NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2013年03月31日 (日) | 編集 |
純と愛

「まほうのくに写真館」で、ひとりきりの純の表情が愁いを帯びているように見えたのが、少し気になりますが … 絵本通りの未来へと続くのだと思うことに、今決めました。

■番組データ

放送/平成24年10月1日(月)~平成25年3月30日(土)(全151回)

NHK総合
前8:00~8:15
後0:45~1:00(再)
NHK BSプレミアム
前7:30~7:45
後11:00~11:15(再)
[1週間分まとめて再放送]
NHK BSプレミアム
前9:30~11:00

< スタッフ >
作/遊川和彦
音楽/荻野清子
主題歌/HY「いちばん近くに」

< キャスト >
狩野純(ヒロイン)/ 夏菜
待田愛(相手役)/ 風間俊介
狩野善行(純の父)/ 武田鉄矢
狩野晴海(純の母)/ 森下愛子
狩野正(純の兄)/ 速水もこみち
狩野剛(純の弟)/ 渡部秀
真栄田弘治(純の祖父)/ 平良進
待田謙次(愛の父)/ 堀内正美
待田多恵子(愛の母)/ 若村麻由美
持田誠(愛の妹)/ 岡本玲
大先真一郎(社長)/ 舘ひろし
中津留賢二(総支配人)/ 志賀廣太郎
桐野富士子(純の上司)/ 吉田羊
水野安和(純の先輩)/ 城田優
田辺千香(純の同期)/ 黒木華
上原サト(里や・女将)/ 余貴美子
藍田忍(里や・板前)/ 田中要次
天草蘭・あゆみ(里や・客室係)/ 映美くらら
宮里羽純(里や・従業員)/ 朝倉あき
金城志道(舞踊家元)/ 石倉三郎
久世秋代(笑わない女) / 朝加真由美
平良キン(雑貨屋) / 吉田妙子

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たくさんの方々にアクセスしていただき、ありがとうございました。拙い文章におつきあいくださって感謝の極みです。
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2013年03月30日 (土) | 編集 |

最終回

皆の思いを受けて、純はホテルをオープンさせる決意をする。

(2013年3月22日 NHKネットステラ)


「純ちゃんが?!」

「わかった、すぐ行くから!」


マリヤからの電話で、あゆみ、羽純、正は、勤務時間中にもかかわらず職場を飛び出しました。

「ホテル始めるって本当ですか?」

半信半疑の羽純たちにマリヤは大きくうなずきました。

待ちに待った知らせに歓声を上げた一同は、正が運転するワゴンに乗ると一路、サザンアイランドへ!

… … … … …

純は、看板の汚れを洗い流しているところでした。

「純!」

車から降りるなり、純をいきなり抱きしめる正。

一同、純を取り囲みました。

「皆、心配かけて、本当にごめんなさい」

深く頭を下げた純は、不安そうに皆の顔を見ながら言いました。

「 … 一緒にやってくれるかな?」

… … … … …

「やだ!」

「今の仕事、忙しいし」


素っ気なく車に戻って行く、あゆみ、羽純、マリヤ。

困惑する純と正 …

「うっそぉ!!」

三人は振り向き、笑顔で純に抱きつきました。

「今まで待たせた罰よ」

あゆみに言われて、改めて肝に銘じ、うなずく純でした。

いとし君、皆がまた集まってくれました … あたしは、本当にしあわせものだね。

… … … … …

朝陽が差し込む部屋、純は愛のひげをそりながら、いろいろと報告しています。

「いとし君が残してくれたノート見ながら、皆がんばってるんだけどさ … オープンにはまだまだ時間がかかりそうで … 台風のせいで、雨漏りした所がいっぱいあるし … 」

ホテル中の壁も一から塗り直す必要があり、おじいのジュークボックスも修理しなければなりません。

「何より、もろもろ出費が大変でさ」

愛に愚痴る純ですが、その言葉とは裏腹に前向きな気持ちが感じられます。

… … … … …

壁や柱の汚れを落としたり、床を磨き上げたり、泥だらけ埃だらけになりながら懸命に作業を続ける一同。

突然、天井板が抜けて、大量の水と共に落ちてきて … 脚立に乗って作業をしていた純は、ひっくり返ってしまいました。

「雨漏りの水が天井にたまってたんだな … 」

「これじゃあ、いつオープンできるかわからないね」


天井に開いた大きな穴を見て、気分消沈しそうになる皆を純は励まします。

「大丈夫、大丈夫、こんなのすぐに直せるよ … それより何かお腹すかない?」

… … … … …

純は、ホテルの外に出てみました … 木々を揺らしている宮古に吹く風が心地よく感じます。

いとし君 … これからもきっと、いろいろと大変なことばかりだろうけど … あたしはやっぱり素敵な未来が来るって … 信じたい

台風で倒れたままになっている木を片付け始めました。

… 信じるって、人が言うって書くんだよね … だから、あたしは …

「どんなに風が吹いても、どんなに雨が降っても、たとえ嵐や洪水になっても … どんなに不幸に襲われても … 苦しさに耐えて、血反吐を吐き、這いつくばっても生きていく

どんなに寂しくても、不安でも、どんなに人にバカにされても … 自分を見失わず、明日は晴れると信じ、勇気と情熱と希望を持ち続ける」


純は、ホテルを見上げました。

「このホテルと、大切な仲間だけは … 何があっても守ってみせる、絶対に失ったりしない」

… … … … …

いつのまにか、ホテルの先、海に突き出た岬まで下りてきた純は、海を見つめていました。

「 … もっともっと賢くなりたい、我慢強くなりたい

母のように優しくなりたい、父のように純粋になりたい、兄のように広い心を持ちたい、弟のように自由でいたい、義姉のようにたくましくありたい … おじいのように愛する人のために一生を捧げられるような人間になりたい

強い者には、決して屈せず、弱い者には、いつでも味方できる人間になりたい


… … … … …

もう下を向かない、自分のできることを一日一日やり続ける … 自分の家を守る、家族を守る … 自分の信じたことを伝える … この世界から笑顔が無くならないように命をささげる

… … … … …

この空や海に比べれば、あたしたち人間は、本当にちっぽけな存在かもしれないけど … でも、あたしたちは未来を変えることができる … より良い世界を作ることができる

… … … … …

もう神様がいても、頼らない … 奇跡を起こすのは、神様じゃなく … あたしたち、人間なんだから」

… … … … …

純は、Iの字のネックレスを握りしめました。

「たとえ、いとし君が … この世で一番大切な人が、一生目覚めなくても …

あたしは、死ぬまで“待田純”であり続ける … と、決めた!」


信じていれば、きっと伝わる …

… … … … …

純がホテル内に戻ると、晴海がキンたちと共に来ていて、マリヤが淹れたお茶に呼ばれていました。

「いらしてたんですね?」

純が声を掛けると、晴海は嬉しそうに近づいてきました。

「あなた、ここの従業員の方よね?」

純はわだかまりなくうなずきました。

「今日はね、お友達連れてきたさ」

会釈して二階へ上がろうとする純のことを晴海が呼び止めました。

そして、ハンカチを取出し、純の顔についた泥や汚れを優しく拭い取ってくれました。

「きれいになったさ」

… … … … …

「ありがとう … (お母ちゃん)」

… 母のように優しくなりたい … この母の笑顔に何回救われたことだろうか …

純は晴海がくれた優しさをかみしめて二階へ上がって行きました。

そんなふたりの様子を、あゆみが、羽純が、マリヤが、キンが … 微笑ましく見ています。

正も納得したようにうなずき、妹の背中を見つめていました。

… … … … …

純は、愛の枕もとにひざまずいて、顔を近づけて話しかけました。

「いとし君、あなたが目覚めるまでに … 必ずここを“まほうのくに”にしてみせる」

眠り続ける愛の唇へゆっくりと静かに自分の唇を重ねました。

… 愛の手の指が一度だけでなく、二度三度と動く … 純は、思わず手を握りました。

反対の手の指もかすかに … 純は両手を取って … 愛の顔を見つめました。

すると …

… … … … …

ねむりひめと王子。

いつまでも、ずっとずっと
いっしょに暮したそうです。

むかしむかしの話です。
むかしむかしの …

おしまい

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ラストは視聴者それぞれでご判断を …

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2013年03月29日 (金) | 編集 |

第150話

晴海(森下愛子)は病状が進行し、もはや純が誰かわからない。だが、うれしそうに自分の家族について語る晴海を見て、純は涙を流す。

(2013年3月22日 NHKネットステラ)


まだ明けやらぬ朝、純はベッドに座り込んで、眠り続けている愛のことをぼんやりと見つめていました。

おじい、お父ちゃん … 昨日、皆が励ましに来てくれたのに …

「いとし君が目覚めてくれないと、ここは“まほうのくに”にはならないんです … 本当にごめんなさい」

… あたしは、あんなことしか言えなかった


朝陽が差し込み始めた頃、純は愛の手足の屈伸運動を施しながら、いつものように話しかけました。

「いとし君、今日も宮古の空、きれいだよ」

その言葉に反応したかのように、愛の手が純の手を握り返しました。

しかし、ただそれだけ … 返事が戻ってくるわけもなく … 何度こんな期待と失望を繰り返したでしょうか …

純はこみ上げてくるものを抑えきれなくなりました。

「ねえ、何で起きてくれないのよ? … こんな日が続くの耐えられないよ!」

ただただ泣くことしかできない純。

おじい、お父ちゃん … お願い、助けてください

… … … … …

「こんにちは」

一階から声が聞こえました。

純が重い足取りで、階段を下りてみると、青いワンピースの晴海がフロアに立っていました。

「あなた従業員の方でしょ?」

母が自分のことを娘だと理解することはもうないのでしょうか … どうしようもないことと思いながらも、いたたまれない気持ちに苛まれている純に、晴海が無邪気に言いました。

「お茶もらえませんか? … 私のどが渇いちゃって」

… … … … …

純がお茶を淹れている間、館内を見回していた晴海が、壊れてしまったジュークボックスに気づきました。

「あれ、これ壊れちゃったの … 残念ねえ、聞きたい曲があったのに」

純は、母が何の曲を聞きたかったのか気になって尋ねました。

「ひなまつり … 父と娘が、ジュークボックスの前に座って、いつも聞いてたさ … 父はね、娘のことが大好きでね … “お前はそのままでいいからな”って、いつも言ってたよ」

長い間解けなかったパズルの答えを純は、祖父の思い出と共に見つけたような気がしました。

♪ 灯りをつけましょ、ぼんぼりに お花を上げましょ 桃の花 …

ジュークボックスの代わりに、純が歌うと、晴海は手をたたいて喜んでくれました。

… … … … …

純が淹れた茶を美味しそうに飲んだ晴海は、次に腹が減ったので何かないかと尋ねました。

冷蔵庫を覗いても大したものは残っていませんでしたが …

「あの、ダシ巻タマゴでもいいですか?」

そう尋ねると、晴海がうれしそうに答えました。

「あら、それ、ウチの主人の大好物」

純の顔が思わずほころびました。

純は、晴海自身に教わったダシ巻タマゴと、裏庭に愛が植えておいたパンダマを摘んでサラダを作って出しました。

ダシ巻タマゴを口に入れた晴海のことを不安そうに見つめる純 … 晴海は笑顔で言いました。

「ウチの味付けと一緒」

… … … … …

「ウチの家族見る?」

晴海はポケットから、家族写真を取り出すと、テーブルの上に置きました。

「 … これが私で、これが父 … それから、これがね … えーっと … 」

善行を指さしていますが、誰だか思い出せないようです。

「 … ご主人の善行さん」

純が代わりに言うと、晴海はうなずきました。

「長男の正さん … 次男の剛君」

晴海が指差すたびに純が代わりに名前を言い、晴海がうなずきました。

「そして、これが … 」

純を指さしたまま、晴海は一生懸命考えています。

「長女の … 純 … さん」

… … … … …

「そうそうそう … この子がね、やんちゃでさ、男の子みたいだから、大きくなっても結婚できるか心配で … 」

純は少し言いにくそうに答えました。

「それは … 大丈夫です、きっと」

「そうかね? … いい人見つかるかねえ?」


晴海は不安そうに聞き返しました。

「はい、きっと」

「そうね? … だったら、安心ねえ」


晴海は、うれしそうにころころと笑っています。

… … … … …

こみあげてくる涙を見られまいと、純は晴海の後ろに回って肩を揉み始めました。

「あなた、お母さんは?」

晴海にそう尋ねられた純は肩を揉みながら答えました。

「とっても優しい母がいます … そこにいるだけで皆が笑顔になる、ウチの家族の誇りです … あたしは、そんな母に文句ばかり言って … 苦労ばっかり掛けて … 全部 … 全部、あたしのせいなんです」

晴海は純の手をやさしく触って言いました。

「そんなことないさあ … あなたは、愛をいっぱいいっぱい持ってるよ」

純にそう言った晴海は、母親の顔でした。

純は誰はばかることなく涙を流して晴海に抱きついていました。

「お母ちゃん、お母ちゃん」

… … … … …

「やっぱりここにいたさ、晴海ちゃん」

「捜したよ」


キンや晴海の幼なじみたちが、いなくなった晴海を捜してここまでやってきたのです。

「あら、じゃあ、帰ろっかねえ」

晴海は立ち上がると、あっけらかんとそう言い、キンたちの元へ駆け寄りました。

「晴海ちゃんのこと、心配しなくてもいいから … あんた、頑張って!」

純のことも気にかけていたキンがそう励ましました。

「あ、ありがとうございます」

キンたちに連れられた晴海がふいに振り返りました。

「ここ、また来てもいい?」

純が返事に困っていると、晴海は続けました。

「だって、ここ … “まほうのくに”でしょ?」

… … … … …

純の心の中で何かが解き放たれ … 思わず答えていました。

「はい!」

晴海はうれしそうに微笑むとキンたちと共に帰って行きました。

純は深く頭を下げ … そして、見送りました。

… … … … …

涙はもう乾いていました。

いとし君 …

純はフロアの窓を全部全開にして、外の空気を呼び込みました。

あたし … いとし君が二度と起きてくれなくても、このホテルに一人でも多くの人に来てもらって、さっきのお母ちゃんみたいな笑顔を一つでも多く作っていく … ことに決めた

薄汚れたカーテンをテキパキとすべて外して洗濯しました。

あなたが目覚めると、もう無理して信じるのはやめる … あなたのために作ったこのホテルをダメにしたら … あたしたちが、今まで愛しあってきたことも、消えてしまうから

愛の枕もとに腰かけてそう語りかける純の顔には、もう一遍の迷いもありませんでした。

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千の励ましより、お母ちゃんの「まほうのくに」

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2013年03月28日 (木) | 編集 |

第149話

ホテルを訪れた大先たちは、純を励まそうと言葉をかける。そんな大先たちの思いに報いるため、純は精いっぱいのサービスで彼らをもてなす。

(2013年3月22日 NHKネットステラ)


「話しかけてあげてください … いろんな人に声を掛けてもらった方がいいって、お医者さんも言ってたんで … 」

ためらっている一同の中から、水野が一歩前に出て、愛に近づきました。

「おい、いとし … 起きないんだったら、俺が純ちゃんもらっちゃうぞ」

さすがに慌てる純。

「冗談だよ … 実は、俺、田辺君と婚約したんだ」

千香が結婚式の招待状だと言って、純に手渡しました。

「そうだったの?!」

純は、ふたりのことを祝福しました。

「いとし … 俺たちもお前と純ちゃんに負けないように、いつまでも仲良くしようと誓ったんだ」

「ふたりには、絶対、式に出てほしいの、だから … 」


声を震わせて、それ以上は言葉にならない千香、水野が優しく肩を抱きました。

… … … … …

「実は … 自分も女将さんと結婚することができました」

セニョールが純と愛に報告しました。

純、驚きの連続です。

「ドラマチックじゃないだろう? … もうこいつがしつこくてさあ」

そう言いながら、まんざらでもなさそうなサトです。

「自分も、いとしさんみたいに、どんなことがあっても女将さんを支えていく覚悟です … だから、困ったときは相談しようと思ってたのに … 」

大の男が泣き出しました。

「メソメソするんじゃないよ!」

セニョールのことをビンタしたサト自身も泣きべそ顔です。

「だいたいさ、結婚したのに、いつまでも女将さんって呼び方どうかと思わない?」

愛にそう尋ねた、サト … そして、愛の手を取り両手で握りしめました。

「でもさ … あんたたちは、ハッピーエンドじゃないとまずいんじゃないの? … いとし君、ねえ、ねえ … 」

… … … … …

「じゃあ、この流れで俺たちも結婚しちゃう?」

大先がおどけて富士子に言いました。

「遠慮させていただきます」

ですよね … 速攻、振られちゃったよ、いとし君 … ま、いいや」


大先は、懐から一冊の本を取り出しました。

タイトルは、『本当に行ってもいいホテル、だめなホテル 大先真一郎』 … 著書のようです。

「これ、見てくれる? … 俺さ、ホテル評論家になってさ、本出したら結構売れてるのよ、これが … 君たちのホテルのことも、早く書きたいから … 

元気になって、また、しゃちょうのことを助けてやってよ」


… … … … …

「いとし君 … 私は、カイザーオオサキの社長になったわ」

富士子の報告を聞いて、純は目を見開いて歓喜の声をあげました。

「 … ウソよ、そんな甘いわけないでしょ … でも、どんなことがあっても、絶対にあきらめないわよ … 今日ここに来て改めて、そういう未来を必ず作ってみせると決めた!

だから、待ってるわよ! いとし君」


… … … … …

一同は、愛の部屋を後にして、一階に戻りました。

「そうだ、師匠からの伝言も預かってきているんだけども … 」

サトが思い出して言うと、セニョールが携帯で動画を再生して見せました。

「 … いつかアンタのホテルができたら、故郷だと思って、いつでも帰って来いって言ったの、忘れたわけじゃないでしょうね? … アタシ、ずっとその気になってるんだから … 

ねえ、しゃちょう、一体いつオープンするのよ?」


動画を見つめる純に入口の方から声が掛りました。

「それは、あたしも訊きたいわね」

久世秋代でした。

「このホテルに泊まれるの、ずっと楽しみにしてるんだけど」

再会を喜ぶ、サトと秋代。

… … … … …

「そうだ、ホームページにさ、このホテルにしかないサービスいっぱい書いてあったけど … せめて、それ体験できないかな?」

せっかくの水野の提案にも、余りその気になれない純でした。

「やってあげたら、しゃちょう … きっと皆、喜ぶわよ」

サトが煽りました。

「何? … 俺たちを、手ぶらで帰らせる気?」

大先の一言で、純はやっと腹をくくりました。

… … … … …

純から事情を伝えられた正たちスタッフは全員、急遽集合して、一階のフロアでそれぞれのサービスを皆に体験してもらいました。

秋代は正のゴッドハンドマッサージ、サトはあゆみのヘアメイク、富士子は羽純の人間ジュークボックスに次から次へとリクエストしています。

厨房では、マリヤが愛が考えたメニューの品の数々をこしらえました … 特製豚まんを頬張ったセニョールが、絶賛しています。

富士子が羽純にリクエストする曲は、お約束通りのキャンディーズのナンバーばかり … 富士子は、なかなかやるけど、まだまだね … といった顔で見ています … そのうち自分で歌いだしそう …

その様子を、仲直りのブランコから眺めている水野と千香。

「可愛いね、あの子」

水野は、何気なく漏らした言葉で、千香にいたくもない腹を探られてしまいました … すでに尻に敷かれてる?

… … … … …

純から何かを聞いていた大先が富士子を誘ったのは、泥で汚れたままの「プロポーズの壁」の前でした。

大先は富士子に謂れを説明するとひざまずきました。

「やっぱ、結婚して!」

この人の言うこと、冗談なのか、本気なのか … よくわかりません。

「しつこい」

ひとこと言うと富士子は、羽純の元に戻ってしまいました。

… … … … …

スタッフのサービスやおもてなしに客が満足して笑顔になる … 純が目指していた「まほうのくに」がそこにありました。

しかし、今は本当に心から笑うことができない … 皆の輪から外れているような … そんな、純でした。

… … … … …

ふと気がつくと、富士子が横に立っていました。

「オープン前に直した方がいいと思ったこと、メモしておいたから」

純は、富士子から手渡されたメモに目を通しました。

「あ、これ、いとし君が言っていたのと同じです」

富士子は純の腕を掴み、言いました。

「若者たち … 」

純には何のことかわかりません … それは、羽純にリクエストした曲名でした。

♪ 君の行く道は 果てしなく遠い …

フロアにいる全員が注目して、羽純の唄に聴き入りました。

… … … … …

♪ 君のあの人は …

二番を歌い始めた羽純は、ここで歌に詰まってしまいます。

羽純には富士子の顔が、「続けなさい」と言っているように見えました。

少し考えて … また歌い始めました。

♪ 今はもういない だのに何故 何を探して …

純の顔色が変わりました … 今の純にとって、この歌の歌詩は残酷かも知れません

羽純は泣きながら歌い続けました。

純も涙を拭っています。

♪ 空にまた日が昇る時 若者はまた歩きはじめる …

歌い終わると、誰からともなく拍手が起こりました。

純は平静を装っていますが、明らかに動揺しています。

富士子なりのエールだったのですが …

… … … … …

「プレゼントがあるんだけど」

純が、水野と千香から手渡された箱を開けると … 中にはサモトラケのニケの小さなレプリカが入っていました。

笑顔でそれを手に取った純に水野は言いました。

「君は、サモトラケのニケなんじゃないのか? … つらいのはわかるけど、いとしのためにも頑張ったら?」

千香が水野にこういう時トルストイは何か言っていないのかと尋ねましたが …

「もう、人の名前を使って、自分をよく見せようとするの、止めようと思って」

水野も成長していました。

… … … … …

「皆からいろいろ話聞いたけど … やっぱ、ドラマチックだねえ、あんたたち」

サトが感心して言いました。

「俺もいろいろ聞いたよ、女将さんから … ひらがなの“と”いう言葉で、たくさんの人を結びつけたり … “里や”を再建したこととか

それもこれも“待田純”という人間が存在したからあったことだ … ここにいる全員が、そんな“待田純”のおかげで今がある … 違うか?」


大先は一同に向かって問いかけると、誰もが納得していました。

「そして、俺たち皆 … “待田純”にホテルをやり続けてほしいって思っているんだ」

サトが、水野が、千香が、富士子が、セニョールが、あゆみが、羽純が、秋代が、マリヤが、正が …

大先はウインクをしました。

… … … … …

「皆のために、早くここを“まほうのくに”にしたら? … そしたら、あんたたちモデルにしてドラマ書くからさ、あたし」

「何とか言ったら? … このままだと、大切なパートナー失って、死んだように生きていたあたしみたいになっちゃうわよ」


サトが、秋代が、自分なりの言い方でエールを送りました。

… … … … …

純は、一同を見渡して、静かに話しはじめました。

「皆さん、ありがとうございます … 

でも、今の“待田純”を作ったのは“待田愛”なんです … 彼への愛と感謝をこめて、このホテルを作ったんです … 

だから、いとし君が … いとし君が目覚めてくれないと、ここは“まほうのくに”にはならないんです … ちゃんと、あたしの手を握って、あたしの目を見て … 話しかけてくれないと

… 本当にごめんなさい」


純は、逃げるように二階へ駆け上がって行ってしまいました。

正があとを追おうとしましたが、富士子が止めました。

「信じて待ちましょう … 彼女なら、きっと、大丈夫です」

富士子は確信を持った表情で二階を見つめました。

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このドラマに出てくる男たちは例外なく女性に主導権を握られてるでしょ

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2013年03月27日 (水) | 編集 |

第148話

そんな中、突然ホテルに大先(舘ひろし)、桐野(吉田羊)、水野(城田優)、千香(黒木華)が現れる。しかも、サト(余貴美子)と忍(田中要次)も。

(2013年3月22日 NHKネットステラ)


午前三時、純はベッドの上の愛の体を抱いて寝返りを打たせて今までと逆の方向を向かせていました。

二時間おきに、いとし君の体制を変えてあげる、床ずれ防止のためだ …

目覚まし時計が、午前五時を告げると、純はベッドから抜け出して、また愛に寝返りを打たせました。

おじい、お父ちゃん … いとし君は、相変わらず眠ったままです

午前七時、純が次に起きた時には窓から朝陽が差し込んできていました。

「おはよう、いとし君 … 今日も天気いいよ、ねえ、そろそろ起きたら?」

窓から外の景色を眺めながら、純は愛に話しかけました。

「 … そうします

空耳? … いや、たしかに愛の声でした。

純は、振り向いて、ベッドの上の愛の顔を覗き込みました。

少しずつ、愛のまぶたが開いて …

「いとし君!」

愛は純の顔をまぶしそうに見上げています。

「純さん … 」

「ちょっと待ってて … 今、せんせい呼んでくるから!」


… … … … …

ホテルから飛び出してくる純。

「待ってください」

パジャマ姿の愛が立っていました。

「その前にキスしてくれませんか?」

純はうなずき、愛を抱きしめました。

そして、唇を重ねようと …

… … … … …

… 純はベッドの上で目が覚めました … 夢 …

目覚まし時計が七時を告げています。

愛は眠ったままです。

「おはよう、いとし君 … 」

夢と同じように話しかけてみました。

「 … 今日も天気いいよ、ねえ、そろそろ起きたら?」

返事は … ありません。

恐る恐るベッドの愛を振り向く純 … 何も変わらない現実 …

おじい、お父ちゃん … あたしは、叫びたくなるのを必死で我慢した

… … … … …

重い足取りで純が一階に下りて行くと … 正と剛、あゆみ、羽純が集まっていました。

「お母さんが、またここに来たがってさ」

そう言った正の目線の先、庭先で青いワンピースの晴海が勇気を抱いたマリヤに楽しそうに話をしていました。

「ここは、私の父のホテルなんです」

… … … … …

「 … それに、お前にも話があって」

正はホテルのマッサージの出張、あゆみは美容院、羽純はライブをやっている沖縄料理の店で、それぞれ働くことにしたと報告しました。

「でも、純ちゃんがまたこのホテルをやる気になったら、いつでも駆けつけるからね」

あゆみは約束しました。

「お姉、俺もいったん大阪戻って、個展の準備するから」

純は、せっかく来て描いてもらった絵も台無しになってしまったことを詫びました。

「何言ってるんだよ! … お姉がその気になったらさ、俺がここも、ここも、ここも … 絵で埋め尽くしてやるからさ」

頼もしく胸を叩いた剛です。

皆の気遣いや思いやり、励ましに感謝する純ですが … その期待に応える気力がわいてこないのでした。

… … … … …

庭にいた晴海が純の元に駆け寄ってきました。

「あなた、ここの従業員の方ですか? … ウチの家族、どこにいるか知らないですか?」

晴海は、家族写真を見せてそう尋ねました。

おじい、お父ちゃん … お母ちゃんは、今日もあたしが十歳のころに戻っているみたい

そんな晴海のことを切なく見つめる、正、純、剛 …

… … … … …

純は晴海を連れて、思い出のビーチにいました。

ふたりで砂浜に腰をおろして、とめどもない会話を交わしています。

晴海は、家族写真に写っている、ひとりひとりを指さして、純に教えました。

「これが長男で、これが長女 … これが私の父、それで、この人が … メロちゃん」

純は思わず吹出しました。

「なんでメロちゃんかわかる? … えっと、何だっけ?」

「もしかして、“走れメロス”が好きだから、メロちゃんじゃないんですか?」


晴海は思い出し笑いをして、「誰にも言ってはだめだよ」と念を押してから話しはじめました。

「思い出したさ … ここではじめてメロちゃんにキスされたの」

… … … … …

「 … それがさあ、すごい力で掴むしさ、緊張して鼻息が荒いから、全然ロマンティックじゃなかったけど … メロちゃん、何度も言ってたよ … “僕は幸せです。あなたに逢えて、本当に幸せです”って」

不器用な善行らしいと、純は思いました。

「だけどさ … 私は、メロちゃんを幸せにできなかったさ」

純は、晴海の顔を見返しました。

「あたしのせいで … メロちゃん、死んじゃった … 」

いろいろなことを忘れても、お母ちゃんの心の中には、自分の伴侶を幸せにできなかったかもしれないという後悔だけは残っている … そして、それは … 今のあたしも同じだ

純は、晴海に寄り添って、優しく背中をなでていました。

… … … … …

純がホテルに戻ると、羽純がひとりで純の帰りを待っていました。

「これ、純ちゃんがちゃんと食べてるかどうか心配だからって」

マリヤから預かったサンドイッチを差し出しました。

おざなりに礼を言い、二階へ上がろうとする純。

思い切って羽純が声をあげました。

「 … せっかく親友になったんだし、言わせてもらうけどさ … あたしはやっぱり、純ちゃんはホテルをやっていないと純ちゃんじゃないと思う!

