NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年05月24日 (土) | 編集 |
第48回

< はなは久しぶりに東京へ来ていました >

遠くの親戚に貰われていった教え子のたえのために書いた童話『みみずの女王』が雑誌『児童の友』の懸賞に入選し、その受賞者懇親会に招待されたのだ。

「皆さん、今年の児童の友賞に選ばれたのは、宇田川満代さんと安東はなさんのおふたりです」

編集者に紹介され、はなともうひとりの受賞者、宇田川満代が拍手を浴びた。
 
「宇田川さんは、どんなものがお好きですか?」

梶原の問いに、満代は物おじせずにはきはきと答えた。

「花袋の『蒲団』は面白かったですね。

もちろん、あなたも読んだでしょう?」

「え~と、それは … 固いお蒲団の話ですか?」


満代は見当はずれな返事をしたはなを意外という顔で見た。

「この人、田山花袋知らないんですって ~ 自然主義派の露骨なる表現よ」

そう説明されても、はなにはちんぷんかんぷんだった。

本が好きで、女学校の図書館で手当たり次第に読みあさっていたはなだったが … 秀和女学校にあったのは横文字で書かれた西洋の本だけで、日本文学にはまったく疎かった。

すでにいっぱしの作家きどりで、編集者や招待客たちと会話を交わしている満代に比べて、はなは話題についていくことができなかった。

< 久しぶりに味わう都会の空気に、すでに気おくれしているはなでした >

* * * * * * * * * *

自然と話の輪から外れて、ひとりになっているはなのことを、離れた場所から英治が気にしていた。

「村岡君、飲む?」

梶原にブドウ酒を勧められた英治は、グラスを2つ所望した。

「仲直りの乾杯してこい」

「はい」


英治は梶原から尻を叩かれて、グラスを手にはなに近づいていく。

「安東花子さん、乾杯しましょう」

手持無沙汰でぼんやりしていたところに声をかけられてハッとしたはな。

その上、英治が差し出したグラスに注がれているのがブドウ酒だと分かって困惑顔を見せた。

「 … せっかくですが、結構です」

「ああ、お酒は飲まれないんですか?」

「少しはいただきますが、ブドウ酒にはいい思い出がないんです。

あの、どなたか他の方と乾杯なさってください」

「それじゃ、乾杯にならないですよ ~ やっぱりまだ怒ってるんですね、名前のこと … 」

「そんな … 」


* * * * * * * * * *

またも気まずい雰囲気になりかけた時、思わぬ助け舟が現れた。

「ごきげんよう、はなさん」

「て ~ 醍醐さん?!

