NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年06月21日 (土) | 編集 |
第72話

「素敵な恋をしているはなちゃんがうらやましいわ」

10年ぶりに再会した腹心の友、蓮子が帰り際に残した言葉。

「素敵な恋 … 蓮様なんであんなこと?」

はな自身は恋に身に覚えなどないのだが、それだけに却って気になって仕方がなかった。

* * * * * * * * * *

仕事中だというのに、そんなことに気を取られていたが、名前を呼ばれてハッとすると、梶原が目の前に立っていた。

「編集長?!」

「この間の翻訳、どれくらい進んでいる?」

「あ、もうすぐ一話分終わります」

「 … 何とか明日までに上がらないかな?」

「明日ですか?」


はなは驚いたが、梶原は切羽詰まったような顔をしている。

「あ、はい … 何とか急げば … 」

かなり無理な話なのだが、そう答えざるを得ない雰囲気だった。

満代との交渉が難航しているのか、掲載する作品が足らないのだろう。

「読んでよさそうなら、新しい雑誌に入れようと思ってる」

それを聞いて、はなの目の色が変わった。

「本当ですか?

明日までに必ず仕上げます」


現金なもので、俄然、今まで以上にやる気が湧いてきた。

「すごいわ、はなさん ~ お手伝いすることある?」

「大丈夫、ありがとう」


* * * * * * * * * *

亜矢子の応援を得て、はなは早速残りの翻訳作業に取り掛かった。

それは、相棒の英英辞典と共に夜を徹して続いた。

そして、東の空が白む頃、はなは何とか一話分の翻訳を仕上げることができたのだった。

「できた … やったあ!

おまんのおかげじゃ ~ ありがとう!!」


はなは愛しい英英辞典を抱きしめて、左右に揺さぶった。

「あれ?」

すると、頁の間から一枚の紙切れが落ちてきた。

* * * * * * * * * *

それは、蓮子が密かに書き残した手紙だった。

『この辞書の送り主は ずうっと前から はなちゃんの心の中にいたのね

自分の気持ちに素直になりなさい

蓮子』

「てっ … 蓮様いつの間に??」


はなは英英辞典を見つめた。

「 … この辞書の送り主?」

村岡英治の顔が浮かんだ。

「てっ、何で?!