皆、大人だし、遠慮して言わないけど … 

本当は首長くして待ってるんだよ、純ちゃんがやる気になってくれるのを!」


羽純は唇を真一文字に結んで、ホテルを飛び出て行ってしまいました。

純には、言葉を返すことも、羽純の後を追うこともできませんでした …

… … … … …

深いため息をついて、マリヤからのサンドイッチを手にした時 … 誰かがホテルに入ってくる足音で、純は振り返りました。

思いもよらない人 … 白いスーツに身を包んだ、大先真一郎でした。

「しゃちょう、久しぶり」

笑顔で大きく手を広げました。

「 … 社長、どうしたんですか?」

呆気にとられる純。

「どうもこうもないよ … 君がホテルをオープンするって聞いたから、驚かしてやろうと思って、偽名で予約入れたのに… いきなり、延期しますとか言われて … それっきり連絡がないからさ

覚えてるだろ? … 君が“まほうのくに”を作ったら、俺が最初の客になるって言ったの」


そんな約束もあった … 純は懐かしく思い返していました。

「思ったより大変だったみたいね、台風で」

後から入ってきたのは、桐野富士子でした。

「桐野さん!」

大先が得意顔で言いました。

「俺が誘ったの、せっかくなら一緒に行かないかって」

それに続くように水野安和と田辺千香もやって来ました。

「千香ちゃんと水野さんまで … 」

皆、あの頃と少しも変わらない笑顔です。

… … … … …

「こんちわ!」

今度は、見慣れないおしゃれな感じの女性が入ってきました。

「どちら様ですか?」

女性がサングラスを外すと … 正体はサトでした。

「しゃちょう、久しぶり!」

サトのあまりの変わりように目を丸くする純。

「サトさん、どうしたんですか? えっ、えっ、どうしたんですか?」

あとに従ったスーツ姿の男は、セニョールでした。

「それが、ドラマコンクールに出したシナリオが、大賞をいきなり取っちゃってさ、あたし … 次のクールの連ドラも決まってるし、あっと言う間に売れっ子美人作家の道、まっしぐらって感じ!」

夢が叶って大はしゃぎのサト、セニョールはマネージャです。

思わぬ千客万来に、しばし現実から解き放たれ … 純は皆との再会を心から喜んでいました。

純が、大先たちにもサトのことを紹介しようとすると、サトが制しました。

「そういうのは後で、自分たちでやるからさ … それより、いとし君は?」

… … … … …

「いとし君、皆来てくれたよ」

純は、一同を二階の愛が眠っている部屋に案内しました。

ベッドで眠り続ける愛 … 信じられない光景を目の当たりにして言葉を失う一同 …

「あの、話しかけてあげてください … いろんな人に声を掛けてもらった方がいいって、お医者さんも言ってたんで … 」

… 何と声を掛けたらいいか … 皆、言葉を探していました。

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2013年03月26日 (火) | 編集 |

第147話

純は、そろそろ神戸に帰るという多恵子(若村麻由美)に、帰る前に愛のために『ねむり姫』を読んであげてほしいと頼む。

(2013年3月22日 NHKネットステラ)


手術から一ヶ月が経ちましたが、愛の昏睡状態は続いています。

多恵子と謙次は、一度神戸と東京に帰ることになりました。

「 … その前に一つ相談しておかなければいけないことがあって」

多恵子は担当医から告げられたことを純に伝えました。

「愛がこのままの状態だったら、ずっと病院に置いておくのは難しいそうなの … ベッドを必要としている患者さんがたくさんいるから」

… … … … …

「あの … いとし君、明日にでもウチにつれて帰ってはダメでしょうか?」

多恵子は、まだ時間はあるので、そんなに急ぐことはない … 純が気にしている入院費のことも心配する必要はないと言いました。

「今まで散々甘えっぱなしで … だから、お願いします、そうさせてください」

多恵子も謙次も、純の気持ちを汲んで、了解するしかありませんでした。

… … … … …

愛は、サザンアイランドの二階の一室に移されました。

「じゃあ、私たちはそろそろ … 」

帰り支度を整えた多恵子、謙次、誠 … 

謙次が愛の手を握って声を掛けました。

「愛、またすぐに来るからな」

続いて誠が …

「愛ちゃん、うちも神戸帰るわ … 純さんのためにも早く目覚ましてな」

謙次が多恵子にも何かひとこと掛けるように促しました。

多恵子はポケットから取り出した愛の腕時計を純に手渡して、そのまま部屋を出て行こうとしました。

「ママも何か言ってあげたら?」

「別に、改めて何か言うこともないし … 」


ドアに手を掛けた多恵子を純が呼び止めました。

「あの … だったら、ひとつお願いがあるんですけど」

純は、愛の枕もとに置いてあった「ねむり姫」の絵本を差し出して言いました。

「これ、いとし君に読んであげてくれませんか?」

… … … … …

… 眠っているお姫様があんまりきれいなので、王子様は思わずキッスをしました。

すると、驚いたことにお姫様がぱっちりと目を覚まし、王子様を見上げてこう言ったのです。

「私はあなたと会うために眠っていました」

王子様はうれしくなって、お姫様に言いました。

「僕は、あなたのことが好きです … 」


… … … … …

絵本を静かに読む多恵子の声 … 純の脳裏に、王子のセリフを使って告白してくれた時の愛のことがよみがえりました。

「僕はこれから、自分のことよりもっと、あなたを愛します」

… … … … …

「僕の心と体は、永遠にあなたのものです」

こうして結ばれたふたりはいつまでもずっと一緒に幸せに暮らしましたとさ …


… … … … …

絵本を読み終えた多恵子は、本を閉じて、愛の顔を覗き込みました。

愛おしく前髪をなで … 手を握ると、愛が握り返しました。

かすかな期待、物語のように目を覚まして …

「いとし、いとし!」

しかし、眠り続けたままの愛 … 多恵子は愛の胸に顔を埋めました。

押さえていたものが外れたように、泣き崩れる多恵子 … 謙次がやさしく肩に手を置きました。

純も多恵子に寄り添いました。

… … … … …

唇をかみしめていた誠が、急に立ち上がって、愛に向かって言いました。

「愛ちゃん、聞いてるか? … ウチなあ、決めたわ! ウチ、医者になる … 医者になって、絶対愛ちゃんを治して見せる … 

ママ、パパ、アホかもしれんけど … もう一回大学受けて、医学部入りたい! 死ぬ気で勉強するから」


うなずく謙次、「浪人は許さない」と多恵子。

「純さん、うちがもうここにいる家族、誰も死なさへん! … 愛ちゃんも必ず治して見せるから」

家族全員が愛の手を握って、ひとつにつながり … しばしの間、涙を流しました。

… … … … …

「何かあったら、連絡ちょうだい」

ホテルを出て行く多恵子、謙次、誠 …

「まこっちゃん」

振り向くと思いつめたような表情の剛が立っていました。

気を利かせて先に外に出ていく多恵子と謙次

… … … … …

お互いに何か言いたそうな、剛と誠 … いつのまにか、泥で汚れてしまったままの「プロポーズの壁画」の前に向かい合って立っていました。

「 … ツヨキチ、うちなあ … やっと、やりたいこと見つけた」

「うん、知ってる … 」


剛は、盗み聞きしていたことをバカ正直に話しました。

「勉強せなあかんから、当分逢えんと思うけど … 頑張るからな」

うなずく、剛。

「ツヨキチ … 」

誠は剛に手招きしました。

言われるがままに誠に近づいた剛 … ほんの一瞬、ふれあう唇と唇 … 誠が剛にキッスをしました。

固まる剛 … 誠は踵を返すと、両親を追って走って出て行ってしまいました。

… … … … …

呆気にとられている純 … 剛を振り返ると、キッスされた時と同じ格好でボーっと突っ立ったままです。

「ちょっと、追っかけなくていいの? … 行っちゃうよ、誠ちゃん」

純にそう言われて、我に返った剛は、つまずきながら誠を追って外に飛び出して行きました。

… … … … …

誠たちを乗せたタクシーを必死で追いかける剛です。

「まこっちゃああん、待って!」

剛に気づいた誠が、タクシーを止めました。

タクシーを降りた誠は、へろへろになった剛に駆け寄ります。

「まこっちゃん、これ … 」

剛が差し出した紙には、二丁拳銃を持ったバレリーナが描かれていました。

「何これ? 意味わからんのやけど」

乱れた呼吸を整えながら、剛は銃とバレリーナを順番に指差して言いました。

「ガン(銃)とバレエで、がんばれえ(頑張れえ) … なんて」

余りのくだらなさ … いや、剛のエールに顔がほころぶ誠。

「アホ … 」

剛は空に向かって叫びます。

「頑張れえ! まこっちゃああん!! … 俺は何年でも待ってるぞお!」

しばらく忘れていたような、笑顔が誠に戻りました。

「ありがとう」

… … … … …

「もっと、チューしたいよお、まこっちゃん」

調子に乗って迫ってくる剛をかわして、誠はタクシーに乗り込みました。

走り去るタクシーに向かって剛は手を振り続けました。

… … … … …

「それでさ … はじめてチューされて、固まっちゃってさ、剛 … そのあと慌てて追いかけて行ったけど、なんか青春って感じだったの」

愛の体を運動させながら、純は今日の剛と誠のことを報告しました。

「なんか、あたしも初めていとし君とチューした時のこと思い出しちゃった」

愛の弟の純の墓前で交わした初キッス … つい最近のようでもあり、遠い昔のようにも思えます。

純は、ふと枕元の「ねむり姫」に目が行きました。

… 王子様のキスで目が覚めるお姫様 …

純は、眠っている愛の唇に自分の唇を近づけました。

しかし、あと少しのところでやめて …

「おやすみ … 」

純は、部屋の灯りを落とすと、自分のベッドに潜り込みこんで布団を頭からかぶりました。

静かな部屋に波の音と純のすすり泣く声だけが聞こえていました …

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今日のまこっちゃん、今までで一番の笑顔だったよね…

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2013年03月25日 (月) | 編集 |

第146話

手術から2週間以上たったが、愛(風間俊介)はまだ目を覚まさない。純(夏菜)は、正(速水もこみち)たちスタッフに、ホテルのオープンを延期したいと告げる。



おじい、お父ちゃん … あの台風の日から2週間経ったけど、いとし君はまだ目を覚ましてくれません

病室。

眠ったままの愛、枕元には「ねむり姫」の絵本とJのネックレスが置かれています。

「ねえ、いとし君 … 今日、天気良いよ」

純は窓から外を眺めながら愛に話しかけました。

「 … ねえ、そろそろ起きたら?」

耳元でそう言って、愛の寝顔を見つめました … 反応はありません。

いつからか、その様子を病室の入り口で見ていた多恵子が純に声を掛けました。

「純さん … せんせいが話があるって」

… … … … …

診察室。

「やれることはすべてやりましたが、手術から2週間以上経っても昏睡状態が続いていることを考えると … 状況は相当厳しいと思います」

レントゲン写真を前に、担当医は待田家の面々に向かって告げました。

「 … 息子はもう、目が覚めないということでしょうか?」

多恵子が恐る恐る質問しました。

「残念ですが、そう覚悟していただいた方が … 」

担当医の説明を聞き、絶句する多恵子。

「うそやろ、うそや、うそや … 」

よろける誠を謙次が抱きとめました。

純は、もう一度手術はできないのかと担当医に尋ねたのですが … 取りきれなかった腫瘍が脳幹に食い込み過ぎていて、無理に除去しようとすると … 命にかかわる事態になりかねないと担当医は答えました。

「じゃあ、僕たちは一体どうしたらいいんですか?」

「これからできるのは、点滴と胃に栄養剤を送って、今の状態を維持することだけです … 

希望は失いたくありません! … が、いとしさんが、ずっと今の状態のままかもしれないという現実に向き合っていただくしかありません」


残酷な現実を前にして、途方に暮れる純たちでした。

… … … … …

おじい、お父ちゃん … お願いします … いとし君を助けてください

愛の眠り続ける病室に戻った純たち。

誠が神戸の病院に転院させたらどうかと提案しましたが … それはもうすでに相談済みで、この病院の処置は適切だから、他でも手の施しようがないと言われていたのでした。

… … … … …

「大丈夫です、いとし君は必ず目を覚ましてくれます … そう信じませんか? 皆で」

純が自分自身にも言い聞かせるように、家族に向かって言いました。

「 … いいよね? いとし君」

… … … … …

『都合により、オープンは延期させて頂きます』

サザンアイランドの玄関にはそう紙が貼られていました。

2週間経っても、殆ど手つかずの状態 … どこをどうやって手を付ければいいのやらというのが実情です。

泥だらけの「プロポーズの壁画」、無残に破壊されたジュークボックス …

… … … … …

純は、正とマリヤ、あゆみ、羽純をロビーに集めて … 愛が一生目覚めないかもしれないということを伝えました。

ショックで言葉を失うスタッフ一同。

「でも … あたしは奇跡を信じることに決めた … そのためには、どんなことだってするつもり」

純は、気丈に振る舞い、そう宣言しました。

「 … だから、皆には悪いんだけど … このホテルをオープンするのは当分延期させてもらえないかな?」

今は、愛のことしか考えられない … 客の前で笑顔になれる自信がない、客のことを笑顔にする自信もないと言って、許しを請いました。

「ふがいない経営者でごめんなさい」

そして、今月分の給料として、僅かずつですが皆に差出しました … 誰もが、経済状状況を承知しているので受け取ることを躊躇しましたが … 純は無理に手渡しました。

… … … … …

「こんにちは」

重く沈んだ雰囲気をかき消すような、明るい声 … 晴海が剛に連れられて、ホテルに入ってきました。

「あ、お母ちゃん」

出迎える純に向かって、晴海の口から出た言葉は …

「あなた、従業員の方ですか?」

一瞬戸惑いを見せた純ですが、晴海に合わせてうなずきました。

「ウチの父はどこですか?」

そういうとホテルの中を見回しはじめました。

片隅に寄せてあった段ボールの中から、泥で汚れた写真立てを目にして手に取りました。

「あ、お父さん … この写真、こんなところにあったんだ」

家族で宮古に引っ越してきたときに、おじいのホテルの前で写した家族写真でした。

よく見ると、今日の晴海は写真に写っているのと同じ青いワンピースを着ています。

「お母ちゃん、ここおじいのホテルと思っているみたいでさ … 朝からやたらここに来たがってて」

剛が純に説明しました。

… … … … …

「あなたたちはお客さん? … 何でここ、こんなになってるの?」

泥だらけのままの床や壁を見て、正たちに不思議そうに尋ねました。

「ここは、危ないんで帰りましょうか?」

正が気遣ってそう言いましたが、晴海の興味はマリヤに抱かれた勇気に移りました。

「まあ、可愛いねえ … お名前は?」

「 … 勇気です」


何故か勇気がぐずるので、マリヤはソファーの上に下ろしてみました。

すると、勇気はハイハイをし始めました。

「勇気!!」

生まれて初めてのハイハイでした。

皆が笑顔になって、勇気の周りに集まってきました。

マリヤがうれしそうに勇気を抱き上げ、正は勇気に言いました。

「お前もいよいよ人生を歩きはじめるんだな」

暗くなるようなことが続いた狩野家にさした一筋の光明でした。

… … … … …

おじい、お父ちゃん … お母ちゃんは、とうとう、あたしたちのことが誰かわからなくなったみたいです

でも、布団で休んでいる晴海の手には、あの家族写真がしっかりと握られていました。

… … … … …

夜、病室に戻った純は、愛の手足のマッサージを行いながら、今日の出来事を報告していました。

「ねえ、いとし君 … 最近ね、お母ちゃんがさ、あたしが十歳の頃に宮古に引っ越した時と同じ青いワンピース、ずっと着てるのよ … あの頃に戻っちゃってるのかな … ねえ、どう思う?」

「あ、そうだ! 今日、勇気がハイハイしたの、はじめてだよ! … お姉ちゃんもお兄ちゃんも超よろこんでてさ、めちゃくちゃ可愛かったの、勇気が … 」

いくら話しかけても返ってはこない愛からの返事 … 

「ねえ、いとし君 … あたしたちも子供作っておけば良かったね … “まほうのくに”を作るまで我慢するとか言わなかったら、今頃いとし君の子供に会えてたかもしれないのに … 」

愛の手が純の手を握り返しました … ハッとして、愛の顔を見つめる純 … 

「いとし君?!」

… … … … …

こうやって、こっちの手を握り返すたびに、「今度こそ」と思うのに … やっぱり、いとし君は眠ったままだ

再び、マッサージを続ける純。

「いとし君、あたし、あきらめないからね! … いとし君が目を覚ましてくれるなら、どんなことでもしてみせる … 」

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今週の「あさイチ」、プレミアムトーク名場面集は録画なので、イノッチと有働さんの「純と愛」へのウケはありません。

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2013年03月23日 (土) | 編集 |

第145話

そんな中、宮古島に台風が上陸。サザンアイランドも、多大な被害を受ける。

(2013年3月15日 NHKネットステラ)


「それじゃあ、行ってきます」

祈るように見送る家族。

愛の乗ったストレッチャーが手術室に消えて、手術中の表示が点灯されました。

純は軽いめまいを覚え、ソファーに座り込んでしまいました。

「あなたは少し休んで来たら? … 7、8時間はかかるって言ってたし、手術」

多恵子たちに促されて、純は一度ホテルへと戻ることにしました。

… … … … …

台風の接近に伴って風だけでなく雨も降りだしました。

次第に強まる風雨の中、純は休むこともせずに、正たちとともに台風上陸に備えていました。

不安に押しつぶされそうな自分に負けないため、あたしは今やるべきことに集中した … せんせいの言うとおり、朝始まった手術は夕方になっても終わらなくて … 

その間にも台風だけは、確実にあたしたちのホテルに近づいていた …


… … … … …

「純ちゃん、電話!」

外で作業中だった純はマリヤに呼ばれて、慌てて部屋に戻り携帯に出ました … 多恵子からでした。

「手術、終わったわ」

… … … … …

純は病院に駆けつけました。

手術が終わった愛は、集中治療室に入っていました。

「成功したんですか?」

「それが、私たちにもよくわからないの … 」


担当医に詳しい話を聞こうと思って、純が来るのを待っていたと謙次が言いました。

… … … … …

「せんせい、どうだったんですか?」

純たちは、すがるように担当医に尋ねました。

「できることは全部やったんですが … 腫瘍が思ったより脳幹に入り込んでいて、全部を取りきることができませんでした … その残った部分がどれだけ脳を侵しているのかわかりませんので …

残念ですが今の段階では、愛さんの意識が戻るかどうか保証できないんです」


信じられない … 呆然とする純、多恵子、誠 … 点を仰ぐ謙次 …

「もちろん、こちらとしては意識が戻ると信じています … ただそれが、10日後かも知れないし、1年か2年かかるかも知れないし … 」

「もしかしたら … 二度と目覚めないかもしれないんですか?」


多恵子の質問に担当医はうなずきました。

誰一人それ以上のことは聞くことができず … 沈黙の時が流れました。

… … … … …

台風一過の朝。

純と多恵子たちは無言のまま病室の前のソファーに座っていました。

… 愛を乗せたストレッチャーが運ばれてきました。

「いとし君、いとし君」

純が何度も声を掛けましたが、愛は目を閉じて眠ったままです。

「体が固まってしまわないように、手足を伸ばしたり、さすったりしてあげてください … 脳に刺激を与える意味もありますので … 」

病室に戻った愛 … 純たちは早速、手足をさすり始めました。

「早く目を覚ましてね、いとし君のこと皆待っているんだから」

謙次も多恵子も同じように愛に声を掛けながら、懸命に手や足をさすり続けました。

「いとし、いとし … 」

… … … … …

席を外していた誠が病室に戻ってきて、つらそうに純に伝えました。

「純さん … ツヨキチから電話があって、ホテルが台風で大変なことになっているって」

… … … … …

昨日、宮古を襲った台風は、サザンアイランドに残酷な傷跡を残して去って行ったのでした。

入り口やロビーのガラスは割れ、建物の中は泥だらけ、水浸し … 「プロポーズの壁画」も「仲直りのブランコ」も見るも無残な姿に変わり果てていました。

そして、おじいのジュークボックスも …

純は、言葉を失って立ちすくんでしまいました。

… … … … …

正と剛が二階から疲れた足取りで下りてきました。状態を訪ねる純。

「だめ、ここと同じようなことになってる」

羽純とあゆみも途方に暮れています。

「純ちゃん、どうしよう? 純ちゃん … 」

純は、泥だらけになったおじいと善行の写真に問いかけます。

おじい、お父ちゃん … こういう時、何て言えばいいの?

