NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年06月19日 (木) | 編集 |
第70話

「もしもし、はなちゃん ~ 私よ!

ごきげんよう!」


受話器から聞こえてくるのは、紛れもなく蓮子の声だった。

「てっ?!

蓮様???」


あの遠い日に別れて以来、10年ぶりの声の再会だった。

「お仕事中、ごめんなさい。

いつぞやは、ご本とお手紙ありがとう。

… 東京での生活はどう、もう落ち着いた?」

「ええ、何とか ~

蓮様はお元気ですか?」

「はなちゃんと話て元気が出たわ」


言葉を交わした瞬間、ふたりの間にあったはずの別れた時のつらい記憶も、わだかまりも、あとかたもなくすっかり消えていた。

「あのね、私 … 東京へ行くことになったの」

「本当に?」

「東京にいる間に是非会いたいわ」

「私も ~ 是非是非!」


はなは会社にいることも忘れてはしゃいでいた。

「じゃあ近くなったら、またお報せするわね」

「ああ、もう今から楽しみで眠れそうにないわ ~ 」


ふたりはお互いに電話の前で「ごきげんよう」とポーズを取り、受話器を置いた。

* * * * * * * * * *

そんな蓮子の様子を伝助は偶然目にしていた。

「ごきげんようか … 」

伝助の声に蓮子は振り向いた。

「お前のそげなごきげんさんな声は久しぶりに聞いたばい」

穏やかな顔で見ている … やはり、妻が機嫌がいいと悪い気はしないのだろう。

しかし、蓮子はぎこちなく会釈しただけだった。

* * * * * * * * * *

一方、はなは … うれしさを隠せずに、今にも踊り出しそうなどうしようもない心地だった。

電話機を見て、蓮子との会話を思い出してはニヤニヤしている。

傍から見ていると、少し危ない人に見えないこともない。

状況を理解している亜矢子は微笑んで見ているが、梶原はどうしたものかと困惑顔だ。

< なんと10年ぶりに、腹心の友と再会できるのです >

* * * * * * * * * *

「お待ちしてたんですよ」

いつものように嘉納の屋敷に呼び出された黒沢は、今日の蓮子がずこぶる機嫌がいいことに気づいていた。

「何かいいことがあったんですね」

「あら、お分かりになって?」

「ずっと塞ぎ込んでいたから心配していたんですよ … どんないいことがあったんですか?」


蓮子は思わせぶりに笑っているだけだ。

* * * * * * * * * *

「誰かしゃんは二度も婚礼ば経験しちょるとに、ちったあ嫁入支度の手伝いばしちゃってもよかろうにね」

ふたりが廊下を歩いていくと、そんなタミの声が聞こえてきた。

冬子と例の銀行の頭取の御曹司との縁談がまとまったのだが、一切関わろうとしない蓮子に代わってタミをはじめとする女中たちが婚礼の準備に追われていた。

「 … お母様は、この結婚にずっと反対なさっちょるき」

祝言の衣装合わせをしながら、冬子があきらめたようにつぶやいた。

「あら、奥様おんしゃったとですか?」

部屋の前で足を止めていた蓮子を見て、タミがしらじらしく頭を下げてみせた。

「黒沢さん、参りましょう」

蓮子は一瞥しただけで、黒沢を促しその場を立ち去った。

「冬子さんの嫁入支度、女中さんたちに任せきりのようですが、よろしいのですか?」

「 … 私も冬子さんぐらいの時、嫌々結婚させられたことを思い出して、どうしても祝福できないのよ」


冬子が幸せそうなら、話はまた別だったが、蓮子の目にはそう映らなかった。

父親に逆らえず、嫁いでいかなければならない冬子が不憫だった。

限りなく政略結婚の匂いを嗅ぎ取ってしまって、昔の自分に重ねてしまうのだ。

* * * * * * * * * *

「さあ、ご覧になって … 」

黒沢が蓮子の後についてサロンに足を踏み入れると、テーブルに上等なネクタイがずらりと並んでいた。

業者を呼びつけてわざわざ持って来させたのだ。

「気分がいいから、黒沢さんに贈り物をしたいの … どれでもお好きなものを選んでね」

社の規則を口実に黒沢が遠慮すると、蓮子はなげやりに笑いながら言った。

「私、じゃぶじゃぶお金を使うことに決めたの。

… 新興成金の妻らしくね」

「湯水のようにお金を使っても、あなたの心の空洞は埋まりませんよ」


蓮子は表情を一瞬曇らせたが、すぐに元の調子で黒沢に訊いた。

「それじゃあ、東京のおみやげは何を買ってきたらいいかしら?

