NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
  • 06«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »08
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


朝ドラ関連のブログ一覧はこちらです。よろしくお願いします!

にほんブログ村 テレビブログ 朝ドラ・昼ドラへ
2014年04月21日 (月) | 編集 |
第19回

1945年(昭和20年)東京。

その夜も村岡花子の翻訳作業は続いていた。

「『おお、ダイアナ』

やっとのことでアンは、ささやくような声で言った。

『ねえあんた、私の bosom friend になってくれて?』」


『bosom friend』 … 初めて出てきた単語だ。辞書を引くと、bosomは『懐』とか『内部』といった意味だった。

「親友、心の友 … 」

いくつか候補を原稿用紙の裏に書き出してみたが、どうもしっくりとこない。

「はあ、違うな … 」

花子はふと夜の窓に目をやった。

ガラスに映った自分の顔の向こう、暗闇の中を数枚の桜の花びらがひらひらと舞い落ちるのが見えた。

「 … 腹心の友

自然とその言葉が口をついて出た。

「私の腹心の友になってくれて?」

次から次に、舞い落ちてくる花びらに、花子は遠い日の記憶を呼び起こすのだった。

* * * * * * * * * *

1909年(明治42年)・4月。

寄宿舎から校舎へ向かう路、校門の脇の桜は満開だった。

晴れやかな顔で見上げたはなは一句詠みたい気分になった。

「まなびやに 帰りてみれば さくら花 いまをさかりに さきほこるなり … 花子」

その時、学校の前に一台の黒塗りの自動車が停まった。

運転手が開けたドアから下りてきたのは、紫の見るからに上等な着物を身にまとった気品のある女性だった。

折しも吹き出した春の風が桜吹雪を彼女の上からまき散らして、はなはあまりの美しさに目を奪われてしまった。

落ち着いた雰囲気は、はなより年上に見えた。

「御機嫌よう」

はなは声をかけられたが、咄嗟に声が出てこなかった。

「校長室は何処かしら?」

「 … ご案内します」


ようやくはなが答えると、女性は荷物を持った運転手を従えて歩き始めた。

はながこの先は男子禁制だということを伝えると、運転手は荷物をその場に下して、女性に向かって最敬礼した。

「いってらっしゃいませ、お気をつけて」

女性は自分の荷物だというのにそのまま歩いて行ってしまったので、仕方なくはなが持って後を追った。

< これが、不思議な編入生と、はなとの出会いでした >

* * * * * * * * * *

女性は、はなが苦労して荷物を運んでいるというのに一切手を貸そうともしない。

まるでお嬢様とその従者のようだ。

ふたりが校舎に入ると、玄関のホールにいた生徒たちが注目した。

「どちらのご令嬢かしら?」

「なんてお美しい方でしょう」


亜矢子や鶴子も遠巻きに噂をしている。

「まあ、もうお着きになられたんですね」

茂木がやってきて、女性のことを出迎えた。

女性の名は、葉山蓮子、編入生だった。

「迎えが遅いので、この子に案内してもらいました」

「それは大変失礼いたしました」


茂木があまりにも丁寧に頭を下げるので、はなは女性の横顔をまじまじと見つめてしまった。

「はなさん、ご苦労様」

はなが荷物に手渡している間に女性はさっさと奥へと行ってしまった。

< 先生にも高飛車な態度の編入生に、はなはただ圧倒されておりました。

一体何者なのでしょう? >

* * * * * * * * * *

「あのお召し物をご覧になった?

帯は京都の西陣のそれは高価なものでしたわ ~ きっと大変なおうちの方よ」


興奮気味の亜矢子と鶴子の話しを聞いても、はなにはピンとこなかった。

「はなさん、あの方と何お話になったの?」

興味津々な亜矢子と鶴子。

「あ … 校長室は何処かと聞かれて」

「どんなお声でした?」


はなは声色を真似してみせた。

「他には?」

「 … 迎えが遅いのでこの子に案内してもらいました」


我ながら結構特徴を捉えられたと気をよくしていると、背後からその本人と茂木がやってきていた。

「てっ?!」

* * * * * * * * * *

「茂木先生、私たちの部屋、松平さんがお嫁にいらしてひとり分開いております。

よろしかったら、私たちのお部屋へいらっしゃいませんか?