… … … … …

「皆、疲れたでしょ? … 今日は帰って休んで … あたしはこれから予約してくれたお客さんに、オープンは延期しますって、電話するから」

スッタフを気遣って、そう指示を与えました。

「大丈夫かよ、お姉 … いとし君、大変なのに」

「そうよ、純ちゃんこそ休んだら? 寝てないんでしょ」


反対に剛とあゆみが純のことを心配しました。

「あたしは大丈夫です」

不安をかけまいと、気丈に振る舞った純でした。

… … … … …

そこへ、マリヤに連れられて晴海がやってきました。

「ああ純、大丈夫?」

晴海は心配そうに純の顔をのぞきこみました … 今日の晴海は、意識がハッキリしているようです。

「うん、大丈夫 … お母ちゃん、どうしたの?」

晴海は懐から封筒を取り出して、純に差し出しました。

「いとしさんから、私に手紙が来てた」

病室で書いたのでしょうか …丁寧で綺麗な愛の文字でした。

… … … … …

おかあさん、この前は、ぼくみたいな男にもったいない言葉をたくさんくださって、本当にありがとうございます。

あんなラブレターを頂けるなんて、ぼくは本当に幸せ者です。

それなのに、純さんを、あなたの大事な娘さんを結局不幸にしてしまうかもしれません。


◇   ◇   ◇   ◇

こんなことなら、ぼくなんかと結婚しなかった方がよかったんじゃないかと思うけど、そんなこと言ったら、純さんに怒られるのでやめます。

ぼくは純さんと結婚して、おかあさんたちと家族になることが出来て本当に幸せです。

宮古にも来ることが出来、ぼくへの愛が一杯つまったホテルを作ってもらえて、本当に幸せです。


◇   ◇   ◇   ◇

おかあさん、純さんを産んでくれてありがとうございました。

… … … … …

純は手紙を読み終え、涙をこらえながら晴海を見つめると … 晴海の目も潤んでいました。

… … … … …

病室に戻った純は、愛の耳元で話しかけました。

「いとし君、あたしこんなのへっちゃらだよ … いとし君を絶対元気にしてみせるからね」

純は、愛の手を取るとていねいにさすり始めました。

… 一瞬、愛の手が握り返して来たのを感じました。

「いとし君?!」

愛の顔をのぞきこみました … 様子は変わりません。

大声で医師を呼ぶと、多恵子が病室に駆け込んできました。

「どうしたの?」

「いとし君が手を握り返したんです! … せんせい、呼んできます!」


病室を飛び出して行こうとする純を多恵子が引き止めました。

「さっきも同じようなことがあったから、せんせいに聞いたら … よくあることなんだって … でも、それだけじゃあ、目覚めることはないんだって … 」

たぶん、多恵子も今の純のように大騒ぎをしたのでしょう … そして、医師の説明を受けて … 同じように落胆して …

… … … … …

純は改めて、愛の手を握りました。

「ねえ、いとし君 … 手を握り返してくれたじゃない、今 … もう一回、ねえ、いとし君 … 」

純は愛の手を握りしめ、すがりつくような格好で必死にさすりながら、「もう一回、もう一回」と泣きながら繰り返しました。

それを見つめていた多恵子が純の横に立って言いました。

「これは … あなたのせいじゃないわ」

… … … … …

「わかったって言うまで何度でも言うわよ … こんなことになったのは、あなたのせいじゃない」

多恵子は純に言い聞かせるように続けました。

「いとしはあなたと結婚しなければよかったなんてことは決してない」

純の心の声を聞いたのでしょうか … 愛がこうなったのは自分のせいだと、純は心の中で己を責めていたのです。

「反論しても何度でも言うわよ、これはあなたのせいじゃない … わかってるの?」

… … … … …

「 … わかりました」

泣き顔の純は、ようやく多恵子の顔を見つめてうなずきました。

「ありがとうございます」

多恵子はそっと純の肩に手を置きました。

「目覚めるって信じましょう … 私とあなたが力を合わせたら、世界最強なんでしょ? … 私たちがあきらめたら、いとしが終わっちゃうわ」

「 … はい」


多恵子は純を抱きしめました。

はじめて触ってくれたお義母さんの手が、あたしよりずっと震えているのがわかった …

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台風が来るたびにあんなになっちゃうの? … 考えようによっては、オープン前だからまだよかったんだよね 

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2013年03月22日 (金) | 編集 |

第144話

純と愛は、2人が出会ってからの日々を振り返る。

(2013年3月15日 NHKネットステラ)


おじい、お父ちゃん … 外出を許された、いとし君は、オープン直前のホテルを見ることができました

病室に戻った愛は、今日の出来事を思い返していました。

「楽しかったなあ、なんかね … ホテルのオープンのこと考えたら、ワクワクしすぎちゃって … 今日、眠れそうにないです」

「だめだよ、明日手術なんだから、ゆっくり寝ないと」


夜になって、窓の外の風の音がだんだん激しくなってきていました。

「やっぱり、台風来そうですね」

「予報だと、明後日 … 」


愛がしきりにホテルが被害にあわないかを心配するのですが、純にたしなめられました。

… … … … …

突然思い出したように愛が純の顔を見て笑い出しました。

「何?」

「純さん、オオサキに勤め始めたころ、台風で飛行機が飛ばなくて … 大阪戻ってこれなかった時ありましたよね」


マリヤが妊娠して、正と揉めていた時のことでした。

「あの時、純さんが沖縄に行ってなかったら … 勇気ちゃん、産まれてなかったかも」

純も納得してうなずきました。

「最近ね … 思い出すのは、楽しかったことばっかりなんです」

しみじみと愛は語り始めました。

純と愛の結婚式のとき、両家族が入り乱れて、大ゲンカしたこと … 「里や」の一室にこもった「世捨て人」を部屋から出そうと、天岩戸みたいに皆で踊ったこと … あゆみを救うために純が晴れ乞いしたこと … 

当時は、楽しいと言えるようなことではなかったとしても、思い返してみると … 愛の中でそれは楽しかった記憶に変換されていました。

「って言うかさ、もうちょっとロマンチックなこと思い出してよ」

… … … … …

「純さん、キスしてくれませんか?」

… ふたりは、そっと唇を重ねました。

「純さん … もし僕が死んだら」

純は聞くのを嫌がりましたが、構わず愛は話し続けました。

「聞いてください、どうしても約束してほしいことがあるんです」

… … … … …

「もし、僕が死んじゃっても、絶対にホテルのオープン、中止にしないでください」

「何言ってるの?! … だって、いとし君が」


愛は純の言葉を制して言いました。

「大丈夫です、皆がついてます … 皆、本当に素敵なホテルマンになりました … 皆、何があっても純さんのことを信頼して、支え続けてくれます」

愛はそのことを今日、確認していました。

「 … 違いますか?」

… … … … …

「そうだけど … 」

「僕はもう、死ぬのは怖くはありません … だって、僕が生きたあかしを残すことができたんですから … 

だから、純さん … もし僕が死んでも、泣いたりしないでください」


目を伏せていた純が愛を見つめなおしました。

「わかった」

純の返事を聞いて愛がうなずきました。

「 … って言いたいけど、やっぱ無理」

… … … … …

「だって、いとし君が死んだらどうしたらいいのよ?!」

純の大きな目から大粒の涙がボロボロとこぼれ出しました。

「あたし、いとし君が死なないって信じてるし … 病気だって、治るって信じてるから … それまで泣かないって決めてたのに」

涙はもう止められません。

愛は、純の頬に手を当てて、静かに言いました。

「神様は、こう言いたいのかもしれません … どんなに愛し合った者でもいつかは別れないといけないんだって … 残された方は、どんなにつらくても生きていかなきゃいけないんだって」

愛の声も震えていました。

… … … … …

「何それ? … そんなの信じたくないから! … っていうかね、神様なんていないんだよ!

神様がいたら、いとし君みたいな人を、こんなひどい目に合わせるわけない … 」


… … … … …

「純さん … 僕は、神様いると思うなあ … でもね、皆が思っているような全知全能な神様じゃなくて … 何か、もっとちょっとしたことしかできないんですよ … 相性に良い男女を出会わせるチャンスを与えるとか …

純さんと僕が、ドンってぶつかって、初めて出会った時みたいに」


だから、あまり神様に期待してはいけない、願いがかなわなかったからといって、恨んだりしても無駄だと愛は言いました。

「結局、僕たちの人生を決めているのは、自分自身の意志と信念でしかないんですから」

… … … … …

「いとし君は、納得してるの? … 自分の運命に」

泣きはらした目で純が尋ねました。

「はい」

潔く答えた愛の顔が少しずつ泣き崩れていきました。

「 … って言いたいけど、やっぱ無理だなあ」

… … … … …

「なんかね … 入院してから、ずっと心の中で叫んでます … “何でおれが死ななきゃいけないんだろう”って … どんどん、どんどん嫌な奴になってるんです … 

俺の他にもっと死んだ方がいい奴がいっぱいいるんじゃないかって」


堰を切ったように、愛の目からも涙があふれてきました。

純は、愛の頬の涙を掌で拭いました。

「どんどん、どんどん臆病になってます … 今なら、純の気持ちがわかるんです、あいつ死ぬの怖かっただろうなって … 」

… … … … …

「なんかね … 純さん、帰ってから、いつも今みたいにひとりでメソメソ泣いてるんです

もっと純さんと一緒にいたいなって、離れたくないなって

もっといっぱい、もっといっぱい、純さんと話したいなって … 」


純は愛のことを抱きしめました。

愛は純の腕にすがって、いつまでも泣いていました。

… … … … …

手術の日の朝。

風は昨日にも増して強まり、波は荒く打ち寄せています。

手術の支度をしてストレッチャーに横たわる愛を、純、謙次、多恵子、誠は見守っています。

多恵子は袖をめくって、愛の腕時計をはめているのを見せました。

うなずき合う家族。

… … … … …

「それじゃあ、行ってきます」

愛は純に満面の笑みを見せました。

純が愛の頬を軽くつねると、愛は指を二本付きだして、純の両頬にあるえくぼを押しました。

おじい、お父ちゃん … そしてもし、あたしたちを見ている小さな神様がいるのなら … お願いですから、いとし君を助けてください

神さまは大切な事ほど小さな声でささやく。

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イノッチと有働さんのコメントは今日でおしまい … 来週は高校野球

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2013年03月21日 (木) | 編集 |

第143話

車椅子に乗ってサザンアイランドを訪れた愛。それを、スタッフ一同心をこめて迎える。

(2013年3月15日 NHKネットステラ)


「いらっしゃいませ、ホテル・サザンアイランドへようこそ!」

玄関の扉を開けると、スタッフ一同が勢ぞろいして、車いすの愛を迎えました。

「どうしたんですか? … 皆改まって」

「せっかく、いとし君に来てもらうんだから、オープン前の最後の研修ってことで、おもてなしすることにしたの … 何かあったら言ってほしいし」


純がそう説明すると、愛は一瞬言葉に詰まりましたが … 笑顔を作ってうなずきました。

… … … … …

まずは、ベルガールの羽純が二階の部屋へ案内しました。

客室の中を見回す愛、純が感想を聞きました。

「やっぱりいいですね、明るくて … 居心地もよさそうだし … 今日はここに泊まりたい」

純に甘えるマネをして、叱られて … 肩をすくめる愛です。

「いとし君がデザインしてくれたベッドカバー可愛いでしょ? … それに合わせて、羽純ちゃんとクッションカバーも作ったんだよ、ね」

… … … … …

「羽純ちゃん … ありがとう」

愛に礼を言われて照れる羽純。

「あたしは別に … 」

「だって、純さんと親友になってくれたんでしょ?」


羽純は笑顔でうなずきました。

… … … … …

ビューティーサロン、愛は鏡の前の椅子に座っています。

「本当にいいの?」

あゆみが尋ねました。

「どうせ、手術で切るんだし … だったら、あゆみさんにお願いしたいです」

あゆみはうなずくと髪を切る準備を始めました。

「あゆみさん、お願いが … 」

愛が何か言おうとしましたが、あゆみはさえぎりました。

「純さんのことよろしくお願いしますとか言う気なら、やめてよ」

… … … … …

「ごめんなさい … でも、ひとつ聞いてください。今みたいに純さんにこれからも厳しく接してもらえませんか、時には叱ったりして … 純さん、甘やかされると伸びないタイプだと思うんです」

あゆみは思わず吹き出しました。

「あたしもそう思う」

愛は急に真顔になって鏡に映るあゆみの目を見て言いました。

「お願いします、こんなこと頼めるのあゆみさんしかいないんです … あなたは本当に信頼できる人だし、どんな時だって、冷静に純さんのこと見守ってくれる人だと思うんです」

… … … … …

しばらくして、純と正が散髪を終えた愛を迎えに来ました。

「純さん、どうですかね?」

今まで髪を短くしたことがなかった愛は不安そうに純に尋ねました。

何だか今までより幼く見えます。

「似合ってる」

純と正はうなずき合いました。

… … … … …

次は、マッサージルームで正のゴッドハンドマッサージです。

気持ちよさそうにマッサージを受けている愛に正が質問しました。

「いとし君 … 妹と結婚して、後悔していない? … 純と会わなかったら、こんなに苦労しなかったかもしれないのにさ」

愛が正直そう思ったこともあると言うと、正は「やっぱり?」と笑いました。

「でも、それ以上に、素敵なものをたくさんもらいましたから … お義兄さんとも兄弟になれたし」

正は謙遜しました。

「今のお義兄さんは、本当に頼りになります … “うちの長男は純、お前だ”って言ったの、本当にすごいことだと思います … お義兄さんは、人類史上はじめて、女性の強さを認めた男として、歴史にその名を刻むべきです」

それは大げさじゃないかなと照れ笑いする正に愛は続けました。

「でも、お義兄さんがお兄さんだったから … 純さんはここまでやってこれたんです、それだけは忘れないでください」

正は愛の目を見つめて礼を言うと、入念にマッサージを続けました。

… … … … …

食事ができるまでの時間、愛は「プロポーズの壁画」の前で剛と語り合いました。

「ねえ、いとし君 … 俺さあ、この前、この壁の前でまこっちゃんに告ろうとしたんだけど … 結局、だめだったんだ」

愛は、どうしてと尋ねました。

「だって … 俺みたいなのが、本当にいいのかなって思って」

誠も剛君のことが好きなんだよ … 愛は剛の耳元でささやきました。

「だ、だけど、俺 … 今まで全然もてなかったし … 女の子とどうやって、つきあったらいいかわかんないし … 」

苦笑いをする愛、剛は急に真剣な顔で言いました。

「それに、まこっちゃんを幸せにできる自信もないんだ」

… … … … …

「気にし過ぎだよ、この世には不完全な男と不完全な女しかいないんだし」

「私の愛があなたを作り、あなたの愛が私を作る … だっけ?」


… … … … …

「お待たせしました」

食事の準備ができたことを純が知らせました。

テーブルに用意された料理を愛が口に運ぶのをスタッフが固唾を飲んで見つめていました。

「うん … … … 美味しいです! これも、これも」

愛がもったいをつけてから褒めました。

スタッフから歓声が、愛のお墨付きをもらって胸をなでおろすマリヤ。

そして、次は目玉の豚まんです。

「 … 完璧です!」

苦労した買いがあったマリヤ、純も喜んでいます。

… … … … …

「でも一つだけ … これからは、マリヤさんの料理を作ってください … マリヤさんが美味しいと思う味付けをしてください、作るのはマリヤさんなんだから … 」

呆然としたマリヤ。

「嫌だよ … なんか、いとし君帰ってこないみたいじゃん … そんな、もう二度と会えないみたいなこと言わないでよ!」

マリヤは泣き出してしまいました。

… … … … …

「お邪魔するわよ」

沈んだ雰囲気をかき消すようにホテルに入ってきたのは、秋代でした。

「オープン待ちきれずに来ちゃったのよ」

秋代はホテル内を見回すと感嘆の声をあげました。

「いやあ、でも驚いた … すっかりホテルらしくなったじゃない」

「秋代さんのおかげです、ここまで来れたのも


純が頭を下げると、秋代がいたずらっぽく言いました。

「でも、まだ足りないものがあるんじゃない?」

… … … … …

しばらくして、純をはじめスタッフ全員が、真新しいお揃いの制服を着てロビーに現れました。

純たちのために秋代がデザインし、用意してくれたものでした。

「わあ、すごく良いです、皆」

秋代がカバンからもう一着制服を取り出しました。

「いとし君の分もあるのよ」

秋代から制服を受け取る愛、胸には「Itoshi.M」と刺繍がしてあります。

感激した愛は、皆にそれを見せました。

… … … … …

時間は瞬く間に過ぎて … 病院に戻る時間になってしまいました。

愛を見送るために一同がロビーに集まりました。

「勇気ちゃん、純さんをよろしくね」

ご機嫌で笑う勇気を愛があやしています。

名残はいつまでも尽きませんが … 純が声を掛けました。

「そろそろ行こうか、いとし君 … 」

… … … … …

「病院に帰りたくないなあ」

帰るのをためらい、そんな言葉を口にした愛の気持ち、誰もが痛いほどわかりました …

「元気になってもらわないとさ、このホテルには、いとし君が必要なんだから」

正に諭されて、愛は納得しました。

… … … … …

「お母ちゃん、キンさん … 」

キンに連れられた晴海が、ホテルにやって来たのです。

「ごめんねえ … 晴海ちゃん、どうしても、いとしさんに会いたいってきかなくてさあ」

申し訳なさそうに話すキンの横で晴海は朗らかに笑っています。

思いがけずに晴海に会えて、愛は喜んでいました。

しかし …

「いとしさんは何処?」

… … … … …

「お母ちゃん、いとし君、ここにいるよ」

純がそう教えても、晴海は頭を振りました。

「何言ってる? … いとしさんは、こんな頭の人じゃないよ」

髪を切って車いすに乗っている、いつもとは違う姿の愛を、晴海は本人とは理解できないのでしょう。

「どこ? いとしさん … どこかね?」

無邪気に愛のことを探す晴海 … 切ない気持ちをかみしめて愛が晴海に向かって言いました。

「晴海さん … いとし君は … 今、入院中なんです … でも、すぐ元気になって、必ず戻ってきますから」

晴海はうれしそうに子供のようにうなずきました。

… 愛も思い切りの笑顔を返しました。



愛はどうやって二階に上がったのか …

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2013年03月20日 (水) | 編集 |

第142話

ホテルオープンをあさってに控えたこの日、愛が突然、サザンアイランドに行きたいと言いだす。

(2013年3月15日 NHKネットステラ)


おじい、お父ちゃん … 手術をためらっていた、いとし君が、やっと受ける決心をしてくれました … 手術は明日、そしてホテルのオープンは明後日です

「どっちも成功するように守ってください … お願いします」


純が、写真のおじいと善行に願をかけていると、ホテルの電話が鳴りました。

「はい、ホテル・サザンアイランドです」

電話は宿泊の予約でした。

… … … … …

「予約、入ったんですか?」

「うん、二組も!」


純からの報告を聞くと、愛は諸手を上げて喜びました。

「大丈夫だと思ってたんですけど、心配だったから、ホッとしました」

愛は、はじめての客に会えないことが残念そうでした。

「治ったら、お客さん、たくさんおもてなししてあげたらいいじゃない」

愛は素直にうなずきました。

純と愛がどんな人が予約してくれたのかと思いを巡らせていると、咳払いをして、多恵子が病室に入ってきました。

「おはよう」

… … … … …

一度、ホテルに戻るために純は病室を後にしました。

見送りに廊下まで出てきた多恵子に純は、どうやって愛のことを説得したのか尋ねました。

「 … ただこう言ったの、“どんなことがあっても、私があなたを死なせない”って … もう二度と自分の子供を失うのは嫌だから」

多恵子はポケットから愛の腕時計を取り出して、愛おしくなでながら言いました。

「せっかく動き出したこの時計が、また止まるようなことになるのは … もう耐えられない … 」

純のことを家族と認めた多恵子は、今までには決して見せなかった弱い自分も隠くそうとはしませんでした。

「お義母さん … お義母さんとわたしが力を合わせたら、世界最強です … 違いますか?

… ふたりで病気なんかやっつけて、いとし君、守っちゃいましょう」


多恵子は振り向き … ふたりはうなずきあいました。

… 信じていれば、きっと伝わる …

… … … … …

宮古島に台風が近づいています。

波も荒くなり、風も次第に強くなってきました。

純は、晴海のことを預かってもらっているキンの店に寄りました。

「台風、来るさあ … 明日も明後日も学校休みだねえ、うれしいねえ」

晴海が雲行きが怪しくなった空を見ながらワクワクしています。

「晴海ちゃん、小学生になったみたいだね」

キンが愉快そうに言いました。

一瞬、戸惑いを見せた純でしたが、笑顔を作り晴海に合わせました。

「うれしいね、お母ちゃん」

… … … … …

「本当に明後日、宮古に直撃ってよ、台風が」

明後日 … サザンアイランドがオープンの日です。

「でも、天気のこと心配しててもしょうがないので … それに、オープンに向けて皆頑張ってくれてますし … 」

… … … … …

正は家具を、剛は看板をオープンに合わすように懸命に作業を続けています。

マリヤは、ダメ出しをもらった特製豚まんを、愛の指示の通りに再び作り直していました。

今度は、見た目は上手くいきました … 肝心な味はどうか … ふかしたての豚まん試食する純。

「うーーー! 美味しいよ、お姉ちゃん!」

涙ぐむマリヤ。

「いとし君のレシピのおかげね」

… … … … …

「ホテル・サザンアイランド、明後日オープンしますので、是非来てみてください!」

「当ホテル自慢のサービスがたくさんあるので、是非カフェ代わりにお気軽にお立ち寄りください!」


観光客への宣伝も行い、オープンに向けた準備は着々と順調に進行していました。

… … … … …

誠は心ここに在らずといった感じで、ただ黙々とDMを封筒に詰めていました。

そんな誠が気になった剛は、ほぼ仕上がった看板を見せて、感想を聞きました。

「ええんちゃう?」

笑顔を見せた誠に剛は言いました。

「あのさ、いとし君のことなら大丈夫だよ … 必ず成功するから手術」

誠はうなずいたあと、遠慮がちに剛に聞きました。

「ツヨキチはホテル、オープンしたらどうするの?」

「いったん、大阪に戻って … 個展、開くためにバリバリ絵を描かなきゃ」


… … … … …

「うちも一緒に … 」

驚いた顔の剛。

「ああ、ううん … うちも頑張らんとな、ツヨキチにまた好きって言ってもらえるような女になれるように」

誤魔化して、恥ずかしそうに言った誠 … ちょうど、ふたりは、「プロポーズの壁画」の前に立っていました … どうする? 剛

「こんな時に不謹慎かもしれないけど … 」

突然、剛はひざまづいて、右手を誠に向かって差し出しました。

「まこっちゃん … 俺、まこっちゃんの」

バサバサッ

フロアに散らばるチラシ … 愛の告白は中断 …

二階から下りてきた羽純が誤って持っていたチラシを落としてしまったのでした。

「ごめん、邪魔するつもりじゃなかったんだけど … 」

… … … … …

「う、うち、病院行ってくるわ」

気まずくなった誠は出かけて行ってしまいました。

羽純は、散らばったチラシを剛の手を借りて拾い集めながら、何だか切ないやら、情けないやら … 思わず口走ります。

「大丈夫だよ」

剛には何のことだかわかりません。

「誠さんもきっとそっちのこと好きだからさ」

剛の表情が明るくなりました。

「女同士だからかな … わかるの、思い切って告白したら?」

喜んだ剛は調子に乗ります。

「じゃあさ、また何か悩みできたら、羽純ちゃんに相談していいかな? … 俺でよかったら、羽純ちゃんの悩み何でも聞くし … 

そうだ、羽純ちゃん今好きな人とかいないの?」


剛の無邪気で残酷な質問 … 羽純は思わず剛の顔を見て固まってしまいました。

「あたしは … … … 男運ないから、当分恋愛はいいかな … 」

無理に笑顔を繕いました。

「ええっ、何でそんなこと言うの? そんな可愛いんだから」

「じゃあ、つきあう?」


あわてて冗談だと誤魔化しましたが、その裏に隠していた本音に剛は気づいたかどうか …

… … … … …

「剛のこと好きだったの?」

羽純は、純と作業をする機会があり、思い切ってさきほどの出来事と剛に対する自分の気持ちを打ち明けました。

「で … どうするの?」

「もう、無理かな … 相談に乗るって言っちゃったし … 向こうは誠さんのことが好きだからさ」


複雑な立場なので、無責任に励ますこともできない純でした。

「いいの、あたしは所詮、男運が悪いからさ … はあ、純ちゃんがうらやましいよ … いとしさんみたいに素敵な人と巡り合えて」

言ったそばから無神経だったことに気づいた羽純です。

「あ、ごめんね … 今、大変な時なのにこんなくだらない話して … 他に話せる人いないからさ」

… … … … …

「だったらさ、友達になってくれないかな? … あたしと」

唐突に言われて、羽純は驚いています。

「あたし、こういう性格だから、友達とかいなくて … こういう“恋バナ”とかするのもはじめてだったんだけど … だめかな?

