NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年05月09日 (金) | 編集 |
第35回

< 九州の石炭王とのお見合いのあと、蓮子は突然、山梨のはなのうちへ行ってみたいと言い出しました。

蓮子が人生の大きな曲がり角にいることを、まだ知らないはなでした >

ふたりを乗せた汽車は一路、甲府を目指していた。

トンネルを抜けると、車窓には甲府盆地に広がるブドウ棚が見えてきた。

「 … たくさんのおブドウから、蓮様の好きなブドウ酒が生まれるんですよ」

はなは指さして蓮子に教えた。

ほどなくすると車掌が、まもなく甲府に到着することを告げた。

網棚から荷物を降ろそうと、立ち上がったはなは、前方の席からこちらの様子をうかがっている学生がいることに気づいた。

「武 … 」

「えっ?」

「蓮様、あっち見ちゃだめです ~ 変なのが見てるから!」


見てはいけないと言われると、見てしまうのが人情だ。

振り向いた蓮子は武と視線を合わせてしまった。

「て ~~~ ♥」

武は、だらしのない顔を尚更だらしなくしてフラフラと立ち上がった。

* * * * * * * * * *

何とか武のことをまいたふたり、家へと続くのどかな田舎道を歩いていると、前方の大きな樹の下に吉太郎の姿が見えた。

「兄やん、迎えに来てくれただけ」

「ああ」


はなから蓮子のことを紹介された吉太郎はその美貌と気品ある振る舞いに飲まれてしまった。

「お兄様の吉太郎様ですね ~ お目にかかれて、うれしゅうございます」

< 吉太郎は、空から天女が舞い降りたかと思いました >

吉太郎は言葉を発することも身動きをとることもできず、心を奪われて、ただただ蓮子に見惚れていた。

* * * * * * * * * *

「皆、ただいま ~ 」

はなに促された蓮子が家に入ってくると、薄暗い家の中がそこだけ光がさしてるかのように輝いて見えた。

「女学校の友達の葉山蓮子さん」

「ごきげんよう ~ 」


蓮子は、周造、ふじ、ももとはなの家族ひとりひとりに丁寧にそして親しみを込めて挨拶をした。

はなから何度も何度も数えきれないほど家族の話を聞いているので、初めて会った気がしないのだ。

「 … お目にかかれて、うれしゅうございます」

「いつもお世話になっておりやす ~~ 」


裏返った声で挨拶を返したふじ … 迎える家族の方は完全に舞い上がっていた。

「本当のお姫様け?」

ももがまぶしそうに蓮子のことを見た。

うなずいたはなの袖をふじが慌てて引っ張った。

「なんで?」

「 … ひょっとして、いつかはなのハガキにあった伯爵様のご令嬢じゃねえだけ?」

「そうよ … 」

「て ~~~ ?!」


* * * * * * * * * *

「さあ、上がって」

家の中は家族総出で掃除をしてきれいに片付けてはあるのだが、それでもみすぼらしさは変わらなかった。

「この通り、むさ苦しい所ですけんど … 」

「随分広い玄関ですこと」


にこやかな顔で蓮子はそう言った。

悪気はなかった … この空間で家族全員が生活しているとは思わなかったのだ。

それは蓮子が育ってきた環境ゆえに仕方がないことだった。

