NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年06月30日 (月) | 編集 |
第79回

はなが思いを寄せていた村岡英治には病気療養中の妻がいた。

そのことを知ってしまったはなが受けた衝撃は決して小さくはなかった。

< まさか自分が道ならぬ恋をしていたなんて思ってもみなかった、はなでした >

* * * * * * * * * *

そんな心の傷は胸の奥にしまって、はなは仕事に打ち込んだ。

< はなたちは新しい雑誌の完成に向けて、大忙しの毎日を送っていました >

聡文堂の職員一同は慌ただしく創刊準備に追われていた。

はなの机にも校正を待つ原稿が次から次へと休む暇もなく回ってきた。

これだけ忙しいと落ち込んでいる時間もないので、はなには却ってありがたかった。

* * * * * * * * * *

社運を賭けた新雑誌、『にじいろ』の完成まであとひと息にみえたが … 

肝心の宇田川満代からは、連載小説に関する色よい返事は未だにもらえてはいなかったのだ。

「もうこれ以上待てません … 他の作家に頼んだらどうでしょう?」

須藤はそう進言したが、梶原は譲らなかった。

「宇田川満代の連載はこの雑誌の目玉になる。

あきらめずに口説き落とそう」


満代の担当のはなは、自分の編集者としての力不足に責任を感じてしまった。

* * * * * * * * * *

「いや ~ 宇田川先生、やっぱり今勢いがありますよ」

三田が手にしていたのは、満代の連載小説『逢引』が掲載されている、『文芸東洋』の最新号だった。

三田は物語の佳境の部分を読み始めた。

「 … 何故、あんな告白をしてしまったのだろう?

女の口から『あなたを好きです』と言ってしまったのだ」


何処かで聞いたことがあるような話だった。

「どしゃぶりの雨の中、男はハル子を追ってきた。

ハル子の胸は春の嵐のように轟轟と高鳴っていた」


何気なく聞いていたはなだったが、その一節を聞いて顔色を変えた。

「男は傘を差し出し、ハル子を抱きしめた。

だがあくる日、男はハル子に信じられない言葉を言い放った。

『昨夜のことは忘れてください』」

「 … はなさん、この小説ひょっとして?」


亜矢子が感づいた通りだ。

間違いない … 満代は、はなが苦し紛れに話した自身の失恋話を元に小説を書き上げたのだ。

「安東君、どうかしたのか?」

様子がおかしいはなを見て、梶原が声をかけた。

「あ、いえ … 」

何事もないよう装ったが、動揺を隠すことができない。

* * * * * * * * * *

そんな時、電話が鳴り響いた。

電話の主は、はなを指名しているらしい。

「はい、安東でございます」

気持ちを落ち着かせて受話器を取った …

「てっ、う、宇田川先生?!」

その名前を耳にして、梶原たちが一斉に注目した。

「はい!

… す、すぐに伺います!」


はなが受話器を置くと、すぐに梶原が訊ねてきた。

「宇田川先生、何だって?」

「う、うちの連載の第一話を今書いてくださってるそうです!」


一同が色めき立った。

「すごいわ、はなさん … お手柄よ!」

「行ってきます!」


はなは取るものも取りあえず、満代が執筆しているカフェー・ドミンゴへと駆けつけたのだった。

* * * * * * * * * *

「宇田川先生っ」

「話しかけないで!

… ここまできたら、一気呵成よ」


満代は何かが下りてきたように原稿用紙にペンを走らせている。

はなは一礼すると、カウンター席に腰かけ、満代を見守った。

「 … 今日は静かでいいな ~ 」

その様子を見た平祐が、新聞を読みながらつぶやいていた。

「お姉やん、よかったね ~ 苦労した甲斐があったじゃん」

かよに言われ、はなは満面の笑みを浮かべてみせた。

* * * * * * * * * *

時計は、午後1時を指している。

満代は、あれからずっと一心腐乱に原稿を書き続けていた。

やる時にはやる … 大した集中力だ。

更に1時間が過ぎ、時計が2時の鐘を鳴らしたとほぼ同時に満代はペンを置くと、原稿用紙を揃えた。

「 … できたわ」

はなは、慌てて満代の席に駆け寄った。

「宇田川先生、ありがとうございます!」

小説の題名は『銀河の乙女』。

「 … すぐに読んでもよろしいでしょうか?」

「それが編集者の仕事でしょ」


当たり前のことを聞くなと言わんばかりの満代。

はなは席に着くと早速、原稿に目を通し始めた。

読み進めるうちに『銀河の乙女』は、はなを物語の中へと誘っていった。

* * * * * * * * * *

一気に読み終えたはなは満代を絶賛した。

「素晴らしいです … 傑作です!」

「 … 簡単に褒めないでちょうだい。

作家に最高の作品を求めるのが編集者でしょ?