羽純も純と同じでした。

「合点! … あたしでよければ、これから何があっても、ずうっと友達 … いや、親友でいるからさ」

「ありがとう」


… … … … …

その時、純の携帯に着信が … 謙次が病院からかけてきたのです。

「純さん、すぐこっちに来てもらえますか?」

純は、愛に何事か起きたのか不安になりました。

「あ、いえ … 愛が話があるって … 」

… … … … …

純が病室に駆けつけると、謙次と多恵子、誠、を前に、愛は純に懇願しました。

「僕を純さんのホテルに連れて行ってください」

純は、家族のことを振り返りました … 三人とも無言でうつむいています。

「手術の前に、もう一度見ておきたいんです … もう二度と見られないかもしれないし」

「 … そんなこと言わないでよ、大体お医者さんだって何て言うか … 」


医者の許可は、既にとってあることを誠が告げました。

「手術の準備があるから、夜には必ず戻ってくるようにと … 」

… … … … …

「純さん … あたしたちが散々言っても聞かないのよ、この子」

疲れた顔の多恵子がそう言った後、ため息をつきました。

「家族を代表して、お願いします … 連れて行ってあげて、あなたたちのホテルへ」

覚悟した口調で多恵子は言いました … 謙次と誠の祈るような視線 …

「わかりました」

… … … … …

純に押された車いすから愛は、まぶしそうにホテルを見上げました。

「じゃーん」

「HOTEL SOUTHERN ISLAND」

入り口の塀に剛が描いた看板が掲げられています。

「ホテル・サザンアイランド … 素敵ですね」

幸せそうに笑う愛。

「あたしたちの“まほうのくに”だよ」

愛はうなずきました。

しばし、純と愛は頬を寄せてふたりの「まほうのくに」を見つめていました …

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2013年03月19日 (火) | 編集 |

第141話

「手術が怖い」と漏らす愛を元気づけるため、正(速水もこみち)やマリヤ(高橋メアリージュン)たちがメッセージビデオを贈る。

(2013年3月15日 NHKネットステラ)


おじい、お父ちゃん … いとし君の手術の日が決まりました

次の朝、純が面会に訪れると、愛はベッドを起こして何やらノートに書き留めている最中でした。

「純さん、いろいろアイディア考えたんです … まずチェックインカウンターの横に手荷物置き場があった方がいいと思うんです … 」

待ち構えていたように自分のアイディアを話しはじめた愛の手から、純はノートを取り上げながら言いました。

「わかった、やっとくから … いとし君、安静にしとかないと … 手術、明後日なんだよ」

ふとサイドテーブルに目をやった純は、手術同意書が置いたままなのに気づきました … 愛の署名がありません。

「まだ書いてないの?」

純に咎められると、愛は思いもよらぬことを言い出しました。

「純さん、手術止めませんか?」

… … … … …

「ちょっと … な、何言ってるの?」

愛は学校を休みたいがための口実を探す子供のような目で純を見て言いました。

「何か、怖くなってきちゃったんです … すごく危険な手術だっていうし … 死んじゃったら、どうしようって … 」

純は、愛の手を取って言い聞かせます。

「そんな弱気なこと言わないでよ … せんせいも言ってたでしょ、手術しなかったら、もっても一ヵ月だって」

… … … … …

「わかってるんですけど … 僕もっと純さんと話がしたいです、純さんの顔をずっと見ていたいです」

… … … … …

「それが、もしかしたら … あと二日でできなくなるかもって思ったら … それに、純さんの“まほうのくに”見れないのも嫌ですし … 」

愛の気持ちがよく分かる純は、何と答えていいのかわからなくなっていました。

その時、思わず口から出た言葉は …

「あ、お腹空いたね … 」

吹出す愛 … 笑顔で見つめ合う純と愛 … 純は愛のほっぺたを両手でぎゅっとつねりました。

「何か作りましょうか?」

… … … … …

ホテルに戻って純は皆に愛のことを報告しました。

「大丈夫、嫌って言っても、引きずってでも手術室へ連れて行くから … 皆も心配しないで、仕事続けて」

皆それぞれ自分の持ち場に戻って行ったのですが、ひとり誠だけその場にたたずんで、ため息をついていました。

「まこっちゃん、元気だしなよ … そんな顔してたらさ、いとし君もうかばれないよ」

剛なりに誠を励ましたつもりなのでしょうが …

「あんたなあ、“うかばれへん”って言葉の使い方どうなん、今?」

「あ、ごめん … そうじゃなくて … このホテルはさ、いとし君への愛がいっぱい詰まっているホテルなんだしさ、皆で頑張ってオープンすれば、いとし君も本望なんじゃ … あっ」


少しくらい言葉の使い方が間違っていても、剛の思いやりは誠に十分伝わっていました。

「別にええで、無理して励まそうとせんでも」

素直には「ありがとう」とは言えない誠です。

「そんなことないって、まこっちゃん … なんか俺にできることがあったらさ、何でも言ってよ」

… … … … …

「じゃあ … ずっと、うちのそばにおって」

「えっ?」

「死ぬまで、ずっとそばにおって」


誠の口から出た思いもよらない言葉に、上手く返事ができずにあたふたする剛でした。

「じょうだんや … ツヨキチはこれからアーティストとして世界にはばたくんやし … うちなんか相手にしてたらあかんしな」

逃げるように去って行ってしまいました。

その背中を複雑な顔で見送る剛。

そして、そんなふたりの様子を … チラシを抱えた羽純が階段の所から動けずに見つめていました。

… … … … …

「好きなら、好きって言えば?」

後から下りてきた、あゆみに心を見透かされて羽純はうろたえます。

「そんなわかりやすく動揺しないの!」

あゆみと羽純はチラシを配りに出かけていきました。

… 宮古に来てから、服装も性格も明るくなったあゆみ …

… … … … …

「ねえ、純ちゃん、純ちゃん … これ食べてみて」

マリヤが愛のレシピ通りに作った特製豚まんを持って来ました。

早速試食する純 … 愛と同じ味です。

「美味しいよ!」

「でしょう? … やっぱ、いとし君、すごいよ! … 他の料理もね、とってもわかりやすく書いててくれてさ」


… … … … …

夕刻。

純は、マリヤが作った豚まんを愛に届けました。

一口かじった愛、純に意見を聞かれると …

「味はいいです … でも色が混ざっちゃってますね」

愛は、見た目のまずさを指摘して、原因と対策をこと細かく純に伝えました。

「きびしいねえ、いとし君のダメ出し」

純にはそこまで気づきくことはできませんでした。

… … … … …

「あ、チラシもできたんだよ … あとはオープンまで予約が入ってくれればいいんだけど」

純は愛に出来上がったチラシを渡しました。

「大丈夫です … お客さん、いっぱい来ます」

純と愛はうなずき合いました。

「あともう一つ」

純がカバンから取り出したのは、ビデオカメラでした。

「皆からのメッセージ … 」

… … … … …

液晶モニターに先ず正が映りました。

「いとし君、イスとか荷物置き場とか、頑張って作っているからね … あの、お見舞いに行きたいんだけど、大勢で行って疲れさせちゃいけないと思ってさ … だから、元気になってくれなきゃ困るよ~」

続いて、マリヤと勇気が映りました。

「いとし君、ノート、サンキューね! … 頑張って、豚まんも他の料理も完成させるからね … 勇気もいとしおじちゃんに … 病気になんて負けるな!」

続いて、剛。

「いとし君、元気? あ、元気ってのもおかしいか … 看板のデザイン考えたんだけどどうかな? … 感想聞きたいから、早く帰ってきてよ!」

あゆみ、士郎、羽純 … それぞれ愛への思いが次々に映し出されました。

… … … … …

「愛ちゃん … 四の五の言わんと、純さんの言うこと聞かな、うちがぶっ殺すで」

物騒なセリフを吐く誠を止める剛 … その剛のことを、また愛と間違えた晴海が画面に入ってきました。

「あら、いとしさん … 何処行ってたの?」

「母ちゃん … 俺は、つ・よ・し」


… … … … …

「お母ちゃん、カメラに向かって何か言って … そしたら、いとし君に会えるからさ」

純の声が聞こえました。

晴海は言われたようにカメラに話しはじめました。

「いとしさん、何処にいるんですか? … あなたがいないと寂しいから、早く帰ってきてください … 」

… … … … …

晴海の一言で、堪えていた涙があふれ出して、愛の頬を伝わり落ちました。

「いとし君 … お母ちゃんや皆のためにも、手術受けないなんて言わないでよ … 絶対成功するって信じてさ」

… … … … …

「わかってるんですけど … 」

そう言ったまま黙ってしまった愛。

「わかってるなら、早くサインしなさい」

… … … … …

病室の入り口に多恵子がいました。

ゆっくり入ってくると、驚いている愛の正面に立ちました。

愛は多恵子の顔を見て、純の顔を見ました。

「強力な助っ人、呼んじゃった」

驚いているというより、どちらかといえば、怯えたような愛の表情です。

「あとはじゃあ、親子水入らずってことで」

席を立とうとする純を愛は引き留めました。

「怖いよ~、お義母さんに逆らったら」

… … … … …

「よろしくお願いします」

純は多恵子に頭を下げ後を委ねました。

「任せておいて」

俎板の上の愛でした。

純が病室を出て行き、多恵子とふたりきりになると … 愛は、弟の純だけでなく自分まで生死に関わるような病を患ってしまって … 母の胸中を思うと、切なくて悲しくて、また涙が出てきました。

… … … … …

夜。

ホテルに戻って、ひとり作業を続ける純に多恵子から電話が … 愛が手術することを承知したという報告でした。

「本当ですか … 」

安堵する純に多恵子は続けました。

「その代り、手術の結果にかかわらず、ホテルは必ずオープンするって約束してくれ … ですって」

… … … … …

「大丈夫?」

純が黙ったままなので、多恵子が心配して尋ねました。

「 … はい、ありがとうございます … すみません、結局、お義母さんに頼りっぱなしになっちゃって」

「別にいいわよ、家族なんだから … 」


多恵子にそう言われて、純は押さえていたものがこみ上げてきました。

「 … あたしは、情けない嫁です … いとし君のために何もしてあげられ … 」

多恵子は、純の言葉を遮りました。

「言わないで、それ以上! … 今は何も言わないで、手術の成功だけを祈りましょう。そうしないと … 」

… … … … …

「泣いてしまうから」 … という言葉を、多恵子が飲み込んだのが、純にはわかりました … 

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2013年03月18日 (月) | 編集 |

第140話

愛(風間俊介)は、検査のために数日入院することに。一方純(夏菜)は、スタッフたちとともに、ホテルオープンの準備を進める。

(2013年3月15日 NHKネットステラ)


愛が運び込まれた病院の診察室。

純は、医師から脳のレントゲンを見ながら、病状の説明を受けています。

「ご主人が倒れたのは、ここに大きな腫瘍があって、周りの脳を圧迫しているのが原因です」

純が医師に、恐る恐るその病名を訪ねると、医師は事務的に告知しました。

「脳腫瘍です … このまま放置しておくと危険なので、早く手術した方がいいと思います」

… … … … …

病室。

目を覚まさない愛の枕元に座って、純はぼんやりと愛の顔を見つめていました。

「純さん!」

連絡を受けた誠が病室に駆けつけてきました。

「一体どういうこと? … 愛ちゃん、倒れたっていうからびっくりして … 」

取り乱している誠を落ち着かせて、純は説明しました。

「いとし君ね … 脳腫瘍だって」

驚いた誠、救いを求めるように尋ねました。

「でも、治るんやろ?」

… … … … …

「それが、手術をしても完全に治る保証はないって言われて … 」

脳幹に近い場所に腫瘍があるために、手術をしても、意識が戻らなかったり、命を落とす危険性があると言われたことを伝えました。

「愛ちゃん … パパとママに何て言ったらええの?」

泣き崩れた誠の肩を支えながら、純が言いました。

「とにかく今は、いとし君が良くなることだけを考えよう」

… … … … …

枕元にある愛の腕時計が夕暮れ時を刻んでいました。

純は、点滴の管のつながった愛の手を両手で握りました。

… 掌がかすかに動くのを感じた純は、愛の顔に目をやりました。

「いとし君?!」

その声に反応するように、まぶたが少しずつ開いていくのが見えました。

急いで顔を覗き込むと、愛は純のことを見つめています。

「わかる?」

「 … じゅん・さん」

… … … … …

「手術に耐えられるかいろいろ検査して手術の日を決めましょう」

検査結果が出るまでの三日間、安静にするように指示して、担当医は病室を出て行きました。

… … … … …

「大丈夫?」

担当医を見送った純が振りかえると、愛が顔をほころばせて笑いました。

「何で、笑ってるの?」

「ああ、生きててよかったあ … って思って」

「何それ?」


真顔に戻った愛は続けました。

「だって、僕が死んだら、純さん悲しむから … 僕が死んだら、僕より純さんの方がつらいから」

それは、「愛されている」という「自信」なのでしょうか? … 同時に、それは「愛している」という「自信」なのかもしれません …

「何言ってるの? … っていうか、あたしは怒っているんだからね」

泣きそうになるのを誤魔化すためか、純は愛を叱りつけました。

「せんせいも言ってたでしょ? … 今まで相当、脳に負担がかかっていたはずだって! … 何でちゃんと言ってくれないのよ?!」

それは、ホテルの開業準備のためだということは、わかっていました …

… … … … …

純が謙次と多恵子に連絡をしようとすると、愛は少し待ってもらえるよう懇願しました。

「やっと家族四人で話せて、皆辛いことからやっと解放されたのに … 僕のために心配かけたくないです」

純は、戸惑いながらも … 愛の気持ちを汲んで了解しました。

「それと … ホテルは、予定通りオープンさせてください … せっかく、おじいのホテルの名前を継ぐって決めたのに、僕のせいで延期してほしくないです」

愛のためのホテルなのに、愛がいないままオープンさせていいものだろうか …

「でも … 」

「お願いします」


真剣なまなざしで訴える愛 … 純は、その思いを受け止めました。

「わかった」

… … … … …

「予定通り、ホテルはオープンするつもりなので、いろいろ大変かと思うけど、協力お願いします」

ホテルのスタッフを前に純は頭を下げました。

「俺たちはいいけど、大丈夫なのか?」

心配して気遣う正に純は気丈に答えました。

「その方が、手術もうまくいって、いとし君も治るって … そう信じることに決めたから」

… … … … …

早速、オープンに向けてやらなければいけないことを、愛が書いたメモを見ながら純はそれぞれに伝えました。

「まずは … ホテルの名前は“サザンアイランド”に決めたから … 剛、看板とかロゴとか作ってくれるかな?」

それだけでなく、ホテルへ案内する看板もたくさん作ってほしいと言うと、快く引き受けました。

「たいへんだな~」とか言いながらも … ヘラヘラ笑っている剛は、何か頼もしく見えます。

「 … なら、あたし手伝うよ!」

羽純が名乗り出ると、誠の顔が少しこわばりました。

そのことに気づいたのか、気づかないのか … 純は、パンフレットやチラシを作って配る手伝いを頼みました。

… … … … …

「あたしも手伝うからね、ビューティサロンの準備だけじゃなくて」

「なあ純、俺にも何かできることはないか?」


あゆみと正も自分の担当以外の準備も手伝うと申し出てくれました。

… … … … …

「それで、お姉ちゃん … 」

マリヤには、愛が元気になるまで、料理を作ることを頼みました。

「もちろん、いとし君のためにも頑張るね」

… … … … …

神戸に帰ることが決まっていた誠も、自分も何か手伝いたいと手をあげました。

「愛ちゃんが心配やから … 」

… … … … …

「皆、よろしくお願いします!」

役割が決まって、皆それぞれの仕事に戻って行きました。

… 剛、誠、羽純の微妙なトライアングル … 今後の動向に注目 …

… … … … …

「いとしさん、頑張ってるねえ」

晴海が、愛の作りかけたイスを組み立てている正のことを、愛と間違えてそう呼びました。

正がやさしく正すと … 今度は、剛のことを愛と思って声を掛けました。

「お母ちゃん、俺は剛だよ」

「じゃあ、いとしさんは何処にいるの?」


まるで幼子が親を探すような … 。

… … … … …

「お母ちゃんさ、いとし君が入院したってこと、メモに書いてもすぐに忘れちゃうみたいでね」

今日の出来事として話したのですが、愛は自分のせいだと申し訳なさそうに謝りました。

「何言ってるの? … いとし君は、病気を治すことだけを考えて」

… … … … …

愛は料理のことも気にして、どうなっているか尋ねてきました。

「お姉ちゃんが、いとし君の特製豚まん作ってくれてるんだけどさ … 何か苦いの」

純も愛が心配するようなことは言わないでおけばいいのに … バカ正直に報告しました。

「ゴーヤの苦味が消せてないんだと思います」

体を起こし、改めてレシピを書こうとした愛を慌てて止めました。

… … … … …

「純さん、なんかすごい眠いんです … 今日は寝ますね … おやすみなさい」

そう言い終わるや否や、純の返事も待たずに、愛は眠りに落ちていました。

その寝顔を不安そうに見つめる純 … 掛け布団を直して、深いため息をつきました。

… … … … …

「ごめんね、いとし君 … あたしがもっと早く病気のことに気づいてあげてたら、こんなことにならなかったのにね … 」

自分のふがいなさに、涙がこみ上げてくる純でした。

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2013年03月16日 (土) | 編集 |

第139話

久しぶりに顔を合わせた待田家の4人。彼らが語り合ったのは……。

(2013年3月8日 NHKネットステラ)


「おめでとう」

おじい、お父ちゃん … 今日は久しぶりに家族がそろった、いとし君の誕生日です

テーブルに愛たちが腕を振るった料理が並べられました。

「今日は、純ちゃんの話、してくれへん? … 病気で苦しんでるときの純ちゃんしか、覚えてへんから、うち … 」

誠の気持ちを汲んで、多恵子と謙次が純の思い出話を始めました。

「純は小さい頃いつも愛と遊んでたわね」

「そうだったな … 積み木とかパズルとか、シャボン玉もよくやったなあ」


家で花火をして、火事になりそうなこともあったのですが … 今となっては笑い話になっていました。

… … … … …

「でも、病気で寝込むようになってからは、愛が作った糸電話でいつも話してたわ」

謙次が何を話していたのか尋ね、愛がバツが悪そうに謙次と多恵子の悪口だと言うと、家族に笑いが起きました。

誠が手にしていた家族写真を改めて見ながら、多恵子は話しました。

「この写真のころは、コーラス大会に出たくて … 毎日毎日、大きな口を開けて練習してたわね」

多恵子は、後片付けを手伝っていた羽純に「おぼろ月夜」を歌ってくれないかとリクエストしました。

♪ 菜の花畠に、入日薄れ、見わたす山の端、霞ふかし … 春風そよふく、空を見れば、夕月かかりて、にほひ淡し …

羽純の歌声に聞き入り、純を想い … いつしか皆、一緒に口ずさんでいました。

… … … … …

「純はね … 誠、あなたが生まれた時、本当にうれしそうだったの」

照れたように笑う誠。

「あなたがいてくれたおかげで、家族が暗くならずにすんだのよ … 生まれてからずっと、あなたは家族を照らす希望の光なの …

あなたがいないと困るのよ、あなたが必要なのよ … それだけは、信じてちょうだい」


誠は涙を流しながら、何回も何回もうなずきました。

謙次もそんな誠をやさしく見つめていました。

… … … … …

「愛 … 前から言おうと思ってたんだけど … 純が死んだのは、あなたのせいじゃないわよ」

愛は驚いて多恵子のことを見ました。

「だから … あたしのお腹の中で、自分が純の才能や生命力を全て奪ったと思うのは、もうやめなさい … 今を生きなさい、未来を見つめなさい … 幸せになりなさい、それが残された者の責任だから … 」

それは、愛のためにだけでなく、多恵子自身に対しての戒めだったのかもしれません …

そう感じた謙次が思わず口にしました。

「ついでだから言わせてもらうけど … 多恵子、自分を責めるのは止めてくれないか? … 純が死んだのは、君のせいでもない」

多恵子は素直にうなずきました。

「さびしがり屋なんだから、せめて子供たちには甘えてほしい … できれば、眉間にシワをいれないで、笑顔を見せてほしい」

… … … … …

「ねえ、パパとママは、もう一回やりなおすことはでけへんの?」

しかし、誠の願いを多恵子は、柔らかく否定しました。

「それは、無理よ … 純さんや愛みたいな気持ちにはなれないからよ、もう … でも … 」

多恵子はバッグから外した結婚指輪を取り出して見せました。

「これだけは捨てないわ … こんな素敵な子供を授かることができたんだもの」

… … … … …

「実は … 僕もいつもポケットに入れてるんだ」

謙次も同じように指輪を取り出して見せました。

謙次と多恵子は穏やかな顔で見つめ合い、うなずき合いました。

愛と誠にも微笑みが … 少し離れた場所で控えている純もそんな家族をやさしく見つめていました。

… … … … …

頃合を見計らって、看板メニューの「肉野菜辛味噌炒め」入りの豚まんが運ばれて来ました。

謙次と愛の豚まんを頬張る姿がそっくりと冷やかした多恵子、そう言う多恵子と誠の首をすくめる仕草が一緒だと謙次が反撃しました。

「お母さんがそうやって笑うところ、久しぶりに見ました」

「たしかに … 」


同意する謙次と誠、多恵子が少し不満そうな顔をしました。

「いいじゃないですか」

何年かぶりに … 純が亡くなって以来、はじめて … 待田家は心からの笑いに包まれていました。

… … … … …

次の日の朝。

海が見える岬、誠が走ってきます。その顔にはマスクはありません。

大きく深呼吸をしました。

「空気が美味しい!」

… … … … …

漁港を散歩している謙次。

漁の後片付けをしている漁師たちと挨拶を交わしました。

波の音、鳥の声 …

「すべての音が気持ちいい」

… … … … …

ビーチを走る多恵子。

クツを脱ぎ捨て、裸足になって波打ち際に立ち、大きく背伸びをして …

「わーーっ」

気持ちよさそうに叫びました。

誠、謙次、多恵子は、それぞれを苦しめてきた能力から解放されたのでした 。
… … … … …

時間は過ぎ、チェックアウトです。

純と愛、誠は、謙次と多恵子をホテルの外まで見送りに出ました。

「本当にお世話になりました … 楽しい時間をありがとう」

謙次が純に礼を言いました。

「せめて … これから、皆の誕生日には必ず集まらへん?」

誠が遠慮がちに提案すると … 謙次と多恵子は、一瞬驚きましたが、快く了解しました。

誰ともなく吹き出し、家族全員笑顔になりました。

… … … … …

「せっかくなんで、記念写真撮りません? … 家族四人で」

純がカメラを取り出し、四人をホテルの入り口に並ばせました。

シャッターを押そうとしたとき、多恵子が純に言いました。

「あなたも入ったら? あなたも … ウチの家族なんだから」

… … … … …

「いいんですか?」

純は戸惑っています。

「もちろんよ … 待田 純さん」

晴海が愛のことを受け入れたように、多恵子も純を街田家の一員として認めたのです。

純は心の底から、家族と認められた喜びが込み上げてきて … 目からは涙があふれてきました。

… … … … …

「あたしは、いつか … おじいのホテルの女将さんになるのが夢なの … それでね、ここを“まほうのくに”にするの … いらっしゃいませ、ホテル・サザンアイランドへようこそ! … 女将の狩野純です」

その夜、純と愛は幼い頃の純の声を録音したテープを聞き返してみました。

「純さん … このホテルの名前は、ホテル・サザンアイランドにしましょう … 純さんの“まほうのくに”は、おじいのホテルの名前を継ぐべきです」

愛の言葉を深くかみしめて、純はうなずきました。

… … … … …

「そうだ、いとし君」

純が取り出したのは、糸電話でした。

昨晩の話を横から聞いていて、自分も愛とやってみたくなったのです。

片方を愛に持たせて、自分は部屋の外に出ました。

… … … … …

「あたし、こんな幸せでいいのかな?」

「それはこっちのセリフです … 純さんがいてくれたから、また家族とちゃんと話すことができました … それに … また動くようになったんです、時計」


愛の腕で時計が時を刻んでいました。

「本当!?」

「純さんと逢えて、僕はほんとうにしあわせです … もうなにもいりません … 」


… … … … …

「ちょっと、何言ってるのよ? … いとし君には、これからもっともっと幸せになってもらわないと困るんだから … 

だって、新婚旅行にだって行ってないんだよ! … いとし君、何処行きたい? … あたしはねえ、やっぱパリかなあ … だって、サモトラケのニケさんがいるんだもん!」

「 … 」

「あっ、でもさ … その前に仕事が軌道に乗ったらさ … 子供作ろうか? … 男の子がいい? 女の子がいい?」


純は糸電話を耳に当てて、愛の答えを待ちました … が、返事はなかなか戻ってきません。

気が付くと糸が切れて垂れ下がっていました。

… … … … …

部屋に戻ってみると … 愛はベッドに横たわっていました。「ねむり姫」の絵本を抱いたまま …

「なんだ、寝ちゃったの? … ちゃんと布団掛けないと、風邪ひくよ」

声を掛けましたが、熟睡してしまったのか … 体を揺すってみました。

「 … 起きてよ」

反応がありません … 何かおかしい …

「? … いとし君? … いとし君、いとし君! ねえちょっと、いとし君!!」

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2013年03月15日 (金) | 編集 |

第138話

いよいよプレオープンの日。純の思いが通じたのか、謙次と多恵子がやって来る。

(2013年3月8日 NHKネットステラ)


プレオープン当日。

純は、おじいと善行の遺影を並べて、家族皆で手を合わせました。

「おじい、お父ちゃん … お母ちゃんや宮古の人たちのおかげで、あたしたちのホテルはここまで来ることができました … このご恩を一生忘れずに、皆で一緒に返していきたいと思います」

晴海が、今日は何の日か尋ねました。

「今日は、プレオープンの日だから、おじいとお父ちゃんに報告してたの」

「ああ、そうだったねえ」


それと、もう一つ … 純は、晴海に耳打ちしました。

「あらあ、よかったねえ」

純と晴海は顔を見合わせて笑いました。

他の皆が何だろうと気にしましたが、ふたりだけの秘密と純が言いました。

… … … … …

ジュークボックスを磨きながら、純は外を気にしながらソワソワしています。

「まだ、うちの父と母が来ると思っているんですか?」

純は当然のようにうなずきました。

愛は両親が来ることはとうにあきらめているのです。

「あ、大切なことを伝えるの忘れたって言ってたけど … 何か関係あるんですか?」

その時です。玄関のドアが開いて … 旅行カバンを手にした謙次が … 愛の父が入ってきました。

… … … … …

「お招きいただきまして」

「い … らっしゃいませ …」


それだけ言って、ポカーンとしたままの愛。

「元気でやってるか? 愛」

純が謙次を部屋に案内していきました。

その背中を、信じられない気持ちで見つめる愛でした。

… … … … …

純は、ロビーでくつろぐ謙次にキンがブレンドしたお茶を淹れて出しました。

「ああ、旅の疲れが取れますね、このお茶」

愛と誠は、忙しいと断りながら急に訪れた謙次のことを … どこか腑に落ちないような顔で見ています。

「あれ? なんでブランコがあるの?」

純が「仲直りのブランコ」の謂れを謙次に話しました。

「どうせやったら、ママと乗れば?」

ボソッとつぶやくように誠が謙次に言いました。

少し気まずい雰囲気 … 入口の方から足音が … 多恵子でした。

「いらっしゃいませ、お義母さん」

… … … … …

出迎える純と愛

「お待ちしていました」

多恵子は謙次の姿を見つけると冷ややかに言いました。

「あら、あなたもいらしてたの?」

多恵子が現れた途端に急にオドオドしだした謙次、トイレへと逃げ出してしまいました … ますます父に失望する誠 …

「ありがとうございます … でも、びっくりしました。お母さんまで来てくれるとは、思っていなかったんで」

期待していなかったこととはいえ、忙しいはずの両親が宮古まで足を運んでくれたことはうれしい愛でした。

「私は、これを届けに来ただけよ」

そう言って、多恵子がカバンから取出したのは … 表紙の焼け焦げた「ねむり姫」の絵本でした。

… … … … …

多恵子が案内された部屋に荷を下ろすと、誠がお茶を運んできました。

「誠、あなた本当にここで働くつもり? … 本気じゃないことぐらいわかってるんだから」

「どうでもええやろ、うちが何しようが … 」


ふてくされて、反抗的な態度をとる誠を多恵子は叱りつけました。

「被害妄想みたいな事を言うのはやめなさい!」

「じゃあ … 一体、うちはママの何? … ママはうちが必要なの?」


誠の問いかけに多恵子はあきれて …

「何をくだらないことを」

「 … そうやね、ママから見たら、ウチの悩みなんてホンマ下らんやろうな!」


部屋を飛び出て行った誠、多恵子はため息をつきました。

… … … … …

厨房では、愛を中心に純と誠が手伝って、今夜の夕食の準備をしています。

時間を持て余してた謙次がロビーでブランコを揺らしていると、二階から多恵子が下りてきました。

「何やってるの? あなた」

多恵子に声を掛けられて、ビクついた謙次はブランコを下りて、壁画の前に直立不動になりました。

「どう、東京は? … 一緒に事務所始めたパートナー、若い女なんでしょ? … もしかしたら、再婚でもなさる気?」

そんなんじゃないよ … 謙次はまともに目を合わせずに言いました。

「別に遠慮なさらなくてもいいわ … 女性がいないと、生きていけないんだから、あなたは」

思いっきりイヤミを吐く多恵子 … 皮肉にも、ふたりは壁画の前で「と」の字を挟んで並んで立っていました … 謙次はムッときた感情を抑えて、多恵子に尋ねました。

「君の方はどうなんだ? … あまり無理しないで … 生活に困っているわけじゃないんだし」

多恵子はブランコに腰かけました。

「別にお金のためにやってるわけじゃないわよ」

謙次も隣のブランコに腰かけました。

「 … 僕は君のことが心配だから」

… … … … …

「もうそうやって、無理に優しくしようとするの止めたら?」

多恵子は謙次を振り返りました … 今日初めてふたりの、お互いの目線があった瞬間 …

「あなたの優しさは、本当の優しさなんかじゃない … 自分を守るためにそうしているだけよ」

誰も予想しなかったこと … 謙次が切れました。

「だったら、言わしてもらうけど … 君は何故そうやって、相手を傷つけるようなことばかり言うんだ? … 確かに君は弁護士として僕よりも優秀かもしれない … しかし、妻としてはどうなんだ? 母親としてはどうなんだ?」

謙次の声は、愛たちにも届きました。

「今まで家族のために何をした? 子供たちを幸せにしたと、胸を張れるのか? … 自分の考えが正しいと信じて、いつも家族に押し付けてばかりじゃないか!」

多恵子は何も反論せずに悲しそうな顔、うつろな目で正面を見ています。

純と愛、誠は厨房から出てきましたが、口出しすることはできずに立ちすくんでいます。

… … … … …

我に返った謙次 … ブランコを飛び下りると、自分のことを恥じるように言いました。

「そんなこと、言える資格ないけどね … ごめん」

二階へ上がろうとする謙次を誠が引き止めました。

「帰る … 母さんと話してると、耳鳴りがひどいんだ」

… … … … …

「何言ってんの?

