NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年06月13日 (金) | 編集 |
第65回

周造にせがまれた吉平が何回目かの『たんぽぽの目』を読んでいる途中、ふじが畑仕事から戻って来た。

「お父やん、帰ったよ ~ 」

周造が寝ている布団の横で正座をしながら本を読む吉平の姿を見たふじの顔が強張った。

「ふじ … 」

ふじは荷物も下さずそのまま家から飛び出して行った。

吉平も後を追って外へ出ると、ふじは庭先で背中を向けて肩で息をしている。

「 … ふじ、こぴっと話し合おう」

ふじは振り向き、吉平をにらみつけた。

「おらの居ねえ間に、お父やんに取り入るなんて … 調子いいだから!」

「ちっと待ってくりょう!」


取りつく島もなく、家に逃げ込むと戸を閉めてしまった。

* * * * * * * * * *

「これ、はな先生のお祖父やんにお見舞い」

放課後、きよが差し出したのはクラスの皆で摘んできた野の花だった。

「ありがとう ~ 皆、気をつけて帰るのよ」

下校して行った生徒たちと入れ替わりに、例のサダがはなを訪ねてやって来た。

< お父の女ずら … >

* * * * * * * * * *

はなが家に戻った頃には、ふじから閉め出しを食った吉平はすでにあきらめて立ち去っていた。

周造は布団の上で体を起こして、はなの本を眺めていた。

「あっ、お祖父やんもう大丈夫け?」

「ああ、お帰り」


大分気分もよさそうに見え、はなはホッと安堵した。

ふじは夕餉の支度に追われている。

「あのね、お母 … 今日、学校にサダさんが来て」

「てっ?!」


かまどに火をくべているふじの手が止まった。

「おらもびっくりしたけんど … 謝りに来ただ」

「どういうこんで??」

「もともとお父とは何にもなかったって … 」


ふじは不審な顔をして立ち上がった。

* * * * * * * * * *

「 … 実はね、こないだの話、全部ウソなのよ」

はなを学校に訪ねたサダは、悪びれることなくそう言ってのけた。

「て … ウ、ウソって?」

はなが呆気にとられていると、サダは口をとがらせながら話しはじめた。

「だって、幸せそうなんだもん!

あんたのお母さん、旦那のこと信じ切ってるし … 私が何を言っても庇うもんだから …

こんなに旦那を愛してる奥さんもいるんだって、くやしくなっちゃって」

「ふんだけんど … ほの櫛は?」

櫛は気に入ったからサダが自分で買ったものだった。

「うちの旦那はこんなもの買ってくれる人じゃないから … 」

開いた口がふさがらないはな。

「これ買った時、吉平さんたら、あんたのお母さんに櫛を上げた時の話をずっとうれしそうにするのよ」

* * * * * * * * * *

はなの話をふじは呆然として聞いている。

「 … ほれとね、富士山の話もウソだったの」

あの時、サダは吉平が「いつか表側の富士山を見せてやる」と約束したと言った。

「お父、本当はこう言っただって …

うちの奴に、表側の富士山を見してやりてえだ ~ 俺の故郷の景色を見てもらいてえだって」


ふじはこみ上げてくる喜びに、瞳を潤ませている。

「ほんなこと … 」

「お父、教会の本の部屋に居るよ」

「はな!」


居ても立っても居られなくなったふじは、はなに吹き竹を手渡すと、大慌てで家を飛び出して行った。

その背中を笑顔で見送るはな。

「 … 何べん言ったら分かるだ、こっちが表であっちが裏」

ひとり不機嫌そうにつぶやく周造を見てはなは吹き出してしまった。

* * * * * * * * * *

ふじはもの凄い勢いで図書室に入ってきた。

「 … ふじ?」

「あんた、全部聞いただよ … はなの学校にサダさんが来て」

「て?!」

「 … あんた、いつ表の富士山を見に連れてってくれるで?」

「て … ほれも聞いただか?」


ふじは涙を溜めながらも、うれしそうにうなずいた。

「おらを生まれ故郷に連れて行きてえなんて … ほんなこと思っててくれたなんて …

うれしいよ!」


ついに大きな声で泣き出してしまった。

「おい、泣くことねえら ~ 」

吉平は、少し困った顔をしてみせたが、首から下げた手拭いでふじの涙を拭い、そして優しく抱きしめた。

「ふんだけんど、夢みてえじゃん」

「俺は、おまんと一緒になって、ここで暮らして甲府のことが大好きになった。

おまんにも俺の生まれ故郷を好きになってもれえてえだ … 」


* * * * * * * * * *

はなは、昨夜ふじに言われたように周造に『たんぽぽの目』を読み聞かせようと横に座った。

「はなの作る話は面白えなあ … 」

本を手にして周造がしみじみと言った。

「え?」

「今日、何べんも何べんも婿殿に読んでもらっただ」

「てっ、お父に?」


意外な組み合わせにはなは驚いた。

「はなは、ボコの頃、わしに言ったら?

