NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年06月24日 (火) | 編集 |
第74話

「昨夜のことなんですが … すみませんでした!

… 忘れてください」

英治は突然、その大きな体をふたつに折って、はなに向かって頭を下げて来た。

「はあ?」

「とにかく忘れてください … 本当にすみませんでした」

そのままの体制で踵を返すと、振り返りもせずに、はなをひとり残して逃げるように部屋から出て行ってしまった。

< つまり、はなは振られてしまったのでしょうか? >

「 … 忘れてください?」

* * * * * * * * * *

「 … 忘れてください?」

はなは英治が言ったその言葉の意味を懸命に考えてみたが、ひと晩明けても確かな答えは出なかった。

上の空で朝食を取っているはなをかよは怪訝に思った。

「お姉やん、大丈夫け?」

すると、はなは茶碗と箸を置いて、かよに訊ねた。

「ねえ、『忘れてください』って、どういう意味だと思う?」

「ほりゃあ、忘れてくりょうってことずら」

「ほれって … つまり?」

「よく分からんけど … 思い出したくねえから、なかったことにしてくりょうってことかな?」

「 … なかったことに?」


かよの言葉にはなは微かな動揺をみせた。

「本当にどうしたでえ … また何かあっただけ?」

かよは心配そうに顔を覗き込んだが、はなは慌てて首を振った。

「ううん … ほ、翻訳してて、ちょっこし気になっちゃってさ」

明らかにウソだと分かった。

「 … やっぱし何かあっただね?」

はなは平然を装い、ふたたび茶碗を手にしたが、箸でご飯をつかみ損ねてしまった。

* * * * * * * * * *

いつものように、かよに見送られて長屋を後にしたはな。

会社への道すがら、ふと足を止めたのは、あの雨の日に英治に抱きしめられた小さな祠の前だった。

実際、はなには分かっていた。

英治は、あのことを忘れてくれと言っているのだと … 頭の中で何度も否定したが、やはりそれしかない。

はなは思いきり頭を振って、抱きしめられた残像を振り払った。

「忘れよう … こぴっと、忘れよう」

そう自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

「 … よし、忘れた忘れた」

うなずき、無理に笑顔を作って、また歩き出した。

* * * * * * * * * *

入口を勢いよく開けて会社に入っていったはなは、やたら元気よく梶原に挨拶をした。

「編集長、おはようごいす!」

「おはようごいす?」


返す刀で傍らにいた三田にも愛想よく訊ねた。

「三田さん、何かお手伝いすることありませんか?」

「 … いえいえ、別に」


面食らっているふたりに機嫌よく笑ったはなは、出社してきた亜矢子を見ると駆け寄っていった。

「ごきげんよう、醍醐さん!