ママは全部してるんやで、耳鳴りもするし、匂いもするし … 本性も見える、三十苦なんや! … それでも文句言わんと、ずっと戦ってるの、ママは!」


気づきませんでした … 今度は、謙次が多恵子を振り返りました。

「 … それやのにパパは何? … ずっと家から逃げて、外で浮気して … 挙句の果てにママと別れて、うちら子供のことも放っておいて … 」

多恵子が誠の言葉をそこで遮りました。

「もういいわよ、誠 … 私が帰るから」

… … … … …

「そんなこと言わないでください … せっかく集まったのに」

純が懇願しましたが、多恵子は自分がいると、皆不愉快みたいだからと言いました。

「お母さん … 」

愛が一歩前に歩み出て、多恵子を呼び止めました。

「覚えてますか? この時計 … 高校の入学祝にお母さんがくれた時計です … 家を出た時に無意識に持って来てしまったんですけど … 実は、あの時から止まったまんまなんです。

この時計と同じように、純がいなくなってから、うちら家族の時間は止まったままじゃないかって …

でも僕は、宮古の海で純さんが僕にプロポーズしてくれて … はじめて、“愛されていいんだ”って思ったんです … 人の本性が見える、苦しみから解放されたんです、幸せだって思えたんです … 僕は皆にも幸せになってもらいたいです …

だから僕は、これから皆のことを心から愛します … 全身全霊で家族を愛します … 嫌だって言われても、一生家族を愛します …

だって、僕の名前は … 愛と書いて“いとし”と読みますから」


… … … … …

突然、照明が落ちてホテル内が暗くなりました。

壁画の横の扉が勢いよく開いて … ローソクを立てたケーキを持った正を先頭に晴海が、剛が、マリヤが … そしてホテルのスタッフ全員が「ハッピィバースディ」を合唱しながら入ってきました。

そして、いつの間にか愛の周りを囲みました。

♪ハッピィバースディ・ディア・いとしさん ハッピィバースディ・トゥ・ユー

驚いた表情の愛 … そうだ、今日は僕の …

おめでとう! … 拍手が起こります。

「はい、消して!」

純に促されて、愛は目の前に差し出されたケーキのローソクを一気に吹き消しました。

… … … … …

再び灯りがともされたロビー。

「純さん、お父さんお母さんに連絡したのって?」

純はうなずきました。

「このホテルをいとし君の愛でいっぱいにしたいから、プレオープンはいとし君の誕生日でなければダメだし … お義父さんとお義母さんには絶対に来てくれないとダメなんですってことを書くの忘れてて … 」

少し申し訳なさそうな純でした。

… … … … …

待田家の四名は、気分を一新してテーブルに案内されました。

「いとしさん、ちょっといいね?」

晴海が愛に言いたいことを書き留めてあるので聞いてほしいと、手帳を読み始まました。

「いとしさん

いつも、純のために、ありがとうね

純は、あなたがいなかったら、こんなすてきなホテルを作ることはできませんでした

これからも、すえ長く、純のことをよろしくおねがいします

おたんじょうび、ほんとうにおめでとう」


愛は涙でぐしゃぐしゃになった顔で晴海に礼を言いました。

「ありがとうございます、ありがとうございます … 」

多恵子は … 謙次と誠も … 愛が、純の母や家族に、どれだけ信頼され、どれだけ大切に思われているか … 晴海の拙い文章の中からしっかり感じ取っていました。

… … … … …

しばし、待田家水入らずの時間。

「すまなかった、多恵子 … 」

謙次は、多恵子の苦しみを何も知らなかった、気づくことができなかったことを詫び、深々と頭を下げました。

「謝るなら、子供たちにしてください」

そう言った多恵子ですが、決して責めるような口調ではありませんでした。

謙次は、愛と誠にも同じように頭を下げました。

「もうええから、乾杯せえへん?」

おだやかな表情の誠がそう提案しました。

「そうだな … 愛、誕生日おめでとう」

… … … … …

「待ってください … 僕の誕生日は、純の誕生日でもあるんで … 

皆で純におめでとうって言いませんか?」


多恵子が肌身離さず持っている家族写真を取り出しました。

… … … … …

「おめでとう、純」

ワイングラスを掲げて、空の上の純にそう言った多恵子に続いて、謙次が、誠が、そして愛が … 

「おめでとう」

… … … … …

愛のサプライズ・バースディ、多恵子と謙次の喧嘩も仕組まれた演出 … って思った人はいませんよねえ~

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2013年03月14日 (木) | 編集 |

第137話

謙次からも多恵子からも、招待を断られて落ち込む純。その一方で純たちは、壁画アートと看板料理メニュー考案のヒントを見つける。

(2013年3月8日 NHKネットステラ)


おじい、お父ちゃん … プレオープンは、明後日なのに、いとし君のご両親には招待を断られたままです

夜の厨房。

愛は、ホテルの看板メニュー作りに頭を悩ませていました。

純は一息入れるためのお茶を出し、謙次と多恵子にプレオープンの招待を断られたことを愛に報告しました。

「そうでしたか、やっぱり無理でしたか … 」

予想はしていたのでしょうが、落胆の色を隠せない愛でした。

純は、もう一度連絡してみると言いましたが、愛は断りました。

「でも、誠ちゃんのためにもちゃんと家族で話し合った方がいいと思うの」

その時、荷物をまとめた誠が二階から降りてきました。

「純さん、ごめん … やっぱ、帰るわ」

ここにいても、皆に迷惑をかけるだけだから、大阪に帰ると言う誠を純は引き留めます。

「このままだと、誠ちゃんの今の気持ちわかってもらえないよ … 」

純の言葉に愛が反応しました。

「純さん、何ですか? それ」

ソッポを向く誠 … 純は慌てて、言葉を濁しました。

「それはだから … 当日、家族皆で話し合ってさ … あっ! … 招待状に大事なこと書くの忘れてた」

… … … … …

「あたし、今から急いでお義母さんたちに連絡するから … 信じて、お義父さんとお義母さん、必ず来るから」

誠をそう説得すると、慌ただしく出ていきました。

そして、謙次と多恵子にメールを出す純。

これできっと、いとし君たちのご両親は来てくれるはず … と、信じよう

… 信じていれば、きっと伝わる …

… … … … …

プレオープン前日。

「ねえ、お姉どうするの? … 何描くか決めないとさ、オープンに間に合わないよ」

純が壁画のモチーフも決めないことには、絵を描きだすことができない剛です。

まだ決まっていない壁の絵と看板メニュー、何かいいアイディアないかなあ

「いとし君の好きなもの、いとし君の好きなもの … ! … ねえ、いとし君の家族を描けばいいのよ!」

一瞬納得して筆をとりかけた剛ですが … やはり思い直したように言いました。

「見に来るのは、お客さんでしょ? … だったら、いとし君だけじゃなくて、お客さんが見ても喜ぶものじゃなきゃダメなんじゃないかなって思うんだよね」

簡単に妥協せずに正論を言う剛を見て … 大人になったなと、感心するやら、うれしいやらの純でした。

… … … … …

「おお!ちょっとちょっと、士郎君!」

少し目を離したすきに、士郎が塗料に手をつっこんで、その手で壁にペタペタ … 大慌てで止めに入る剛 … 逃げる士郎 … その声に飛んできたあけみと、剛がぶつかって … 持っていた塗料を壁にぶちまけてしまいました。

白い壁、茶色と黄色の大きなシミの前にへたりこむ剛 … 謝るあけみ … きょとんとした顔の士郎 … 何と言っていいのか純 …

「純さん、ちょっと来てください、純さ~ん!」

裏庭で愛が呼んでいるので、後ろ髪をひかれながらも、純は外に出ました。

… … … … …

「純さん、これなんですけど … 」

愛は、一枚の葉を純に差し出しました。

「ああ、ぱんだま … 宮古では、よく食べるんだよ」

そう言いながら純は、葉っぱをかじりました。

「お義母さんの同級生に苗をもらったんで育ててみたんです。苦味があるけど、サラダに向いてると思うんです」

宮古の食材を使った方が、客も喜んでくれると思うからと愛は言いました … その心遣いがうれしい純でした。

「あと、看板メニューなんですけど、候補を考えてみたんです」

愛は、いくつか候補を書いたノートを見せました … どれも地元の食材を取り入れたメニューでした。

しかし、愛には申し訳ないのですが、何か少し自分のイメージにマッチしていない … そんな気がする純でした。

「わたしが思うになんだけど … 誰しも一度は家で食べたことがあるような、家庭料理みたいなものがいいと思うんだよねえ」

愛はまた考え込んでしまいました。

… … … … …

「あとは何だろうな … クリームシチューとか … いとし君のクリームシチュー、めちゃめちゃ美味しいから、クリームシチューにしようよ!」

しかし、それは純が好きなだけのような気がすると愛は言いました … ちょっと不満顔の純です。

「とにかく一回作ってみて … それを皆に試食してもらって、それで多数決みたいな形で決めるのもいいじゃない?」

しかし、それには一つ問題がありました … 経費削減のために食材がほとんどないことでした。

「取りあえずこれで作ってみますね … 」

… 冷蔵庫の残り物で作る節約料理じゃないんだから …

… … … … …

「ねえ、お姉、お姉!」

剛に呼ばれてロビーの壁の前に戻った純。

「あのさ、もう時間ないから、俺さ描くことにしたから … これは砂、砂ね」

シミの上からどんどん塗料を重ねていく剛。

「ちょっと待ってよ、そんなヤケにならないでよ!」

… … … … …

「お姉こそさ、ホテルの名前決めたの?」

剛に言われて思い出しました … まだ決めてなかったことを!

「うんとねえ … パラダイス・ホテル、ホテル・パシフィック、ホテル・カリフォルニア … 有頂天ホテル … 」

全部どこかで聞いたような名前だと、いつの間にか階段に腰かけてこちらを見ていた誠がからかいました。

「なあ、ホンマにパパとママ来るの? … で、何? … 昨日言っていた大事なことって」

それは、当日までのお楽しみ … と純は教えません。

… … … … …

「じゃあさ、“まほうのくに”何だから、ホテル・マジックランドは?」

悩んでいる純を手助けしようと羽純が案を出しました … 直接過ぎると、駄目出しの誠。

「じゃあ、いとし君の名前を取って … ホテルI(アイ)」

苦し紛れの純 … なんかラブホみたい

「ホテルJ(ジェイ)アンドI(アイ)とかは?」

… なんか意味わからんし

人の意見にことごとくケチをつける誠に羽純が腹を立てました。

「さっきから何か文句ばっかりつけてませんかね?」

「別にあたしは、そんなつもりは … 」


誠は羽純のことをくんくんと嗅ぎました。

険悪な雰囲気のふたり … 剛も愛も知らん顔 … 板挟みの純 …

… … … … …

「おじい、お父ちゃん … どうしよう、まだ何も決まらないよ」

写真に愚痴を言う純。

「皆ぁ、頑張ってる?」

マリヤと晴海が差し入れを持ってやってきました。

差し入れ … 好物の豚まんを目にしてハイな気分になる純。

いざ手にしようとしたとき、厨房から愛の呼ぶ声 … またまた後ろ髪をひかれながら …

… … … … …

愛は、味見してほしいと、さきほどの食材で作った「肉野菜辛味噌炒め」を差し出しました。

一口頬張って、純は絶賛しました。

「うん、美味しい、いけるよこれ!」

「でも、看板メニューにするには、ちょっとインパクトというか面白みに欠けていると思うんですよね … 」


何かいいアイディアがないかと首をひねる愛。

… … … … …

「ああ、ちょっと、お母ちゃん何やってるの?!」

剛の声に何事かと純が急いで戻ってみると、晴海が青い塗料で壁に何か描き加えていて、剛が必死に止めていました。

「ここ落書きしてもいいんでしょう?」

楽しそうな晴海は、大慌ての剛と純を尻目に刷毛を走らせています。

そこに顔を出した正。

「ああ、面白そうだなあ … ちょっと、俺にも」

言うより早く筆を取って、何かを描きこみました。

「お兄まで、やめてよ!」

… もう剛のアートはしっちゃかめっちゃか …

「何やってるのよ? お兄ちゃん … 」

信じられないと言った顔の純に正は平然と言いました。

「おじいのホテルだけどな」

… … … … …

「 … だってこれ、昔のうちのビーチだろ?」

正にそう言われて、壁から少し離れて、改めて全体に見直した剛と純でした … 納得 …

「ああ、見えなくはない … かな?」

皆の頭の中に、おじいのホテルやビーチのイメージがよみがえりました。

「おじいのホテル … ねえ、純 … 」

うれしそうに言う晴海。

「うん、いけるかも」

何かひらめいた剛 … 晴海と正にそのまま色を塗り続けるように指示すると、自分はオレンジ色の塗料をローラーに含ませて、壁の真ん中に大きく弧を描きはじめました。

… … … … …

「豚まん食べない?」

マリヤから豚まんを受け取って、一口かじった愛 …

「あっ! … その手があったか!!」

愛は、肉野菜辛味噌炒めを豚まんの皮で包んでみました。

試食する純と愛 … 顔を見合わせて

「美味しい! … これいけるよ! やったあ!」

看板メニューが完成しました … でいいんですよね?

… … … … …

「お姉、お姉! … ちょっと、ちょっと来て来て」

今日の純は、やたらお呼びがかかって大忙しです。

呼ばれて出ていくと … 剛が一気に描きあげた壁画が目の前に現れました。

懐かしいビーチに虹がかかり、おじいのホテル … サザンアイランドも見えます。

心を奪われたように絵を見入る純と愛 …

「あら、懐かしいねえ … おじいのホテルもあるさ」

晴海の言葉に何度もうなずく純。

「剛、いいじゃん」

しかし、剛はまだ何か足らない気がしていました。

… … … … …

その時、マリヤに抱かれていた勇気が可愛い歓声をあげました。

勇気はマリヤの胸のペンダントが気になるようで、しきりに触っています。

「勇気、これ?」

純が自分のネックレスを見せると、勇気の目は釘付けです。

「おばちゃんのネックレスを貸してあげよう、特別に」

純がネックレスを外して、勇気に渡そうとしたのですが、うまくつかめずに落としてしまいました。

それを屈んで拾った愛が、そのままの体勢で純に手渡しました。

礼を言いながら受け取ろうとした純 …

「ストップ!」

剛が大声でふたりを止めました。

「ストップ … このまま … これだ! そうだそうだ!」

… … … … …

「人が足りなかったんだ、この絵に … 愛が足りなかったんだ … 愛の瞬間が足りなかったんだよ!」

剛は、ふたりをそのままの姿勢で止めたまま … 壁画に何か描き加えました。

「完成!」

絵の中の砂浜の中央に「と」の字が描きこまれています。

その字を挟んで腕を取り合うような純と愛を見て、正が言いました。

「ああ、確かにふたりプロポーズしているみたいだな」

… 僕の心と体は、永遠にあなたのものです … 純と愛には、剛の書いた絵がまるであの時の情景を再現しているかのように思えました … 純にとってまさしく「いとし君への愛」、愛にとって「純さんへの愛」の瞬間でした。

「この絵は、ここに人がふたり立って初めて完成する絵だったんだよ」

剛の言葉を聞き、見つめ合う、微笑みあう … 純と愛でした。

… … … … …

そのあとは、愛の考案した看板メニューのお披露目でした。

おじい、お父ちゃん … 明日のプレオープンに向けての準備が整いました … あとは、いとし君と誠ちゃんのご両親が来てくれれば …

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2013年03月13日 (水) | 編集 |

第136話

次なる“売り”は、看板料理メニュー。純はそれを愛に任せるが、準備が着々と進む中、誠だけが面白くなさそうで……。

(2013年3月8日 NHKネットステラ)


おじい、お父ちゃん … いとし君のご両親をプレオープンの日にホテルに招待することにしました

… このまま、家族がバラバラになるのが心配な、いとし君のためにも …

でもそうしたら、新たな問題点に気がついて …


… … … … …

「看板メニューですか?」

「プレオープンの時にね、できたらお義父さんとお義母さんをその料理でおもてなししたいなと思って … 」


純の提案はありがたいのですが、愛はそれまでに間に合うかどうかと考え込んでしまいました。

「あたしも協力するから … そんな堅苦しいものじゃなくてもいいの、家庭的な一品料理みたいなさ」

言うは易し、行うは … 一応、考えてみると愛は言いました。

「それとさ … もうひとつ大事なこと忘れてて … 」

ホテルの名前をまだ決めていませんでした … こっちの方が大事じゃないの?

「それは、サザンアイランドがいいんじゃないですか?」

愛は言いました。

純もその名前を考えなかったわけではないのですが … そのまま受け継いでいいのかという、ためらいがあったのです。

「それもプレオープンまでに決めないとね … 」

… … … … …

「ねえお姉、結局さ、ここに何描くの?」 

剛に描いてもらうロビー横の壁画の件もそのままでした。

… 相変わらず、宿題が山積みの純でした。

… … … … …

プレオープン7日前。

ホテルのスタッフが勢ぞろいして、プレオープンに向けてのミーティングです。

純は皆にプレオープンの日に謙次と多恵子を招待したことを報告しました。

「正式なオープンの時の予行練習にもなると思うので、皆さんで力を合わせて精一杯おもてなししましょう」

そして、愛は看板メニュー作り、正はマッサージルーム、あゆみにはビューティーサロン、それぞれの準備を任せました。

やる気に満ちた雰囲気の中で、ひとり冷めた態度の誠のことが愛は気になっていました …

… … … … …

何かを任されたというわけでない誠は、手持無沙汰でホテルの中をうろうろしていました。

壁画の構想を考えている剛に構ってもらおうかと思った時、一瞬早く羽純に声を掛けられてしまいました。

「ねえ、“人間ジュークボックス”のレパートリー増やそうかなって思ってるんだけど、何か歌ってほしい曲とかある?」

好きな曲の話題で盛り上がる剛と羽純 … 面白くない誠はその場から離れました。

… … … … …

厨房で看板メニューを考えている愛の頭に紙くずが命中 … 誠でした。

「 … ねえ愛ちゃん、ホンマにパパとママが来ると思ってるの?」

「そう思う … ことに決めた」


愛は言い切りました。

「あたしは絶対来おへんと思うな、こんなとこにわざわざ」

「そんなこと言うなよ、ウチら家族のために純さんが招待してくれたんだから」


… … … … …

ますますひねくれた態度の誠。

「愛ちゃんはええなあ、好きな人と一緒になれて … ホンマうらやましいわ」

愛は誠が、楽しそうに話している剛と羽純のことをやけに気にしているのがわかりました。

「誠さ … お前、そんなイヤミ言っているヒマあったら、ちゃんと働けよ」

誠は、ふてくされて部屋を出て行ってしまいました。

その背中をあきれたように見つめていた愛 … あの妹も頭痛の種のひとつでした。

愛は顔をしかめながらつぶやきました。

「あったま、痛いな … 」

… … … … …

剛が描きあげた何枚かのラフを手に、純も悩んでいました。

どれも出来はいいのですが、壁画にするとなると … 何かしっくりこないのです。

「だめだ、何もひらめかないなあ」

白い壁の前でひとり考え込む剛 … ふらふらしていた誠が声を掛けました。

「そんな悩む必要ないんちゃう? … もともとそんなことする義務ないんやし」

一生懸命、水を差す誠。

「そうだけど … お姉も頑張っているし、何か協力してあげたいんだ」

… … … … …

「でも、大阪で個展の準備とかあるんやろ?」

剛はうなずきましたが … 何かノリが違いました。

「なあ、ツヨキチ … あたしと一緒に大阪帰らへん?」

以前なら、そんなことを誠に言われたら、二つ返事でついてくる剛でした …

「え? でも、まこっちゃん、ここで働きたいんじゃないの?」

… … … … …

「 … やっぱり、ホテルより他にもっと才能ある気がするし … 宮古には、何かあたし、狭い気がするし」

剛が戸惑ったような顔をして見つめるので、誠は何なのか尋ねました。

「あ、いや … なんか、こう … まこっちゃん、昔の俺みたいなこと言ってるなって思ってさ」

誠から笑顔が消えていきました。

「ごめん、いったん引き受けたんだし … 最後までやりたいんだ」

そう言って、背中を向ける剛 … 誠はいてもたってもいられなくなって、ホテルを飛び出して行きました。

… … … … …

ビーチまで走ってきた誠は、叫び声をあげながら、腕をめちゃくちゃに振り回して、足で砂を蹴り上げていました。

愛に対してより、剛に対してより … 自分に対する苛立ちを抑えることができません。

あ”~っ!!

ふと気配がして振り向くと、自分以外に誰もいなかったはずのビーチで純がこちらを見ていました。

… えらいとこ見られた …

「あたしもよくここで叫んだりしたなあ … 」

純がそう言いながら、近づいてきました。

「何か自分が嫌になって … どうしたらいいのか分かんなくなったときとかさ」

… … … … …

「それで … 何か答え出たん?」

純はかぶりを振りました。

「結局 … “お腹すいたぁ”とか“暑いぃ”とか言って帰るわけ … でもさ、溜まったものをここで、ワーッと吐き出すだけで、すごい気持ちが楽になった気がする」

… … … … …

「誠ちゃん、よかったら話聞くよ」

誠が何かを話そうとしたとき、お決まりで純の携帯が鳴りました。

謙次からでした。

プレオープンの招待状が届いたのだが、仕事が忙しくて行くことができないという断りの電話でした。

「そこを何とかお願いできませんか? いとし君もお義父さんのために美味しい料理を作るんだって言っていますし … 」

純は、嫌がる誠と無理やりに電話を替わりました。

「 … 話したいことあるんでしょ?」

… … … … …

「あ、誠か … あのなあ、パパどうしても忙しくて … 」

「別にええから、来んでも! パパの顔なんて見たくもないし」


誠は、謙次の話が終わる前に電話を切ってしまいました。

「誠ちゃん …」

… … … … …

「もうお節介やめてくれへん? … パパもママも、うちのことなんかどうでもええねん!」

純 … 兄の純が死ぬまでは、純のことばかり考えて … 愛が出て行ったら、愛のことばかり考えて、自分はいつも蚊帳の外、誰も相手にしてはくれなかった …

「それでも、パパとママの言うこと聞いてええ子でいようと思ったんや … もうあたしはふたりに余計な心配かけへんように強くなろうと思ったんや!」

愛が出て行ったあと、多恵子に弁護士事務所を継げと言われた時も素直に言うとおりにした …

「それもこれも、あの人らに笑ってほしいって幸せになってほしいって思ったからやないか! … またいつか皆で … 家族皆で笑いあえる日が来るといいなって、信じたからやないか」

そんな気も知らずに、多恵子と謙次は別れてしまった … 誠は、涙でぐしょぐしょになった顔で思いのたけを吐き出しました。

「 … これからうちにどないせえって言うん?」

純は答えることはできませんでした。

走り出した誠 … あとを追おうとした純の携帯がまたお約束通りに鳴りました。

… … … … …

「 … 招待状、受け取ったわ」

多恵子からでした。

「それで、いらしていただけますか?」

おそるおそる聞いた純に多恵子の返事は …

「無理よ、そんなヒマないし … 」

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2013年03月12日 (火) | 編集 |

第135話

誠(岡本玲)が、ホテルで働かせてほしいと純のもとへ。心配した愛は、謙次(堀内正美)と多恵子(若村麻由美)に電話するも、2人はそっけない。そんな中、純は「プレオープンのお客様として、謙次たちを招待しよう」と言いだす。

(2013年3月8日 NHKネットステラ)


「純さん … ウチもここで働かせてくれへんかな?」

誠の突然の申し出に、純と愛は目を白黒させています。

「いつまでも、プーやってるわけにもいかへんし、あたしも純さんみたいにホテルで働くこと決めたから」

もう一度、顔を見合わせた純と愛 … 純が誠に謙次と多恵子には報告してあるのかを尋ねました。

「これは、あたしの人生やから、あの人たちには関係ないし」

… … … … …

「何言ってるんだよ、誠 … お父さんとお母さんに言わないとダメだろ!」

愛に意見されても、誠はひるみません

「 … 愛ちゃんが高校の時に家出してから、ウチの家族は皆好きなように生きることになってるし、なあ?」

口をつぐんでしまった愛の顔を純は気の毒そうに見つめました。

そう言われると、反論できないか … いとし君

… … … … …

次の日の朝。

誠がまだ寝ているのを見計らって、愛は謙次に電話を掛けて、誠が純のホテルで働きたいと言っていることを伝えました。

「誠が本当にそうしたいと思っているようには、僕にはどうしても思えなくて … 」

しかし、謙次からの返事は、愛にとって物足りないものでした。

「悪いんやけど、誠の相談に乗ってやってくれるか? … 僕がどうこう言えることやないし … 」

… … … … …

「誠が心配じゃないんですか?」

謙次は、自分が言っても、誠は聞かないし … 今、友人から事務所をやらないかと誘われて、東京に移って来たばかりなので手一杯だと言い訳しました。

「じゃあ、お父さんは誠や僕にもう会えなくても大丈夫なんですか?」

少し飛躍した愛の質問を電話の向こうの謙次は否定しました。

「すみません、でも何か僕たちを避けているような気がして」

愛は感じたままを口にしてしまいました … 謙次からの返事は戻ってきません。

あきらめて、電話を切った愛 … 困惑した顔で純が見ていました。

ソファーで寝たふりをしている誠も、漏れ聞こえる愛の声で、大体どんなやり取りがあったのかを理解していました。

… … … … …

「放っておきなさい、もう子供じゃないんだから! 