ダメを出してちょうだい、ダメを」


いかにも満代らしい言い草だった。

「ダメなんて、そんな … 」

「 … まあ、みみずの女王にいわれても私は書き直さないけど」


言い方は相変わらず素っ気ないが、言葉にいつものとげとげしさがなかった。

「本当に素晴らしいです。

とくに、ここ … 

『スピカ、スピカ、おお私の美しい星よ』ルカはささやきました。

『二度とこの地球に帰って来られなくてもいいの』

その時、銀河の女王が見えない翼をルカにそっと授けました … 」


はながその一節を読み上げると、満代は微かに照れたような、それでいて満足げな顔で言った。

「そこ … 実は私も一番気に入ってるの」

「本当に素晴らしいです。

本当にありがとうございました … 第二話以降も楽しみにしています」


はなは、この宇田川満代という女性は苦手だったが、彼女が書く童話はスケールが大きくて好きだった。

* * * * * * * * * *

ふたりのやり取りを見ていた平祐が席を立った。

「君のお姉やんも、ようやく編集者らしくなってきましたね」

精算する時、そう、かよに耳打ちして帰って行った。

* * * * * * * * * *

はなはすぐに梶原に連絡を入れた。

「たった今、素晴らしい原稿が仕上がりました」

「そうか … 」


梶原が電話の周りに集まった職員たちに向かって大きくうなずいてみせると、皆は揃って胸をなで下ろした。

「もう時間がないんだ。

そのまま、村岡印刷に届けてくれ」

「 … 村岡印刷ですか?」


電話の声が急に曇ったので、梶原は不審に思ったらしい。

「安東君、何か問題でもあったのか?」

「あ、いいえ … わかりました … これからすぐに届けます」


* * * * * * * * * *

「村岡印刷か … こぴっと届けるしかねえ」

はなはドミンゴの前で重い気持ちでつぶやいた。

仕事と割り切らねば、そう自分に言い聞かせていると、店から満代が出てきた。

「あの男は結婚してたんじゃないかしら?」

「 … あの男って?」

「だから、抱きしめた翌日『昨夜のことは忘れてください』と、言い放った男よ」


何故満代はそんなことが分かるのだろう … はなはあ然としていた。

「作家の勘ではね、彼には妻がいたのよ。

… あなたも大変だったわね」


さすが売れっ子の作家だけあって、その思考は、はなが足元にも及ばないほど鋭かった。

「う、宇田川先生、だからそれは友だちのことで、私は大変なんか、ぜんぜん … 」

ムキになって否定すればするほど、自分のことだと白状しているようなものだ。

「まあ、頑張って … 原稿は失くさないで届けてね」

会心の作品を書き上げたからだろう ~ 満代はご機嫌で帰って行った。

「こぴっとしろし … 」

はなは自分自身に気合いを入れて、村岡印刷に向かって歩きはじめた。

* * * * * * * * * *

村岡印刷の社屋に足を踏み入れたはなは、ためらいながら、重役室のドアをノックした。

「ごきげんよう … 聡文堂です」

できれば、郁弥に出迎えてほしかったが、部屋に居たのは英治ひとりきりだった。

「あの … こ、この原稿を至急、『にじいろ』の頁に組版していただきたいんです」

事務的に告げると、英治は原稿を受け取って中身を確認した。

「あっ、宇田川先生、書いてくださったんですか … よかったですね」

「ええ … 」


はなが苦労していることを知っていた英治は顔をほころばせて喜んだが、はなは英治の目を見ることができずぎこちなくうなずいただけだった。

「では、よろしくお願いいたします」

そのまま目を合わせることなく、踵を返して出口へと急いだ。

「 … 出来るだけ早く組版して、弟に届けさせます」

そんな言葉にも背を向けたままうなずいて、部屋をあとにしてしまった。

* * * * * * * * * *

はなは夜寝床に着いても、昼間のことを思い出し、自己嫌悪に苛まれてなかなか寝付けなかった。

体を起こして、考え込んでいると、眠っているはずのかよが声をかけてきた。

「 … お姉やん、眠れんの?」

「て、ごめん … お越しちまったけ」


かよも少し体を起こした。

「今日、村岡印刷に行ったら?