自分が周造じゃなく、周衛門や周左衛門になったと思ったら、景色が違うて見えるって … 」


「名前が変われば、見える景色も変わるだよ ~ 自分が花子だと思うと …

ほら、風の匂いまで違うじゃん」

「 … はなに言われてっから、わしゃ時々、周左衛門になってみてるだよ。

ほうすると … はなの言った通り、何かわくわくしてくるだ。

ああ、そうさな ~ はなの夢見る力がわしにも伝わるだな」


今日の周造はよくしゃべる。

* * * * * * * * * *

「はな、めっけた夢は夢中になって、追っかけろし」

周造は両手ではなの手を握った。

「 … この手で、わしらの作れんもんを作ってくれっちゃ」

そして再び本を手に取って笑った。

「『たんぽぽの目』、祖父やん大好きだ」

子供のはなにしたように頭を撫でる周造。

「お祖父やん … 」

本を開いてじっと眺めている周造の姿が滲んで見えたはなだった。

* * * * * * * * * *

次の朝、吉平はふじと一緒に畑仕事に、はなは学校へと出かけて行った。

笑顔で見送る周造。

安東家に平穏な日常が戻って来た。

* * * * * * * * * *

そして、季節は秋から冬へと移り変わって行った。

周造はすでに畑仕事に出ることもなく、一日をほとんど布団の上で過ごすようになっていた。

家族が仕事に出ている間、家には周造ひとりきりだ。

その日、周造は障子を開けて外を見た。

冷えてきたと思ったら、空から白いものが舞ってきている。

「ああ … 初雪か」

穏やかな顔で笑った周造。

「 … まだまだと、おもひすごしおるうちに… はや、死のみちへ … むかふものなり。

周左衛門」


< 甲府に初雪が降った日、周造は眠るように息を引き取りました >

* * * * * * * * * *

周造の葬儀も滞りなく済ませ、はなは学校に復帰した。

「 … このたびはお休みをいただき、ありがとうございました」

はなは教務室で職員に向かって礼を述べた。

「お蔭さまで無事に祖父を送ることができました」

「顔はおっかなかったけんど、優しいお祖父やんだったな」


校長の言葉に、はなはうなずいた。

「安東先生、お力落としのねえように …

亡くなったお祖父やんも花嫁姿見たかったらね ~ 」


こんな時でもひと言多い緑川だった。

「 … いえ、祖父は私に『夢を追っかけろ』と言ってくれました」

「ゆめ?

よめ、じゃなくて … ゆめ?」

「ええ、夢です」


はなは毅然と言い切ってみせた。

* * * * * * * * * *

教会の図書室。

はなは自分の手を見つめていた。

あの日の周造のぬくもりがまだ残っているような気がしてならない。

「 … ごめん」

朝市が息を切らしながらやって来た。

「待ったけ? 校長先生に捕まっちまって」

慌ただしくはなの向かいに座った。

「 … 相談って何ずら?」

今日は、はなの方が朝市をここへ呼び出したのだ。

「学校のことけ?」

はなは首を振った。

「ふんじゃあ?」

呼び出しておきながら、はなは口に出すのをためらっている。

* * * * * * * * * *

「あっ … その前に、朝市の大事な話って何だったで?」

両親の騒動のせいでそのままになっていたことを、はなは今更ながら思い出した。

「てっ?」

「ほら、何か話があるって言ってたじゃん」

「ああ … 」


朝市は困惑した。

本来ならば千載一遇の好機のはずなのに、何故かためらってしまった。

「何だったけな … 忘れちまった。

あれは、もういいだ。

ほ、ほれよりどうしたで?」


* * * * * * * * * *

ようやくはなが話しはじめた。

「 … 東京から出版社の人が来たことあったら?

ほのことで … 」


朝市は何となく予感していたのだ。

「迷ってるだけ?」

「お母たち残して、とっても上京なんてできねえって、いっぺんはあきらめたけんど … 」


朝市ははなを見つめた。

いつもはなのことを見ていた朝市だ … 本心は痛いほどよく分かった。

「はなは … 東京に行きてえだけ?」

朝市の問われて、はなは真剣なまなざしで顔でうなずいた。

「うん」

その時、朝市は自分の思いは、しばらく封印することに決めたのだ。

「ふんじゃあ、行けし」

「朝市 … 」

「一生懸命やって、勝つことの次にいいことは … 一生懸命やって、負けることだ」


朝市の言葉に、今一度うなずいたはなの目にもう迷いは消えていた。

<  … ごきげんよう、さようなら >

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