* * * * * * * * * *

ふじは引け目を感じていたが、蓮子自身はまったく気にしてはいなかった。

大事なことは、はなの家族と過ごすことだった。 

「ありがとうございます … これは何ですか?」

蓮子はふじが運んできた料理の名を尋ねた。

「お母が作ったほうとうよ」

常日頃、はなが話して聞かせている料理だった。

「 … お口に合わんと思うけんど」

ほうとうはこの家にしてみれば最高のご馳走なのだ。

一同が息を呑んで見守る中、蓮子はひと口食べた途端、顔をほころばせた。

「美味しゅうございます!」

ホッと、安堵するふじ。

「はなちゃんが言った通り、お母様のほうとうは日本一です」

「 … お母様だなんて … 一杯こしらえたから、お替りしてくりょう」


蓮子ははなの母が自分のために用意してくれた精一杯のもてなしを心から喜んでいた。

その素直な感謝の気持ちは家族にも伝わって、誰もが蓮子に好感を抱いた。

* * * * * * * * * *

「伯爵様のうちじゃ、毎日甘いクッキーを腹一杯食ってるだけ?」

ももはお姫様の様な蓮子に興味津々だった。

「私はクッキーよりね、きんつばの方が好きなのよ」

目を丸くしたももは蓮子の胸元に鼻を近づけてにっこりと笑った。

「いい匂いじゃん ~

伯爵様のうちじゃ、いっつも舶来のシャボン使ってるずらか?」

「もも、ほんなに一杯聞いたら、葉山様が食べられんら!」


ももを嗜めた吉太郎に蓮子は言った。

「 … 蓮子でいいです ~ 蓮子と呼んでください」

蓮子に見つめられると、吉太郎は固まってしまった。

「兄やんもちょっこも食べてねえじゃんけ」

はなの目から吉太郎はいつもと様子が違って見えた。

「兄やんは兵隊さんになるだよ」

「兵隊?

えっ … 志願するの?」


無邪気に口走ったももの言葉に家族の雰囲気が気まずくなりかけた時、入口の扉が勢いよく開けられた。

* * * * * * * * * *

「ちょっくら、ご免なって ~ 」

顔を出したのは、武を伴った甚之介だった。

武から蓮子のことを聞きつけて、わざわざやって来たのだ。

リンを始め村の衆も集まってきている。

「これはこれは、葉山伯爵のお嬢様 …

私はここいらを取り仕切ってる地主の徳丸甚之助でごいす」


蓮子は甚之介たちを訝しげな目で見た。

「私に何かご用でしょうか?」

食事中にずかずかと入ってくる不躾な態度が気に入らなかった。

「今夜は、うちにお泊りになって … こんなあばら家にお泊めする訳にはめえりやせん」

「そんな貧乏くせえほうとう何ぞ出して、失礼じゃねえだけ?!」


父親の尻馬に乗って得意顔の武をはなはにらみつけた。

「うちの料理人にご馳走を作らしておりやすから ~ どうぞ、我が屋敷においでくだせえ」

縁も所縁もない徳丸家に行く理由などなかった。

「 … せっかくですけど、結構です」

「遠慮なさらず、どうぞ!」

「さあさあ、どうぞ ~ 」


自分の本位の徳丸親子には蓮子が遠慮しているように見えるらしい。

「分からない人たちね … 」

蓮子は立ち上って、きっぱりと宣言した。

「私は、今夜ここに泊まりたいんです!