歓迎いたします」


亜矢子が申し出たが、それには及ばなかった … 蓮子には特別に個室が用意されていたのだ。

おまけにはなは夕食の時間になったら、蓮子のことを食堂まで案内するように言いつけられてしまった。

* * * * * * * * * *

蓮子の部屋は、椅子と丸テーブルが置かれた洋風の作りだが、畳敷きのスペースもあり、個室といってもはなたちの部屋よりはるかに広かった。

大きな窓からは春の日差しがさしこんでいた。

茂木の蓮子に接する態度といい、彼女は特別待遇だった。

* * * * * * * * * *

「 … 葉山伯爵の妹さんですか?」

茂木、富山、綾小路、秀和女学校で数少ない日本人教師の3人が談話室に集まっていた。

話題は編入生の葉山蓮子についてだ。

「それにしても随分大人びてますね、おいくつなんですか?」

「24ですから、同級生より8歳年上ということになりますね」


綾小路の質問に茂木が答えると、ふたりの顔に驚きが浮かんだ。

「 … その年で何故うちの学校へ?」

「そういった事情はブラックバーン校長がご存知ですから … 詮索するのは止めましょう」


茂木自身は何かを知っているのかも知れないが … ふたりには釘を刺した。

* * * * * * * * * *

夕食の時間となり、はなは蓮子の部屋のドアをノックした。

「お食事のお時間です ~ 食堂へご案内します」

しばらくドアの前で待ったが返事がないので、もう一度声をかけてみた。

「 … 食堂へは参りません。

こちらでいただきます」


顔を見せず、ドア越しでそう伝えられ、はなはまたもや仕方なく、今度は食事を運んでくるはめになった。

食事を運んできたことを伝えると、ようやく部屋に入る許可を出した。

しかし、はなが食事が乗ったトレイをテーブルの上に置いても、蓮子は本を読んだままで顔を上げようとさえしない。

「もう下がっていいわ」

しまいにはそんな言葉だけではなを部屋から追い返した。

「 … 失礼いたしました」

思わずへりくだって部屋を出てきてしまったはなだったが、どうにも納得がいかない気分だった。

「もう下がっていいわ … 普通ありがとう、よね?」

* * * * * * * * * *

次の日、蓮子ははなたちのクラスに編入された。

「今日から、皆さんと一緒に学ばれる、編入生の葉山蓮子様です」

皆に紹介したあと茂木が、ひと言挨拶をするように蓮子に求めた。

蓮子は同級生たちの顔を見渡したあと、静かに口を開いた。

「 … 御機嫌よう」

それだけだった。

「本当にひと言ですね … 」

苦笑いの茂木。

* * * * * * * * * *

休み時間になった途端、亜矢子たちが蓮子の周りを取り囲んだ。

「葉山様、ここの前はどちらの学校にいらっしゃったんですか?」

「華族女学校ですか?」

「それとも、ご両親のもとで花嫁修業なさっていらしたのかしら?」


蓮子は薄笑いを浮かべて答えた。

「 … ご想像にお任せします」

何を言っても、優雅さをかもしだす蓮子の振る舞いに亜矢子たちは憧憬の眼差しを贈っていた。

蓮子はといえば、休み時間だというのに皆の輪に加わらず、席についたまま本を読んでいるはなのことが気にかかったようだった。

* * * * * * * * * *

『前略、お母、お変わりありませんか

こちらは今、校庭の桜が満開でそれはそれは美しいです

かよと約束した通り、私は主席を取れるように精進しています

数学とお裁縫はどうしても苦手ですが、英語の勉強はやればやるほど楽しくなります

もうじき、田起こしですね

お祖父やんに無理して腰を痛めんように伝えてくれちゃ

お母もお身体を大切に

Thank you 花子』

はなから届いたハガキを例のごとく、ふじは朝市に代読してもらった。

「朝市、いつも Thank you ね」

「いいえ … ?!」


朝市は、ふじへの便りの他に追伸があることに気づいた。

それは自分に宛てたものだった。

『追伸

朝市、勉強続けてるけ?