て ~~~ ?!」


はなが余りにも大きな声を上げたので、傍らで眠っているかよがぴくりと動いて、寝返りを打った。

夜が明けてきたとしても、まだ起きるには早すぎる時間だった。

< その時、はなにははっきりと分かったのです。

はなの夢を支えていたのは、誰だったのか … >

「ナマケモノは … 樹にぶら下がりながら、夢を見ているのだと思います。

だから、あなたも夢を忘れないでください」

「あなたは花子になるべきです … 花子という名前で、これからも書き続けてください」

人生の岐路に英治の言葉があったことに気がついたはなの顔に朝陽がさしていた。

* * * * * * * * * *

「うん、いいじゃないか」

はなが仕上げた原稿を読んだ梶原は大きくうなずいた。

「よし、これで組んでみよう」

掲載決定だった。

「はなさん、おめでとう!」

「ありがとう、ありがとうございます」


はなは感激していた … 自分なりに自信がある出来だったのだ。

「僕は日本の作家しか認めないけど … まあ、翻訳ものは他誌がやってないから珍しいかもしれませんね」

ひと言付け加えたのは三田だ。

素直に認めることができないのだろう。

「夕方には村岡印刷が原稿を取りに来るから」

梶原の口から出た『村岡』という名前に、はなの胸が高鳴った。

「私が村岡さんに渡しておきます」

「醍醐君は岡田先生のところに原稿を取りに行ってきてくれ」


亜矢子は残念そうな顔をしながらも梶原の指示に従った。

「じゃあ、はなさんが直接に入稿してね」

「村岡印刷さん … ですか?」


様子がおかしいはなを、亜矢子は不審な顔で見た。

「はなさん、どうかして?」

慌てて笑顔で誤魔化したはなだった。

* * * * * * * * * *

昼前から降り出した雨は夕方になって一層強くなってきた。

まるで台風のような風と一緒に窓を叩いている。

はなはひとりきり、部屋を片付けながら、原稿を受け取りにくるはずの英治を待っていた。

本棚に本を戻す時、ふと自分の身長では届かない高い位置の棚を見上げた。

英治の手を借りて戻した本がある。

ひと通り片付けも済み、原稿を見直していると、突然英治が飛び込むように入ってきた。

「遅くなってしまってすみません!」

「いえ、お待ちしてました」


部屋にいるのがはなだけだと分かると、戸惑いの顔をした。

ふたりはぎこちなく挨拶を交わす。

「他の皆さんは … もう帰られたんですか?」

「あ、ええ … 大雨なので皆、早めに」

「ああ、そうですか … 」


会話が続かない … 意識しているのは、はなだけでなく、英治も同じのようだ。

「あ、あの、雨大丈夫でしたか?」

「雨? ああ、降ってます … あの、かなり。

あなたも早く帰った方が … 」


かなりトンチンカンな返事だ。

「ええ … その前に原稿を」

「そうでしたね」


お互いに真っ先にしなければならないことを忘れていた。

* * * * * * * * * *

「では、拝見します」

はなから受け取った原稿に目をやった英治は、その題名を見て驚いた。

『王子と乞食』

「 … これ、郁弥が渡した本の?」

「ええ」

「花子さんが訳されたんですか?」

「梶原さんたちに早く読んでもらうために大急ぎで一話分訳してみたんです」


原稿の束を眺めながら英治は感心していた。

「たった一週間で、これだけの量を訳すなんて … あなたの集中力はナマケモノ … 

いや、それ以上だ!」


彼にしてみれば最大級の賛辞なのだ。

「やっぱり、ナマケモノですか?」

「ああ、すみません」

「いえ、いいんです」


何故か今夜は腹が立たない … それどころかうれしささえあった。

「ナマケモノは泳ぐ時にだけ、すごい集中力を発揮するんでしたよね?」

「ええ、僕は何だか感動してしまいました」


英治は少し興奮気味に原稿をめくり続けている。

「ナマケモノに?」

「いいえ … 花子さんに」


* * * * * * * * * *

「村岡さんにいただいたあの辞書のお蔭です」

原稿から顔を上げた英治とはなの目が合った。

はなは慌てて視線をそらす。

「 … 何だか蒸し暑いですね」

雨のせいですべての窓を閉め切ってはいたが、暑いのはそのせいではないだろう。

「ああ、開けましょうか?」

英治は原稿を一時机の上に置いて窓を開けた。

途端、強い雨風が部屋の中へ吹き込んできて、はなの原稿を舞い上げた。

「てっ、原稿が!」

「すいません!」


英治は慌てて窓を閉めた。

* * * * * * * * * *

「本当にすみません … 」

ふたりは、部屋中に散らばった原稿を拾い集めた。

「何枚ありました?」

「こちら10枚です」

「 … どうしよう、一枚足りません!」

「大変だ … 」


辺りを血眼になって探すふたり。

「て … あんなところに!」

はなが指さす先、天井の梁に原稿用紙が一枚貼りついていた。

飛ぼうが跳ねようが、はなの身長ではとても届かない。

英治は手を伸ばし、軽く飛び上がって原稿用紙をつかみ取った。

「ありました ~ 17頁」

ホッとしたふたりは微笑みあった。

* * * * * * * * * *

ふたたび、はなと英治の目が合った。

お互いに顔が強張る。

はなは胸に手をあてて、背を向けてしまった。

「ああ、もう嫌になっちゃう … 」

「 … すみません、僕が窓なんか開けなければ」


英治は自分が責められたと思って頭を下げた。

「いいえ、違うんです」

はなは否定すると、何とか呼吸を整えて、話しはじめた。

「 … 私のこと、誰よりも分かってくれる友達に、心の … 心の中を読まれてしまったんです。

私の中にはずっと … ずっと … ある男の人がいるって。

そんなはずない、絶対に違うって打ち消そうとしたんですけど … 」

「確かに、そう言うことって … 」


英治にとってもドミンゴでの蓮子の言葉がそうだった。

「どうやら、私の知らないうちにその人は … 私の心臓の中まで入り込んでしまったみたいで …

私の心臓は、パルピテーションの嵐です!」


* * * * * * * * * *

「 … あなたのせいで」

はなは振り向いて英治を見た。

「好きです!」

英治は言葉を失って立ちすくんでいた。

どう見ても、はなの言葉を受け入れたような表情ではない。

困惑している顔だ。

はなは、ハッとして我に返った。

「て … ごめんなさい!」

慌てて頭を下げた。

「私、どうかしてますよね?

… ごめんなさい!」


土砂降りの中へ逃げるように飛び出して行った。

* * * * * * * * * *

はなは傘もささず、ずぶ濡れになりながら家路を急いだ。

「花子さん!」

英治が追いかけてきた。

はなは一瞬足を止めたが、振り向くこともせず早足で歩き出した。

英治も雨に濡れながら、はなを追い越し前にはだかった。

はなは英治の顔が見れずにうつむいてしまった。

「 … 本当にごめんなさい」

「もう謝らないでください」


英治は手にしていた傘を開いて、はなにさしかけた。

「謝らなければいけないのは僕の方です」

「 … 村岡さんは何も」


はなは首を横に振った。

「花子さん … 」

はなはゆっくりと顔を上げて英治を見つめた。

その瞬間、英治の手から傘が落ちて … その手がはなのことを抱きしめた。

< … ごきげんよう、さようなら >

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