NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
  • 08«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »10
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


朝ドラ関連のブログ一覧はこちらです。よろしくお願いします!

にほんブログ村 テレビブログ 朝ドラ・昼ドラへ
2014年07月01日 (火) | 編集 |
第80回

『にじいろ』創刊号が完成した喜びに沸く、聡文堂。

同じ頃、英治は妻・香澄の病室を見舞いに訪れていた。

「 … 今日は調子がよさそうで安心したよ」

英治は持参した花を花瓶に活けるとベッドの脇のサイドテーブルに置いた。

「その辺飛び回りたいぐらい元気なの」

香澄は病院はもううんざりといった顔をしてみせた。

「また無理するなよ」

「わかってるわ … 新しい雑誌?」


イスに腰掛けた英治が手にしている雑誌に目を付けた。

「うん、郁弥が初めて担当した童話雑誌なんだ。

あいつ早く君に届けろってうるさくて … 」


香澄は笑いながら雑誌を受け取ると、頁をパラパラとめくってみた。

* * * * * * * * * *

「この絵、あなたが描いたのね?」

早速、『王子と乞食』の挿絵に目を留めた。

さすが妻だけあって、画風が英治のものだとすぐに見抜いたのだ。

「 … うん」

「珍しいわね … あなたが挿絵を描くなんて。

絵描きになるのは、あきらめたんじゃなかったの?」


英治は自嘲気味に笑った。

「 … 才能がないからね」

「でも、これは素敵だわ」


香澄はまじまじと英治が描いた挿絵に見入っていた。

「この童話、郁弥がイギリスで買ってきた本を翻訳したものなんだ。

舞台になってる16世紀のイギリスの雰囲気を出した頁にしようってことになって … 」


それは英治が割り付けを考える際に頭の中に描いた構想だろう。

* * * * * * * * * *

香澄は、翻訳者の名前を見た。

「女性の翻訳者なんて珍しいわね」

「君は『にじいろ』創刊号の読者第一号だから、忌憚ない意見を聞かせてくれ」

「私が第一号なの?」


香澄の声が少しはずんで聞こえた。

「刷上ったばかりだからね」

「まあ、うれしい ~

じゃあ、心して読ませていただきます」


香澄は屈託なく笑うと、改めて雑誌に目を落とした。

英治はそんな妻の姿を優しげな目で見守っていた。

* * * * * * * * * *

「ついに出来ただね … 素敵な雑誌じゃん」

はなが持ち帰った『にじいろ』創刊号を手にしたかよが感嘆の声を上げた。

懸命な姉の姿をずうっと目の当たりにしてきた彼女は感慨深く頁をめくった。

「てっ … 訳、安東花子!

お姉やん、本当にすげえなあ ~ 」


心から喜んでいるかよを見て、はなもうれしかった。

「これ見たら、お父なんか大喜びして、村中に宣伝して回るよきっと」

「 … うれしいけんど、恥ずかしいじゃんね」

「あ、ひょっとしたらまた行商に出ちまったりして …

『お父がはなの本を売ってやる』とか言って!」


いかにも吉平が言いそうなことだと、ふたりで思い浮かべて笑った。

* * * * * * * * * *

「この挿絵もすごくいいじゃん」

その言葉に、はなは一瞬戸惑いの表情をみせた。

「 … ほれ、村岡さんが描えてくれただ」

「てっ … お兄さんの方?」


かよが顔を強張らせたが、はなは笑顔で雑誌を手に取った。

「お蔭でいい頁に仕上がったさ … 感謝してるだ」

無理をしているのが分かった。

「お姉やん … 」

「心配かけてごめんね。

でも本当にもう大丈夫だから」


かよの目からはまったくそんな風には見えないのだ。

「あ … 宇田川先生の話もすっごくいいだよ」

はなは話題を変えようとしている。

「あの人、性格はきついけんど … 心は水みてえに透き通った人なんだな ~

こんなに素敵な童話書いてもらえて、本当によかったさ」


かよは気丈に振舞う姉を見て、これ以上心の傷に触れるのは止めようと思った。

* * * * * * * * * *

「ほう言えば、ミスター・ドミンゴさんが褒めてただ」

「ミスター・ドミンゴさん?」


はなには初めて耳にする名前だった。

「ほら、コーヒーが好きな紳士じゃん」

ふたりはまだ正体を知らないが、平祐のことだ。

店では蔭でそう呼ばれているらしい。

「あなたは編集者にはまったく向いてない」

はなは以前そう決めつけられたことを思い出した。

「てっ … あの紳士が?!」

「お姉やんのこと、編集者らしくなったって」

「はあ ~ ほれじゃあもう、郷に帰らんでいいだね」


* * * * * * * * * *

英治か帰った後の病室で、香澄は『王子を乞食』を読み返していた。

『訳 安東花子』

翻訳者のことが気になるのだろうか?