10年ぶりに東京へ帰れるのよ ~ この幸せを誰かと分かち合いたいの」


高揚する気持ちを抑えきれずにいる蓮子のことを黒沢は不安げに見た。

「 … 心配です。

あなたはまるでここから逃げ出そうとしているように見える。

この10年の生活をすべて壊して … 」

「大げさね ~ 東京で私に許された時間は、たったひと晩。

腹心の友に会って、他愛ないおしゃべりをして … それだけよ」


改めて自分が置かれた立場を思い知ったのか、寂しく笑った。

「私には、ここ以外に戻れる場所なんて … 何処にもないんですもの」

* * * * * * * * * *

「 … 先生、是非とも考えてみてください、お願いします!」

性懲りもなく、ドミンゴまで執筆依頼にやってくるはなのことを、満代はいい加減うんざりしていた。

「じゃあ、私の代わりによその連載小説の続き書いてくれる?」

「承知しました!

そうしたら、うちにも原稿書いてくださるんですよね?!」


この手の冗談ははなには通じないのだ。

はなに満代の代わりが務まる道理がなかった。

「安請け合いしないでよ … 逢引もしたことないあなたに恋愛小説が書けるわけないでしょ!」

満代は声を荒げると、原稿をまとめて出口に向かった。

「梶原さんにツケといて」

またもや、そう言いつけて店から出て行ってしまった。

あまりの剣幕に件の紳士が目を丸くしながらつぶやいた。

「 … 今日もせっかくのコーヒーがまずい」

かよは恐縮して詫びた。

あれ以来、ずっとこんな調子なのだ。

それでも、何故だかこの紳士は懲りずに店にやって来る。

はなと目が合うと微笑んで返した。

はなは申し訳なさそうに会釈するだけだった。

* * * * * * * * * *

満代への執筆依頼は行き詰っていたはなだったが、『王子と乞食』の翻訳作業は順調だった。

はなにとって英英辞典は、分からない単語の意味を即座に教えてくれる頼もしい『相棒』に間違いなかった。

長屋での作業はおもしろいように捗っていった。

< そして、待ちに待った再会の日がやって参りました >

* * * * * * * * * *

その朝、はなはいつもより早起きして、普段はほとんど気にしない髪型を合わせ鏡までして入念に確認していた。

珍しくおしゃれに櫛までさしている。

「ねえ、この櫛おかしくねえ?」

「お姉やん、ほれ訊くの何回目でえ?」


かよはそんな姉のことを面白そうに眺めていた。

『腹心の友』というより、『恋人』に会いにいくみたいだと思った。

「大丈夫、こぴっと決まってるじゃん」

「そう? … よし!」


かよに太鼓判を押されて、はなはニッコリ笑った。

「夕方、あのカフェーで待ち合わせしてるから、かよにも蓮様を紹介するね」

以前、蓮子が甲府を訪れた時、かよは製糸工場に奉公に出ていたので、初対面になるのだ。

「本当に素敵な方なのよ」

かよは、はなが蓮子のことを話しだしたら、ちょっとやそっとでは終わらないことを知っていた。

「お姉やん、会社遅れるよ」

「あっ … ほれじゃあ、行ってきます!」


はなは慌てて出かけていった。

* * * * * * * * * *

「なんか安東さん、いつもと違って見えますね」

印刷原稿を受け取りに聡文堂に顔を出した英治が須藤に尋ねた。

「飾りじゃない?」

須藤は手で自分の頭の上に櫛の形を作ってみせた。

「ああ、なるほど ~ 」

「今日、大切な人に会うらしいよ」

「へ ~ 」


英治は気になるのか、はなを見つめた。

「 … はなさん、待ち合わせ6時よね?」

校正に集中していたはなは、亜矢子に言われて柱の時計に目をやった。

すでに6時10分前を指している。

「編集長、今日はお先に失礼してもよろしいでしょうか?」

「ああ、待ちにまった『逢引』の日か?」

「『逢引』だなんて、そんな … 」


『逢引』という言葉に反応したのは英治だった。

「おふたりで積もる話もあるでしょうから、私はお邪魔しませんから」

「醍醐さんまで … 」


何も知らない英治が、はなのその態度を見て、恋人に会いに行くものと勘違いしても仕方ないことだった。

それほど、はなはいつになく浮ついてみえた。

* * * * * * * * * *

ちょうどその頃、蓮子はひと足早くドミンゴに到着していた。

「いらっしゃいませ … おひとり様ですか?」

「待ち合わせです。

もうひとり後から来ます」


生憎、かよは蓮子の顔を知らず、蓮子もかよのことは知らなかった。

「ご注文は?」

「ああ、紅茶を … セイロンティーにしてちょうだい」


蓮子の注文は、かよが聞いたことのない飲み物だった。

「 … かしこまりました」

取りあえず受けたが、他の定員にも知っている者がいない。