岡田先生の原稿の編集、まだよね? … お手伝いします」

「 … それは助かるけど」

「今日も忙しくなりそうね ~ 頑張りましょう!」


そう言って亜矢子の手を握った。

「取りあえず皆さん、とびっきり美味しいお茶入れますね!」

「 … いつものお茶っ葉でしょ?」


やたらテンションが高いはなを見て、亜矢子は訝しげに思った。

「はなさん、妙に明るいですね?」

「不自然なほどね。

まあ、何かあったんだろう … そ~っとしておこう」


梶原の言葉に亜矢子と三田は顔を見合わせてうなずいた。

* * * * * * * * * *

< はなが空元気を振りまいている頃 …

福岡の蓮子は部屋に引きこもり、現実のうさを読書で紛らわせておりました >

人を招いてのサロンや音楽会にもいい加減あきたのか、この頃は東京から取り寄せた本を日がな一日片っ端から読みふける毎日。

部屋の中には読み終わった本が、あちらこちらに無造作に積み上げられたままだった。

「奥様、お客しゃんがお見えですばい ~ 奥様」

廊下からタミが声をかけてきたが、蓮子は不機嫌に返事した。

「私を訪ねてくる人なんていないわ」

「ばってん、東京から来んしゃったそうで ~ 」

「 … 東京から?」


東京からと聞いて、蓮子の頭に浮かんだのは、はなの顔だった。

「どなた? 女の方?」

「いいえ ~ 宮本しゃんちゅう、男ん人です」


まったく聞き覚えのない名前だった。

「知らない方だわ、お帰りいただいて」

* * * * * * * * * *

座敷で待っていたのは … 宮本龍一だった。

その手にあるのは蓮子の歌集だけ、他に荷物の様なものは一切見当たらない。

「 … お帰りくださいっち、奥様が」

「はるばる東京から来たんです … 会わせてください」

「ばってん、もう奥様はず~っと部屋にこもりっきりで」


誰にも会いたくないと言って出て来ないのだとタミは話した。

「 … 分かりました」

龍一は席を立った。

「お客しゃんがお帰りばい!」

廊下に出た龍一は、今タミが戻って来た方向へと歩き出した。

「ちょっと?!」

「玄関はこっちですばい!」


タミと女中のトメが慌てて引き戻そうとしたが、龍一はどんどん廊下を奥へと進んでいく。

* * * * * * * * * *

「蓮子さんの部屋は何処ですか?」

「勝手に困りますばい!」


タミたちは必死に止めるが、龍一は従わず、部屋の戸を次から次へと開けて、しらみつぶしに蓮子を捜しはじめた。

「何すいとですか?!」

* * * * * * * * * *

「本当に困りますき、帰ってつかあさい!」

「会わずに帰るつもりはない!」


外の騒ぎに蓮子が気づいた時、扉を乱暴に開けて龍一が入ってきた。

ハッとして立ち上がった蓮子。

「何なの、あなた? … 出て行きなさい」

「嫌です。

話を聞いていただくまで帰りません」


そう宣言して、足を踏み出した龍一は、床に散らかっていた本を踏みつけて、思いきり引っくり返ってしまった。

「痛って ~ 」

目の前でその姿を見てしまった蓮子は、思わず吹き出した。

「勇ましさが台無しね」

真面目腐った顔をして意気込んで入ってきた龍一が見せた滑稽さが可笑しくて仕方がなかった。

蓮子は声を上げて笑いはじめた。

体を起こした龍一は部屋の中を見渡した。

辺り一面、ところ構わず積み上げられた本の山を見て唖然とした。

「何だこの部屋 … 俺の部屋より散らかってる」

蓮子は昔から、片付けることや掃除が苦手で、女中にもこの部屋に入ることを禁じていたから、散らかし放題のままだった。

いつまでも蓮子は笑っている。

そのうちに龍一も自分自信が可笑しくなって … 一緒に笑いはじめていた。

タミをはじめとする女中たちは、その様子を見てバカらしくなったのだろう … 呆れた顔をして部屋から出て行ってしまった。

* * * * * * * * * *

「ああ、こんなに笑ったの久しぶり … 」

蓮子は笑いすぎで出てきた涙を拭っていた。

「人の不幸を笑うとは悪趣味だな」

龍一は苦笑いをした。

「どなたか存じませんけれど、東京から尻もちをつきにいらしたの?」

「笑いすぎですよ!」


さすがにプライドを傷つけられ、ムッとした龍一は立ち上がった。

「この顔、お忘れですか?」

蓮子が自分のことをまったく覚えていないことも面白くなかった。

* * * * * * * * * *

蓮子は龍一の顔を見つめ直した。

言われてみれば、確かに見覚えがある顔 … はなと待ち合わせたカフェで絡んできた失礼極まりない学生だった。

「ああ、あの時の … 」

「やっと思い出してくれましたか」

「こんなところまで、またケンカを売りにいらしたの?」

「いいえ … あなたを口説きに来たんです」


蓮子は不審な顔をした。

「これ読みましたよ」

袖の中から歌集『踏繪』を取り出した。

「 … それで?」

「僕たちの劇団のために脚本を書いてください」

「脚本?」


蓮子は鼻で嗤った。

歌ならいざ知らず、脚本とは見当違いの話だからだ。

「さあ、三十一文字より多く文字をつづる術を知らないわ」

「僕はあなたに書いて欲しいんだ!」


まるで、人にものを頼む態度ではなかった。

「どうして私なの?」

礼儀を知らない龍一に蓮子も声を荒げてしまった。

「劇団でお金でも必要なのかしら?」

「金なんか … 」


龍一は、しばし言葉に詰まった。

「いや本音を言うと、金も欲しいですけど … 」

あまりにも正直に認めたので、蓮子はまた吹き出してしまった。

「僕たちは演劇を通して、今の不平等な日本を変えようと思っています。

そのためには、まず人々の心に深く突き刺さり、揺さぶる舞台をやる必要がある!」