すっかり見違えて女優さんかと思ったわ」


洋装で見るからに職業婦人といった雰囲気に洗練された醍醐亜矢子だった。

亜矢子は英治に言った。

「村岡さん、はなさんはブドウ酒のせいで女学校を退学になりかけたことがあるんですよ」

「えっ?!」


< そうなのです ~ あのトラウマは消えません。

よりによって、ブドウ酒を持ってくるとは … つくづく間の悪い人ですね >

「はなさんの代わりに私がいただいてもよろしくって?」

英治からグラスを受け取った亜矢子ははなに向かって祝福の言葉を贈った。

「はな先生、受賞おめでとうございます」

「はな先生なんてやめて ~ 私は甲府のしがない代用教員よ。

醍醐さんこそ、素敵な職業婦人になられて」


久しぶりの再会を喜び、話が弾むふたり。

英治はすっかり存在を忘れられたようで、微笑むとその場から離れていった。

* * * * * * * * * *

「こっちこっち!」

亜矢子が手招きした入口の方を見たはなは目を丸くした。

桃色の着物を着たかよが花束を抱えて立っているではないか。

「てっ、かよ、どうしてここに?」

「醍醐さんが知らしてくれたの ~ お姉やん、おめでとう、よかったじゃんけ」

かよもすっかりと見違えてあか抜けていた。

「この着物、洋服店の女将さんが貸してくれたの。

おめでたい席だからきれいにして行きなさいって … 」


はながいい所に奉公させてもらったと喜ぶと、忙しいが製糸工場の女工に比べたら天国だと明るく笑った。

「お父はまだ帰って来ねえだけ?」

「うん … 」

「お姉やんの晴れ姿見たら、お父どんだけ喜んだか …

『ほれ見ろ、お父の言った通り、はなは天才じゃ』って大喜びしたずらね」

吉平の反応を想像するとおかしかった。

それと同時に伝えられないことが寂しかった。

* * * * * * * * * *

「小学校の先生辞めて、小説家になるのけ?」

「てっ … そんな大それたこと思ってねえよ!」


はなは慌てて否定した。

「なんで、せっかく賞に選ばれたずら?」

「そうよ ~ はなさん、もっと欲を出した方がいいわ」


亜矢子までもがけしかけてくる。

「 … 千載一遇のチャンスじゃない、もう一度東京に来て、小説家を目指したら?」

はなにしてみたら、考えてもみなかったことだが、決して悪い気はしなかった。

「私が小説家 … 」

はなが想像のツバサを広げようとしたその時だった。

「本気で小説家を目指すのか?」

梶原に話しかけられて羽ばたき損ねて現に戻された。

「梶原さん … あの、私なれるでしょうか?」

「あの童話はおもしろかったが、君が小説家になるのは難しいと思う」


賞をもらったばかりのはなを、余りにも見事に斬り捨てた。

「編集長、どうしてですか?!」

亜矢子が不満げに問い質した。

「僕は強烈な個性の小説家たちをたくさん見て来た。

安東君はそこらの人に比べると、個性的で常識外れのところもある。

だが、小説家になるには普通すぎる」

「 … あきらめた方がいいってことですか?」

「そうだ」


ほんの僅かな躊躇もなく梶原は答えた。

「はっきりおっしゃっていただいて … ありがとうございます」

頭を下げながら、はなの笑顔は引きつっていた。

< はっきりそこまで言われると、やはりショックなはなでした >

* * * * * * * * * *

しばらくすると、はなと満代は受賞の挨拶をするために壇上に呼ばれた。

「審査員の先生方、私を選んだことを後悔させないような売れっ子の小説家にすぐになってみせます。

ですから、早く仕事をください」


自信満々、堂々と『職業小説家』宣言した満代の挨拶が終わり、はなの番が来た。

「『みみずの女王』は、私が尋常小学校で受け持っていたたえさんという生徒と一緒に作った物語です。

その子はもう遠くに引っ越してしまったので、お話の続きを読んでもらいたいと思い応募しました。

そしたら、運よくこの賞を頂けました … ですから、半分はたえさんがもらった賞です」


はなはここでひと息入れた。

「この受賞は、一回きりのいい思い出として、甲府に帰って真面目に教師を続けたいと思います」

拍手する一同。

ただひとり、拍手することを忘れ、英治は壇上のはなのことをじっと見つめていた。

* * * * * * * * * *

懇親会も終わり、はなは会場の隅のイスに腰掛けて、『児童の友』に載った自分の作品を読み返していた。

「本当にこれ一回きりでいいの?」

亜矢子の問いかけに言葉もなく微笑みうなずいたはな。

小説家という淡い夢は一瞬で消えていた … 梶原の指摘は重かったのだ。

「 … 最初で最後だから、『花子』という名前で載りたかったな」

はなのつぶやきを耳にした亜矢子が思いもよらぬことを口にした。

「それ入稿する時に私が本名に直したの」

「えっ?!」

「やっぱり『安東はな』の方がはなさんらしいし、秀和女学校の先生方や同級生も気がついてくれると思って … 」


亜矢子は、はなの顔が俄かに険しくなったことに気づいた。

「醍醐さん、気が利きすぎです!」

声を荒げたはなに訳も分からず謝る亜矢子。

「私、あの人にひどいこと言っちまった!」

立ち上がって、英治の姿を捜したが、もう会場にはほとんど人がいない。

後始末をしている梶原に英治のことを尋ねた。

「さっき帰ったよ」

はなは外へと飛び出した。

* * * * * * * * * *

結局、英治は見つからず、あきらめたはなが会場に戻るともう誰も残ってはいなかった。

「 … どうしよう?」

途方に暮れていると、どういう訳か会場に英治が慌てて走り込んできた。

帽子を忘れて取りに戻って来たのだ。

「あれ … まだいらっしゃったんですか?」

「てっ、村岡さん?!」


呆気にとられたような顔をしていたはなだったが、突然頭を下げた。

「ごめんなさい!

