NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年06月18日 (水) | 編集 |
第69話

「花子さん … よかったら、今夜歓迎会やり直しませんか?」

< 生まれて初めての逢引のお誘いに心拍数があがるはなでしたが … >

その日は一日中そわそわして仕事が手につかず、時計ばかりが気になっていた。

約束の時間が近づいた頃、亜矢子が話しかけてきた。

「はなさん、今日村岡さんと歓迎会やり直すんですって?」

何故か、亜矢子が逢引のことを知っていた。

「三田さんから聞いたの」

三田は知らん顔をしている … この男、結構食わせ者かも知れない。

「私もご一緒してよろしくて?」

いくら友達だといっても、逢引に連れて行くのは変じゃないだろうか?

一瞬、言葉に詰まったはなだったが …

「 … ええ、もちろん」

「本当に?!」


亜矢子の勢いに負けて思わずうなずいてしまった。

* * * * * * * * * *

英治と約束したのは『カフェー・ドミンゴ』、上京して数日しか経っていないはなだったが、すでに常連のように顔を出している。

「ちょっと早く来過ぎたわね」

亜矢子に急かされて、ふたりは指定された時間よりも大分早く店を訪れていた。

「 … あのね、はなさん、私好きになっちゃったみたいなの」

「えっ?!」


亜矢子は唐突に口を開いたが、はなには話が見えない。

「よく当たる占い師さんに診てもらったの … それによると、私の運命の人は以前から知っていて、最近急に身近になった男性なんですって。

それなら、あの方しかいないわ」

「あの方って?」


恋愛に鈍感なはなに、それだけでは分かる筈もなかった。

「 … 村岡英治さんよ」

「て ~ 村岡印刷さん?!」


亜矢子は小声でそっとささやいたのに、驚いたはなは大声をあげてしまった。

「新しい雑誌の打ち合わせで、最近会う機会が増えたし、村岡さんなら編集者の仕事にも理解があるし … 結婚したら、とても上手くいくと思うの」

「 … そんな先のことまで考えてるの?」


いつもながら、亜矢子の恋愛話は、はなの想定の範囲をはるかに超えていた。

「はなさん、応援してくださるわよね?」

亜矢子は、はなの手を取って、訴えるような目で見つめてきた。

返答に困って曖昧に微笑んでいると、店のドアが開いて英治が入ってきた。

* * * * * * * * * *

「いらっしゃいませ」

出迎えるかよ。

「昨夜は姉が失礼しました」

「いえ … 今日は弟を連れてきました」


後から入ってきたのは、英治の弟、村岡郁弥だ。

「兄さんの会わせたい女性って …

はじめまして、お目にかかれてうれしいです」


郁弥は、かよに近づくとその手を取った。

「てっ?!」

思わず手を引っ込めるかよ。

「 … やめてくれちゃあ」

その恥じらう仕草が郁弥にはひどく新鮮に感じた。

「てっ … やめてくれちゃあ … 何て、不思議な響きだ …

Amazing!」


英治が慌てて、ふたりの間に割って入って、かよに詫びた。

「かよさん、すみません … 驚かれたでしょう?

