NHK朝ドラ『花子とアン』『ごちそうさん』『あまちゃん』…ストーリーを勝手に解釈&裏読み … ほぼネタバレ…
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2014年08月13日 (水) | 編集 |
第117回

「僕 … お熱があるかも知れないよ」

その夜、歩が突然高熱を出した。

急いで医者を呼び、歩を布団に寝かせた。

氷枕を当てて、額には濡れた手拭いを乗せたが、歩の熱は上がる一方だった。

「歩、もうすぐお医者さん来るからな」

すると、歩は花子に訊ねた。

「 … お母ちゃま、痛いお注射する?」

「そうね … 」


歩が注射を嫌がったので、花子は思わず自分が代わりにしてもらうなどと口走った。

「それじゃあ、僕の病気よくならないよ … 」

歩の方がしっかりしていた。

「歩は強いから注射痛くても大丈夫だよな?」

歩は赤い顔で健気にもうなずいてみせた。

「お医者様の言うことを聞いて、いい子にしていれば、すぐよくなりますからね。

元気になったら、今度こそ海に行こうね」


花子の言葉に歩は微笑んだが、その直後少し呼吸が荒くなった。

「大丈夫?」

そうしているうちに医師と看護婦が到着した。

「坊やの熱はいつからですか?」

「夕方頃、急に高い熱が出て … お腹も下しています」


* * * * * * * * * *

「先生、歩は?」

歩を診察した医師は表情を曇らせながら所見を述べた。

「 … 残念ながら、疫痢の可能性が高い」

花子は愕然とした。

「疫痢?」

「そんな … 何とかしてやってください」

「先生、歩を助けてください。

お願いします、お願いします … 」


花子と英治は医師に必死に頭を下げ続けた。

< 当時、疫痢はたくさんの子供たちが命を落とし、もっとも怖い病気とされていました >

* * * * * * * * * *

深夜におよび、医師は懸命に処置を施したが、歩の容態は予断を許さない状況だった。

花子たち家族が歩のために出来ることは回復を願って見守ることしかなかった。

しばらく小康状態が続き、歩が突然目を開けた。

「歩ちゃん?」

花子と英治が顔を覗きこむと、歩はしっかりと目を見開いて天井を見つめていた。

「まあ、やっと気持ちよくなったのね。

歩のお目目のなんてきれいなこと … こんなに高い熱が出たのに、ちっとも目が曇らないのね」


歩が一命を取りとめたと安堵した花子は、歩の頭を撫でながら笑顔でささやきかけた。

そして、台所に立ち、白湯を汲んで戻って来た。

「さあ、おぶうを飲みましょうね」

それをガーゼに含ませると歩の唇に数滴たらした。

すると、歩は再び瞼を閉じてしまった。

* * * * * * * * * *

「 … 歩ちゃん?」

花子が声をかけたが歩はピクリとも動かない。

「歩ちゃん、歩ちゃん」

体を揺すりながら、必死に名を呼んだが反応がなかった。

「先生 … 」

英治が涙声で医師を呼んだが、医師はもう何も処置しようとはせずに答えた。

「 … もうお時間がないので、抱いてあげてください」

花子は目を見開いて、医師のことを振り返った。

「花子さん … 」

英治は涙を流しながら、花子を促した。

花子は歩の頬を両手で包むように触ると、腕を回して抱きかかえた。

とめどなく流れる涙を拭おうともせず、歩の顔を愛おしげに見つめた。

* * * * * * * * * *

「お母ちゃま … 」

目を閉じたままの歩がか細い声で花子を呼んだ。

「なあに、歩ちゃん?」

「僕がお母ちゃまと言ったら、『はい』ってお返事するんだよ」

「お返事しますとも」


涙ながらに花子はうなずいた。

「 … お母ちゃま」

「はい」

「お母ちゃま」

「はい」


二度同じやり取りを交わした後、歩は何も言わなくなった。

「お母ちゃまの返事聞こえないの?」

花子が呼びかけると、唇が微かに動いた。

「おかあちゃま … 」

「はい … はい …

歩ちゃん、お母ちゃまもお父ちゃまもお祖父ちゃまも皆あなたの傍にいるのよ。

歩ちゃん、なあに … なあに?

… お願い、何か言って、お願い、歩ちゃん!」


花子がいくら呼びかけても歩からはもう何も返っては来なかった。

「歩ちゃん? … 歩」

歩の体からすうっと力が抜けて行くのが分かった。

花子は歩を強く抱きしめた。

< その日の明け方、歩は息を引き取りました >

… 僅か4年の生涯だった。

* * * * * * * * * *

早朝、宮本家に歩の訃報を知らせる電報が届いた。

「歩君が?!

はなちゃん … 」


呆然と立ち尽くす蓮子のことを浪子は叱責した。

「何をぐずぐずしているの?

母親にとって子供を亡くすのは、心臓をもがれるよりも辛いことよ。

子供たちの世話は私に任せて、早く行きなさい!」


思いもよらぬ姑の言葉に送り出されて、蓮子は花子の元へと駆けつけた。

* * * * * * * * * *

まるで眠っているように穏やかな顔で横たわる歩 … 花子は、その傍らに放心状態で座っていた。

「花子さん、蓮子さんが来てくださったよ」

英治が蓮子が弔問に訪れてくれたことを伝えたが、花子は虚ろな目で歩を見つめたままだった。

蓮子は花子の隣に座ったが、何と声をかけてよいのか分からなかった。

「はなちゃん … 」

花子はゆっくりと蓮子の方を振り向いた。

「 … 蓮様」

蓮子は歩に向かって合掌した。

* * * * * * * * * *

「歩 … お母ちゃま、お母ちゃまって … 」

花子の嗚咽が次第に大きくなっていく。

「はなちゃん」

蓮子は花子の手を握った。

「歩 … 」

堰を切ったように花子が泣き崩れた。

悲痛な面持ちで花子を抱きしめる蓮子。

* * * * * * * * * *

「申し訳ありませんが、翻訳の締め切りは遅らせていただけないでしょうか?」

やはり弔問に訪れた梶原に英治は締切の延期を願い出た。

「 … 当分、仕事は手につかないと思いますので」

「いや、翻訳のことは心配しないでくれと、花子さんに伝えてくれ。

… 英治君、君は大丈夫か?」


英治は気丈にうなずいた。

* * * * * * * * * *

花子は歩の亡骸から決して離れようとしなかった。

夜になると、まるで寝かしつけるかのように添い寝して、歩の頭を優しく撫で続けた。

英治と平祐はその様子をぼんやりと見つめ、蓮子は花子を見守るように傍らに座っていた。

花子の耳には、歩の歌が聞こえていた。

♪ こっちがママのダ~リング、こっちがパパのダ~リング

庭を元気に駆けてきた歩。

おむすびを頬張る歩。

船のおもちゃを操る歩。

風車に息を吹きかける歩 …

たらいから汲んだ水をじょうろで撒く歩を花子は縁側から笑って見ている。

じょうろの水が太陽の光を映した。

「虹が出たよ」

* * * * * * * * * *

外は雨が降り始めていた。

蓮子は、いつの間にか寝入ってしまった花子に自分の羽織をかけた。

< あすよりの 淋しき 胸を 思ひやる 心に悲し 夜の雨の音

… さようなら >

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