… 皆さんと枕を並べて寝るのを楽しみにしているのに、邪魔しないでください!」


人の心をないがしろにして権威を振りかざす行為を蓮子は一番嫌った。

はなの家族を蔑む態度は決して許せなかった。

「では、ごきげんよう」

軽蔑を込めて微笑んだ。

憤然として立ち去る徳丸親子。

ふたりの姿が見えなくなると、リンが手を叩いて大喜びした。

「いい気分じゃんね ~ 」

「そうさな」


甚之介がやり込められる場面など滅多に拝めはしない。

胸のすくような思いのあと、大笑いする一同。

* * * * * * * * * *

「はなは女学校終わったらどうするだ?」

食後、吉太郎ははなに卒業後の進路を尋ねた。

「まだ分からん …

兄やん、ほんなに兵隊さんになりたいだけ?」


はなは、さきほど徳丸親子の訪問でうやむやになっていたことを反対に聞き返した。

「うん、今すぐじゃねえが … 心は決まってるだ。

ほん時が来たら、おらはこのうちを出てく」

「そう … 」


家族 … 特に母の気持ちを思うと、胸が痛んだが、はなから吉太郎に何か言える立場ではなかった。

すると、突然傍らでふたりの会話を聞いていた蓮子が口を開いた。

「君死にたまふことなかれ … 

あゝをとうとよ、君を泣く、君死にたまふことなかれ、

末に生れし君なれば、親のなさけはまさりしも、

親は刃をにぎらせて、人を殺せとおしへしや、

人を殺して死ねよとて、二十四まで育てしや … 」


それは、蓮子が敬愛する与謝野晶子が詠んだ歌の一節だった。

「これ差し上げます」

蓮子は、この歌が掲載されている雑誌『明星』を吉太郎に差し出した。

常に持ち歩いていたものだった。

「私はもう暗記するほど読んだので … 吉太郎さんが持っていてください」

* * * * * * * * * *

蓮子がどのような意図で、与謝野晶子の歌を詠み、『明星』を進呈してくれたのか、吉太郎にははかり知れないことだった。

ただ、天女に見間違うばかりの美貌を持ち、甚之介をやり込める凛々しさも兼ね備えた凛子に好意以上の感情を抱きそうな自分に戸惑っていた。

同じ部屋で一夜を明かすことは彼にとって刺激が強すぎた。

「お祖父やん、おら今夜こっちで寝ていいけ?」

逃げるように周造がいる納屋に行ってしまったが、その胸には蓮子からもらった『明星』がしっかり抱かれていた。

* * * * * * * * * *

はなとももが寝入ったあと、布団をこっそりと抜け出した蓮子は、ひとり外で甲府の月を見つめていた。

東京から彼女が大事に抱えてきたのは、寄宿舎にあった鳥カゴだった。

今、蓮子の掌にはカゴから出した小鳥が包まれていた。

カゴに閉じ込められていた小鳥は蓮子の分身だ。

指の隙間から愛おしそうに小鳥を見つめた後、両手を広げて夜空へと解き放った。

ふっとため息をついた蓮子が、視線を感じて振り向くと、ふじが驚いたような顔で見ていた。

* * * * * * * * * *

眠れないのだろうと、ふじは囲炉裏の火を起こして、蓮子を座らせた。

「蓮子さん、今ひとりじゃ抱えきれねえようなこん … 抱えてるじゃねえだけ?」

娘を持つ母であるふじの勘は鋭かった。

「 … やっぱしほうだね」

蓮子は何も答えなかったがその表情の変化を読んだのだ。

「ほれは、お母様にも言えねえようなことけ?」

すると、蓮子は静かに語り始めた。

「 … 私の母は、早くに亡くなったんです」

ふじは申し訳ないことを聞いてしまったというような顔をした。

「芸者だったそうです」

「 … 蓮子さんのお母様だったら、さぞかしきれいな人だったずらね」

「私は、顔も知らないんです … 生まれてすぐに父の家に引き取られて、乳母に育てられたので」


訥々と話す蓮子の顔をふじは優しげな目で見つめていた。

「 … 一度でいいから、会いたかった」

蓮子の悲しみがひしひしと伝わってくるようだった。

* * * * * * * * * *

「はなちゃんがうらやましいです。

こんなに優しいお母様がいらして … 」


寂しそうに笑った蓮子にふじは言った。

「蓮子さんはもう、うちの家族じゃん」

思いもしなかった言葉に蓮子はふじのことを見た。

ふじは少し照れたように笑いながら、蓮子の傍に座り直した。

「こんな煤けたお母でよければ ~ うん、いつでもほうとう作って待ってるだよ」

蓮子は胸の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じていた。

「お母と … 呼んでもいいですか?」

その熱いものを懸命に抑えながら尋ねた。

ふじは一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに満面の笑顔を見せた。

「 … お母と呼べし」

そのひと言で、蓮子の目から涙腺が決壊したように涙がとめどなく溢れだした。

腹心の友のはなにも見せたことがない涙だった。

「蓮子さん、大丈夫だ ~ 大丈夫だよ、蓮子さん」

蓮子を抱き寄せたふじも涙が止まらなかった。

「つれえ時にゃあ、いつでもここへ帰ってきて、泣けし … 」

母に抱かれた記憶がない蓮子は、ふじの腕の中で少女のように泣き続けていた。

< 蓮子はこの時、ある大きな決断をしていたのです。

… ごきげんよう、さようなら >

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