… 大丈夫だったけ?」

「ああ、村岡さんのこと?

もう忘れた忘れた … 奥さんの居る人だって分かった途端、ただの物体に見えたさ」

「物体?」

「うん、大きくて邪魔な、壁じゃん」


おどけているが、姉の心の中が、かよには手に取るようにわかった。

「お姉やん、無理せんで」

「て … む、無理なんて … 」

「お姉やんのこんだから、きっと仕事場ではうんとこさ無理して頑張ってるら?

… おらの前まで、無理しんでいいら」

「 … かよ」

「お姉やんが本気で好きんなった人、ほんな簡単に嫌いになれる訳ないじゃん」


はながかよの顔を見つめると、にっこりと笑い返した。

「おやすみ」

「 … おやすみなさい」


* * * * * * * * * *

< 2週間後、ついに『にじいろ』の創刊号が完成しました >

「お待たせしました!」

郁弥が製本したばかりの『にじいろ』の創刊号の束を抱えて聡文堂にやって来た。

「皆、届いたぞ!」

ひとりずつ郁弥の手から『にじいろ』を受け取ると、皆すぐにその場で本を開いて、それぞれが担当した頁を食い入るように見つめている。

はなも真っ先に『王子と乞食』の頁をめくった。

「よし、いい出来だ!」

梶原が自信満々に創刊号の出来に太鼓判を押した。

* * * * * * * * * *

「『にじいろ』創刊号の完成を祝って … 乾杯!!」

勤務時間なので取りあえずは、サイダーで祝杯を挙げた。

「英治さん、こんな日にもいらっしゃらないなんて残念ね」

「あ、きっと忙しいのよ」

「でも、はなさんとは順調に愛を育んでいるんでしょ?」


英治のことはすっぱりとあきらめた亜矢子は、自ら宣言した通り、はなと英治のことを応援するつもりでいるのだ。

何も知らない亜矢子に訊ねられて、はなは返答に困ってしまった。

「 … 醍醐さん、それはもういいの」

「いいって?」

「そう言えばさ、ずっと英治君見ないけど … 奥さんの具合そんなに悪いの?」


梶原が訊ねると、郁弥は沈んだ表情でうなずいた。

そのやり取りを耳にして、仰天したのは亜矢子だ。

「奥様?

… お兄様、結婚なさってたんですか?!」


亜矢子だけでなく、他の職員にも英治が既婚者だとは知らないものが数名いた。

「兄と結婚してすぐに、義姉は胸を患って … 今も入院してるんです」

亜矢子はうつむいているはなの手を引いて部屋の隅へと引っ張っていった。

「 … はなさんも知ってたの?」

「ああ、ええ … 」

「はなさん、大丈夫?」


打ち明けてくれなかったことを咎めることもせず、亜矢子ははなの心情を思って心配している。

亜矢子にとって、はなこそが腹心の友なのかもしれない。

はなは気丈に笑ってみせた。

亜矢子は『にじいろ』を手に取ると、『王子と乞食』の頁を開いた。

「こんなにロマンティックな挿絵を描いてくれた人が … 結婚してたなんて」

< これからも、この絵を見るたびに、はなは切ない気持ちになるのでしょうか … >

* * * * * * * * * *

その頃、英治は妻の香澄を見舞うために病院を訪れていた。

看護婦とすれ違いに病室へと入った。

「香澄、今日はどう?」

ベッドの上に起き上がって外を見ていた香澄は、その声に振り向いた。

英治の顔を見てうれしそうに微笑んだ。

< この人が英治さんの奥さん?!

なんと美しい人なんでしょう … ごきげんよう、さようなら >

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