困ったかよは、学生ならば分かるかもしれないと、例の演劇かぶれの一団に尋ねてみた。

「 … あの、『せいろんてえ』って誰か知ってます?」

「正論亭?」

「誰がそんなもん頼んだんだ?」


以前かよに身の上を訊いてきたことがある青年 … 宮本龍一が怪訝な顔をした。

「あのお客様が … 」

かよに言われ、龍一は蓮子のことを見た。

いかにも高価な着物に身を包み、鏡を見ながらおくれ毛を整えている蓮子を見て、龍一は吐き捨てるように言った。

「ブルジョワか … 」

店の時計は6時5分前を指していた。

* * * * * * * * * *

「では、皆さん、今日はお先に失礼します … ごきげんよう」

「蓮子様によろしくね」


亜矢子の言葉にうなずき、はなが慌ただしく部屋を出ようとした時、一瞬早くドアが開いて … そこには、宇田川満代が立っていた。

「 … 邪魔」

邪険に言って、はなを避けさせると、ずかずかと部屋に入ってきた。

「宇田川先生!」

「さあ、どうぞどうぞ、こちらへ!」


男性職員が総出で彼女を歓迎している。

… はなは帰るに帰れなくなってしまった。

* * * * * * * * * *

「先生の方から来ていただけるなんて思いませんでした」

梶原の言葉通り、突然の訪問だった。

「 … 連載の件、考えていただけましたか?」

「いいえ、苦情を言いにきたんです。

この『みみずの女王』にしつこくされて … 本当に迷惑してるんです」

「それは、大変失礼しました」


応接席で向かい合っている梶原と須藤だけでなく、傍らに控えているすべての職員が満代に向かって頭を下げた。

「申し訳ありません」

もちろん、はなも …

「ですが、安東は、それだけ先生に書いていただきたいんです。

彼女だけじゃありません … 社員一同、新しい雑誌には是非とも先生に書いていただきたいと、心から思ってるんです」

「梶原さんたちには賞をいただいたご恩もあるし、そこまで熱心に誘ってくださるなら、こちらも書きたいのはやまやまなんだけど …

今、よその恋愛小説に煮詰まってて、それが終わらないとこちらの連載まで手が回らないの」


* * * * * * * * * *

「私たちでよければ、いくらでも題材をご提供いたしますわ … その代わり、うちの雑誌に書いていただけませんか?」

「面白い恋愛の話を提供してくれるなら考えてもいいわ」


亜矢子の必死な提案に満代が少しだけ歩み寄りをみせた。

はなは気が気ではなかった。

蓮子と約束した6時はとっくに過ぎていたが、担当の自分がこの場をあとにする訳にはいかない。

「ちょっと、どこ見てるのよ?」

満代は目ざとく、はなの態度を咎めた。

「 … すみません!」

「まあ、この人は経験不足だから使えないわね」


端から見下している。

「そんなことありません。

安東は今夜、逢引の約束があるんです」


余計なことを須藤が口走ってしまった。

梶原が制したが、後の祭りだ。

「へえ ~ 」

「いえ、その … 」


刺さるような満代の視線を感じて、はなは言葉に詰まってしまった。

* * * * * * * * * *

時間はすでに6時半になろうとしていた。

「 … はなちゃん、お仕事忙しいのかしら?」

一向に現れないはな、限られた時間しか与えられていない蓮子は、少し焦り始めていた。

「大変お待たせしました」

そこへ、かよがようやく注文した紅茶を運んできた。

カップに口をつけた蓮子の顔色が変わった。

「これは、セイロンティーとはまったく違う飲み物ね」

「 … そうですか?」

「香りも味もまるで違います」


険しい顔でかよを責めた。

蓮子は確かめるようにもうひと口だけ口をつけると、顔をしかめた。

「 … コーヒーを水で薄めたもののようだけれど?」

「そんなはずは … 」


かよには何が何だか分からない。

「ここには気取った紅茶なんかありません」

いつの間にか宮本龍一が蓮子の席の前に立っていた。

「 … 新興成金の奥方には、わざと不味いコーヒーでも飲ませて追っ払えと、僕が言ったんですよ」

敵意を込めた目で蓮子をにらみつけた。

「私のことをご存じのようね?」

蓮子も決して負けてはいない … 毅然と龍一をにらみ返した。

「筑豊の石炭王、嘉納伝助夫人、蓮子さんでしょう?」

「てっ、この人が蓮子さん」


かよは驚いた。

改めて見れば、はなが言ってる通りの美しい女性だった。

「 … それで私に何かご用ですか?」

涼しげな笑みをたたえて、蓮子は龍一に訊ねた。

< はなが約束の時間に遅れなければ、このふたりは出会うこともなかったのに …

ごきげんよう、さようなら >

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