その名前を見て表情を曇らせた。

サイドテーブルの引き出しから小さな木箱を取り出した。

小箱のふたを取ると中には赤子を胸に抱いた聖母マリアが彫られたカメオが収められていた。

香澄はそれを愁いを帯びた顔でじっと見つめた。

* * * * * * * * * *

聡文堂では、はなたちは刷上ったばかりの『にじいろ』の封詰め作業に追われていた。

発売に先立って、関係各所等にも送り届けるのだ。

「安東君、これ作家に渡す分だから」

梶原から別途に数冊渡された。

「作家には担当者から早急に創刊号を渡すように」

梶原の指示に亜矢子がうなずいた。

「分かってます ~ 発売日より前に渡さないと、あの人たちヘソを曲げるどころじゃありませんからね」

「作家先生っていうのは、怒らせると面倒な人種ですからね」


相槌を打ったのは須藤だ。

「ご機嫌を損ねないように頼むぞ」

はなにもう一度念を押した。

「はい」

* * * * * * * * * *

「安東君、それが終わったら、村岡印刷に行くぞ」

「あの … ??」


突然のことに、はなは言葉に詰まった。

「社長に挨拶がてら紹介するよ。

『王子と乞食』の頁が出来たのも、村岡兄弟のお蔭だからな」


すると、亜矢子がいきなり割って入ってきた。

「編集長、それ私に行かせてください」

「醍醐君は、これから岡田先生と打ち合わせでしょ?」


しかし、傍らにいた三田から水を差されてしまった。

「 … そうでした。

じゃあ、三田さん行ってきてください!」

「何で忙しい僕が?!」


はなの気持ちを思っての亜矢子の行動だったが、事情を知らない者にすれば突拍子もないことだった。

「大丈夫よ、醍醐さん」

こんなことで、誰かに迷惑をかける訳にはいかない、はなは思った。

「でも … 」

「醍醐君、安東君を村岡印刷に行かせたくない理由でもあるの?」


三田は訊いてくるが、その理由をここで答える訳にはいかなかった。

「本当に大丈夫だから … ヘマしないように編集長のお供してきます」

平然と笑っているはなだが、その心中を察すると亜矢子は不安でいっぱいだった。

「じゃあ、行こうか」

梶原の後に従って、はなは出かけていってしまった。

* * * * * * * * * *

村岡印刷の社屋に入ると、はなは梶原の真後ろに隠れるようにして歩いた。

「何してるんだ?」

「あ … いえ」


重役室の扉をノックすると、出迎えたのは郁弥だった。

「わざわざお越しいただいてすみません。

生憎、兄は出かけていて … 」


その言葉に、はなはホッとしていた。

「今日は英治君にもお礼を言いたかったんだけど」

梶原はしきりに残念がっている。

「くれぐれも梶原さんによろしく伝えてくれと言っていました」

* * * * * * * * * *

そんなやり取りをしていると、扉が開いて初老の紳士が入ってきた。

「社長」

郁弥が社長と呼んだその紳士は、はながよく知っている人物に似ていた。

「ああ、いや ~ 『にじいろ』創刊おめでとうございます」

帽子を取って、梶原に会釈をしたその顔を見てはなは目を丸くした。

「てっ … ミスター・ドミンゴ?!」

はなは思わず口走ってしまった。

「やあ、みみずの女王」

笑いながらソファーに腰を下ろした平祐。

ふたりの様子を見て、梶原は拍子抜けたように言った。

「なんだ安東君、知り合いだったの?」

「あ … カフェーで何度かお目にかかりました」

「僕も忙しくて行けないのに、父さんはあの店に行きすぎなんだよ」


平祐を責めた郁弥の言葉に、はなはまた驚いた。

「父さん?!」

「はい、社長で父です」

「 … ということは、ご兄弟のお父様」


英治の父でもある。

「安東君、今日はおかしいぞ … 大丈夫か?」

今日どころか、英治が絡むと最近ずっとこうだ。

「やっぱり君は、田舎に帰った方がいいんじゃないかね?」


平祐は真顔でそう言った。

「そんな … 」

「あまり編集者として優秀になると、女性は生意気になるからね ~

ここら辺で帰った方がいい」


現在だったら、セクハラといわれそうだが、裏を返せば、編集者としてのはなの成長を認めた発言だろう。

* * * * * * * * * *

「しかし、いい雑誌に仕上がりましたな ~ 『にじいろ』はこれから長く愛される雑誌に成長しますよ」

「社長にそう言っていただけると自信がつきます。

社長、郁弥君、この度は『にじいろ』創刊へのご尽力、本当にありがとうございました」