… 今までこっちの言ってきたこと、散々逆らってきたんだし、自分の決めたことに責任取る覚悟くらいあるんだろうし … 」


多恵子の返事も素っ気ないものでした。

愛は、多恵子がひとりぼっちになってしまうことも心配でした。

「 … 本当はまだ誠に弁護士になって、事務所を継いでほしいんじゃないんですか? … せめてそばにいてほしいんじゃ … 」

… … … … …

「あなたもずいぶん吹っ切れたみたいね? … この前電話してきたときは、どうしようって、散々悩んでいたみたいだけど … 」

多恵子は、愛のことを持ち出して話題を変えました。

「もう余計なことは考えずに、ホテルのオープンに向けて頑張ることに決めました。

… 純さんがこのホテルを、僕への愛が詰まったホテルにしたいって言ってくれたから … 」


息子が立ち直ってくれたことはうれしいけれど … 少し複雑な気分の多恵子は、机の上の写真立てを手に取りました … 純もいたころの5人の家族写真 …

… … … … …

「じゃあさあ、絵のテーマは“いとし君への愛”ってこと?」

ロビー横の白い壁に剛に描いてもらう絵についての純の注文でした。

「いとし君にはないしょね」

「それはいいんだけどさ … それだけじゃちょっと、何描いていいかわかんないんだよね」


もう少し具体的な何かがないと絵を描きようがないのです。

愛の好物 … バナナとリンゴ … そりゃ、猿だ … あと、ナイチンゲール … ナースの? … 鳥のナイチンゲール …

その時丁度、愛が通りかかったので、純が尋ねました。

「あの、いとし君の好きなものって何?」

「純さんです」


余りにも反射的に答えた愛 … 照れまくる純 … ご馳走様 …

「純さん以外ですか? … リンゴとバナナ」

吹出す剛、妙に慌ててる純 … 何となく腑に落ちないような顔で仕事に戻って行く愛。

「もうしょうがないからさ、ここにでっかくお姉の絵でも描く? … 猿と鳥も描いて … あ、犬も描いたら桃太郎になるから、桃太郎の格好したお姉とかどう?」

… … … … …

「一体どうしたん?」

絵の構想を考えている剛に誠が聞きました。

「お姉に“いとし君への愛”っていうテーマで絵を描いてほしいって頼まれちゃってさ」

手にしたスケッチブックにラフを描き始めた剛の真剣な横顔を見つめていた誠が言いました。

「ツヨキチ、変わったな」

「そう? … 自分じゃ、よく分かんないんだけどさ、お姉によく言われるんだよね、最近 … 」

「久しぶりに会ったのに、あたしのことロクに見ようともせんし!」


誠は不機嫌な顔をして、席を立っていってしまいました。

え、怒らせるようなこと言った? … 剛は唖然として、誠の背中を見送りました。

… … … … …

偶然(?)、その様子を窺がっていた羽純と目が合いました。

羽純は持っていたジュースを一つ剛に差し出します。

「何、描いてるの?」

少し離れた場所に腰かけて、遠慮がちに聞く羽純。

「丁度良かった、羽純ちゃんさ、一緒に考えてくれないかな?」

羽純のすぐ横に座りなおしてスケッチブックを見せた無邪気な剛 … ぎこちなくうなずく羽純 …

… … … … …

打ち解けた羽純と剛の楽しそうな笑い声が誠のいる裏庭まで聞こえてきます。

誠はあまり面白くなさそうに声のする方を見ていました。

携帯を取り出して、メールのチェック … 新着なし … さっきから何回この繰り返しでしょう。

「何やってんのやろ? あたし … 」

庭の手入れをしている愛が誠を見つけました。

「お前、いつまでサボってるんだよ? … 本気にホテルで働く気だったら、マスク外せば?」

誠はマスクを取って、愛に食って掛かります。

「何よ、自分は人の本性、見えんくなったからって、エラそうに」

「俺は、ここで働きたいって、心から思っていない人間に、ここにいてほしくないだけ … 」


反抗して、自分は宮古に骨を埋める覚悟だという誠に、だったら親に報告しろと愛は意見しました。

「自分は勝手に家出して、八年も音沙汰なしやったくせに … それに、パパとママもどうせ放っておけとか言ったんやろ?」

両親のことを見透かしているように言った誠に愛は言い返しました。

「そんなことないよ」

… … … … …

「だっから、何でウチの携帯に連絡せえへんの?」

何だかんだ言っても誠は両親からの連絡を待っていたのでした。

答えに困る愛。

「愛ちゃんも愛ちゃんや … 純ちゃんが死んで、家族がバラバラになって、あたしが心細くて一番そばにいてほしい時にいてくれへんかったくせに … 

今更、兄貴づらせんといてくれる?」


… … … … …

誠に言われたこと … あれを言われたら、言い返す言葉のない愛でした。

水回りを掃除していた愛は、ふと手を止めて、腕時計に目をやりました。

その様子を部屋の隅から見ていた純。

… … … … …

夜、ジュークボックスがオールディーズのナンバーを流していました。

ぼんやりと窓ガラスに映る自分を見つめる愛 … 純 … 弟に聞いてみたいことがある … 最近、また現れなくなっていました。

「何考えてるの?」

いつの間にか純がそばに立っていました。

「死んだ弟の純が … 今のうちの家族見たら、なんて思うのかなって … でも、いくら考えてもわからなくて … 」

寂しそうにそう言い、また腕時計に目をやりました。

… … … … …

「ねえ、いとし君 … お義父さんとお義母さん、このホテルに招待しよう … プレオープンってことで、おもてなしするの」

愛は、あまり乗り気ではないようです。

「家族で話さなきゃなって、思ってるんでしょ? … 誠ちゃんのためにも、純君のためにも … このままだと、家族バラバラになっちゃうよ」

「でも、今更僕が何をしたって … 」

「そんなことない! … 今、家族のことを誰よりも心配しているのは … いとし君でしょ?」


純は愛の両手を取りました。

「いとし君、いとし君があきらめたら、終わっちゃうよ … あなたの大切な家族が」

今まで、純が迷った時に愛がそうしてくれたように … 純は愛のことを励まし、背中を押しました。

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2013年03月11日 (月) | 編集 |

今更、兄貴づらせんといて!

私はここを、いとし君への愛がいっぱい詰まったホテルにしたい──。
そう決めた純は、本格的にホテルのオープン準備に着手。
そんな中、誠が突然「私もホテルで働く!」と言いだす。
心配する愛と、それを突っぱねる誠。
兄妹げんか宮古島編、まさかの勃発!?


第134話

オープンに向けて、ホテルの“売り”を探す純。一つ目に目を付けたのは、殺風景なロビーの壁だ。剛(渡部秀)に、印象的な絵を描くことを依頼する。

(2013年3月8日 NHKネットステラ)


おじい、お父ちゃん、宮古に引っ越して1ヶ月 … ホテルのオープンに向け、着々と準備は進んでいます

続々と届いた家具を指定の場所に配置する一同。

純は、ジュークボックスを磨き上げていました。

お母ちゃんは、あたしたちが働いている間、キンさんたちと過ごしています … まるで、島全体でお母ちゃんの介護をしてくれているみたいです。

… … … … …

「純ちゃん!」

そして、羽純に続いて、セクシー … あゆみも士郎と共にやってきました。

再会を喜び合う、元「里や」の三人娘(?)

「あたし頑張るからさ、何でも言ってね、しゃちょう」

そう呼ばれて、純がしきりに照れていると、あゆみは言いました。

「いいじゃない、本当に社長になるんだから … このホテルの」

そんなやりとりを笑顔で見つめていた愛が言いました。

「純さん、これでホテルのスタッフがそろいましたね」

「おじいがおばあのためにホテル・サザンアイランドを作ったみたいに … あたしもここを、いとし君への愛でいっぱい詰まったホテルにしてみせる」


あらためてそう言った純に愛もうなずきました。

… … … … …

一段落して、皆でリビングに集まって、ベッドカバーを作り始めました。

「ホテルで大切なのって、居心地と寝心地だと思うんです … そう思ったら、ベッドカバーにもこだわりたくて」

手作りにこだわるというのは建前、一番の理由は予算的なことでした。

見るものすべてが珍しく、興味津々の士郎が「仲直りのブランコ」に目を付けました。

士郎の乗ったブランコを揺らしながら、ふと純は言いました。

「ああ、でも … 何かもっと他にウチのホテルのサービスっていうか … 売りになるようなものを考えた方がいいような気がするんだよなあ」

「里や」の時のように、正の「ゴッドハンド・マッサージ」、あゆみの「ビューティーサロン」は、続けるのですが … 

「ねえ、純ちゃん … 人間ジュークボックスも続けていいかな?」

おじいのジュークボックスにはない曲のリクエストにも応えるために、もっともっと曲を覚えると、羽純が提案しました … 以前の彼女にはなかった積極的なやる気でした。

「もちろん、そのつもりだったよ」

純が頼もしそうにうなずきました。

… … … … …

「純、あそこはどうするの?」

晴海が、ロビー横の広い壁を指して言いました。

「なんかさ … このままだったら、ダメなんじゃない? … えーっと … 」

「殺風景ってこと?」


純が気を回して尋ねると、晴海はそうそうとかぶりを振りました。

「だったら、剛君に頼んで何か書いてもらえば?」

マリヤの思いつきに全員大賛成 … 純は早速、剛に電話を入れました。

… … … … …

「ちょっとさ、あんたに頼みごとがあってさ … 」

個展の準備で忙しい剛が、答えを渋っていると … 晴海が純から受話器を取りました。

「剛、あんた何で帰ってこれないの? … いいから早く帰って来なさい、困ったときに助け合うのが家族でしょ?」

… … … … …

晴海の一声で、正はその日の夕方には、もう宮古に戻ってきました。

「お母ちゃん、ただいま」

剛の顔を見て、晴海は驚いています。

「 … 剛、あんた何で帰ってきたの?」

自分が呼んだことをもう忘れているようでした。

唖然とする剛をなだめながら、純がフォローします。

「お母ちゃんは、あんたに会いたかったのよ」

… … … … …

久しぶり、狩野家勢ぞろいでなごやかな雰囲気の夕餉の食卓です。

剛が皆に自分の作品を見せると … 感心したり、絶賛したり … 好評です。

「俺さ … これからはどんなにつらくても、一生懸命死ぬ気で頑張るから … 今まで散々迷惑かけて来たけど、やっと自分の生きがい見つけることもできたし」

正も純もそんな剛のことを見直して頼もしく感じていました。

何より、剛のことを一番気にかけてきた晴海がうれしそうに成長した息子を見つめています。

… … … … …

その晴海が手帳を出して、何か言いたげにしていることに気づいた純がどうしたのか尋ねました。

「あの実はね … 皆ちょっと聞いてくれる?」

皆、晴海の話に耳を傾けました。

「私はね今、思い出したことを話し出そうとした瞬間に頭から消えてしまうの … あとで思い出すだろうと思ってもダメなの … だから、こうしてメモすることにしました」

晴海は手帳を読み始めました。

「私は今、携帯の使い方がわからなくて、メールも送れないときがあります。

階段をおりるとき、足をどうだしたらいいのかわからなくて、落ちそうになることもあります。

朝起きたら、自分が何でここにいるのかわからなくて、不安でたまりません。

でも私は、病気に負けないよう、がんばるからね。

どんなに苦しくても、生きていくからね。

家族皆のために。

おしまい」


晴海がどんな気持ちで、どれだけの時間をかけて、この文章を書いたのかを思うと、誰もが切なくなりました。

「お母ちゃん、あたしたちもお母ちゃんのためなら、何でもするからね」

純が言葉に晴海はうなずきました。

「頼りないかもしれないけど、何でも言ってよ、母さん」

「私、お母さん大好きよ」

「俺ももっとビッグになって、早くお母ちゃん、楽させてあげるからね」


正がマリヤが剛が、それぞれ晴海に声を掛けました。

「ありがとう、皆」

うれしそうに微笑む晴海。

「お母ちゃん、家族がそろうってやっぱりいいね」

笑顔があふれて、狩野家は今、ささやかだけど幸せに満ちていました。

その雰囲気を微笑ましく感じていた愛は、ふと腕時計に目をやりました。

自分の … 自分と自分の家族の時間は、この時計のように止まったまま … 

僅かに見せたその寂しそうな横顔が … とても気になる純でした。

… … … … …

夕食後、純と愛のふたりは、ホテルに戻って開業準備を続けていました。

作業の手を休めて、ため息をつき、頭を手で押さえる愛 … 疲労の色が見えました。

「ねえ、いとし君 … 今日はもう遅いし、このへんにしておかない?」

愛も同意しました。

「剛も帰って来たし、今日からここで寝泊まりしようか?」

… … … … …

「ねえ、ブランコ乗ろうか?」

ケンカしたわけでもないのに何故? 愛は不思議に思いました。

しばらく、ふたり並んで、黙ってブランコを漕いでいると … おもむろに純が尋ねました。

「いとし君さあ、家族に連絡してみたら? … ずっと連絡してないんでしょ? こっち来てから」

愛は、一瞬迷って、うなずきました … 多恵子には、何回か電話をかけていました …

「腕時計さ、いつか言ってたよね … 昔、家を出た時からずっと止まってるって … ずっと心にひっかかってるんでしょ? … 自分のせいで家族がバラバラになったんじゃないかって

できれば、純ちゃん亡くなる前の家族に戻りたいって」


純は、自分もそうなることを望んでいることも伝えました。

… … … … …

「でも、今更僕が何をしても … それにウチの父と母はもう離婚しているわけだし」

愛は消極的でした。

「あきらめちゃダメだよ、取りあえず … 誠ちゃんに連絡してみたら? きっと、いとし君と同じこと思っていると思うから」

… … … … …

「もしもし … 誠、久しぶりだから、元気かなと思って … 今、何処にいるんだ?」

誠から帰ってきた答えは …

「宮古だけど」

驚く、愛 … ホテルの入り口が開く音が … ふたりが振り向くと、カバンを肩に背負った誠が入ってきました。

何と都合のいい … タイミングのいい … 脚本 … 展開でしょうか。

「純さん … ウチもここで働かせてくれへんかな?」

ブランコからおりて目を丸くしている純と愛 … 顔を見合わせて … もう一度、誠のことを見返しました。

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2013年03月09日 (土) | 編集 |

第133話

ようやく純は、自分がどんな魔法の国を作りたいか見いだす。

(2013年3月1日 NHKネットステラ)


「いとし君 … やっとわかったよ、ここをどんなホテルにしたいか … 」

「どんなホテルですか?」


純は、愛に目をつぶるように言いました。

そして、手を取りホテルの中へ誘導し、目的の位置まで連れてきました。

「いくよ、ビビデバビデブゥ~」

純の合図で、愛はゆっくり目を開きました。

愛の目の前に現れたのは … … … おじいのジュークボックスでした。

… … … … …

驚いた愛は、言葉が出てきません。

「キンさんが取り戻したんだって、これを売るならもうお前を孫とも思わないし、一生家にも戻ってくるなって、怒鳴りつけたって言ってた … 」

でも、それがどうしてここにあるのか? … 

「自分の店に置いてあっても宝の持ち腐れだから、ここに置いておいてくれって、言ってくれたの」

… … … … …

愛は、ジュークボックスにコインを入れて、選曲ボタンを押してみました。

ターンテーブルが回り、レコードが取り出され、針が置かれて … オールディーズのスローなナンバーが流れ始めました。

まるで宝物をみつけたような顔でジュークボックスを見つめている愛に純がおどけて言いました。

「ねえ、いとし君 … せっかくだから踊っちゃおうか?」

あっさりと愛がうなずいたので、純はあせってしまいます … ダンスなどしたことがありません。

ふたりは向かい合って立ち、互いにお辞儀をしました … ぎこちなく手を取り合ったところで …

「ちょっと待った、ごめん、やっぱやめよう … ごめんごめん」

らしくないことをしようとして、純は恥ずかしくなってしまいました。

愛は、思わず吹き出してしまいます。

「純さんが踊ろうって言うから、何かおかしいなって思ったんですよ」

本当に愉快そうに笑っています。

その顔を見た純は … うずくまってしまいました。

「よかった … 」

… … … … …

「どうしたんですか?」

愛が心配して、覗き込みました。

顔を上げた純の目には涙が光っていました。

「 … いとし君、ひさびさに笑ってくれたからさ、うれしくなっちゃった」

愛は返事に困ってしまいました。

「 … そうですかね」

照れ笑いです。

純は、立ち上がり … 改めて愛に向かって言いました。

「いとし君 … あたし、決めたよ … あたしは、ここを、いとし君が笑顔になるようなホテルにする」

… … … … …

「どんなにここに来るお客さんが笑ってくれても … あなたが笑顔にならないと意味がないの … 

あたしは、いとし君の幸せそうな顔が見たい」


純は、愛の両手を取りました。

「いとし君 … あたしは、この人生の中で … “と”で結びつくあなたと出会うことができた」

愛は、うなずきました。

「 … その感謝と喜びをここに精一杯込めたいの … あたしはここを、あたしのいとし君への愛が一杯詰まったホテルにしたい … 

あたしは、あなたのためにこのホテルを作りたい」


… おじいが、おばあのためにサザンアイランドを作ったように …

泣き顔の愛が、純のことを抱きしめました。

「僕は … 生きてきた中で、今が一番幸せです」

体を離して純が言いました。

「ダメだよ、そんなこと言ったら … もっともっと、幸せになってもらわないと困るから」

いたずらっぽく笑って愛を見つめました。

泣きじゃくり、再び純を抱きしめる愛 …

… … … … …

翌朝 …

まだ皆が寝静まっている中、布団の上で純がノートに何かを書き留めていました。

「何書いてるんですか?」

目を覚ました愛が覗き込みました。

「家族の誕生日とか、結婚記念日だけじゃなくて … 何か大切なことがあった日は、残しておこうと思って」

純は、そのノートを愛に見せました。

それぞれの月ごとにいろいろな記念日が書かれている中、5月3日に『いとし君にはじめて会った日』と記してありました。

「これから一日でも多く、素敵な記念日ができたらいいなと思って … 」

ふたりは、顔を見合わせて、幸せそうに笑いました。

… … … … …

「ああ、やっぱり美味しいこのお茶」

いつものように「平良」でキンの淹れてくれたお茶を呼ばれている純 … 向かいに座っているキンが、どことなく寂しそうな顔をしているように、純には見えました。

純は、キンの好意に報いるためにやっておかなければいけないことがありました。

「ちょっと、グズグズしないで、早く入ったら?」

店の外に向かって声を掛けると … キンの孫 … 勝が申し訳なさそうに姿を現しました。

「え?!」

驚いたキンは、目をしばたたかせています。

「あんたさ、あたしに昔 … 君は、ひとりでも生きていけるから … って言ったの覚えてる?

… あたし、あの時くやしくてさ … ああそうだよ、あたしはひとりでも生きていけるよ、人は所詮、ひとりで生まれて、ひとりで死んでいくんだよって、そう開き直ったけど … でも今は違う … 

あたしは、ひとりでは生きていけない」


… … … … …

「あたしは、弱い人間だから、ダメな人間だから … ウチの旦那や、家族がいてくれないとさ … あんたもそうでしょ?

ほら、今ならまだ間に合うから … 早く謝んなよ、おばあに」 


純の言葉を背中を向けて聞いていた勝は、振り返って、キンの顔を見ました。

キンは、優しい顔で孫を見つめて、うなずきました。

それから、純と愛は、バイトしながら、ホテルの手入れをしながら … 四六時中、どんなホテルにしようか、どんなサービスをしようか、毎日毎日 … ふたりで案を出し合い、語り合いました。

「 … 日本中からお客さんに来てほしいけど、地元の人との交流も大切にしたいですね」

「じゃあ、思い切って“里や”みたいに気取らない食堂にしてみて、地元の人も気軽に来れるようにしない?」

「そうですね、ウチのホテルでしか食べられない料理を考えなきゃ」

「 … そうだよ、キンさんのお茶と一緒に出してさあ」


ひとりが出したアイディアが、ふたりだとどんどん膨らんでいきました。
… … … … …

「純、今日は何曜日だった?」

ホワイトボードの予定に、『ホテル荷物到着』と書きながら、純が答えました。

「今日は土曜日、あ!」

純が思い出したように、記念日ノートをめくりながら言いました。

「それと … 大阪から皆で引っ越してきて、おじいのホテルをはじめて見た日」

純の言葉を聞いて、家族全員がコルクボードに貼ってある、昔の写真に目をやりました。

「懐かしいねえ … 」

… … … … …

「お母ちゃん、ありがとうね … お母ちゃんが模合仲間の人たちを連れてきてくれなかったら、ここまで来てないからさ」

内装工事もほぼ終わり、今日は注文してあった家具などが届くことになっていて、着々と開業の準備は進んでいます … 改めて、母に感謝する純でした。

「 … なんのこと?」

しかし、晴海は覚えていませんでした … 病はゆっくりと …

純たち家族が受け入れていかなければならないことでした。

… … … … …

見違えるようにきれいになった純たちのホテル。

一階のフロアに、届いたカーペットを敷く純と愛

「やっぱ白にして正解ですね」

家具の梱包を解いていると、那覇から約束した通り、羽純がやってきました。

「ここが純ちゃんの“まほうのくに”になるんだね」

早速、羽純も手伝い始めました。

「いやあ、でも、ここに来た時は、どうなることかと思いましたけどね」

… それは、あんたのことでしょ?

すっかり明るく元気になった愛を見て、純もうれしそうな顔で微笑みました。

おじい、お父ちゃん … オープンはもうすぐだよ

「二人でいこう」収録

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2013年03月08日 (金) | 編集 |

第132話

開業の準備は一向に進まず、焦る純と愛。そんな2人を救ったのは、晴海だった。

(2013年3月1日 NHKネットステラ)


「純、ごめん … 今日は何曜日だった?」

家族全員で囲んだ朝の食卓で、晴海が今日の予定を尋ねて、純が答えるというのが、朝の挨拶のように恒例になっていました。

「今日は金曜日で、あたしたちはまたバイトに行って、そのあとホテルの掃除だよ」

… 仲直りのブランコの効果がまだ現れないのか … 今朝も純と愛は、何となくギクシャクしたままです。

その代り … 宮古に帰ってきてから、正とマリヤは前以上に仲睦ましく毎日が楽しそうです。

純が冷やかすと、マリヤが正の頬についたご飯つぶを取りながら言いました。

「宮古にいたら、ハッピーな気持ちになって、正のこと大事にしなきゃって思うし」

… ご馳走様でした。

純は横に座っている愛に相槌を求めたのですが、デザイン画とにらめっこしていて、まったく話を聞いていなかったので、何の事かわかりませんでした。

「何か、最近ふたりとも変だな?」「もしかして、ケンカでもした?」

純と愛の雰囲気がおかしいことが気になっていた正とマリヤがふたりを問い詰めました

… 適当に誤魔化した純と愛でしたが、正とマリヤだけでなく、晴海にもバレバレみたいです。

… … … … …

バイトが終わり、ホテルの掃除と修繕をしていた純と愛の元にマリヤと晴海が昼食を届けにやってきました。

「じゃあ、お義母さん、何か大事な用があるみたいだから、一緒に行ってくるね」

純は気になって、晴海にどこに行くのか尋ねました。

「いいからいいから、あんたたち仲良く働いておきなさい」

晴海とマリヤは、顔を見合わせて笑うと、いそいそと出かけていきました。

… … … … …

「ねえ、いとし君」

純は、昼食が済んだら、「平良」に行かないかと誘いました。

愛が理由を尋ねると …

「もう一度、ジュークボックス見てみたいの … 」

… … … … …

純と愛が「平良」に行くと、キンは気の抜けたような顔をして、店の入り口に腰かけていました。

店の奥では、数名の男たちが何か作業をしています。

「キンさん、どうしたんですか?」

純の顔を見ると、キンは泣き出しそうな声で言いました。

「孫が … 勝手にジュークボックス売ったみたいだよ … 」

驚く純と愛の目の前にジュークボックスを乗せた台車を先導しながら勝が現れました。

「自分のもんなんだから、何しようと俺の勝手だろ?」

吐き捨てるように言う勝に純は食って掛かりました。

「何言ってんのよ?! … キンさんがどんな思いでこのジュークボックス買ったのか、知らないの?