弟はイギリスから帰国したばかりでいろいろ変なんです」

「かよさんとおっしゃるんですか?」

「 … 郁弥、お前に会わせたいのは、かよさんのお姉さんの方だよ」


* * * * * * * * * *

はなと亜矢子は席を立って、英治たちを待っていた。

「村岡さん、ごきげんよう」

亜矢子はいち早く英治のことを笑顔で出迎えた。

「醍醐さんも来られたんですね」

「 … ご迷惑でしたか?」

「いえいえ、大勢の方が楽しいですよ」


英治はまったく気にする様子もなく、楽しそうにニコニコ笑っている。

< な~んだ、はじめから逢引じゃなかったみたいですね >

はなは肩透かしを食った気分だったが、考えてみれば『逢引』だと言っていたのは、あの三田だけだった。

* * * * * * * * * *

今宵、はなはアルコール類は口にせず、食事を楽しみ、歓迎会は穏やかに進んだ。

郁弥の英国帰りが話題になり、亜矢子も以前両親がしばらくロンドンに居たことがあると話した。

「郁弥さんは、留学でロンドンへ?」

はなが尋ねた。

「はい、最新の印刷術を勉強に」

「英語は少しはしゃべれるようになったのか?」


英治に突っ込まれた郁弥は、まるでそれが合図だったかのように突然、はなに英語で話しかけてきた。

「(今日はお目にかかれてうれしいです)」

何年かぶりの英語に一瞬怯んだはなだったが、自然と受け答えが口から出てきた。

「ああ … (こちらこそ)」

「(あなたのことは、兄から色々うかがっています)」

「 … (どんなうわさか、少し心配です)」

「英語が堪能で翻訳の才能が素晴らしいと … 」

「そうなんだよ ~ 彼女の翻訳はバカが読んでも分かる」


得意げに言った英治に、はなは頬を膨らませた。

「また、バカって?!」

「兄さんは褒めてるつもりでも、その言い方じゃ誤解されるよ」


郁弥は眉をひそめて、兄のことを咎めた。

* * * * * * * * * *

「村岡さんって本当に面白い方ですわ」

亜矢子の言葉に村岡兄弟は顔を見合わせた。

「あっ、おふたりとも村岡さんでややこしいですわね … 英治さんとお呼びしてもよろしくて?」

「どうぞ」


亜矢子の思惑を知っているのは、はなだけだ。

* * * * * * * * * *

「(安東さんは、どんな小説がお好きですか?)」

郁弥はゲームを楽しむように英会話を続けてきた。

「(大人から子供まで楽しめて、夢のある小説です)」

ちょうど料理を運んできたかよが目を丸くした。

「てっ?!

