NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年06月17日 (火) | 編集 |
第68話

歓迎会で酔っぱらってしまったはなを家まで送った英治は、自分が贈った英英辞典が漬物石代わりに使われているのを目にしてしまった。

「 … 英語の翻訳続けてなかったんですか?」

それは、はなにとって耳の痛い言葉だった。

「村岡さんって、田舎に住んだことなんかねえでしょ?」

はなは反対に英治に訊き返した。

酔いのせいか、少しろれつが回っていない。

「ええ」

「やっぱしねえ ~

おら、甲府に6年も引っ込んでいたですよ。

英語の本なんて一冊もねえ、英語を話す人なんてひとりもいねえ … 英語なんて、うんとこさ遠い世界の話じゃん」


英治は困惑顔で尋ねた。

「英語からはまったく離れてたんですか?」

「たまに生徒たちと遊びで使ってましたけんど …

グッドモーニング、グッドアフタヌーン、グッドイブニング」


吉平から教わった身振り手振りを使った挨拶をしてみせた。

「うちのお父も言ってました。

英語なんて、これさえ覚えときゃ何とかなるって」


はなはおどけて、さも可笑しそうに笑ったが、英治はにこりともしない。

「何そんな怖い顔して ~ 」

「あなたには、翻訳の才能があるのに … 残念です」


その口調は明らかに失望していた。

「ああ、あともうひとつ思い出した … Go to bed!