* * * * * * * * * *

「僕はこの本を読んで、すぐに汽車に飛び乗りましたよ。

白蓮の歌に込められた、ほとばしるような激情に僕の心が揺さぶられたからです … 引き受けてもらえるまで帰りません」


蓮子は、龍一の若い情熱に逆に心を揺さぶられた思いがした。

「随分と熱いのね … でも、世の中なんてそう簡単に変えられるものじゃないわ。

しきたりも仕組みも変わりはしないのよ」


そのことを一番承知しているのは自分だと言いたかった。

「じゃあ、世の中なんてどうでもいい。

僕のために書いてくれませんか?」


何を言い出すのだろう、この男は … 蓮子は、龍一の顔を見つめた。

「 … あなたにしか書けない脚本を」

* * * * * * * * * *

はなは仕事の手が空いた少しの時間でさえ、部屋の片付けをしたりして体を動かし続けていた。

じっとしていると、要らぬことを考えて落ち込んでしまいそうで怖かったのだ。

本を書棚に収めようとした時、不覚にも英治のことを思い出してしまった。

< あの人のことを忘れよう忘れようとして、余計頭に浮かんでしまう … それが、恋というものなのです >

首を横に振り、気を取り直して、高い位置にあった本を戻そうとした時、背後から伸びてきた腕が手を貸してくれた。

振り向くと、腕の主は郁弥だった。

「 … どうもありがとうございます」

「いいえ ~ 」

「今日はお兄様、いらっしゃらないんですか?」


すぐさま、亜矢子が訊ねた。

「兄は別件でちょっと … 代わりに割り付け届けに来ました」

英治に会って気まずい思いをせずに済んだはずなのだが、会えないのは尚更さみしい … はなは複雑だった。

* * * * * * * * * *

「あの、私は花より … 」

「チップの方がいいんですよね?」


勿忘草を一輪、かよに差し出しながら郁弥は言った。

「でも、勿忘草を見てたら、かよさんのことを思い出してしまって」

ひとり悦に入ってニコニコしている郁弥、かよは不機嫌な顔で注文を訊いた。

「ウイスキーを」

注文を通したかよは改めて郁弥に訊ねた。

「今日は英治さんはいらっしゃらないんですか?」

すると今度は郁弥が少し不機嫌な顔をした。

「何で皆、僕の顔を見ると同じこと聞くのかな …

兄は、ねえさんの見舞いに行ったんです」


郁弥に姉がいることは初耳だった。

「お姉さん、入院なさってるんですか?」

「もう3年も結核の病棟に …

兄と結婚してすぐに胸を患って」

「結婚?

… 英治さん、結婚なさってたですか?!」


郁弥は何気なく口にしたことが驚愕の事実だった。

「あ、ご存じなかったですか?」

「え、ええ … 」


かよが驚いた後、考え込んでしまったので、郁弥は不安になった。

「かよさん、ひょっとして … 兄のことが好きだったんですか?」

「てっ?!

違いますよ … 好きなのは私じゃなくて … 」


その先はいくら妹でも軽々しく口にはできない。

* * * * * * * * * *

その時、梶原を先頭に仕事を終えた聡文堂の面々が店に入ってきた。

「いらっしゃいませ!」

慌てて出迎えるかよ。

「おう、郁弥君」

梶原が声をかけてきたが、郁弥はかよの話の続きが気になって挨拶も何処か気が入っていなかった。

一番後ろから入ってきたのははなだった。

「あ、郁弥さん ~ ごきげんよう」

かよは慌てて、はなを郁弥から引き離して席に誘導してしまった。

* * * * * * * * * *

その頃、 … 妻の見舞いから村岡印刷に戻った英治は、ひとり薄暗い事務所で活字で組まれたはなの原稿に目をやっていた。

そして、おもむろに白紙を取り出すと『王子と乞食』の割り付に取り組みはじめた。

* * * * * * * * * *

「お兄さんが結婚していること、ちょっこし内緒にしていてもらえますか?」

かよは聡文堂の人々に聞こえないよう、声を潜めて郁弥にそっと懇願した。

「ちょっこし?」

「 … 傷つく人がいるので」

「それは、かよさんじゃないんですよね?」


郁弥はもう一度念を押して訊いた。

「違います … とにかく内緒に」

「 … わかりました」


* * * * * * * * * *

「郁弥さん、よかったらこっちにいらっしゃらない?」

亜矢子に声を掛けられた郁弥はテーブルを移って仲間に加わった。

「あっ、『王子と乞食』の原書は郁弥さんからいただいたんです」

はなは皆に打ち明けた。

「そうだったの?」

梶原が呑気に驚いている … この時代、編集者であろうと、翻訳ものに対する著作権という意識がまだ薄かったのだろう。

当然、原作者のマーク・トウェインに許可を得てはいなかったに違いない。

「安東さんの翻訳、兄は仕事を忘れて読みふけっていました」

かよが言う「英治の結婚を知って傷つく人」が、まさかはなだとは思ってもみない郁弥だった。

「 … すごく面白いって」

「それは、原作が素晴らしいからです!」


かよは姉を見て胸が痛んだ。

「はなさんズルいわ ~ 私ももっと頑張らなきゃ!

… 英治さんは何がお好きなの?」


亜矢子が対抗意識をむき出して郁弥に訊ねた。

「あ、兄の好きなものですか?」

「珍獣だよ」


代わりに答えたのは梶原だ。

「ほら、ナマケモノとかさ」

「 … なまけもの?」


亜矢子は首を傾げている。

「変わってますよね」

英治からナマケモノに例えられた本人、はなにとっては … 思い出すだけでつらいことだったが、努めて明るく笑っていた。

< かよは知ってしまったのです。

お姉やんの恋は … 道ならぬ恋だと。

… ごきげんよう、さようなら >

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