お姉やんが英語しゃべってるの初めて聞きました」


すると、英治がやけにうれしそうに言った。

「弟を連れてきた甲斐がありました。

ずっと英語から離れていたとうかがったので、思い出して欲しくて」

「え?!」

「英治さんってお優しいのね」


亜矢子に言われ、英治は少し照れをみせた。

英治の本意を知ったはなは、自分が抱いていた印象とはかけ離れていて、何だか意外な気持ちだった。

* * * * * * * * * *

「お姉やん、英語もっとこぴっとしゃべってくれっちゃ」

「こぴっと?!」


郁弥はかよの甲州弁にいちいち反応する。

「 … なんて、mysteriousなんだ?!」

かよは警戒した顔で郁弥を見た。

「あ、かよさん … 」

郁弥は立ち上がって、自分の腕時計を見ながら話し続けた。

「今7時27分ですが … お仕事は何時頃終わりますか?」

「はあ?」

「弟は、ロンドンで買ってきたあの腕時計が自慢なんです」


英治は何かにつけ、時計を人に見せたがる弟にあきれていた。

「お仕事が終わったら、何処かで会えませんか?」

実の姉がいる前で悪びれることもなく妹を誘っている。

「郁弥!」

英治が諌めたが、彼の眼差しは真剣だった。

「ここはそういうカフェーじゃないので、お店の外でお客様と逢引はしません」

かよは見事なほど毅然と拒絶した。

「 … 他にご注文は?」

あえなく撃沈された郁弥。

「なければ、失礼します」

笑顔を見せて仕事に戻って行く、かよ。

はなは我が妹ながら、立派なふるまいに感心するとともに安堵したのだった。

* * * * * * * * * *

席に着いた郁弥は、まるで鼻を折られた天狗のように沈んでしまった。

「そうだ、本持ってきたんだろう?」

場の雰囲気を繕うためか、英治は郁弥に耳打ちした。

「ああ ~ うん」

気を取り直した郁弥は、鞄から取り出した本をはなの前に置いた。

「わあ」

「素敵 ~ 」


女性たちから歓声が上がった … それは豪華な装丁を施された英国の本だった。

「ロンドンの書店で書棚を見ていると、端から端まで日本に持って帰りたくなるんですよ」

少年のように笑った郁弥。

少々お調子者だが、決して嫌な男ではなかった。

「こんなに美しい本が並んでるなんて … 」

『The Prince and Pauper』、日本語にすると『王子と乞食』それがこの本の題名だ。

「 … 読んでもいいですか?」

はなが訊くと、郁弥は当然のようにうなずいた。

喜び勇んだはなは本を手に取り、緑地に金色で装飾された表紙を手で触り、ゆっくりと頁をめくった。

* * * * * * * * * *

はなは瞬く間に物語の世界に入っていった。

そんなはなを英治は微笑んで見ている。

「本、気に入りましたか?」

郁弥の声がはなを現の世界へと呼び戻した。

「あ、ええ … 」

「差し上げますよ」


始めからそのつもりだったのだろう … 何の躊躇もなくそう言った。

「とんでもない、こんな高価なもの!」

「 … 正直、僕の英語力では歯が立たないんです」


事実だろうが、そう言った方がはなももらいやすいという気配りも感じられた。

「あなたのような人に持っててもらった方が本も喜びます」

英治が言った … きっと彼が仕組んだことだろう。

「そうよ、はなさん」

亜矢子にも勧められ、はなはふたりの好意をありがたく受け入れることにした。

「ありがとうございます!」

実際、はなにとって何よりもうれしい贈り物だった。

* * * * * * * * * *

はなは食事することも忘れて、再び本に夢中だった。

そんなはなが突然、首を傾げた。

「あの、どなたか … この単語分かりますか?」

3人は、本を覗き込んで、はなが指さす単語を見た。

「 … はなさんが分からないんじゃ、分かる訳ないわね」

「たしかに … 」


亜矢子の言う通り、誰にも分からない。

「 … 気になる」

もう居てもたってもいられなかった。

「帰ります!」

「えっ?!」


さすがの英治も我が耳を疑った。

「皆さんは、どうぞそのまま、気にせず …

ごめんなさい、ごきげんよう!」


言うが早く、脱兎のごとく店を飛び出して行ってしまった。

呆気にとられる村岡兄弟。

「何が起きたんだ?!」

自分の歓迎会だというのに … 信じられなかった。

つきあいの長い亜矢子だけが可笑しそうに笑っている。

「はなさんは昔から分からない英語の単語があると、ああなるんです」

「きっと英語の辞書を引きに帰ったずら」


子供の頃からまったく変わっていないと、かよも笑っている。

ふたりから理由を聞いた英治は、何故かうれしそうな顔ではなが去ったドアを見つめていた。

* * * * * * * * * *

「perplexity … perplexity … 」

はなは意味が分からなかった単語を念仏のように唱えながら、家へと急いでいた。

履物を脱ぎ捨て、着替えもせずに、辞書を手に取ると机に向かった。

「perplexity … perplexity …

あった!

当惑、混乱 … 難問か ~ ! 」


喉につかえていた異物が取れたようにスッキリとした。

はなは何年かぶりに再会した相棒のように英英辞典を愛おしく撫でた。

忘れてかけていた充実感がよみがえってくるのが分かった。

そして、辞書を脇に置くと、本の続きを読み始めた。

* * * * * * * * * *

次の日、出勤したはなは、すぐさま梶原の元を訪れた。

「編集長、新しい雑誌の企画、募集してましたよね?」

「何か面白いものでもあった?」


はなが取り出して梶原に見せたのは、郁弥からもらった本だった。

「 … これです」

「英文じゃないか、これ?」


訝しげに本をめくっている梶原にはなは提案した。

「それを日本語に訳して、連載にしたらどうでしょうか?」

「翻訳ものか … 」

「はい、私に翻訳させてください」

「えっ?!」


梶原にとってまったく想定外の提案だったようだ。

「日本にいい小説家が大勢いるのに … わざわざ海外のものを取り上げることもないでしょう」

またも三田が口を出した。

新入りの女性社員の提案なんてという先入観を持っているのだろう。

「そうだな … 」

梶原自身もあまり乗り気ではないようだ。

しかし、やる気になったはなはこのくらいで引っ込みはしなかった。

「でしたら、私が翻訳したものを読んで判断なさってください」

「まあ、素敵な本!

編集長、私その本読んでみたいです … 日本語で読めたらいいのにな ~ 」


亜矢子の援護射撃 … すかさず、はなはもうひと押しした。

「編集長、やらせてください!

お願いします!」


はなは頭を下げた。

その必死さに梶原は折れた。

「分かった … そこまで言うなら」

「はい、ありがとうございます!」


* * * * * * * * * *

とはいえ、はなの提案が採用されるかどうかは、翻訳を読んでもらってからのことだ。

はなは自分が与えられた仕事をきちんとこなした上で翻訳する時間を作らなければならなかった。

当然、家に持ち帰って、寝る間も惜しんで翻訳の作業を続けた。

女学校時代、向学館のアルバイトで短い説明文や蓮子に頼まれた詩集などを訳した経験はあるが、この本の様な小説をまるまる翻訳するのは初体験だった。

熱中すると、深夜でも英文を読み上げる声が大きくなっていった。

かよの睡眠を邪魔してはいけない … 

* * * * * * * * * *

満代への執筆依頼もはなに与えられた大事な仕事だった。

はなはドミンゴで仕事する満代の元をあきらめずに日参を続けていた。

「宇田川先生、もう一度だけお話を聞いていただけませんか?」

「あなたの顔、見たくないって言ってるでしょ」

「そうおっしゃらずに、私でできることなら何でもしますから … お願いします」


しかし、けんもほろろ … ただ、はなはもう肩を落として帰るようなことはしなかった。

すべてを前向きに受け止めて、社へも軽やかな足取りで戻って行った。

はなと入れ違いにドミンゴにやって来た英治が、そんな様子を微笑んで見つめていた。

* * * * * * * * * *

「 … 戻りました」

はなからの報告を受けた梶原と亜矢子が軽く落胆の表情を見せた。

その時、電話が鳴り、傍にいたはなが受話器を取った。

「もしもし、聡文堂でございます」

受話器の向こうの交換手が福岡からの電話だということを告げて相手につないだ。

「そちらに安東はなさんはいらっしゃいますか?」

電話の主は女性だ。

受話器を通しているので、確かではないが落ち着いた口調はどこか聞き覚えのある気がした。

「 … 安東は私ですが、どちらさまでしょうか?」

電話を出たのがはなだと知ると相手は興奮気味に話し出した。

「もしもし、はなちゃん ~ 私よ!

ごきげんよう!」

「てっ?!

蓮様???」


間違いない電話をかけてきたのは蓮子だ。

あの遠い日に別れて以来、声の再会だった。

< … ごきげんよう、さようなら >

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