バイ、バ~イ」


はなは再び板の間に大の字に引っくり返って、辞書を枕に寝てしまった。

* * * * * * * * * *

次の朝、はなは、その板の間で目を覚ました。

寝入ってしまったはなを寝床まで運ぶことができず、掛布団だけかけておいたのだ。

起き上がろうとしたが、頭がガンガンする。

「痛たた … 」

かまどの火を起こしていたかよが、はなが起きたことに気づいた。

「二日酔いずら?」

「おら、昨日歓迎会からどうやって帰ってきたずら?」

「何にも覚えてないだけ?」


まったく覚えていなかった。

「村岡さんが、お姉やんおんぶして、うちまで送ってくれたじゃん」

「てっ、村岡さんって、あの村岡印刷さん?」

「ここで管巻いたのも覚えてないだけ?」

「くだまいたあ?」

「英語なんて、遠い世界の話 … とか言って、村岡さんに絡んでたじゃん」

「て?!」


はなの頭痛は一層ひどくなった。

「お姉やんがこんなに酒癖悪いとは知らなんだ … 」

それは、はな本人も知らなかったことだ。

* * * * * * * * * *

「大切な英語の辞書、漬物石なんかにしてごめんね」

かよに言われて、はなは自分が枕にしていたのが英英辞典だったことに初めて気づいた。

「これ、村岡さんにもらっただけ?」

「うん、昔出版社で働いてた時 … でも今、使う機会もないし … 」

「村岡さん、何だか悲しそうだったじゃん」


記憶のどこかに残っていたのだろう … その時、はなにも英治の悲しそうな顔が見えた気がした。

* * * * * * * * * *

反省しきりで出社したはなは、早速梶原に昨夜の失態を詫びた。

「昨日はせっかく歓迎会を開いていただいたのに、ご迷惑をおかけしてしまって … 申し訳ありませんでした」

「いやいや、無理やり飲ました僕たちも悪かったよ」


梶原は笑ってすましたが、三田のように嫌味を言う者もいた。

「新人のくせに調子に乗り過ぎだよ」

「 … そういえば、村岡さんもお呼びしたのにいらっしゃらなかったですね」

亜矢子が残念そうに言った。

「急ぎの仕事でも入ったんだろう」

英治に家まで送ってもらいながら管を巻いて帰してしまったことを、この場でとても口にすることはできなかった。

「 … ああ、もう合す顔ねえ ~ 消えちまいてえ。

いや、こぴっと謝らんきゃ」


* * * * * * * * * *

そんなはなに梶原から初仕事が与えられた。

「今日は宇田川先生のところへ行って来てくれ」

「宇田川 … せんせい、ですか?」

「『赤い鳥』が『芥川龍之介』や『有島武郎』のような大作家に書かせるなら、こっちは今飛ぶ鳥を落とす勢いの『宇田川満代』で勝負したい」


連載小説を依頼して、梶原や亜矢子たちがくどき続けているのだが、いまだに引き受けてはもらえないのだ。

「彼女は君と同じ賞を受賞しているから、何かしら君に親近感もあるだろう。

君は書く側の気持ちも分かる。

安東君から説得してもらえば、上手くいくかもしれない」

「我が社の運命は、はなさんに掛かってるのよ」


梶原に加えて、亜矢子もはなのことを煽った。

「こぴっと、頑張らせていただきます」

いきなり大役を与えられて、はなは意気込んで早速出かけていった。

「ちょっと大げさに言いすぎたんじゃないですか?」

傍らで聞いていた向学館時代からの仲間である須藤が笑っている。

「まあ、やる気になったみたいだからいいじゃないか」

梶原はダメもとくらいの気持ちだったが、亜矢子は「はなだったらもしかして」という期待を込めて背中を見送った。

* * * * * * * * * *

宇田川満代は『ドミンゴ』で執筆していることが多い。

はなは店の前で呼吸を整えた。

< 宇田川満代 … はなが最も苦手な女です。

でも、そんなことは言っていられません >

かぶりを振って、店のドアを開けた。

「いらっしゃいませ … お姉やん、どうしたで?」

「作家の宇田川先生に原稿の依頼 … 」

「もう仕事任されたの? すごいじゃん」


かよは奥まった席で原稿に向かっている満代を指さした。

気難しい顔でペンを持ち、灰皿の煙草は煙をくゆらせたままだ。

「コーヒーお替り!」

ペンが進まずイライラしているらしく、きつい口調で女給を呼んだ。

「はい、ただいま」

* * * * * * * * * *

満代の元にお替りのコーヒーを運んだのは、はなだった。

「 … あっ、みみずの女王だ」

はなだと分かると何故こんなところでコーヒーを運んでいるのかと訊いた。

「お久しぶりです、宇田川先生」

「何なの?」


満代は不審な顔ではなを見た。

「ご執筆中に申し訳ありません。

ちょっとお話ししたいのですが … 」

「執筆の邪魔してまでしたい話って?」


はなはおもむろに頭を下げた。

「お願いします。

新しい児童向けの雑誌に小説を書いてください」

「何で、みみずの女王から原稿の依頼されなきゃいけないのよ」


満代はあからさまに嫌な顔をしてみせた。

「え~と、あの …

この度、私、聡文堂で働き始めたんです … 編集者として


緊張しているせいかもしれないが、それでは話の持っていき方が逆だ。

「あなた、作家も向いてないけど、編集者はもっと向いてないわ」

一笑にふしただけでなく、見下したように吐き捨てた。

「さっさと田舎へお帰りなさい」

「ほんな ~ 一昨日、甲府から出てきたばっかりなんですよ」


* * * * * * * * * *

満代は、はなの存在など忘れたように隣の席に座っている男女をじっと見つめだした。

「宇田川先生?」

「 … あなた、逢引したことある?」


突然、はなに尋ねた。

「いいえ … 」

「いい歳して、逢引もしたことないの?」


満代はあきれたように言うと不機嫌な顔をした。

意味も分からず頭を下げたはなはテーブルの上の原稿が目に入った。

『逢引』という題名が見えた。

「これ次の連載小説ですか?」

「『文芸東洋』に書くのよ … 取材しようと思ったのに、役に立たないわね」


そう言うと原稿用紙をまとめはじめた、場所を変えるつもりなのだろう。

「あ、あ、待ってください!

うちの雑誌にも書いてください!」

「私はもう子供向けの話なんか書かないの」

「どうしてですか?

宇田川さんの『つむじ風の乙女』、素晴らしかったのに … 」


満代は、はなのことを見据えた。

「あなたと違って、私は更に高みを目指してるの!