… 昔あんたと一緒にこのジュークボックス聴いたのが忘れられないの … これさえあれば、また昔みたいに、あんたと楽しくしゃべれるんじゃないかと、そう願って … 高いお金を出して買ったの!」


勝は、純の勢いに飲まれて … 目をそらして言いました。

「俺は、この狭い島で、旅行客が落とした金で、チマチマ暮らすのが嫌なんだよ … 時代の最先端行く仕事で、ビッグになるのが夢なんだ … そのための先行投資と思えば、何でもないだろ?」

… … … … …

「じゃあ、僕たちに売ってください」

愛が一歩前に出て言いました。

「 … おじいのジュークボックス」

純は、キンには話さないでおこうと思っていたことでしたが … 仕方なく打ち明けました。

「このジュークボックスは … もともと、ウチのおじいのホテルにあったものなの」

キンの顔色が変わり … 純のことを見つめました。

「お願いします」

勝に向かって愛は頭を下げました。

それを見た純は、一瞬キンのことを振り返りましたが … 愛に倣って同じように頭を下げました。

「別にいいよ … 高く買ってくれるなら」

… … … … …

しかし、事情があるので、ローンにしてもらいたいと愛が言うと、勝は一変しました。

「ふざけるなよ! 百万で買ってくれるって言ってるんだぞ、先方は!」

食い下がる愛を押しのけて、ジュークボックスを運び出そうとする勝と男たち。

「高く買いますから! ローンでも高く買いますから」

あきらめずにまとわりつく愛を男の一人が力ずくで引き離して突き飛ばしました。

棚にぶつかって転倒する愛 … 純が慌てて駆け寄ります。

「じゃあ、また来るわ、おばあ」

そう言い残して、男たちと共にジュークボックスを運んで行ってしまいました。

「まさる … 」

キンがつらそうに勝が去って行った方を見つめていました。

… … … … …

仕方なく、ホテルに戻ってきた純と愛。

愛は、肩からかけていたカバンを放ると … いきなり自分が描いたデザイン画をビリビリに破り捨てました。

「いとし君 … いとし君、何やってるの?!」

驚いて、純は愛を止めました。

「こんなことやっても無駄なんですよ、結局! … ジュークボックスすら置けなくて … 内装工事だって、お金がないから、いつになるかわからないから … 結局ね、こんなことチマチマやってても、全部無駄なんですよ!」

ヤケになった愛は、自分が作りかけの家具を壊しはじめました。

「あなたの夢を支えるとか言ってるけど … 僕にはこんなことしかできないんですよ! … あなたの夢をかなえることなんてできないんですよ!」

自分の無力さ、ふがいなさを実感した愛 …

「 … あなたと出会うまで、ずっとひとりでうずくまってたような奴に、大切な人ができたからって … それから急に頑張ったって、僕には何にもできないんですよ!」

愛は、座り込み、頭を抱えてうずくまってしまいました。

… … … … …

純は、今まで愛が自分にくれた言葉を、ひとつずつ、思い返していました … プロポーズしてくれた時 … 

これからは、本当にいろいろ大変なことがあると思うんです、だけど … 俺がついてるさ、ベイビイ

… 結婚式の時 …

これから僕たちが人生の岐路に立った時 … どうするかを決めるのは、全部、純さんです

… 善行の葬儀の後 …

僕には、ふたつの夢があるって、純さんが“まほうのくに”を作ること … お義父さん、僕に言ったんです、「これからも純を頼む … ずっと支えてやってくれ … 純は、お前と結婚して、よかった」って …

… … … … …

いつもどんな時も、自分のそばにいて、励まし、支えようとしてくれた愛 … その愛が今、嘆き、悲しみ、怒り、苦しんでいる … 自分のせいで …

純は、ゆっくり愛に近づき … その背中を抱きました。

… … … … …

「じゅん!」

ホテルの外で、晴海が呼ぶ声が聞こえました。

「 … いとしさあん!」

何事かと、純と愛が外に出てみると、晴海、マリヤ、勇気を抱いた正が立っていました。

それだけでなく、うしろに大勢の … 宮古島の人たちです。

「お母ちゃん、どうしたの?」

… … … … …

「皆がこのホテルのために … “模合”にお金出してくれたさあ」

晴海がうれしそうに純に話しました。

大勢の中から、歩み出た男 … 晴海の同級生の警官でした … 笑顔で純に分厚い封筒を差し出しました。

「俺たちのマドンナだった晴海のためだからさ」

戸惑いながらも純は受け取りました。

「あんた、晴海の娘だったら、何で言わんか?」

電気工事を断った工務店の主人でした。

「ここを何処だと思ってる? 宮古さ、宮古」

「住めば都!」


皆から笑い声が上がりました。

「これからはさ、お母さんが徘徊とかしても心配しなくていいよ」

「宮古中、皆知り合いだからよ」

「あたしたちが晴海、家まで連れてくるよ」


晴海の同級生らしき女性たちが純にそう言いました。

… … … … …

純と愛は感激していました。

「毎月、少しずつかもしれませんけど … 必ず、必ずお金はお返ししますので … 

本当にありがとうございます」


純と愛は、皆に心から感謝して深く深く頭を下げました。

後は、ホテルの庭で宴が始まりました …

… … … … …

宴の後、晴海は純を思い出のビーチに誘いました。

「お母ちゃん、ありがとうね」

「この前ね、あれ、見つけたさ」


晴海が指差す先にある岩を見ると … 『善行1987 晴海命』 …と彫ってありました。

「これ、お父ちゃんが書いたの?」

昔、プロポーズしに宮古に来てくれた時に掘ったのではないかと晴海は言いました。

「ドラマチックだね、お父ちゃん」

父のことを感心している純 … 晴海は急に遠い目をして言いました。

「私は … お父さんをもっと愛すればよかったねえ … お父さんは、あんなに愛してくれたのにねえ … 」

寄せては返す波を見つめる晴海、純はそっと肩を抱きました。

その時、純は、愛から出されていた宿題の答えが見つかった気がしました。

… … … … …

日が暮れて …

純は、ホテルの入り口の階段に腰かけて、ひとり愛が来るのを待っていました。

しばらくすると、愛が夜の作業を行いにやってきました。

「いとし君 … 」

純は、立ち上がり、愛に言いました。

「やっとわかったよ、ここをどんなホテルにしたいか … 」

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2013年03月07日 (木) | 編集 |

第131話

純と愛は、ホテルの方針について口げんかに。しかし、それをきっかけに、純は新しいサービスを思いつく。

(2013年3月1日 NHKネットステラ)


昨夜から降り続く雨は、朝になっても止みませんでした。

まだ寝ている皆を起こさないように、晴海が寝床を抜け出して、リビングに行くと … すでに起きていた純がホワイトボードに今日の予定を書いていました。

「今日は、どんな日か気になってさあ … 」

純は、それとなく晴海に、どんなホテルを作ってほしいのか尋ねてみました。

「そんなの決まってるさあ、純が作りたいと思うホテルを作るのが、私は一番うれしいさ」

晴海の言葉は、とても有難いものだったのですが、純の悩みはますます深くなってしまいました。

目が覚めて、布団の上でふたりの会話を聞いていた愛も複雑な気分でした。

… … … … …

雨でバイトが中止になってしまったので、愛は別荘の雨漏りの修理を済ませました。

「応急処置なので、オープンまでにちゃんと直さないと」

お金のかかることばかりだと、嘆く純でした。

… … … … …

「内装とか家具は、僕が描いたデザイン画をもとにふたりで話し合って決めていきましょう」

それが決まったら、自分ができる範囲で、内装工事や家具まで作ると愛は言いました。

「でも、そうすると、いとし君が大変じゃない?」

純は、愛の負担が大きすぎるのではないかと心配しましたが … 愛は、最近よくする頭を押さえる仕草をしながら「大丈夫です」と言うだけでした。

… … … … …

その後、ふたりは、買出しを兼ねて、「平良」でカタログを見ながら内装のことなどを検討しました。

お互いにそれぞれの意見を出し合うのですが、愛には、純の考える案がデザイン画を無視しているように思えて … いらいらして、ついキツイ物言いをしてしまうのでした。

半ばふてくされたような愛の目の前で、純がいきなりマジックを始めました。

愛には純の意図がわかりません。

「ケンカしたくないなって思って … 」

心外でした …

「いや、僕はケンカとかそういうつもりは … それは、純さんがのんびりしてて、全然決めてくれないからですよ」

反論もせず、「ごめんね」と自分の方で折れてしまう純 … 何かやり場のないいらだちを感じている愛でした。

… … … … …

「お茶飲むか?」

ふたりの雰囲気を察してか、キンが奥から出てきて声を掛けました。

しかし、愛は雨漏りが気になるからと、せっかくのキンの好意も受けずに先に別荘に戻ってしまいました。

「もめてるの? だんなと」

キンが心配して尋ねましたが、純にはうまく説明ができません。

「 … 基本的には、あたしが悪いんで … 」

… … … … …

「じゃあ、気晴らしに聞いてみる? … ジュークボックス」

元気のない純を励まそうとキンが誘ってくれました。

… … … … …

懐かしそうにジュークボックスの前に立つ純 … 選んだ曲は、「ひなまつりの唄」でした。

♪ 灯りをつけましょ、ぼんぼりに … お花をあげましょ、桃の花 …

「なんで、“ひなまつり”ね?」

キンが不思議がりました。

「あたし … 昔から嫌なことがあったり、落ち込んだりした時に、頭の中にずっとこの曲が流れるんです … でも、ウチの旦那に出会ってから、ほとんどなくなったんですけど」

… … … … …

「変わってるねえ、あんた … だから、ウチの孫とつきあってたのか?」

純は、あれから勝はどうなったのか尋ねました。

純にいろいろと言われたせいか、昨夜は泊まっていったそうですが … 今朝になって、用事があるからと出て行って、それっきりだと、キンが答えました。

「たった一人の孫だからよ、どうしても甘やかしてしまうさ … もう、島に戻る気はないって … 東京で成功して、おばあに贅沢させてやるって … そう言ってたけど」

優しい気持ちは持っている孫のようですが、キンはさびしそうでした。

「でも、キンさんは帰ってきてほしいんですよね? … だから … 」

純は、ジュークボックスを見つめました。

… … … … …

別荘に戻った愛は、少しずつでもと家具を作り始めていました。

ふと、鏡に映った自分の姿に目をやりました … 今日は、弟は現れません … 純が亡くなってから止まったままの腕時計 …

いつのまにか、愛は、多恵子に電話をかけていました。

… … … … …

「もしもし、どうしたの?」

何かあったのか … 余程のことがないと愛から電話なんてかかってきません。

「あ、いや … 何か、お母さんの声が聞きたくなって … 」

「 … そう言えば、あなた、忘れ物してるわよ」


実家に「ねむり姫」の絵本を置いてきたままでした。

「ああ、でも … それは、お母さんが持っていてください」

何処に行くにでも、持って行っていた本を何故? … 

「特に理由はないんですけど … その方がいい気がして」

… … … … …

「何かあったの? そっちで」

愛の様子がおかしいと感じた多恵子が尋ねました。

「いや、何もないですよ … 宮古はきれいだし、純さんと同じ目標に向かっていて、毎日しあわせ … の … はずなんですけど … 何か不安で」

そんなことだろうと思った、と多恵子はため息をつきました。

「 … どうして?」

… … … … …

「人の本性みたいなものが見えなくなったせいか、周りの人が僕をどう思っているのか、やたら気になったり … 他の人がやることが何だか許せなかったり … 昔の嫌な自分に戻っているような気がして」

愛は頭を抱えました。

「ああ、いや違うな … ただただ怖いんです … でも、何が怖いんだかわからなくて … 」

純に相談してみたらと、多恵子は答えました。

「 … 何だか、いらついてしまうんです … それが情けなくて … 」

腕時計と同じように、純 … 弟がいなくなった時から、自分の時間が止まっているような気がすると愛は言いました。

多恵子は、純もいたころの家族写真を手に取り、見つめながら話しました。

「だったら、あたしに電話すれば? … 結論は出ないかもしれないけど、話すだけでも少しは楽になるから … 」

… … … … …

純が戻ってきた気配がしたので、愛はそそくさと電話を切りました。

「遅かったですね、何してたんですか?」

キンとジュークボックスを聞いていたら、知らない間に時間が経っていたと、純は謝りました。

愛は、純が手に持っている大きな包みが気になりました。

「遅くなったお詫びといったらなんだけど … ここでやりたい新しいサービス見つけてきた」

… … … … …

天井の梁から長いロープを釣って、それに板をぶら下げました。

「これは、つまり … ?」

純は、両手でロープをつかんで、板に腰かけました。

「名づけて … “仲直りのブランコ”!」

そう、部屋の中にブランコがふたつぶら下がりました。

愛ももうひとつのブランコに腰かけました。

ブランコを少し揺らしながら、純が話します。

「キンさんが言ってたの、ケンカして仲直りしたいけど、素直に謝れないって時よくあるじゃない?」

愛はうなずきました。

「そういう時に、このブランコがあれば、相手の顔を見なくて済むし、“こっちは、ブランコに乗りたいだけだからね”って顔して漕いでいるうちに … ケンカしたことを忘れて、素直に謝ることができるって」

… … … … …

「でも、何でそれをホテルに?」

「カップルとかが旅行するとケンカするって言うじゃない? … そういう人たちが仲直りできたらいいなって … 」


それは、たぶん口実でした。

何となくそう感じた愛、ブランコをこぎ始めました。

「 … ねえ、まだ怒ってる?」

純が、また愛の顔色をうかがいながら尋ねました。

「怒ってないですよ … 」

愛は静かに答えました … 

ふたりは、黙ったまま“仲直りのブランコ”を揺らし続けました。

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2013年03月06日 (水) | 編集 |

第130話

愛に「どんな魔法の国を作りたいのか」と問いただされるが、一向に思いつかない純。ある日、晴海(森下愛子)が行方不明に。彼女が向かった場所とは……。

(2013年3月1日 NHKネットステラ)


純とマリヤが朝食の準備をしていると、愛が不機嫌そうな顔をして起きてきました。

「何でもっと早く起こしてくれなかったんですか? … もっと早く起きる予定だったのに … 」

純にしてみれば、起こさなかったのは、連日の作業で疲れてると思っての気遣いだったのですが … “あれ”以来、何となく気まずい純と愛 …

『純さんは、どんな“まほうのくに”にしたいんですか? … それを早く決めてください』

… 答えは、いまだ保留中でした。

… … … … …

「純、今日は何曜日?」

起きてきた晴海が、いつものように聞きました。

「今日は、水曜日だよ、お母ちゃん」

晴海は、ホワイトボードで予定を確認しました。

「これ何ね?」

そこに『純と愛、8時~牧場』と書かれているのを見て、晴海が尋ねました。

純は、自分と愛は、今日から牧場でバイトすることになったと説明しました。正もマッサージの店で働くことにしたと報告しました。

ホテルの開業資金が足らないので、稼ぐためだと知ると、「もあい」をしたらいいと、晴海が言いました。

もあい … 「模合」というのは、毎月近所で集まって、決まった額のお金を出し合い、それで集まった分を、その月に困っている人が使って皆で助け合うという、宮古の風習です。

「でも、あたしたちまだ宮古に帰って来たばかりでしょ? … それなのに、200万円融通してくれなんて、たぶん無理だと思うよ」

純にそう言われて、少しがっかりした晴海でした。

… … … … …

あたしは、一体どんなホテルを作りたいんだろう?

牧場で作業しながら、純は自問自答していました。

おじいは、病気になったおばあに世界旅行に行った気分になってほしいから、サザンアイランドを作ったけど … あたしは、“まほうのくに”って言うだけで、一番大事なことを考えてなかったのかも …

ふと愛を見ると、純の方には目もくれずに自分の作業を黙々とこなしています … ただ、どこか投げやりな感じもしました。

… … … … …

純の携帯に着信、マリヤからでした。

「純ちゃん大変! … ちょっと目を離したら、お母さんいなくなっちゃったの!」

愛は純の分の仕事も引き受け、すぐに探しに行くように促しました。

… … … … …

純は、晴海の写真を見せながら、尋ねて回りました。

途中、晴海の知り合いや、自分の同級生などにも会いましたが、晴海の行方を知っている人はいませんでした。

… … … … …

純は、キンの店 … 「平良」にも行って、晴海の写真を見せました。

「そう、晴海ちゃん、病気になったの … 」

キンも晴海のことを知っていることに、純は驚きました。

「ミス宮古だし、有名人だよ … 皆に聞いてみようね、見なかったか」

… … … … …

キンに礼を言って、店を出ようとした純は … 奥にあるジュークボックスが目に入りました。

純は、思い切って、キンに尋ねてみました。

「 … ひとつ聞いてもいいですか? … どうして、お孫さんのためにジュークボックスを買おうって思ったんですか?」

キンは答えませんでした。

「すいません … やっぱり大丈夫です」

気を悪くしたのかと思って、少し後悔していると … 晴海のことで知り合いにメールを打ち終えたキンが話しはじめました。

「孫が小さい頃、事故であの子の両親が死んで … それでふたりで暮らしてるんだけど … 最初の頃は、どんなに話しかけても、答えてくれなくてさ … 

でも、あのジュークボックスのあるホテルへ行ったら、孫がもう目を輝かして、聞いてくれたんだよお … “おばあ、どんな歌が好き?”“次は何かける”って、うれしくて、うれしくて … 」


キンは、ジュークボックスを振り返り、その日のことを思い出すかのように見つめていました。

「それは … 」

… おじいのホテルです


純は、キンに打ち明けるのをためらいました。

… … … … …

もしかして …

純は思い当たることがあり、「平良」を出ました。

… … … … …

「お母ちゃん!」

晴海は、サザンアイランドへと続いていた橋に立ち、かつてホテルがあった辺りをぼんやりと眺めていました。

純が駆け寄ると、不思議そうな顔をして尋ねました。

「純、あそこにおじいのホテルがあったはずだけど … どうなったか知らんねえ?」

純は、諭すように母に話しました。

「覚えてない? … お父ちゃんが、借金返すために売ったの、リゾート開発の会社に」

晴海は、思い出したようでした。

純は、ホテルが建っていた場所を見ました … 結局、計画は中止になったそうで、空き地のままになっていました。

「私が、もうちょっと頑張っとけば、よかったかもしれないね … 昔、おじいに言われたんだよ … 晴れた海と書いて、晴海って名前付けたって … でも、私はそんな女になれなかったねえ … 」

晴海は、父に対する申し訳なさと、ホテルを手放した後悔の念に苛まれていました。

「 … そんなことはないよ、お母ちゃんは、いつも宮古の海みたいにきれいで、優しいし … お母ちゃんがいるだけで、家族みんなが安心して、明るい気持ちになれるんだよ」

純の言葉に救われたように … 晴海は、微笑みました。

ふたりは、サザンアイランドがあった場所を見つめました。

… … … … …

純が「平良」に晴海が見つかったことを報告に行くと、丁度、若い男がレジから金をくすねたところに出くわしました。

「ちょっと待ってくださいよ、何やってるんですか?!」

慌てて逃げようとする男を捕まえて、純は、大声をあげました。

「キンさん、泥棒よ、泥棒! 警察に電話して!」

「勘違いすんなよ、俺ここの身内だから、身内!」


男は、そう言って、必死に純の手をほどこうとします。

「勝! あんた、いつ帰ってきた?」

店の奥から出てきたキンが男の顔を見て声をあげました。

… … … … …

男は、本当にキンの孫でした。

「だから言ってるだろう … 誤解するなよ、おばあ … ちょっと、借りようと思っただけで、すぐ返すから」

そう言っただけで、立ち去ろうとするので、純はふたたび男の腕をつかんで引き戻しました。

「 … キンさん、あなたが帰るのすごく楽しみにしてたんですよ … おばあが丈夫なうちに大切にしておかないと、いつか絶対に後悔します」

純にそう言われて、男はバツが悪そうに目をそらしました。

「 … って言うか、さっきから、ずうっと言おうと思ってたんだけど … あんた、高校の時につきあっていた平良勝じゃない?」

… … … … …

君はひとりでも生きていけるから …

そう言って、純のことを振り、他の女子を選んだ、男子高校生のなれの果てでした …

… … … … …

「そう言えばさ、つきあってたころに、おばあとふたり暮らしだって話してたんだよねえ」

別荘の床の手入れをしながら、純は愛に「平良」であったことを楽しそうに話しました。

純に背を向けて作業したまま、うすら返事しかしない愛 … もしかして妬いているのかな? … 純がそう思った時 …

突然、雷が鳴って … 雨が降り出しました。

そうしているうちに、電気が落ちて真っ暗になってしまいました。

… … … … …

愛がランタンを用意して、取りあえず灯りを確保したら … 今度は、雨漏りが始まりました。

「雨漏りもやらなきゃ … 」

やることが増えて、うんざり顔の愛 … しきりに頭を押さえるような仕草を見せます。

「 … ねえ、いとし君」

愛は、純を振り向きました。

純は、愛の顔色を窺うように言いました。

「これだけじゃ、納得してもらえないかもしれないけど … 今日、思ったこと言っていい?」

… … … … …

「 … あたしは、おじいの“まほうのくに”には、負けちゃうかもしれないけど … お母ちゃんが笑顔になるようなホテルを作りたい」

こちらを見つめて、黙ったまま、何も言わない愛。

「 … ごめん、今はこんなことしか言えなくて … 」

純が今まで言ってきたことと、あまり変わり映えがしない答えでした。

しかし、今日の愛は、この前のように声を荒げたりするようなことはしませんでした … 純のことを責める代わりに … 自己嫌悪のようなものを感じていました。

「あ、いや … こちらこそ、ごめんなさい … 何か … 純さんの“まほうのくに”を早く見たくて、あせってたみたいです」

それだけ言うと、薄明かりの中、元の作業を始める愛でした。

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2013年03月05日 (火) | 編集 |

第129話

純たちに、地元の人々は冷ややかな態度。銀行からも融資を断られる。一方純は、キン(吉田妙子)が営むよろずやで、おじいのジュークボックスを見つける。

(2013年3月1日 NHKネットステラ)


波打ち際に、逆光のシルエット … 純 … 双子の弟の純が尋ねました。

「愛ちゃん、しあわせ?」

… … … … …

純に起こされて、夢から覚めた愛 … 朝寝坊なんて、純と結婚してから初めてではないでしょうか。

慌てて朝食の準備をしようとする愛に純は言いました。

「大丈夫、今日はお姉ちゃんが作ってくれたから … それにね、あたしも手伝ったんだ、今日」

恥ずかしそうにそう言った純を改めて見ると、エプロン姿でした。

… … … … …

純が作ったと聞いて、少し不安を感じていた愛ですが、味噌汁を一口飲んでみて … 驚きました。

「意外に … あ、すごく美味しいです」

その言葉に純はうれしそうに …

「今までは、ずっと、いとし君に甘えっぱなしだったから … これからは、お姉ちゃんにいろいろお料理教えてもらうことにしたの」

そんな純を何故か複雑な思いで見つめてしまう愛でした。

… … … … …

「純、今日は何曜日だった?」

晴海がメモを取りながら尋ねました。

「今日は火曜日で、お父ちゃんとお母ちゃんの結婚記念日だよ」

純は、今日の予定が書かれたホワイトボードを指して答えました。

「あら、そうだった?」

うれしそうに言った晴海に正が尋ねました。

「ねえ、母さん、どんな結婚式だったの?」

晴海は、善行の遺影を見つめながら、話しはじめました。

「お父さんさあ、緊張してるから、式始まる前からお酒飲んでてさ … 」

身振り手振りで、楽しそうに話す晴海を見て、純は思いました。

お父ちゃん … 人間って、昔の辛い記憶はなくしても … 楽しい思い出は、なかなか忘れないって聞いたけど … お母ちゃんがそうなればいいって、あたしは思う

… … … … …

「ああ、ゴミ出しは取りあえず、おしまいっと」

山のようにあったガラクタを片付けて、ゴミを外に出し終えた純と正は、床やテーブルの拭き掃除にかかりました。

一人もくもくと配電盤の修理をしている愛は、だいぶ手こずっているようで … 時々、頭を押さえて顔をしかめたりしています。

そこに、マリヤと晴海が弁当を持ってやってきました。

皆が昼食を取り始めても、「一段落するまで」と手を休めることなく懸命に作業を進める愛でした。

… … … … …

「そうだ純ちゃん、剛君からメール来たよ」

マリヤが剛から送られてきた動画を携帯の画面で皆に見せました。

「は~い、狩野家の皆、ホテル造り頑張ってる?」

何でも、剛の作品を見た人から一緒に個展をやってみないかと誘われたようで … 有頂天でした。

「ついに時代が俺に追いついてきたって感じ! … お姉のホテルができたら、アートで埋め尽くしてやるからな、待ってろよ!」

巨大なキャンバスに絵筆を走らせてアートを作り上げていく剛の姿。

「よかったね、お母ちゃん … 剛、大阪でがんばってるって」

… … … … …

愛が配電盤の主電源のスイッチを入れると … 別荘内の灯りが一斉に灯りました。

「わあ、点いた! すごいよ、いとし君!」

純が歓声をあげました。

「取りあえずこれで一安心だね … 電気も点くようになったし、水道も通るようになったし」

はしゃぐ純とは裏腹に、愛はテーブルに広げた図面を前に浮かない顔をしています。

「どうしたの? いとし君」

純が心配して尋ねました。

「何か他に必要なもの考えてたら、頭痛くなってきちゃって … 」

… … … … …

「客室の壁紙は、全部張り替えなきゃダメだと思うんです … ロビーに置くイスやテーブル、あと客室のベッドとか全部買い換えないと … 」

顔をしかめました。

「厨房の冷蔵庫は使えるかと思ったけど、あれじゃ絶対無理だし … 」

目を閉じて、うずくまってしまいました。

「聞くの怖いんだけど … 全部でいくらかかりそう?」

恐る恐る聞いた純に愛は答えました。

「最低限必要なものをそろえて、貯金を叩いたとしても、あと … 」

指で二本示しました … 20万 … いえ、200万円でした。

… … … … …

次の日。

純と愛は、ホテルの開業計画書を携え、銀行や信用金庫を回ったのですが … ほとんど話さえまともに聞いてはくれず、冷たくあしらわれて、融資を受けることはできませんでした。

「なんかがっかりですね … こっちの人、もっと優しいと思ったのに」

失望する愛を、純は励ましました。

「あきらめないで、何度でも頼みに行こう … こっちが真剣だってことが伝われば、きっと向こうもわかってくれると思うんだよね …

だから、それまでは、がんばってバイトとかしながら、少しずつ必要なものとか買っていこう」


愛は、少し不満そうにうなずきました。

… … … … …

そのあと、純と愛は、例のおばあの“何でもある店”に寄りました。

「今日はまた何かいるか?」

店先でお茶を飲んでいたおばあが威勢よく聞きました。

愛はステンレスが欲しかったのですが、ここにはさすがにないだろうと思って、売っている店を知らないかと尋ねました。

「ウチにあるよ」

おばあは、ステンレス材の入った箱を抱えてきました。

「じゃあ、ペンキなんてないですよね … 」

純が遠慮がちに聞くと …

「あるよ」と店の奥から出してきました。

あまりの豊富な品ぞろえに純は驚きを通り越して笑い出してしまいました。

「お茶飲むか?」

… … … … …

おばあの絶品のお茶を飲みながら、世間話をする純です。

「おばあ、一人でやってるんですか?」

「キン … うちの名前は、おばあじゃなくて、キン」


純が、おばあと呼んだのでキンと名乗りました。

「ああ、すみません … キンさんおひとりでこの店やられてるんですか?」

「そうだけど … 」


… … … … …

さっきから何かを考えていた愛が、純に図面を差し出しました。

「デザインを僕なりに考えたんですけど … ここがキッチンになるから、そうしたらここら辺を食堂にしたらいいと思うんです … 」

愛は、窓際にできるスペースに何を置くべきか悩んでいるのでした。

「じゃあ、ここに棚作って、おじいみたいにいろいろな国のもの飾るのはどう?」

純のアイディアを聞いて愛は何気なく答えました。

「だったら、ジュークボックス置けばいいんじゃないですか?」

ふと口にしたことでしたが …

「ああ、そうだ、ジュークボックス置けばいいんだ! … それ以外考えられない」

しかし問題は、ジュークボックスは高価だということです。

「ああ、どこかで安く売ってないかな … 」

… … … … …

もしかして … 純と愛は、顔を見合わせ … その視線をキンに移しました。

「 … あるよ」

… … … … …

キンは、純と愛を店の奥の倉庫に連れてきました。

そこにあったのは … 

紛れもなく、見間違うはずのない、おじいのジュークボックスとの再会でした。

なつかしそうにそっと手を触れる純。

愛がキンに尋ねました。

「これ、どうやって手に入れたんですか?」

「企業秘密」


… … … … …

「お願いします、このジュークボックス譲ってもらえないでしょうか?」

しかし、キンの返事は …

「それは無理 … 売り物じゃないよ、孫のために買ったから」

愛も簡単には、引き下がりませんでした。

「じゃあ、そのお孫さんとお話しさせてください」

孫は、もう何年も帰ってないから、それも無理 … 寂しそうにキンは答えました。

… … … … …

別荘に戻ってきた純と愛

荷物を下ろすなり、愛は純を責めました。

「なんでせっかく見つけたのに、もっとねばらなかったのですか? … もともとウチのホテルにあったものだって言ったら、譲ってくれたかもしれないのに」

不満一杯の顔で純を見つめました。

「そうかもしれないけど … でも、キンさんの気持ち考えたら、なんかさ … だって、東京にいるお孫さんに帰って来てほしいから、あのジュークボックス買ったんだよ … 

それを取り上げるようなことしたら、なんか、もう会えないって言ってるみたいじゃない?」


… … … … …

「すごく素敵だと思います … でも … 僕らには、そんな余裕がない気が」

何か … いつもの愛とは、どこか違う … 純は感じました。

「このホテルには … 純さんの“まほうのくに”には、あのおじいのジュークボックスが絶対必要だと思うんです … っていうか … 純さん、ここをどんなホテルにしたいんですか?

