正しいみたいなことを言う!」


純の言葉に憤慨した正は、面倒をかけたサトたちにも、まともに挨拶もせずにそのまま「里や」を出て行ってしまいました。

… … … … … …

気の抜けたような純、仕事にも身が入りません。

「ねえ、私を笑わせるのはどうなったの?」

今朝は、女性客の方から催促をしてきました。

「すみません、ちょっと待ってくださいね … 」

騒動があったりして、何も考えていなかった純は、思いつくまま、ホコリをかぶったような一発屋のお笑い芸人たちのギャグを真似するだけでした。

… やっているうちに自分でも情けなくなって、止めてしまいました。

「すみません、やっぱり無理です。お客さんを笑わせるのは … 」

女性客は、ため息をついて、自分の部屋に戻って行ってしまいました。

… … … … … …

昨夜は一睡もせず、落ち込みも激しい純を、サトは仕事を切り上げて家に帰るように言いました。

「そうしたら? また何かトラブル起こされたら、迷惑だし」

「同感」


意地を張る純が帰りやすいようにと、セクシーとチュルチュルなりの気遣いでした。

『ひどいカオ』

そう書かれた紙を士郎が掲げました。

… … … … … …

「さいあく … 」

鏡に映った自分の顔を眺めながら、純がつぶやきました。

「落ち込まないでください … きっと、お兄さんたちもわかってくれていますよ … 純さんが、誰よりも、お義母さんのことを心配しているって」

愛になぐさめられても、簡単に立ち直ることができません。

「 … 今までのやり方じゃ、ダメなんじゃないでしょうか? … 純さんは、正しいことを言っていても、少し人を責めてるような言い方になってしまいますし」

でも、純には、どうしたらいいのかわかりません。

「おじいだったら、こう言うんじゃないでしょうか …

“純、お前が今、苦しくて辛いのは … 今こそ変わる時なんだ”

… 今こそ本当の意味で … 大人になる時じゃないんでしょうか? … 僕も純さんも」


… … … … … …

「ああ、しゃちょう? さっき、お父さんが来たけど … 」

サトが、善行が手土産に持ってきた豚まんを食べながら電話してきました。

やっとの思いで、「里や」に入った善行でしたが、時は遅く、晴海は家に帰った後でした。

「お母さんが、ウチにいると思っていたみたいで … バツ悪そうに出て行っちゃったけどね」

サトから、そう報告を受けた純は、すぐさまマンションに連絡を入れました。

… … … … … …

「お姉ちゃん、お父ちゃん、そっちに帰ってる?」

… やはり、帰ってはいませんでした。

純が母の様子を聞くと、マリヤは言いにくそうに答えました。

「お義母さん、料理していたら、手を切っちゃって … 正にもうキッチンに立たないでくれって言われたの」

それでずっと部屋から出てくるこなくなって、今は布団に入って休んでいました。

正と剛は、仕事に行って留守です。 … 結局、晴海の世話は、マリヤ任せでした。

… … … … … …

「純ちゃんには、内緒って言われたんだけどさ … 介護保険サービスかヘルパーを頼もうとしているの」

自分たちが面倒を看るということは、そういうことでした。

そのうえ、善行のことを許せないと、剛が市役所から離婚届をもらってきて、晴海にサインさせてしまったと、困り果てたようにマリヤが話しました。

「えっ?!」

… … … … … …

全く連絡が取れない善行に気ばかりが焦る純です。

「純さん、心当たりがある場所とかないんですか?」

愛にそう聞かれても、善行が行きそうな場所なんて思いつかな … いや、一か所だけ …

『あんたが動物園好きだってわかったら、休みの日は、いつも動物園さ … 』

晴海の言葉がよぎりました。

… … … … … …

「 … あるんですね?」

でも、善行が今更あんなところへ行くだろうか?

純の迷いを断ち切ったのは、愛の言葉でした。

「お義父さんは、今でも世界一、純さんのことを愛していると思います」

… … … … … …

家を出る前に、愛は純の両方の掌にマジックでそれぞれ「大」と「人」の字を大きく書きました。

『大人』 … おとな

「今日は、お義父さんにどんなことを言われても、これで … 」

… … … … … …

閉園の時間が近づく動物園、善行の姿は見当たりません。

「何処にいるの? お父ちゃん」

ふと、女の子の泣き声に振り向く純、どうやら迷子のようです。

近づこうとすると、一瞬早く少女の前に現れたのは … 善行でした。

「どないした? え、迷子になったの?」

優しく少女に話しかける善行 … 純に、“あの思い出”がよみがえりました。

『 … 今度、お父さんと離れたら、承知せんからな!』

動物園で迷子になっていた純を見つけた善行は、二度と離れないように純の腕を強くつかんで …

… … … … … …

迷子の少女から聞いた親の名前を大きな声で呼ぶ善行。

やがて、その声を聞きつけたのか、かけつけた父親に少女を引渡して言いました。

「手を離したら、あきませんやん。すぐ迷子になりますから」

父親と手をつないで帰っていく少女を見つめながら、善行もまた純と同じ思い出に浸っていました。

… … … … … …

ふいに手を握られ、振り向くと純がいました。

「何でお前ここにいてんのや?」

純は、善行の腕を引っ張ってどんどん歩き出しました。 … あの日と同じように、手をつないで歩くふたり … 立場は逆ですが …

「何処行くのや?」

「お母ちゃんの所に決まっているでしょ」


善行は腕を振り払いました。

「俺にどうせいっ言うのや?」

… … … … … …

「これからずっとそばにいて、ずっといっしょにいて、ずっと支えるって … お母ちゃんにそう言ってあげてよ」

善行は、親に向かって上からものを言うなと悪たれをついたあと、ポロリとこぼしました。

「それにな、お母ちゃんは、俺といっしょにならんかった方が、ずっと幸せになれたんや」

何をいまさら … ぶち切れそうになった純ですが、愛の言葉を思い出して、“大人”と書かれた掌を見つめました。

こぶしをぎゅっと握って …

「お父ちゃん、お願いします。お母ちゃんとちゃんと向き合ってください」

… … … … … …

「このまま、お母ちゃんを手放していいの? あたしは嫌だよ … いつかまた、家族で動物園だって来たいし … 皆で、あたしが作ったホテルにも来てほしい

今がどんなに辛くても、明日は晴れるって、そう信じたい。」


涙がこみ上げてきました。

「だめかな? … そう思っちゃだめかな」

… … … … … …

善行は、ゆっくりと振り向くと純に向かって腕を差し出しました。

「純 … 手を離さんといてくれ」

うつむいたまま、そう言った善行の腕をしっかりとつかんだ、泣き笑いの純。

… … … … … …

マリヤがドアを開けると、純と手を引かれた善行が面目なさそうに立っていました。

「お父ちゃんが、お母ちゃんと話したいって言ってるんだけど … 」

… … … … … …

晴海は、相変わらず部屋にこもったままでした。

純とうなずきあった善行は、晴海のいる部屋の戸を開けようと手を伸ばしました。

その時、あることを思いついた純が善行を止めました。

善行に掌を差し出させると、愛がしてくれたように、それぞれに「あ」「い」と大きく書きました。

『あい』 … 愛

「お父ちゃん、お父ちゃんの中には、これがたくさん詰まっているんだからね … 忘れないで」

純がそう言い聞かせると、善行は、自分でも驚くほど素直にうなずきました。

… … … … … …

善行は、純にニコリと笑うと、晴海のいる部屋に入って行きました。

おじい、こんなこと頼むの始めてだけど、今日だけは、お父ちゃんを守って … お願い

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