私の才能を子供向けの雑誌なんかに費やすつもりはないわ ~ 日本文芸界の損失よ」


* * * * * * * * * *

「お言葉ですが、子供向けだから大人の小説より価値が低いということはないんじゃないですか?!」

満代の口から出た聞き捨てならない言葉に、はなは作家に執筆を依頼している編集者という自分の立場を忘れてしまった。

途端、満代の顔色が変わった。

「仕事の邪魔した上に、この宇田川満代に意見する気?」

人一倍プライドが高い彼女が、一介の編集者であるはなの意見に耳を傾けるはずがなかった。

はなが、しまったと思った時はすでにあとの祭りだった。

「 … すみません、すみません」

「あなたの顔見たら、余計書きたくなくなったわ」


取りつく島もなくさっさと出口に向かった。

「あ、お勘定を … 」

「梶原さんにつけといて、この人の迷惑料よ」


かよに言い捨てると店を出て行ってしまった。

* * * * * * * * * *

「 … 今日はせっかくのコーヒーの味が分からなかった」

読んでいた新聞をたたみながら、近くの席に座っていた常連らしき初老の紳士がそうつぶやいた。

「すみません、美味しくなかったですか?」

かよが慌てて頭を下げた。

「いや、あの鼻持ちならない女の作家のせいで … 」

そう言って、紳士はにやりと笑った。

先ほどから、はなと満代のやり取りが気になっていたようだ。

「あなたも大変ですね ~ 」


恐縮するはなに紳士は続けた。

「しかし … 宇田川先生とやらにひとつだけ共感できることがありました。

あなたは、編集者にはまったく向いてない」

「てっ?!」


いきなり見知らぬ紳士からそんなことを言われて、はなは眉をひそめた。

「悪いことは言わない … 早く郷に帰った方がいいですよ」

店を出て肩を落としすごすごと社へと戻っていくはな。

偶然通りかかったのか … その背中を見つめていたのは英治だった。

* * * * * * * * * *

はなから報告を受けた梶原は大笑いした。

「安東君捕まえて、逢引の取材とは彼女らしいね」

「 … 宇田川先生はいつもそうなんですか?」


はなはあまり愉快ではなかった。

「彼女に限ったことじゃない。

作家が飛びつくような題材を提供するのも、編集者の大事な仕事だよ」

「まだ1回目じゃない ~ 頑張って」


落ち込んでいる様子のはなを亜矢子は励ました。

「そうだよ、当たって砕けろだ」

梶原、須藤、亜矢子の3人は、はなに留守番を任せて、広告取りに出かけていった。

* * * * * * * * * *

はなは散らかったままのテーブルを片付け始めた。

出しっ放しになっていた本を持って本棚に向かった。

空いたスペースを見つけたが、はなの背丈よりはるか上の位置だった。

つま先立ちになり腕を伸ばしたが、まだわずかに届かない。

すると、頭越しに男の腕が伸びてきて本をつかんで棚に収めてくれた。

… いつかも確かこんなことがあった。

はながハッとして振り向くと、そこには英治が立っていた。

咄嗟に頭を下げた。

「昨夜は失礼いたしました」

口から出たのは礼ではなく、昨晩の謝罪だった。

「 … こちらこそ。

僕もあれから反省してたんです」


はなは不思議そうな顔をした。

「どうして、村岡さんが反省するんですか?」

「あなたの事情も分からないのに、自分の勝手な思いだけを口にしてしまいました」

「?」

「この6年間、あなたはきっと僕には想像もつかないほど … 大変だったんですよね?」


深刻な顔をして、はなのことを見た。

「 … 学校の他に家の仕事もあったでしょうに。

ナマケモノの集中力を発揮する余裕もないほど、忙しかったんでしょう?

責めるようなことを言ってすいませんでした」


大きな体を二つに折って、はなに謝罪した。

* * * * * * * * * *

「そんな風に謝られたら私、本当にどうしたらいいか … あの、昨夜自分で言ったことも、あなたに言われたことも … 覚えてないんです」

「えっ?!

そんなに酔ってたんですか?」

はなは心底自分のことが恥ずかしかった。

「申し訳ありません」

あれだけはっきりと絡まれた英治には信じがたいことのようだ。

自分の言動を顧みて、昨晩はよく眠ることさえできなかったのだ。

「あの … 私、どんな感じだったでしょうか?」

はなは、恐る恐る英治に尋ねた。

「花子さん」

「はい」

「 … よかったら、今夜歓迎会やり直しませんか?」


思いもしなかった英治の申し出だった。

「逢引か … 」

ふたりの会話に聞き耳を立てていた三田がポツリとつぶやいた。

その言葉にドキッとするはな。

< もしかして、これは … 生まれて初めての逢引のお誘い?!

… ごきげんよう、さようなら >

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