私も頑張るから、朝市もこぴっと頑張れし』

そんな短い一文だったが、朝市の何よりの励みになった。

* * * * * * * * * *

そんな朝市は時間を見つけては、教会の図書室で本を読み漁っていた。

「朝市君、いつも感心だね」

振り向くと森牧師が優しい笑顔で立っていた。

「ふんだけんど、うちの母は米作るのに何の役にも立たんて …

ここに来てるのも内緒なんです」


何ともいえない寂しげな顔で答えた。

すると、森牧師はうなずいて、朝市の隣に腰を下ろした。

「 … それじゃあ、人の役に立つ勉強をしたらどうだろう?」

「ほりゃあ、どういうこんですか?」


朝市は目を輝かせた。

* * * * * * * * * *

ふじへのハガキに書いた通り、はなは英語の勉強が楽しくて仕方がなかった。

その日の授業の教材はシェークスピアの『ロミオとジュリエット』、はなは英文を読み上げながらその部分を和訳していた。

「Kisses her.
… ジュリエットに接吻する。

Thus from my lips,by yours,my sin is purged.
… ほら、あなたの唇のお蔭で、私の唇の罪が清められました」


はなの和訳は相変わらず、富山の言うところの「砕けすぎた」ものだった。

「そこまでで結構です」

突然、富山は物語の先を続けようとするはなを止めた。

「 … この先は割愛して次の章に移ります」

「待ってください!

ここは、ロミオとジュリエットが愛を確かめ合う大変重要な章だと思うんです」


すでに何度もこの戯曲を読んでいたはなは見逃すことができずに異議を唱えてしまった。

「授業の教材として相応しくないと言ってるんです」

「 … どうして相応しくないんですか?」


富山の言うことが理解できず、食い下がったはな … 教室の雰囲気は張り詰めてしまった。

「もういいでしょう?」

富山が忌々しそうにため息をついた。

「あなたのように授業の進行を妨げる生徒のせいで、このクラスはただでさえ遅れてるんです」

はなの言い分など無視して授業を進行させてしまった。

* * * * * * * * * *

あきらめたはなが席に座ったその時だった。

「やわ肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや 道を説く君 … 」

おもむろに蓮子がその歌を詠み上げた。

「 … 何ですか、その歌は?!」

富山は怪訝な顔をして尋ねた。

「与謝野晶子です」

「そんなことを聞いてるんじゃありません!

英語の授業中に何故短歌なんか?」


クラス中の視線が集まる中、蓮子は涼しい顔で答えた。

「何故かしら?

今のやり取りを聞いていたら、急にこの歌が頭に浮かびましたの」

「あなたまで授業の邪魔をするんですか?」

「先生は男女の恋愛を汚らわしいものだと決めつけていらっしゃるようですね …

それは、ご自身の恋愛経験が乏しいからでは?」


教室がざわめき、富山の顔から血の気が引いていくのが分かった。

「何を言うの?!」

明らかに動揺を隠せない富山だった。

「あなたは教師を侮辱するんですか?」

「いいえ、客観的な感想を述べただけです」


蓮子は表情ひとつ変えずにいけしゃあしゃあと言ってのけた。

* * * * * * * * * *

「出ていきなさい … Go to bed!」

激昂した富山の声が何故か空しく教室に響き渡った。

「では、お先に … ごめんあそばせ」

立ち上がった蓮子は軽く会釈すると教室から出て行ってしまった。

怒りに震えながらも呆然と見送るだけの富山。

はなは自分のことがきっかけになった気がして困惑していた。

< どうやらこの編入生、富山先生より一枚も二枚も上手のようですね … >

* * * * * * * * * *

廊下に出た蓮子の目の前には、立ちすくむブラックバーン校長と茂木の姿があった。

しかし、蓮子はまったく怯むこともなく、ふたりにも会釈した。

< ごめんあそばせ ~ >

廊下を歩く蓮子はふと足を止めて窓の外、音もなくひらひらと舞い落ちる桜の花びらを見つめていた。

< … ごきげんよう、さようなら >

連続テレビ小説 花子とアン Part1 (NHKドラマ・ガイド)

新品価格
¥1,188から
(2014/4/21 20:04時点)



連続テレビ小説 花子とアン オリジナル・サウンドトラック

新品価格
¥3,146から
(2014/4/21 20:04時点)


関連記事
スポンサーサイト

朝ドラ関連のブログ一覧はこちらです。よろしくお願いします!

にほんブログ村 テレビブログ 朝ドラ・昼ドラへ
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。