梶原に合わせてはなもふたりに頭を下げて礼をした。

「いやあ、『王子と乞食』の頁、素晴らしい出来栄えです」

「はい、本当に素敵な頁にしていただきました」

ひいき目抜きに『王子と乞食』は、満代の『銀河の女王』に負けないくらい『にじいろ』の目玉となる作品になるに違いない。

「英治はあの頁、えらく入れ込んでましたよ」

「次号の安東さんの翻訳、兄が楽しみにしてますから」


何も知らない平祐と郁弥の言葉。

『王子と乞食』が続く限り、英治との関わりは続くのだ … そのことではなの頭はいっぱいになっていた。

「 … 安東君?」

梶原に呼ばれて、はなは現に戻った。

「はい … あっ … ご期待に沿えるように頑張ります」

今更ながら、梶原は様子がおかしいはなのことが気になっていた。

* * * * * * * * * *

英治は、香澄の病院にいた。

病室のドアをノックすると、顔を出したのは看護婦だった。

「今日は奥様、気分がすぐれないから帰って欲しいと … 」

申し訳なさそうに香澄からの伝言を伝えた。

「あ … 大丈夫なんですか?」

「心配なさるほどではないですけどね」


看護婦の言葉に安堵の色をみせた英治は、着替えを渡すと後ろ髪をひかれながら帰って行った。

* * * * * * * * * *

「本当によかったんですか?

ご主人随分心配なさってましたよ」

「いいんです … ありがとうございました」


自らが夫と会うことを拒みながら寂しげな表情の香澄、人には言えない訳があるのだろう。

看護婦は、それ以上は訊かずに英治から預かった着替えを箪笥に収めはじめた。

「毎日のようにお見舞いにいらして、優しいご主人ですね」

「ええ、優しいんです」


香澄は笑ってうなずいたあと、窓の外に目をやった。

「 … 優しすぎるの」

つぶやくようにポツリと言った。

* * * * * * * * * *

午後になると、突然激しい雨が降り出した。

今日中に済ませなければならない校正が残っているため、はなは須藤と共に残業していた。

「安東君どう?」

「 … まだかかりそうです」

「今日、うち結婚記念日なんだよな ~ 」


須藤が何を言いたいのか、はなにはピンときた。

「じゃあ、奥様おうちでお待ちでしょうから、後は任せてください」

「明日の朝一番に尾崎先生のところへ持っていくんだけど大丈夫?」

「はい」

「じゃあ、悪いけど … お先!」


須藤は、はなに手を合わせると、慌ただしく帰って行った。

* * * * * * * * * *

雷の音がして、雨がより一層強くなったようだ。

はなは雨が叩きつけられている窓に目をやった。

あの夜もこんな雨だった …

英治が開けた窓から入ってきた風雨が、大切な原稿を舞い上げてしまった。

慌ててふたりで拾い集めた。

そして、告白 … 土砂降りの中で抱きしめられたこと …

まだ少しも忘れてはいなかった。

いや、思いは却って強くなっている …

* * * * * * * * * *

「安東君」

気がつくと、梶原が目の前に立っていた。

「編集長 … 」

「英治君と何があったか知らないが、そういう時こそ仕事を頑張りなさい。

… 仕事は裏切らないよ」


梶原は諭すように話した。

最後は自分自身で乗り越えるしかないと言いたかったのだろう。

「『にじいろ』の次号に向けて、また頑張ってくれってことだ。

期待してるぞ」


余計なことは何ひとつ訊かずに、ただそれだけをはなに伝えた。

「もちろん、頑張ります」

はなは戸惑いながらも返事をした。

* * * * * * * * * *

梶原が帰ると、社に残っているのははなひとりになった。

雨音だけが聞こえてくる。

仕事はまだ当分終わりそうにもない。

< 降りやまない雨はない。

はなの心に降る雨も、いつかは止むのでしょうか?

… ごきげんよう、さようなら >

連続テレビ小説 花子とアン Part2 (NHKドラマ・ガイド)

新品価格
¥1,188から
(2014/7/1 20:19時点)



やまない雨はない

新品価格
¥1,814から
(2014/7/1 20:18時点)


関連記事
スポンサーサイト

朝ドラ関連のブログ一覧はこちらです。よろしくお願いします!

にほんブログ村 テレビブログ 朝ドラ・昼ドラへ
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。