何か全然分からないんですよね … 具体的なイメージみたいなものが」


… … … … …

「あたしは、やっぱり … お客さんが喜ぶようなサービスをして … 

そうだ、キンさんが出してくれるお茶さ、すごく美味しいし元気出るから、チェックインしたお客さんに最初に出して上げようと思うんだけど、どうかな?」


愛は声を荒げました。

「それは! … それは、ホテルができてお客さんが来てからの話ですよね?」

やはり、おかしい … 何に苛立っているのか、愛の剣幕に純は戸惑ってました。

「純さんは、どんな“まほうのくに”にしたいんですか?」

純には、咄嗟に愛が望むような、具体的な言葉で表すことができませんでした。

「 … それを早く決めてください」

それだけ言うと、愛は … 純が何か言おうとしているのも構わずに、作業をするために二階へ上がって行ってしまいました。

ひとり一階に残された純は … 立ち尽くすだけでした。


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2013年03月04日 (月) | 編集 |

第128話

純(夏菜)と愛(風間俊介)たちは、秋代(朝加真由美)から借り受けた宮古島の別荘を訪れる。外観こそ立派だが、中は荒れ放題。みんなは手分けして、建物の修繕に当たる。

(2013年3月1日 NHKネットステラ)


宮古島に戻ってきた純と愛、晴海、正とマリヤ、勇気。

まだ片付け終わっていない引っ越しの荷物が積まれた部屋ですが、壁には思い出の写真が貼られ、おじいと善行の遺影も飾られています。

家族そろっての朝食中です。

純は、晴海が不安そうに部屋を眺めまわしていることに気づきました。

「ここ、何処ね?」

純は、噛んで含めるように晴海に教えます。

「ここは、宮古で、お母ちゃんの故郷に皆で帰って来たんだよ … “里や”で知り合いになったお客さんが、宮古の別荘使ってないから、そこでホテルやってみないかって、言ってくれたの」

晴海は、聞いたことを忘れないように、メモ帳に書き留めました。

「 … これから皆でその建物を見に行くの」

… … … … …

宮古の青い海 … 海岸線を、純たちを乗せたワゴン車が走って行きます。

秋代から借り受けた別荘は、思っていたよりも立派で、純たちの胸は期待で高鳴りました。

「ここが純さんの“まほうのくに”になるんですね」

建物を見上げながら、愛が嬉しそうに言いました。

おじい、お父ちゃん、とうとうここまで来たよ … あたしたち

… … … … …

「長く使われてなかった割には、随分きれいですね

外観をチェックした愛が皆に報告しました。

「じゃあ、入ってみようか?」

しかし、外観とは対照的に … 中は、惨憺たるもので、目を覆いたくなるような惨状でした。

埃だらけ、ゴミだらけ … 家具は荒らされて、誰かが野宿をしてたき火をしたような跡もありました。

奥にあるドアを恐る恐る開けると … 中から、バックパッカーのような格好の男女が数名飛び出して来て … 純たちが驚いている間に逃げて行ってしまいました。

… … … … …

「たぶん、内地から来たお金のない旅行者が勝手に侵入していたんじゃないかね … 」

通報を受けてやってきた警官が事情聴取を終えて建物の外に出た時、晴海に気づきました。

「もしかしたら、晴海じゃないか?」

偶然にも高校の同級生だったようで、しきりに懐かしがっているのですが、晴海は思い出すことができません。

「すいません、母、病気で … 」

… … … … …

別荘は、二階も同じようにどの部屋も荒れ放題、電気系統も全てダメ、厨房は、水が溜まってカビだらけでした。

「どうするよ?」

途方に暮れる、一同。

「取りあえず、部屋を全部きれいにして、電気とか水道とか元に戻すところから始めないと … 」

純がそう言っても、正やマリヤは、お手上げといった感じです。

「皆、がんばろう! … “希望があるところには、必ず試練がある”って村上春樹さんも言ってたし」

… … … … …

純と愛は、工務店を探して … できるだけ早く修理してほしいと頼んだのですが …

「しばらく予定一杯だし、いつ行けるかわからんよ … 大体さ、ヤマトンチュがあんな所に別荘建てて、ほったらかしてるから、ダメなわけよ」

内地から来た純たちのことを、快く思っていないようで、冷たくあしらわれてしまいました。

店主の気持ちもわかる純は、急いでほしいと強いることができませんでした。

「じゃあ、僕が全部直します … オオサキでバイトしてた時、一通り覚えたし … ライフラインは早めに直さないと」

… … … … …

「 … とは、言ったものの、何かやること一杯で … 頭、痛いな … 」

頭を押さえる愛のことを純は心配しました。

「あ、大丈夫です … 純さんの“まほうのくに”のこと考えてたら、頭が一杯になっちゃったってことで」

… … … … …

近所の雑貨屋で、必要なものを物色していた純と愛に、店主のおばあが声を掛けました。

「お茶、飲んだら?」

工務店のこともあったので、一瞬躊躇してしまう純と愛でしたが … ありがたく好意に甘えることにしました。

そのお茶を一口飲んだふたりは、歓声をあげてしまいました。

「美味しい … 何これ?!」

おばあが胸を張ってドヤ顔で言いました。

「うちのスペシャル・ブレンド」

… … … … …

「すみません、この辺りに電気関係の修理工具とか売っているお店ないですか?」

愛の質問に、おばあは即答しました。

「あるよ」

店の奥に引っ込むと、工具が山と入ったケースを抱えて戻ってきました。

驚く純と愛 … 愛は、まさかと思って、蛍光灯と電球はあるかと聞いてみました。

「あるよ」

あっという間に持って来ました。

「何でもあるんですか?」

「そんなことはないよ~」


人懐っこい顔で答えるおばあ、純と愛は顔を見合わせて笑いました。

「まさか、豚まんとかあったら、びっくりしちゃうよね」

純が冗談で言うと、おばあは、当然のように …

「あるよ、ほれ!」

純と愛 … 絶句

そう言えば … 昔、とあるバーに、どんな注文でも「あるよ」と応えるバーテンダーがいました … どことなく風貌がセニョールに似ていたような … 閑話休題

… … … … …

思いがけなく順調に買い物を終えた純と愛は、思い出の浜辺に立ち寄りました。

「やっぱり、ここから見る海は、最高だね」

「そうですね … 」


陽は、もう西に傾きかかっていました。

「ねえ、あの時のやつやって」

ふいに純に言われて、愛は首をかしげました。

純は、ひざまずき … 愛の目を見つめます。

「“僕の心と体は、永遠にあなたのものです”ってやつ」 

… 愛のプロポーズでした。

「勘弁してくださいよ … それに、僕の中では、純さんが僕にプロポーズしてくれたことになってるんですけど … その時にこれをくれて」

にやけながら、胸の珊瑚でできたJのネックレスを見せました。

純も同じように自分のIのネックレスに触れました。

砂浜に並んで座る純と愛。

「ねえ、いとし君 … あたしと結婚して良かった?」

… … … … …

「もちろんです … どうしたんですか?」

「よく考えたらね … いとし君に何もしてあげられてないなあって、あたし … いとし君がいなかったら、途中でめげて、絶対ここまで来れてないと思うし …

あたしは、いとし君のこと、ちゃんと愛してあげられてるかな?」


そう問いかける純の目を、見つめていた愛 … 少し目を伏せて、答えました。

「純さん、強くなりましたね」

感慨深そうに言いました。

「 … よくわからないけど、心が言ってる気がするの … あんまりあせらないで、一日一日、今日できることを積み上げた方がいいって」

「純さんは、今の純さんのままでいてください」


愛の言葉にうなずく、純 … 視線を海に戻しました。

愛も同じように … 

… … … … …

突然、愛の耳から波の音が消えました … 波打ち際に、逆光のシルエット … 

「愛ちゃん … 」

純 … 弟の純でした。

「 … しあわせ?」

… … … … …

当然だろう … 自問自答する愛 … 何故か沈んでいく気持ち …

隣にいても、そんな愛には気づかすに … 満ち足りた顔で海を見つめている純でした。

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2013年03月03日 (日) | 編集 |
さて、次週の「純と愛」は…


第23週「あいのために」

純は、自分のホテルを開こうと、愛たちとともに宮古島へ移る。

自らの魔法の国を実現させる夢に、一歩一歩近づく純と愛

いよいよ完結編へ──。

(2013年3月1日 NHKネットステラ)


純と愛、再び宮古島へ … ここに、「まほうのくに」を

… 以下、ネタバレ …
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2013年03月02日 (土) | 編集 |

第127話

再び顔を合わせた純と愛。互いの素直な思いを確かめあった2人は、ある結論を出す。

(2013年2月22日 NHKネットステラ)


「話があるの … 」

「 … 僕もです」


… … … … …

部屋の中、向かい合って座るふたり。

「ああ、ちょっと待って … 話したいことがいっぱいあって、まとまらない … 」

愛は、純を落ち着かせました  … 一呼吸して、純は、ゆっくり話しはじめました。

「あたしは、ホテルで働くことで、人を笑顔にしたいって考えてたし … 人が幸せになるって思ってた」

うなずく愛。

「 … ていうのは、建前 … 

本当はさみしいだけなの … 本当は自分に自信がなくて … だから、人の為に何かして“ありがとう”って言われたいし、人より頑張って“すごいね”って褒められたいの … 周りの人が、笑顔じゃあないと、不安なの」


小さい頃からそうだった … 善行や晴海にもっと自分を見てほしかった、「純が一番かわいいね」と言われたかった、褒められたかったし、愛されたかった … 

「だから、おじいに“お前は、そのままでいいんだよ”と言われた時、死ぬほどうれしくて … おじいのことが好きになって、おじいみたいに“まほうのくに”を作りたいと思ったの」

… … … … …

「いとし君を好きになったのだってそう … あたしは、ひとりぼっちで … でも、そんな中で、いとし君は“あなたは、そのままでいてください”って言ってくれた … それだけ」

… … … … …

「 … でも、もうひとりぼっちはいやなの … いとし君には、いつでも味方でいてほしいの、応援してもらいたいの … 所詮、その程度の女なの … 」

… … … … …

「もう二度と、“まほうのくに”をあきらめるなんて言わないから …

これからも、あたしのことを支えてくれませんか? … お願いします」


そう話して、頭を下げた純 … 虫のいい話でもありました。

愛は腹を立てるかもしれない … でも、包み隠さずに話したことが、偽らざる今の自分でした。

純は、愛の返事を待ちました。

「僕は … どんな職業についても、あなたを支える覚悟でここへ来ました …

今のあなたが … 今の待田純が、一番好きです


ふたりは、見つめ合い … ふたりは、うなずき合い … ふたりは、泣き笑い …

… … … … …

その時、ドアの外で物音がしました。

秋代が立っていました。

「ちょっと、渡したいものがあって … 」

秋代は、純に封筒を手渡しました。

… … … … …

封筒の中には、洒落た造りの建物の写真が一枚入っていました。

「まだ、例の男と一緒に仕事していた頃、宮古に旅行して … すっかり気に入っちゃったから、別荘建てたの … あんたさ、ここで、ホテルやってみない? … ここを“まほうのくに”にしてくれないかな?」

降って湧いたような話に、戸惑う純の背中を押すように、愛は言いました。

「ありがとうございます … がんばります」

純は、愛の顔を見てから、秋代に視線を移しました。

うなずく秋代を見て … 喜びがこみあげてきました。

純も大きな声で答えました。

「ありがとうございます … がんばります」

ふたり揃って頭を下げました。

… … … … …

「ねえ、気づいてない?」

そう聞かれて、純は、あらためて秋代のことを見ました。

「あたし、笑ってるんだけど … 」

満面の笑み … やっと … 約束を果たすのにずいぶん長い時間がかかりました。

… … … … …

隣の部屋のドアが開いて、晴海が顔を出しました。

「何処行ってたの? 純 … 」

晴海は、純の元に近づくと、うれしそうに手を握って言いました。

「さみしかったよ、ずっといないんだもん、あんた」

晴海が自分のことを純とわかってくれた … 安堵する純でした。

お父ちゃん、あたしのことがわからなかったのは … 本当の自分を見失ってたからなんだね、きっと

… … … … …

純は、早速、正とマリヤ、剛に報告をしました。

「それで … 俺たちも数に入っているんだろうな?」

開業したばかりのマッサージが順調な正には、声を掛けることは遠慮しようと思っていた純でした。

「言っただろ? これからお前が一家の長だから … お前の決定に従うって」

正の傍らでマリヤも笑顔でうなずいています。

… … … … …

「それで … 開業の目途が立ったら、皆さんにも宮古で一緒に働いてもらいたいなと、思っているんですけど … 」

「里や」の前に元従業員、セニョール、セクシー、羽純を集めて、純は決意を告げました。

「いつでも連絡待ってるから」 「待ってるから!」

「あたしも沖縄に帰るからさ、一緒に開業準備から手伝いたい」

セクシーと士郎、羽純 … こんな日が来ることを待っていた皆、こころよく了解してくれました。

… 行きたい気持ちはやまやまなのですが、サトと離れたくないセニョールは、申し訳なさそうに断りました。

… … … … …

「しゃちょう! 何、話って?」

サトが師匠と連れ立って現れました。

「あんた、宮古でホテルやるんだって? … よかったわね、見られないのが残念だけど」

晴海から話を聞いていた師匠が、心から祝福してくれました。

「そんなこと言わないでください、師匠 … ホテルができたら、故郷だと思って、いつでも帰ってきてください」

純の言葉に、師匠はうれし泣きです。

「いいねえ、ドラマチックだねえ」

… … … … …

「 … 女将さん、よかったら一緒に宮古で … 」

純が言い終える前に、サトは、頭を振りました。

「ごめんねえ … でも、必ずあんたのホテルに泊まりに行くよ」

純は … 納得して、うなずきました。

「なんか、やっと連ドラの主人公っぽい顔になったんじゃないの、あんた」

サトにそう冷やかされて、思いっきり照れまくる純でした。

… … … … …

「女将さん、本当に … ありがとうございました」

純は、あらためて深く深く頭を下げました … 涙をこらえながら …

サトもこみあげるものがあるようでしたが、気を取り直して言いました。

「もう、そういうのナシナシ! … 別れは、明るくやらないと!」

三線を取り出して奏で始めました。

お父ちゃん … こうしてると、改めて思う … 素敵な人たちと出会い、成長するのが、どんなに素晴らしいことか …

師匠、羽純、セクシーと士郎 … 再会を誓って、ひとまず解散 … それぞれ、今いる場所へと戻って行きました。

… … … … …

「じゃあ、あたしも行くね アディオス」

サトが明るく別れを告げ、純と愛も同じように答えました。

さっさと歩き出したサトの背中を、置いてきぼりを食った子供のような顔で見つめるセニョール … 思い立って前に出て、息を吸い込みました … 

その様子に気づいた三人が、セニョールに注目しました。

… 肝心な一言が出てきません。

しばらく見ていたサトですが、根負けしたように言いました。

「しょうがないねえ … 一緒に来る?」

いかつい顔をした大の男が半べそでうなずき … サトの元へ歩み寄りました。

サトは、セニョールに三線を渡すと、ふたりに大きく手を振って、また歩き出しました。

そのあとを一生懸命についていくセニョールの背中に、純と愛は、心の中でエールを送りました。

… 女将さんの“と”の人になれますように …

… … … … …

皆が去ってしまった後。

純と愛は、あらためて「里や」を振り返りました。

「お世話になりました」

「さようなら」


いろいろなことを教えてくれた「里や」に感謝と別れを告げました。

万感胸に迫る中 … お互いの手を取り歩き出した、純と愛でした。

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2013年03月01日 (金) | 編集 |

第126話

多恵子(若村麻由美)は「どうして純のそばにいてやらないのか」と愛に告げる。

(2012年2月22日 NHKネットステラ)


「もしかしたら … 僕たちは、“と”で結ばれる人間では、なかったのかも知れませんね」

愛は、ふたりの部屋のキーを取り出して、純に … 差し出しました。

このキーを渡してしまったら … 受け取ってしまったら … 何を意味するのか、純と愛は、わかっていました。

恐る恐る広げた純の掌にキーが渡されました。

… … … … …

あくる日。

純は、晴海を連れて宮古に帰る決心をしたことを報告するために、正のマンションを訪れました。

「じゃあ、宮古に帰っちゃうの? 本当に … いとし君と別れて」

マリヤが、信じられないといった感じで聞き直しました。

「うん、ついてこないって、言われちゃったからさ … 」

純は、勇気をあやしながら、少しさみしそうに答えました。

「お義母さんは、納得したの?」

「今、剛が連れて帰ってるから … 夜にでもちゃんと話すつもり … 」


果たして、晴海は、自分のことがわかるだろうか … それを思うと、少し怖い、純でした。

「本当にそれでいいの?」

… … … … …

施術室の戸が開いて、正のマッサージを受け終えた秋代が顔を出しました。

「あ、いらしてたんですか?」

「あんた、本当に後悔しないんだ? 旦那と別れて … 」


うなずく純。

「じゃあ、あたしと一緒になるんだ … “と”の人を、失って」

… … … … …

アパートに戻った純。

コルクボードに貼ってあった家族写真を見ていたら、なんだか辛くなってきて、剥がしてしまいました。

愛と写した結婚式の写真にも目が行き、思わず写真立てを倒しました。

… 胸のペンダントにも気づいて、ためらいながらも外そうと決めた時、誰かがドアをノックしました。

「お母ちゃん、連れて帰ったよ」

剛でした。

「ねえ、本当に宮古に帰っちゃうの?」

… … … … …

「ホテルで働くのも止めるし、いとし君とも別れちゃうんだ?」

純は、さばさばとしたように「そうだよ」と答えました。

剛は、何か逡巡しているようでしたが、急に …

「モネはさ … 画家のモネだよ … モネはさ、奥さんが死んだ時でさえ、その顔をスケッチしたんだ」

純には、剛の言いたいことがよく分かりません。

「だから … だから、どんなに辛い時でも … モネは、モネだったんだよ … じゃあ、お姉はどうなの? … そんなのお姉らしくないじゃん … って話」

それだけ言うと、そそくさと出て行ってしまいました。

… … … … …

お父ちゃん … 今の、励ましてくれたんだよね?

あの剛が … おそらく、何を言おうか、一生懸命考えた末の話だったのでしょう … 純は、そんな弟のことを微笑ましく … また、うれしく感じていました。

純の中で何かが動き始めました … 思いを巡らせ … 外そうとしていたネックレスに手をやり … 決意のまなざしの純は、部屋を飛び出しました。

… … … … …

しばらく後 …

純は、「里や」の焼け跡の前にいました。

待ち合わせをした秋代がやってきて、何の用かと尋ねました。

振り向いた純の鼻の頭に大きな絆創膏が貼ってあったので秋代は驚きました。

「あの、実は … お節介とは思ったんですけど … 秋代さんの“と”だった人に会って来たんです … 秋代さんにもう一度会ってくれないかって」

断られた純は、電話でもいいから話だけでもしてくれないかと頼んだのですが … しつこいと言われて … なぐられた … ということでした。

「 … バカだねえ … でもさ、あんたも何で余計なことするの? 頼みもしないのに … 」

あきれ返る秋代に、純は謝りながらも説明しました。

「秋代さんにどうにか笑ってもらいたくて … その人とまた秋代さんが話ができて … 仲直りができたら、秋代さんがまた笑ってくれるんじゃないかと思ったんですけど … 」

ただただ、平謝りする純でした。

… … … … …

部屋に戻ると … 晴海が、純が先ほど剥がしてしまった写真をコルクボードに貼りなおしているところでした。

晴海は、純が帰ってきたことに気づかずに、写真の中の幼い頃の純に向かって話しかけました。

「純 … あんたは、本当に仕方ない子だねえ … 何で自分の気持ち、隠すの? … もっと素直になればいいさ … そうだねえ、きっと私に似たんだね …

でも、そのままでいいからね、純」


純は、入り口に佇み、母の背中を見つめていました。

… … … … …

狩野家のリビングでは … 愛が、離婚届を前に思いを巡らせていました。

何故か、ヘッドフォンで善行が好きだった「浪速恋しぐれ」を繰り返し聞きながら …

突然、ドアが開いて、怒鳴りながら多恵子が入ってきました。

「もう、うるさくって仕事にならないじゃないの!」

ヘッドフォンから音が漏れていたのかと愛はあせりました。

「音楽じゃないわよ、あんた!」

堂々巡りの愛の心の声が、多恵子のところまで届いて … 気が散ってしょうがないのでした。

「もう、うっとしいから早く出て行ってくれない? … 一生、彼女を支えるって決めたんでしょう? … だったら、何で一番苦しい時にそばにいてあげないの?!」

愛は、返す言葉がありませんでした。

「 … ついでにこの前聞かれたこと、全部答えてあげるわ!」

純と愛が離婚届に署名した夜、愛から尋ねられ、はぐらかしていた答えでした。

「私が弁護士になったのは、男じゃなかったことにガッカリした父親を見返してやりたかったからよ … あなたの父親と結婚したのは、若い頃は、心からあの人を尊敬していたから … 」

… … … … …

「あなたと純が生まれた時には … そりゃもう、私の人生で一番幸せな時間だった … 素晴らしいことを成し遂げたって気がして、自分が誇らしかったわ … だから、純と愛なんて名前付けたんじゃないの」

自分たちの名前を多恵子がつけてくれたことを愛は初めて知りました。

「あたなの父親は、“愛”っていうのは、止めた方がいいって言ったけれど、でも私は、“愛”と書いて“いとし”と読めばいいって譲らなかった … 

この子は、男とか女とか、そんな枠を超えた凄い子になってくれればいいって … 」


多恵子は、テーブルにあった離婚届をビリビリに破り捨てました。

「 … 以上、わかったら、とっとと出て行きなさい!」

… … … … …

愛の肩から力が抜けて … 微笑み返しました。

いぶかしげな顔で見る多恵子に向かって、愛は言いました。

「 … 一生、お母さんの口からそういう言葉が聞けると思っていなかったから … すごいうれしいです … ありがとうございます」

多恵子は、涙が出そうになるのを必死にこらえていました。

「行ってきます … お母さん」

愛は、リビングを飛び出して行きました。

ソファーに倒れこむ多恵子、深いため息 … その頬を一筋の涙が、流れました。

… … … … …

愛とほんの入れ違いで、純が待田家を訪れました。

携帯電話を忘れてきた純に代わって、多恵子が愛の携帯電話を呼び出してみると … リビングから、着信音が聞こえてきました … 慌てて飛び出した愛も、携帯電話を置き忘れて行ったのでした。

… … … … …

急いでアパートに戻った純 … しかし、愛の姿は、部屋のどこにも見当たりません。

愛を捜しに行こうと、再び、外に飛び出した純 … 愛と鉢合わせします。

「 … カギ、渡しちゃったから … 中入れないなって、思ってたら … 」

愛は、少し性急だったことを恥じているようにみえました。

何となくぎこちないふたり … 純は、愛に忘れてきた携帯を渡しました。

「 … ウチ、行ったんですか?」

うなずく、純。

… … … … …

何かを訴えているような純の大きな瞳。

「話があるの … 」


「 … 僕もです」

… 愛も同じように答えました。 


Kindle版です。

NHK連続テレビ小説 純と愛 下


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