私の早とちりで … 誤植じゃなかったんですこれ!

友だちの醍醐さんが『はな』に替えてたんです」

「ああ、そうでしたか … 」

「本当にごめんなさい!」


英治は腹を立てる様子もなく、却ってすっきりとしたような顔をしている。

「あの、ひとつ聞いてもいいですか?

『花子』という名前にどうしてそこまで拘ってたんですか?」


* * * * * * * * * *

「私、子供の頃から『花子』と呼ばれたかったんです。

『はなじゃねえ、おらのことは花子と呼んでくりょう』って、ふた言めにはそう言い返す子供でした」


目に浮かぶようだと、英治は笑った。

「女学校の頃、『腹心の友』ができて … 」

「腹心の友?」

「 … その人と約束したんです。

自分の作品を発表する時は、『花子』っていうペンネームを使うって …

だから、この受賞を知った時から舞い上がってしまって … 自分が本当に夢の中の『花子』のなれたような気がして。

そう … 『花子』は私の夢なんです。

でも、もう現実の『はな』に戻らないと」


想像のツバサも卒業しないと … はなはそう心でつぶやいていた。

* * * * * * * * * *

「あなたは『花子』になるべきです」

はなは思わず英治の顔をみつめた。

「 … 『花子』という名前で、これからも書き続けてください」

「いいえ、小説家はもうあきらめました。

梶原さんからも小説家になるには、普通すぎるって言われました」

すると英治は、ふうっと息を吐いた。

「あなたは断じて普通じゃない」

「はっ?」

「十分変な人です」


喜ぶべきなのか … いや、はなは英治に抗議した。

「ちょっと待ってください!

あなたのような変人に言われたくありません!」

「あなたに比べたら、僕は極めて凡人ですよ」

「どうせまた私のこと、珍獣扱いしたいんでしょ?」

「そんな失礼なこと言いませんよ」


はなは英治の言うことが信用できずに首を傾げた。

* * * * * * * * * *

「どうか、その変な自分を大切にしてください」

はなは、何故だか今度は腹が立たなかった。

「 … 英語の翻訳も続けてください」

「それは無理です。

甲府に帰ってから、英語に触れる機会もないし … 小学校では英語禁止令も出されてしまって … うちのことも色々あるし …

英語どころじゃないんです!」


英治は優しく微笑みながら言った。

「何処に居ても、あなたなら大丈夫です」

この人は私の何を知っているの? … そう思いながらも妙に納得している自分に気がついたはなだった。

「 … ナマケモノが泳ぐ時のあの集中力を発揮すれば」

「ほらっ、また珍獣扱いして!」


顔を見合わせたふたりは吹き出していた。

* * * * * * * * * *

「じゃあ、お元気で」

英治の言葉にはなはうなずいた。

「あ、村岡さん … 」

会場を出て行こうとした英治を思い出したように呼び止めた。

「 … ありがとうございました」

「いや、お礼を言われるようなことは何も … 」


英治は今更ながら照れてみせた。

「ごきげんよう、さようなら」

はなはもう一度、丁寧に頭を下げた。

「 … ごきげんよう、さようなら」

立ち去る英治の背中を清々しい気持ちで見送った。

< … ごきげんよう、さようなら >

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今年の4月より放送が開始されましたNHK連続テレビ小説「花子とアン」ですが、「あまちゃん」「ごちそうさん」に引き続き視聴率も高くなかなか好調のようですね!物語の舞台は、村岡花子さんの生家がある山梨と東京がメインになりますが、山梨出身の私にとってもロケ地が気になるわけで・・・
2014/05/29(Thu) 21:10:14 |  粋なLife styleのススメ
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